武尊山   2158m       剣ヶ峯山       2020m          


 2011.6.5(日)   


  曇り    同行者あり       裏見の滝駐車場より          行動時間7H14M


@裏見の滝駐車場7:58→(43M)→A手小屋沢・剣ヶ峯分岐8:41→(47M)→B尾根分岐下降点9:28〜37→(93M)→C武尊山11:10〜57→(50M)→D剣ヶ峯山12:47〜52→(101M)→EAの分岐帰り14:33→(39M)→F駐車場15:12


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@裏見の滝駐車場からスタート。 林道奥駐車場まで車を入れることが出来る。 A分岐道標。手小屋沢避難小屋経由で進む。 ブナの斜面に残雪が見え出す。上から下を見ている。
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ヤシオツツジが綺麗な発色。 B下降点分岐。尾根に乗る。 B避難小屋側に進む。 手小屋沢避難小屋分岐。
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中央のブッシュの先にかまぼこ形の小屋あり。 小屋周辺からはべったりと雪が残る。 倒木も多い。 最初のハシゴ場。ステップを刻みながら左巻き。
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二つ目のハシゴ場。ザイルで結ばれたハシゴが不安定。左側にホールドの多い地形あり。 この前後はやや強い傾斜地で、慎重に通過。 掴んでは這い上がる。 チムニー状ルート。ホールドは多い。
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余裕で這い上がってくる。 最後のハシゴ場。 感覚バッチリ。危なげなく登攀。 上層のこの辺りは、平坦で休憩するには適当。
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もうすぐ山頂。 C武尊山到着。 C一等三角点。 C山頂標識。
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C中ノ岳、家ノ串山、前武尊。 C剣ヶ峯山への稜線。 Cハイカーで賑わう山頂。  C前武尊側のルートをよく見ると、残雪の上に人影も。
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直下分岐から下山。  剣ヶ峯山に向けてアップダウンをこなして行く。  シャクナゲが花盛り。  もうすぐ剣ヶ峯山。 
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D剣ヶ峯山。  D剣ヶ峯山から武尊山。  D下って行く武尊沢側。  剣ヶ峯山直下分岐。 
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下山途中から武尊山  雪融けで足場が悪い。  流れを渡ったり・・・。  ブナの回廊の中を抜け。 
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E往路に分岐した場所に戻り、周回完了。  武尊神社。 F駐車場に戻る。   


 
 披露宴での隣のテーブルにビールを注ぎに行くと、「○○さんですよね」と既に知られていた。まあ座席表があるからそれはヨシとして・・・。次ぎに「今週は」と心配される。私の毎週登山が周知になっている様子。“おおう、そこまで情報が・・・”「あっ、今朝登ってきましたから・・・」と答える。と、「明日空いてるんですが、何処かに登りません?」と投げかけられ、ほろ酔いな頭は何も考える事無く、「いいですよ、家に帰ってから場所伝えますね」と簡単に決行となった。そのテーブルは、新婦の同級生席。相手は若い。そして単独行を繰り返していて経験豊富。「連れてって下さい」と言われたものの、連れられるような気も・・・。

 
 電車に揺られ家に戻り、短時間での場所探し。残雪期に上州武尊山の須原尾根を伝いたいと思っており、少し地図を見ていた場所。エアリアマップを広げ復習するかのように地図を眺める。そしてそのまま「武尊山でいいですか?」と連絡を入れると、「判りました」と返って来た。さすがに須原尾根の雪はあまり期待できないから、藪漕ぎする事無く夏道を辿る事としたが、上層はしっかりと残雪がある。過剰かもしれないが、ピッケル・アイゼンまで装備に入れた。気温の上昇も見込め、さらにはカンジキも・・・。そしてモゾモゾと準備をしていると1時半、「二次会を終え家に戻りました」と連絡が入った。集合場所は前橋インターに6時半。「飲んでも登る」強さに、ちょっとニンマリする。

 
 6時半、前橋インター近くの集合場所で待っていると、彼女がやってきた。その姿はおもいきり山ガール。こちらは冴えないいつもの様相。そのギャップにちと戸惑う。前週の鍋倉山でも美しい山ガールと同行。今年は当たり年か・・・。関越道で新潟方面に急ぐ。装備や服装がこのエリアでは見ないものも含まれており問うてみると、東京まで出て好日山荘さんまで買いに行っているとの事。その拘りも好感が持てる。私にしても金沢の好日まで行っているわけであり、同類かも。余談はさておき、水上インターで降り、藤原湖を掠め裏見の滝への道を行く。そして現地駐車場に着くと、22台の車があった。シーズンイン、そしてここは100名山、人気の度合いが判る。すぐに準備をして出発となる。

 
 前回登頂したのが1998年。かれこれ13年ぶりに武尊山を目指すことになった。武尊神社を左に見て、どんどんと林道を詰める。途中には山菜採りをしている姿も見える。若いハイカーが談笑しながら登って行く。その横をすり抜ける。“あ、いかん、ペースを合わせないと”と思ったら、ぴったりと歩調を合わせて付いて来ていた。「速さは?」と聞くと、「これでいいです」と。「じゃワンピッチはどのくらい」と聞くと「適当です」と。「了解」と前を向く。

 林道を30分ほど歩くと広見があり、そこに8台の車が停められていた。知っている人はここまで入るわけであった。たしか一般車は通行禁止だったはずだが、解禁されたのだろうか。ここから湧き水が林道を覆い、足を濡らしながら登って行く。周辺では各種山菜が見られ、それらが美味しそうにニョキニョキ生えていた。

 
 分岐点からは手小屋沢避難小屋に向けてルートをとる。この付近は沢に沿ったルートで、夏季でも涼しく歩ける場所。この日もやや気温が高い中だが、この周辺だけ数度下がったように感じ取れた。前を行くパーティーを次々と追い越してゆく。それでもゆっくり・ゆっくり、草花の解説を織り交ぜながら・・・。勾配がきつくなると、だんだんと前夜のアルコールが噴出してくる。歩きながらも披露宴の様子が思い起こされる。九十九折をクネクネとしながら、ブナの新緑の中を行く。時折ヤシオツツジが鮮やかなピンク色を見せている。標高1550m付近から雪が現れ、この頃になると早朝スタートの方が登頂を終えてすれ違って降りて行った。

 
 尾根に乗る。持ち上げた美生柑が涼やかに喉を潤す。今日はブユが多い。どうも遅くまで飲んでいた同行者に方に集まっている。こちらはおかげさまで好まれていない様子。10分ほどの休憩ののち、山頂を目指す。本当は奈倉ノ頭側に寄り道したいと思っていたが、この日は後半から崩れる予報。山頂を急ぐ。僅かに進むと避難小屋への下降点。その避難小屋は、周囲を残雪に囲まれ、見た目からして冷たそうな小屋だった。手小屋沢の流れは太く。水は豊富だった。残雪を踏みながら行くのだが、その雪の重さからか倒木も目立つ。そんな中、足許をドロドロにしたハイカーがすれ違ってゆく。スパッツ着ければいいのに・・・。

 
 最初のハシゴ場は、その半分が残雪の覆われ、足場を選びながらキックステップで這い上がる。蹴り込んだ雪が顔に飛び散り、痛冷たい感じ。そして二つ目のハシゴ場は、ハシゴがザイルで固定されているのだが、固定と言うよりぶら下げられている感じで、やや振られる。ここは左側の岩の際がホールドがあって伝いやすい。登りきり、この先がロープ場。下りに使うのがいやらしいと思えるルート。ただしホールドが多いので登りは楽。同行者も、体を岩から離し懐に余裕のある登り。スタスタと這い上がってくる。鎖場も鎖を掴まる事無く15mほど這い上がる。そして藤原武尊峰の岩峰を這い上がると、そこから見下ろす景色の良さと言ったら・・・。新緑眩い胸のすく様な景色。ここで危険箇所は終了し、雪田の上を伝って進んで行く。既に左前方に山頂が見えている。人の姿こそ見えないが、賑わってるんだろうと想像できる。


 西側の肩に乗る。ここから顕著な稜線歩き。南側には僅かに雪を残した剣ヶ峰山が槍の穂先を天に向けている。その姿にそそられる。かっこいい!! 展望を楽しみつつ尾根を伝ってゆく。老齢なパーティーが賑やかに歩いている。「抜かされることはあっても、抜かした事はないんだよね〜」と。「えっ、じゃ、抜かしてみます」なんてやり取りを・・・。

 
 武尊山到着。予想通りの賑やかさ。風もなく、寒くもなく暑くもなく、そんな山頂に湯を沸かすシューと言う音が耳心地よく響いていた。2000m超、やはり居心地がいい。西へ東へ、南へ北へ移動しながら周囲展望を楽しむ。少しモヤっているが、許容範囲。コーヒーを入れ、ノンビリと時間が流れてゆく。猛者パーティーのザックからは、この時期にしてスイカも登場していた。カップラーメンを啜るパーティー。昼寝しているパーティー、各々に山頂を楽しんでいた。快感にはもう少しだが、快適。50分ほど休憩し下山となる。


 下山は剣ヶ峰山経由。武尊山直下の雪田で、後でドタッと転ぶ音。少し膝が疲れてきている様子。踵でステップを造りながらサポート。意識してノンビリと行く。雪が切れた尾根上では、ちょうどシャクナゲが開花しだしているところであった。そのフレッシュなピンク色が、またまた清涼剤のような役目となり元気が得られる。アップダウンが続くが、展望があるので楽しいアップダウン。振り返ると、高い位置に武尊山がある。カメラを構えているのか、そこに人の姿も見える。先ほどの情景が思い起こされ、ニンマリとした顔のまま前を向く。


 剣ヶ峰山直下の分岐からは、当然のように山頂をピストンして行く。こちらからのアプローチは初めて。前回は高手新道からのアプローチで、スキー場の中を少し迷いながら歩いたのが昨日のように甦る。急登を上がって行くのだが、距離にして100mだが、疲れた足にはけっこう長く感じる場所。下を向きつつ登ると、山頂標識が出迎えてくれた。

剣ヶ峰山も展望ピーク。降りて行く武尊沢側の広い谷形状もいい感じ。遠くなった武尊山はいまいちの見栄えだが、そこから連なる前武尊への山塊が、デンとしていて存在感がある。高さの恩恵か、場所での恩恵か・・・。ここを最後に、あとは高度を下げて行くだけ。やや急な登山道を足許を気にしつつ降りて行く。鶯の声が、澄んだ空気にさらに清々しさを増している。ゆっくり・ゆっくりと高度を下げて行く。そして1500m付近になると、その雪も見えなくなる。こうなると付近は雪融けによるドロドロ地帯となる。滑らぬよう木々を掴みながら・・・。後からは、「さっき転んで筋を伸ばしちゃって・・・」と言いながら、元気に着いて来る。感心感心。


 傾斜が緩やかになると、沢の流れを跨ぐ場所が増えてくる。見事なまでのブナの大木の出迎えもあり、思わずそれらの幹に触れてしまう。風雪に耐えてきたこれらのパワーを貰ったり・・・。そして1300m付近だったか、コシアブラの群生地があった。やや高木になっているが、その数は多い。既に葉を広げた状態であり、美味しそうと言うよりはその緑が綺麗に見える感じであった。トラバースのような感じで登下行を繰り返しつつ北側に戻って行く。


 分岐点到着。これで周回完了。この頃になると雷が鳴り出し、今にも降り出しそうな空模様になった。既にここまで降りれば・・・雨に降られてても無問題。ゆっくりとした歩調で林道を下って行く。その途中には、山菜採りの方も居られ、朗らかに挨拶と会話をしていただく。「上の方、道悪かったでしょう。ここはいつもこうだから・・・」地元の方で、ルートを良く知っている方であった。ダート林道が終わり、武尊神社が近づくと、大粒の雨が降り出してきた。“きたか”やや早足に駐車場へ向かう。冷たいというよりは、火照った体にはスコールを浴びているかのような気持ちよさ。ゴロゴロ・・・ザーザー。コレでピカリとでも来れば上州らしい。稜線に居たら、そんな悠長で居られないのだが・・・。

 駐車場に到着し、装備を荷台に放り込み、一目散に温泉に向かう。久しぶりの上州武尊、楽しかった。次回もまた十数年後か。

 
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