富士見山   1639.5m        御殿山   1669.9m
                        

 2011.11.19(土)   


  雨(みぞれ)       単独        平須登山口より         行動時間:5H48M


@平須登山口6:37 →(118M)→A1627分岐高点(町界)8:35→(8M)→B富士見台8:43→(19)→C富士見山9:02〜08→(27M)→D1627高点再び9:35→(54M)→E御殿山10:29〜30→(47M)→F1627高点三度11:17→(68M)→G登山口12:25


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@平須登山口。経路に道標が無いので、登山口までは、まずは「青少年自然の里」を目指す。 歩き出しての最初。暗い中を進む。 最初の休憩舎。トイレもある。 この道は「奥殿参道」と言うらしい。
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二つ目の休憩舎。裏側に鳥居あり。 なだらかな歩き易い道が続く。 A1627高点。分岐下降点。 B富士見台。展望地だが、生憎の天気で・・・。
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Bお団子標識に惑わされないよう先に進もう。お団子標識の下に「展望台」とある。山頂はまだ先。 C富士見山。こちらは展望地であらず。樹林の山頂。 C山梨百名山の標識。 Cやや小ぶりに思えたが、二等点。
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C富士見山北側の様子。 D1627高点再び。通過して御殿山の方へ。 1638高点の先は、進路が北西に変わるので注意。進む側も道形がこの時期見え辛い。 正規尾根から、間違い尾根を見る。富士見山から来ると、見えている尾根の方に進んでしまいそう。ましてやその尾根にはピンクのマーキングが打たれていた。
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E御殿山。通過点のような山頂。 E三等点が僅かに顔を出している。 E付近の標識は、そのほとんどで割られたものが多い。熊のいたづらだろう。 御殿山の南東側ピーク。やや広い地形で、復路で進路に注意。
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こんな感じで、コンパスを出して確認した場所。 雨が多いと、立ち木に口を当て水が飲める。このワイルドさが楽しかったりする。 1638高点の東側の尾根を乗り換える場所。間違わないが、視界不良時には注意か。 堂平地区への下降点。平須地区と堂平地区は近接しているが、近い場所に二つ道がある様子。
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F念力大国神。1627高点三度。 唯一のやや危険場所か?全く危険でないが、タイガーロープが流してある。 二つ目の休憩舎帰り。 最初の休憩舎。
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登山口にある小屋。炭の焼けた独特の匂いが辺りを覆う。 G登山口に降り立つ。今日は終始大雨。雨具の中も汗でずぶ濡れ。 G標高差は940m


  

雨の土曜日確定となった。雪が遅れている年でもあり、雨は高所では雪をもたらし、スキー場など場所によっては喜ばしい天気だろう。予報では南の風が吹き込んでくるようで、やや気温が高い様子。これを含めて、そこそこの高さで楽しむ事とし場所を探す。しかし全国的に雨、天気の抜け穴も無いとなると、流石にいつもの前向きさは少し減退。気温が高くしかも雨なら、濡れた雨具の中が想像出来るのだった。さらには風ときた。自然環境は変わらないのだが、我が歩行環境は最悪であろうと思えていた。でもそれで行かない訳ではない。

 

そんな中、今回は身延山地の富士見山に行くことにした。その名の通り、富士の展望地であり、晴れていることがより気持ち良さを増すのであろうが、山梨300名山でもあるここは、名の知れた人気の場所。こんな日なら誰にも合わずに静山を楽しめると思った。結局人嫌いなのか・・・そんなことはないのだが・・・。そして狙うにあたり、十谷峠から南に攻める方法を考えた。富士見山のルートを辿る記録が多いなか、峠からの記録が少なく、その結果が成果になると思ったのだった。山梨県の林道情報サイトに入り込んで確認すると、通行禁止にしているが、通行止めではなかった。この時、一度見ているはず(源氏山登行時)のゲートの存在を忘れていた。雨装備をして決行。

 

深夜1:30家を出る。出掛けの外の空気はやたらと暖かい。野辺山を越えて韮崎に下りる。そしてR52号を南下し、鰍沢町に入ったら、十谷入口交差点からR407号に入る。ここはこれで3回目。ほとんど勝手知ったる道。「つくたべかん」付近の狭い場所も一気に抜け源氏荘の前に行く。すると雨の当たるフロントガラスの先に見えるのは、硬く閉ざされた黄色いゲート。こちらのルートは、ジ・エンド。ここから歩くことも思ったが、すぐに予定は全てリセットされた。即座に頭の中は富士見山の平須からの登山道に切り替わる。一度R52号まで出て身延町役場手前、寺沢側の左岸側から山手に入る。特に登山口を示す道標が無く、「平須」や「堂平」の文字を追いながら分岐を曲がって進む。途中で、「橋崩落のため通行止め」の表示があり、狭い橋を渡って西に入る。狭い山村の山道を進む感じで、抜け出すとそこが青少年自然の里であった。真っ暗な場所に人工的な自動販売機の明かりがあり、なんとも異質な感じがした。ここで一度地図を眺めて最後のアプローチ。

 地形図とナビを見ながら現地を探るようにゆっくり進むと、左側に緩やかに登って行く道が現れ、そこに「富士見山登山口」とあった。すぐに周囲の駐車余地を探す。しかし林道はまだ先に続いている。少し進むと山腹を巻くような主要道らしきところに出て、先ほどの場所の位置関係から左折して行くと、そこに正規の登山口があった。その前にはバス停もあり、雨が凌げる小屋もある。そして水かん施設なのだろう、電気的な唸り音がしていた。施設内には黄色、赤、青のランプが灯り、その明かりが周囲を明るくしているようでもあった。登山道を除くと至極暗い。夜明けを待つことにして仮眠(5:20)。その前にバス停を確認。停留所はあるものの、ここにはバスは来ないようであった。

 

6時に起き出すも、まだまだ暗い。スタートが樹林帯の中というのは、なかなか出渋る感じ。車の中で雨具を着込み、靴を履き、明るささえ伴えばいつでも出かけられる準備をしていた。今日はなんとも太い雨。界面活性剤を塗ったフロンとガラスでは、雨粒がそこで直径3センチほどに広がっていっていた。それでも歩かなければ何も始まらない、意を決して外に出る。やはり暖かい。この暖かさだけが救いであった。

 

6:37入山。コンクリートの階段の下には、山から流れてきた土や落ち葉が厚く堆積していた。暗い物悲しい山道を行く。すぐに鼻を刺激する臭い。その臭いの元の方へ顔を向けると、ドキッ、小屋があった。林業作業用だろう、堅牢に作られた小屋だった。この暗い道、早く抜け出さないかと思っていたら、僅か先で明るいルートと変わる。そして歩き出しから15分ほどで、休憩舎が現れた。横には朽ちたトイレも見える。雨を凌ぐにはありがたい小屋で、既にサウナ状態になりつつある中、ここでフリースを1枚脱ぐ。Tシャツに雨具を着た状態となった。そしてここには、現在歩いているルートを「奥殿参道」を記していた。至極歩き易い緩やかな道。ややアップテンポで足を前にだして行く。

 先ほどの小屋から20分ほどか、2番目の小屋が現れた。こちらも今日のような雨の日にはありがたい。小屋の裏手にはドブ漬け鍍金された鳥居が見える。こんなに頻繁に小屋があるとは・・・もしや至れり尽くせりのルートなのか・・・そんな思いで進むが、人工的な建物はここまでであった。ただし道標はしっかりしており、沢山設置された標高表示を励みにズンズン進んで行く。今日も鳴り物は鳴らしていない。近くに鹿が居るようで、ガスに中から移動する音がしていた。紅葉は1000m以下、それ以上はほとんど枯れた色。ただし、雨が発色を良くしており、落ち葉の堆積した様子が温かい色に見えていた。1627高点に向けては九十九折の連続、これでもかとあるのだが、その全てはルートの緩やかさに通じていた。しかし高度を上げると、風が強くなってきた。流石に冷やされ寒い。何処かで着込まないと・・・既に雨具の中はずぶ濡れ。汗をかかないようなスピードで歩けば良いが、貧乏性なのだろう、先を急いでいた。

 

1627高点、稜線の分岐に到着。道標に従い南に進む。上に上がってからも一級の道が続く。僅かなアップダウンをこなすと、お団子標識のある富士見台に到着。しかしお団子標識は富士見山となっている。間違えないようにしているのか、その標識の下に「展望台」と付け加えられていた。晴れていれば富士が絶景なのだろう。ガスの中に勝手な富士を描く。さてもうすぐ、と言ってもここから少し距離があった。分岐から先ほどの富士見台の場所が僅かだったのでそう思えたのかもしれない。大きくアップダウンを繰り返す。最後はやや急登が待っている。登り上げ僅かに進むと樹林の中に標柱が見えた。

 

富士見山到着。先ほどとは一転、展望の無い山頂だった。二等点が待っていたのだが、それはやや小ぶりに見えていた。すぐに雨具の中にフリースを着込み防寒。持ち上げたお湯で少しだけ温まり、次の御殿山に行くべく踵を返す。鹿の大きな警戒音も聞こえる。すぐ近くに彼らも来ている様。自然との戯れ、雨がより動物の警戒心を薄めているのかも。1627高点に戻り、今度は御殿山の道標に従い北に進む。富士見山側に対すると、こちらの踏み跡は薄い感じ。針葉樹の落ち葉が堆積し見えないような場所も多い。間違う事はないのだが、慣れていないと少し不安になる感じであろう。

 1638高点を前にして、尾根が入れ違う場所がある。西側の尾根に乗り換えるのだが、ここもルートは不明瞭。適当にザレた斜面を駆け上がる。上の方に行くと、これまで続いていたプラスチックプレートの道標が見え出すが、もう少しガスか濃かったらいやらしい場所にも思えた。1638高点の北側も、少し注意。進んで行くと、左に尾根が降りている。真っ直ぐ方向にも降りている。普通は真っ直ぐ進みたくなり、その方向にピンクのマーキングも打たれていた。当然のように進みたくなるが、どうも臭い。すぐに地形図を確認すると、左が正解。惑わしのマーキングでもあった。今日はほとんど懐からカメラが出ない。腕の周囲がずぶ濡れで、あまり動かすのが嫌なのだった。ピッケルを持っているかのように、ダラーッと下げて歩いていた。

 

1613高点を過ぎ、御殿山の手前にのっぺりとしたピークがある。この辺りがやや迷いやすい。道標も無く地形が広いので、帰り方向を振り向きながら見ておいたほうがいいだろう。何処を見ても景色が同じように見える場所であった。忠実にピークを通過して行く。僅かに下って緩く登り上げる。そろそろかと思って足を進めると、通過点のような場所に山頂を示す標識が現れた。

 

御殿山到着。ここも富士見山同様に展望の無いピーク。熊に齧られたのか、標識の半分が割られていた。三等点が落ち葉の中から顔を出しており、これが見られたための達成感はあった。ただし山としての登頂感はこの山には薄い。雨は霙になり、強く雨具を叩く。冷えるのが嫌なので、1分ほどの滞在で往路を戻って行く。雨水がブナの木に沿って落ちてきていた。それを口で受け止める。お湯しか持ち上げてきておらず、火照った体にはありがたい自然の蛇口なのだった。往路を伝っているのだが、復路はかなり雰囲気の違う場所に思えた。1613高点の場所は、杣道なのか南側を通過する道もあり、吸い込まれそうにもなった。おそらく伝っても大丈夫であろう。頭の中は、考える事は多く、「無心で歩く」などとかっこいい事を言いたいが、この日は全く正反対であった。1638高点の先で尾根を入れ替えて、ひとふんばりで1627高点に到着。

 

念力大国神に今日の無事の旅をお願いし、一気に下降に入る。稜線を背にして東斜面になると、パタッと風が消え温かく感じた。フカフカの針葉樹の落ち葉の登山道を大股で下って行く。往路に判っていたが、この斜度は下るにも快適な斜度。足許ばかりを気にせずによく、周囲を愛でながら降りて行ける。誰か上がってくるか・・・流石に居ないか・・・。一人でボケツッコミをしたり・・・。12時になると、里山に音楽が響く。この音楽の木霊はマッタリとした気分にさせてくれるものだった。

 

休憩舎を左に見ながら下るのだが、何処だったか小屋から鹿が出てきた時があった。それがトラウマになっており慎重に覗き込むように通過して行く。その先にあるもう一つの小屋もそう。トイレの横にある朽ちた小屋にも注視。自然でのお遊びは、このように緊張とリラックスを繰り返すのであった。暗い樹林帯に入るとゴールは僅か先。プーンと酸い炭の焼けた匂いが漂うと、我が車が下に見えてきた。それと同時に体中の塗れているさまをはっきりと実感した。気を張っていたからさほど思わなかったが、気を許すと全身ずぶ濡れが判るのだった。

 

ルートもなだらかで、雨ではあるがぬかるんだ場所は無く、この日に適当な山であった。本当は南アルプスの主稜線側が拝みたかったが、それは次回。


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