金城山 1369m イワキ頭 1367.0m
2011.6.11(土)
雨 単独 水無コースを登り、滝入コースを下る 行動時間:7H3M
@登山口5:06→(78M)→A5合目6:24→(74M)→B金城山7:38〜55→(70M)→Cイワキ頭9:05〜21→(55M)→D金城山帰り10:16→(8M)→E行政標柱ピーク10:24→(9M)→F雲洞・大月コース分岐点10:53→(13M)→G6合目分岐点11:06→(62M)→H登山口12:08
@登山口。左が水無コース(今回登り)。右が滝入コース(下り)。 | この○十の鉄板が傾いていて雨の日は怖い。 | 2回目の渡渉点。ここから急登開始。 | 2合目通過。 |
2合目から進む先。 | 2合目付近から麓側。 | A5合目通過。大岩あり。 | 六合目から、左の斜面の登り、大岩の左を巻く場所が、見出し辛い。 |
付近はヒメシャガの群生地。 | 滑りやすいトラバース地点。 | 6合目通過。 | 9合目の先から緩やかに。 |
山頂の池塘にはミズバショウが花盛り | B金城山。最高点は写真左側のブッシュの中。 | B金城山避難小屋。 | B簡素だが、綺麗に使われている。トイレあり。 |
この谷を間違えて伝ってしまった。右に見える痩せ尾根を伝うのが正解。間違えやすい。 | ルート修正すると赤布が見えた。イワキ頭までに5箇所ほど見られた。(適当な打ち方) | 金城山から数えて二つ目のピーク手前から。 | 3つ目のピークは幕営適地。植生がなく土が出ている。 |
もう少し残雪があれば歩き易かったが、漕ぐ時間が長い。 | イワキ頭を目の前にして大岩が尾根上にある。 | 濃いで行くと鮮やかなヤシオツツジが出迎える。 | Cイワキ頭。西から東。 |
Cイワキ頭。東から西。山頂からの下降点辺りに赤布あり。 | C傾いた三等三角点。標識類は皆無の静かな山頂。 | 雨に打たれながらヤキソバパンを齧る。 | 帰路、もうすぐ金城山。痩せ尾根の上に居る。両側に小さな谷に挟まれている。 |
D避難小屋再び。 | 岩尾根ルート。 | E行政の標識がある。ここを指して1369mとしているのだが・・・。 | E標柱の場所から東側。標高差が有るけどいいのか・・・。 |
E南側眼下。高度感がある。 | ルートはブナ林の中へ。 | 水場標識。 | 今の時期は、25mほどで水が得られる感じ。 |
F雲洞コースと大月・滝入コースとの分岐点。 | G6合目。大月と滝入コース分岐点。 | 5合目。手書き。 | 流れが滝に。 |
渡渉点。渡るには、やや水量が多い。 | その水量の多さがいい流れに・・・。 | ナメ岩の所は荒れた流れに。 | 3合目。 |
沢が雪渓に埋まる。大きく口を開けた場所が、やや怖さを感じる。この付近、ルートが荒れた感じ。 | 大滝の流れも見事。 | 2合目に向けての渡渉点。やや水没気味に渡渉。 | 渡りきって2合目標識。 |
ハシゴ場下から。ここもそうだが、前後でよく滑った。 | 山道を降りて行く。 | 欄干があり、板も水平な為、こちらは渡りやすい。 | H到着。 |
梅雨の真っ只中。何処を選んでも雨は避けられないような週末。でも楽しくってしょうがない。綺麗な緑が観られ、より自然の中と一体感を抱け、しっとりとした空気は、もしかしたら晴れているより嬉しかったり・・・。
それでも雨の中であり、それなりの場所を選ぶ。綺麗さとは別に視界不良や滑るリスクがあるわけで、無理をしない場所で自然を楽しむ。今回は南魚沼の金城山を目指すことにした。その東側には藪山であるイワキ頭があり、気になっていた場所であった。あとは、金城山には山小屋があり、それにも興味津々。最近は無人小屋が気になるのだった。
1:15家を出る。既に雨。関越道をトロトロと進み、関越トンネルを潜ったら六日町で降りる。三国川ダムに向かうようにR233に入り、五十沢温泉のある宮地区で枝道を南に進み、畑を抜けて山道に入る。登山口を示す道標はないので、地図を頼りに道を選ばねばならない。ただ難しい場所はなく、判りやすい。畑の中を抜け、山道に入ると細いコンクリート舗装路が続いている。途中の分岐点に判読が難しい道標があるのだが、そこに「登山口」とある。ただし、それがどちらの道を示しているのかが判らない。適当に、登って行く方の道を選ぶと、登山口に到着した。意外や駐車スペースが狭い。もう少し広い場所を予想していたが、スペースとしてあるのは2台分。強行して停めようと思えば6台分くらいか・・・。天気も天気、急ぐ事はなく夜明けを待つことにして仮眠となる。
短時間だがぐっすり寝られ、雨音で目を覚ます。サンドイッチをほうばりつつ、靴を履く。雨具を着込み、いざ出発。ま、今日は濡れ鼠当然。戻ってすぐに拭ける様、シートにはタオルを2枚出しておいた。登山口からの往路は「水無しコース」を行く。入って行くと、すぐに一本橋。丸十(まるじゅう)の鉄板が敷かれているのだが、それが傾いて滑る事・・・。ソールを傾いている山側に引っ掛けて、バランスを保ちつつ対岸へ行く。最初の渡渉点から先で、分岐道があるのだが、良く判らぬまま左の道を選ぶ。するとその先で、再び小さな渡渉点。渡りきった先が急な斜面で、ここから水無コースの急登尾根が始まるのであった。
前夜、アルコールでも飲んで居ようものなら、それらが噴出すような急な尾根斜面。ゆっくりと小さなピッチを刻んでゆく。2合目を過ぎた辺りで振り向くと、麓の景色がガスの中におぼろげながら見える。そして目指す先は、まだ高い位置にある。ふと気付いたのだが、今日は水を忘れてしまった。水場もあるし、雪もある時季。「ま、いっか」となる。進行方向左(東)側には流れの音のする深い谷がある。地元では名前があるのであろうが、地形図には無記名。いい谷に見えるのだが・・・。
各合目に標識や標柱が建っていて、現在地の把握が出来る尾根。その5合目の大岩には、ボルトが埋め込まれチェーンが流されている。どういうことか・・・付近を見回し、岩を見上げたが、その意味が良く判らなかった。どんどん高度を上げて行き、次が6合目。ここからの進路が、ちょっと見出し難い。ここにも大岩があるのだが、右側に進むのか左側に行くのか、左を見ると踏み跡が見え、そこを伝う。周囲にはヒメシャガの群落があり、可愛い花を見せてくれていた。僅かな九十九折から東側にズレるように進むと進路が途切れたように見える。そこにはやや大ぶりの岩がある。それを巻き込むように進むと、その先の尾根上にルートが続いている。あやふやに思えたのはここくらい。
そしてちょっとした危険箇所で、岩壁のトラバース箇所。滑りやすい岩の上をゆっくりとズレて進む。7合目、8合目、9合目と過ぎ、その先からなだらか地形。ほぼ山頂部となる。進んで行くと山頂直下の池塘に、見事なまでのミズバショウが咲いていた。開花間もないのか、茶色く変色しておらず純白の花弁。それが雨に濡れて麗しい発色となっていた。最高点は藪の中で、残雪の上を進みながら、藪の中の山頂を踏む。ここまでワンピッチ。
ルートに戻って西に行くと、小さなこじんまりとした金城山避難小屋に到着。中は綺麗に掃除され、ちょっと嫌だったのは、遭難者の写真があった。泊まった場合、常に顔を突き合わさねばならなく、状況は判るもののちょっと掲示場所を違えた方が・・・なんて思ってしまった。残雪の中に数十秒「美生柑」を埋め込む。サッと冷やして、喉を潤す。さあ、ここは中継地点、本題の目的地はこの先。藪漕ぎであり、これからが本番。少し気合を入れなおす。
小屋から東に進む。この辺りは谷に残る残雪に伝って降りて行く。枝沢にも雪が埋まっており、それを伝うのだが、最初のルートミス。降りて行くと、右手に顕著な尾根が見えてきた。“完全に外している”、少し横ずれして戻るように動いたが、こんな場合は登りあげてしまった方が早い。間違えたのは、狭い尾根を挟んで両側にこれまた狭い谷があるところ。ここは中央の狭稜に取り付かねばならない所。視界のせいにしたくないが、これほどピンポイントの場所とは・・・。
ルートを修正すると、尾根上には薄っすらと分けた踏み跡がある。大学のワンゲルの藪漕ぎ合宿がされる場所のようであり、それらの跡であろう。最初の辺りはオオカメノキが多く、植生間隔が広く、藪としても歩き易い。ここを過ぎると、やや纏わり着くような植生となるが、極端に薄い場所も出てくるので、総じて歩き易いと言えようか。ただし、右(南)側が切れ落ちているので、足場には要注意。濡れた笹が、何度もその方向へ誘い込んでおり、両手は落ちないように常に周囲の木々を握りつつ進んでいた。
視界がなく、目指すピークが見えてこない。時に残雪に乗るのだが、金城山からイワキ頭へ向かう1.5割くらいの場所で、雪に乗って進むことが出来た。とりあえずは、尾根の頂部に何となく分けた跡があり、状態のいい場所は踏み跡になっている。踏み跡がない場所もあるが、それはほんの僅かだった。藪の中を平泳ぎが続く。すると目の前に大岩が見えてきた。山頂かと思ったが、目立つ通過点。それでもここから山頂までは僅か先。開けたコルを通過し、最後はやや急峻を駆け上がると、目の前に赤布が見え、その先には空が広がり、そこが山頂だった。
イワキ頭山頂。三角点を探すと、地面に斜めに刺さった恰好の三等点が見つかった。これを見ると、ここの地形が柔らかいと推察できるのだが、根に押されたのだろうか。本来なら360度展望があるはずだが、今日は残念。そんな日。標識類は何も無く、それが自然な感じでいい感じ。持ち上げたヤキソバパンが美味しく。ソース味が頬骨の辺りにキュッと沁みる。願わくば巻機山が見たかったが、ま、こんなもんだろう。往路を戻る。
往路はなるべく残雪を拾うように北側斜面を気にしつつ戻って行く、ただし、尾根より離れてしまう場所があり、プラスマイナスを考えるなら、尾根上を忠実に進んだ方が楽であろう。ネマガリダケの美味しそうな太いものや、コシアブラなども見られた。金城山を前にして、狭稜となり、両側に谷(沢)を従える。進み過ぎると降り辛くなり、少し戻って北側の谷に降り、往路に間違えたトレースに乗って戻って行く。そして小屋に戻り、登山道に戻って一安心。休まず下山に。
西側に進んで行くと岩峰群の中の道で、濡れた場所を慎重に通過して行く。そしてこの地形の肩的場所に金城山の標柱を見る。標高は最高点標高をそのまま書いてある。そして行政の名前も・・・。どうしたことなのか。展望場、景勝地としては最高の場所だが、標高は・・・。ま、あまり気にしないでおこう。眼下を見ると、白と緑の斑模様が綺麗。ガスが高度感を中和してくれているのだが、それでも高さを感じる。この先で、長崎地区へのルートを左に見て、右側に降りて行く。するとすぐに水場あり。表示には60mとあるが、降りて行くと25mほど下った地点で、既に水が出ていた。
8合目を過ぎ、その先で雲洞コースとの分岐。地表面に横たわった道標があり、一応それらが分岐点の場所を示していた。右にルートをとる。ブナ林の中の気持ちよいルート。緑色がこれほど綺麗なのか・・・と思わされる。大きく深呼吸しながら、自然の精気を体内に取り込む。6合目の所では、ナマガリダケを採っている方が居た。会話を避けるような人で、挨拶も無し。こんな場合は気にせず通過。いろんな人が居るから、気にしないのが一番。でも、こんな日に物好きな・・・。「あんたもな」と言われるが・・・。
六合目から下は、「滝入コース」の真骨頂。流れを従えたコースで、いくつもの滝が目を楽しませる。最初に「双頭の滝」と言えよう流れが見える。通常は細いのであろうが、今日は降雨の影響で太くなっている。渡渉点を過ぎると、ナメ岩の上を流れが伝う場所。そのナメ岩が白く、その上を荒々しくくねりながら流れが伝ってゆく。なんとも言えないいい感じ。周囲の緑が、これまたその流れの白さを後押しする。
3合目付近からは、沢全体が雪渓に埋まる。大きく開けたスノーホールが、怖いほどに深く見えていた。落ちたら・・・上がれず雪融けまで出られないだろう。と言うか、流れに冷され、そう長い時間は耐えられないだろう。その脇の登山ルートは、やや崩落が進み、泥濘地帯で足場が悪い。ズルズルと滑りながら降りて行く。ただし周囲に山菜は多い。太い状態のいいワラビを拝借しながら、今日の祝杯の準備も兼ねる。
そうこうしていると、太い流れの音がしだし、左側から大滝が見えてきた。ここも2つの流れがあるのだが、そこそこの落差があり、水量があり、見栄えがする。ただし、いい撮影ポイントがなく、ややもったいない感じ。ここを降りて対岸に渡ると2合目。ここでの渡渉も水没気味に通過。既に濡れ鼠。靴の中もグチャグチャ。お構いなしなのだった。鉄梯子を降りると、その先は安定した山道であった。少し雨も上がり、暑い日ざしも出てきた。雨具の下の蒸れ様が気になるが、もう僅か。こちらのルートの対岸に渡る鉄橋は、水平で、さらには欄干もある。往路に比べるとはるかに安心感があるのだった。向こうも同じ仕様にすればいいのに・・・。登山口に到着し、無事山行を終える。
今回は、10回ほどコケたか。ちょっとやばかった時もあったが、全身で遊んでいる感じに、ちょっと快感。泥だらけな自分に、「馬鹿だなー俺!!」と。