狩倉岳    1625m         


 2011.7.2(土)   


  雨のち晴れ    単独       石舟沢左俣を詰め槍ヶ岳に突き上げる        行動時間6H53M


@持桶トンネル西車止め6:50→(4M)→A長栄橋6:54→(3M)→B祠6:57→(6M)→C風穴7:03→(11M)→D渡渉点7:14→(29M)→E石舟(鍾乳洞)7:43〜47→(29M)→F石舟沢左俣奥尾根取付き8:16→(112M)→G槍ヶ岳南側直下10:08→(8M)→H槍ヶ岳西側で尾根に乗る10:16→(25M)→I狩倉岳10:41〜54→(27M)→J1435高点東11:21→(41M)→K1341高点付近12:02→(14M)→L1133高点付近12:16 →(17M)→M伐採地上部1000m地点12:33→(39M)→N780m付近から東に下降 13:12→(31M)→O降り立つ13:43


mochoke.jpg  kurumadome.jpg  cyoueibashi.jpg  tozanguchi.jpg 
@持桶トンネル西側より @旧道はすぐに車止めでゲートされている。 A長栄橋の西側から入山。 A登山口から山道に入る。厳密には登山道でいいのだろう。
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途中にはこんな表示も。 B少し駆け上がると祠がある。 ヘツリの連続。 C小さな滝が眼下に見えた先から、僅かに上がると、冷気の吹き出す風穴がある。かなり涼しい。
root.jpg  hurikaeru.jpg  taninonaka.jpg  kiichigo.jpg 
道としてしっかりしている場所も。 滑りやすい危険な場所もある。(通過後、振り返る)。 谷の右岸側の道形を追う。足元が良く見えないので、慎重に。あと、棘のある植物も多い。 ここに生える木苺は甘く美味しかった。それこそ「ベリー・GOOD」。
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D最初の渡渉点。対岸の木(中央)と岩(その下)に赤ペンキでマークされている。 2回目の渡渉点。橋が朽ちていて使えない。 ここも滑りやすく、流してあるタイガーロープを握り、腕力で登る。 崩落地(通過後に撮影)。ここを過ぎると石舟は近い。
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E石舟のところにある鍾乳洞。ケービングをしに来たのか、ヘッドライトが落ちていた。 E鍾乳洞への入口は狭い。ここも涼やかな冷気が出ている。 E石舟。濡れているのと、苔でなめ岩の上は進めず。右岸側の高巻ルートで進んで行く。 F1050m付近、沢が二股に分かれる場所の中央稜に取付く。(写真は左右に流れが見えている)
hidarimata.jpg  iwakabe.jpg  penki.jpg  ooiwa.jpg 
F左俣の様子。伝ったのはこの右にある尾根。 取付いてすぐに岩壁。かなり滑りやすく、ザイル携行でない場合は、登りたくない場所。 1100m付近の大岩にペンキ道標があったのだが、この方向に進むと、やや狭い通過点が待っており、足場に注意。 大岩が連続。ホールドを探しながらゆっくりと上がる。
onenonoyousu.jpg  ooiwa2.jpg toraba.jpg  yarinoshitya.jpg 
一旦岩場が終わり、歩き易い尾根がある 1350m付近から、再び岩が多くなる。下側ほどに危ない場所はない。 横八丁の尾根が近くなり、西へズレて行く獣道に足を乗せる。 G槍ヶ岳直下(南側)
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H槍ヶ岳の西側で尾根に乗る。 山頂まで残り20m付近。 I狩倉岳山頂。展望なし。 I伝ってきた東側。
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I人工物は、この標柱と、オレンジ色のリボンのみ。 I山頂から南西側の降りて行く尾根の様子。 1440m付近の尾根の様子。  J1435高点東のピーク。間違えてここから南側に降りてしまった。
1435shita.jpg  13102.jpg  2680.jpg  1230.jpg 
間違えているが快適な斜面で、この時は外している事に気づいていない。 K1310m付近。1341高点から南に広がる快適尾根。 気持ちいいまでの緑色。 1230m付近。微妙に尾根が方向を変えるので進路注意。
1133kita.jpg  1133minami.jpg  1000ue.jpg  baxtusaichiue.jpg 
1140m付近。 L1133高点の北側付近から明瞭な道形が現れる。 M伐採地最上部1000mピーク。埼玉県の赤い標柱が目立つ。 M岩には赤ペンキも。 
onemichikudari.jpg  ooiwakudari.jpg  kudaxtuteyuku.jpg  ke-buru.jpg 
伐採地から急峻下降が始まる。  尾根上には大岩もあったり。 下って行く斜面の様子。  途中にはケーブルが流されている場所も見られた。
2692.jpg  fensuue.jpg  kensui.jpg  fensuue2.jpg 
N780m付近で東に下降開始。ここでは、踏み跡(薄い道形)は西に進んでいた。  フェンスの上から見る持桶トンネル。ここからがこの日の正念場。緊張しつつザイルを出す。 標高差30mほど。2ピッチ目のフェンス斜面。濡れていて、フェンスに足が引っ掛からず、肩がらみで制動をかける。ピッチを切る場所にビレイ場所がなく、ヒヤヒヤ。  最後のフェンス上。ここを乗り越えるのも難儀する。腕力で体を持ち上げ跨いで越える。
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3ピッチ目。足掛かりゼロ。ロープに全体重を託す。この日は20m8mmザイルを使用。  O駐車したすぐ近くにランディング。     


  

 両神山塊の未踏座も、ここを残すのみとなっていた。どう攻めようか・・・。このエリアに未踏座が複数座あった時には、大笹からピストンしようと思っていたのだが、ここのみとなると、その思いも違ってきていた。集大成として面白いコース取りをしたい・・・。WEB上で検索をすると、長栄橋からのルート取りが多い。昔の登山道があった為であろうが、廃道になって長く、既にバリエーションルートの位置付けになっている。私は天邪鬼なので、同じでは満足しない。そこで、藤十郎沢を詰めて狩倉岳南稜を突き上げるのでも面白いと思えた。しかし、このルートでの景勝地である、「石舟」は見てみたい。となると、槍ヶ岳からの南稜が適当に思えた。ま、ぼんやりとコース取りが構想できたら、あとは現地で判断する。計画性があるようでないような、これがいつも。天気は雨、岩場の多い場所であり、心して挑むことにした。

 

じつは、今年の2月5日に計画していたのだが、出張疲れで緊張感がなくなり、危険度の高い場所は避けた。この時に、いちおう下調べは出来ており、色んな情報は頭に叩き込んであった。前夜は名古屋からの出張帰り、暑さと気だるさにちょっと寝入ってしまったら、目を覚ましたのが3時半だった。ハッと思って装備を車に放り込み、急いで現地に向かう。秩父街道のR140を経路に使うと大回り、直線的な経路をと、塩沢峠から志賀坂峠、八丁峠と結んでニッチツ鉱山のある小倉谷地区に降りて行った。その途中、志賀坂峠と八丁峠間は、杉の大々的な伐採作業中で、早朝でありながら、その杉を積んだトラックが往来していた。狭い林道であり、100mほどバックしてすれ違う場面もあった。

 

神流川と中津川のぶつかる場所が、バス停もある「出合」。トンネルを抜け出て、やっとここまで来たと言う達成感がある。峠道、山道をクネクネと走って来た為でもあった。そして持桶トンネルを目の前にして、左(北)側に旧道がある。しかし入って70mほど先で車止めが施されている。持桶トンネルの南側に行くも、こちらは入って10mほどの場所に車止めがあった。となると、先ほどの場所の方が都合がよく、駐車も考慮できる。戻ってバリケード前に駐車。そして準備をしながら、周囲の崖を眺める。そこには一面の崩落防止フェンスが張り巡らせてある。もしここに降りてきた場合、このフェンスと格闘せねばならない。何処かに伝いやすい場所はないか、反対に危険過ぎて降りて来ては拙い場所とかを見定めていた。準備をしていると、パラパラと雨が舞ってきた。さあこれから本降り、出発に合わせた出迎えの雨か・・・。

 

バリケードを抜けて進んで行く。右側には中津川の麗しい流れがあり、なにか山に入らずとも、これを愛でながらのんびりしたくなるような雰囲気があった。300mほど進むとクリーム色に塗られた欄干の橋が見えてくる。その手前に横倒しになった橋の標柱があり、そこに「長栄橋」とあるので間違いがない。そして橋の西側から立派な山道が入っていた。廃道になってどれくらい経過するのか、その姿はまだ現役の登山口の様相であった。いつもより、少し余計に緊張感を持って入山する。

 

よく踏まれた道で、その途中には「安全釣行」と書かれた札もあった。と言う事は、廃道後は釣り師が伝う道で現存していると言う事だろうか、視覚情報からはそう判断した。登山口から2分ほど這い上がると、そこに尾根の肩的場所があり、祠が鎮座していた。山の神と言うことでいいのだろう。その脇には「ヤシオツツジの尾根」と書かれたものもある。色々な人工物が、我が予測の外にあり、良く判らなかった。「尾根」とあることから、この先の尾根にはルートがあると言う事なのか・・・。しかし、この先からルートは尾根を外れ、足場の良くないヘツリ箇所の多い場所となる。眼下に滝つぼを擁した見事な小滝が見える。そこから10mほど山側に這い上がると、顔に冷気が吹き付けられた。見るとポカンと開口部がある。風穴だった。中には鍾乳洞があるのかもしれない。いや、あれば既に見つかっているか。自然のクーラーを浴び、涼を得る。

 

ルートは明瞭と不明瞭が入り混じったような状態。“これがルートなのだろうなー”と伝った先に、しっかりとした踏み跡が続いていたりした。それから崩落を丸太で補ったような場所は、雨と湿気でありがたいほどに良く滑った。“今日は足の筋肉が鍛えられる”なんてプラス思考に・・・。樹林帯から抜け出し、明るい沢の右岸を行く。野草が繁茂し、足場が見えないのがちと辛い。それから棘のある植物も多く、引っかかれつつ足を出してゆく。負の要素ばかりでなく、ここではキイチゴが最盛期。いくつか摘んで口に放り込むのだが、その甘く美味しい事。そして程よい酸味に、微妙に背筋が伸びる感じ。

 

最初の渡渉点には、対岸に見える朽ちた木の幹に、赤丸がペンキで記されていた。それからその下の岩にも同じようにあるが、今は野草が覆っており、退かさないと見えないような状況になっていた。ここから僅かで、「スズメバチの巣 危険です」と書かれたものがあった。これにより、けっこうに手が加えられている場所だと判断した。廃道がなぜにここまで丁寧に管理されているのかが判らなかった。この先で2回目の渡渉点がある。朽ちた橋が斜めになっており、全く使い物にならず、少し足を水没させつつ飛び石で対岸へ行く。よくみると、ルートをブルーの荷紐が案内していた。あやふやな場所もあるが、木々に縛られたそれらマーキングを追うように進んで行く。

 

2回目の渡渉点から15分ほど、いやらしい丸太による階段斜面。絶対滑るのが見たまま判る。おかげさまでタイガーロープも流してあり、腕力で通過して行く。ちょっと足の短い人は、ここでは難儀するかもしれない。もっとも、晴れた日に乾いていれば危険度は無いのだろう。ここから僅かで、このルート唯一の山からの押出し箇所がある。押出しと言うよりは崩落でいいのだろうが、大きな岩が杉の木に凭れ掛かっている姿は、怖いものがあった。山手側を見やりながら足早に通過して行く。

 

石舟到着。その手前に「入洞禁止」の立て札があった。その先からは、冷気を出している開口部も見える。ふと足許を見ると、そこにヘッドライトが落ちていた。ここにケービングをやりに来る人も居るようだ。狭い開口部に、その奥にある怖さと神秘さの両方を想像していた。洞窟を確認後、石舟を歩きたいと思って足を乗せてゆくが、氷の上のようによく滑る。それでもと思い頑張るが、3mほど進んで危険過ぎて引き返す。苔も乗っており、今日の通過は無理。ここを通過できないなら、また出直そうかと弱気にもなった。どうすれば先に進めるのかと周囲を見回すが、人工的な案内は皆無。そこで動物的勘、鍾乳洞入口を右にしながら高巻に入る。上に進むと、なんとそこに道形があった。あえて石舟を通らずとも、巻き道があるのであった。助かった。しかしこの先から、先ほどまでの青いマーキングが消えた。右俣の方が正解であろうから、何処かで導いていたのだろう。進んで行く左俣の方は、道形は続くものの、かなり薄い。好事家がたまに入るくらいなのだろう。

 

 石舟沢左俣を詰め、標高1000付近。ここで沢が分かれる。その中央に顕著な尾根がある。谷か尾根かの選択になるのだが、地形図を再読する。この先の沢を詰めると、どちらの沢も稜線手前の状況が悪い。尾根コースも上の方で等高線が密にあるが、三択では尾根コースを選択するのが妥当であった。尾根に取付く。いきなりの滑りやすい岩壁。ザイルがザックに入っていなかったら、まず伝わないだろうと思える場所であった。太い藤蔓を掴みながら、靴先を岩の突起に引っ掛けるように上がって行く。登りながら“昔はこんな場所は行かなかったのだけどな〜”と思いつつ・・・。岩場を登りきり、登ってきた場所を見下ろすと、降りるのが怖いような場所に見えた。緊張感を継続させながら尾根を行く。すると、この場所にして、岩壁にペンキマークが見えた。なんでこんな場所にと思ったのだが、なにせこれには驚いた。但し、後にも先にもこの尾根にあった人工物はこれのみだった。その示す方向に進むのだが、幅250mmほどの足場の場所で、ややハングした岩がザックを押し、谷側へ落そうとするのだった。ホールドをしっかり見つけ、ゆっくりと通過して行く。怖い、でも楽しい。

 

 標高1150m付近から上は、これまでと一変して、歩き易い場所となる。ガスに巻かれた中で視界が無いのだが、それはそれで荘厳ないい感じ。大きな雨粒を樹林が遮ってくれ、自然と一帯になって歩いていた。そして標高1300m付近から、等高線が密になる場所になる。再び岩場が現れるが、下側ほど危険度はない。腿上げがきつい様な勾配に、喘ぎながら登って行く。判ってはいたが、なかなか稜線までが長い登りだった。途中でピッチを切りたかったが、上までワンピッチを心に決め、踏ん張って進んで行く。すると、もうすぐ稜線という所で、獣道のような筋がトラバースしていた。それに伝い西に進んで行く。緩やかに登りあげるような進み方で、いつしか真っ白な岩壁に沿うようになる。そこが槍ヶ岳と言う事は既に判っていた。本当はここのピークも踏んで進みたいところであったが、主たる目的は狩倉岳。ズンズン西にずれてゆく。踏み跡の上を木々が覆う場所もあるので、獣道と判断したのだが、人為的な道なのかどうかは判らなかった。そして槍ヶ岳の西側で稜線に乗る。そこにはオレンジ色のマーキングが着いていた。ただし、今の今伝って来た側を見ても、道形があるようには見えなかった。

 

 稜線に乗ってからは、細い踏み跡を追ってゆく。もう全身濡れ鼠もいいところ、雨なのか汗なのか区別なし。一旦下り込んで、その鞍部から登り上げた先が、目指していた狩蔵岳山頂だった。展望はゼロ。境界の標柱が斜めになって立っていた。そしてここまで続いていたオレンジ色のマーキングも下がる。持ち上げた美生柑を食べ、水分とビタミン補給。ここまでにザイルを出すような場所は無かったが、同じコースを戻るのなら、最低でも3回はザイルを垂らさねばならないだろう。さあ次は1435高点経由での下山コース行く。やや複雑に尾根が派生しているので進路に要注意であった。

 

 狩倉山から西側には、意外なほど明瞭な踏み跡が続いていた。信仰の山である両神山、どんな場所にもルートがあっておかしくなく、小倉沢にあったニッチツ鉱山の昔の人口を思えば、この尾根が良く踏まれても然りと思えた。途中途中に樹木が邪魔をして進路を遮る場所があるものの、往々によい道。そこを進んで行くと、1435高点となる。ここで大間違い。1435高点の東側にもピークがあるのだが、地形図では標高の数字が被っていて、等高線が見えなくなっていた。それによる見落としで、そのひとつ東側のピークを1435高点と間違えて南に下りだしてしまった。しかし顕著な尾根は無く、厳しい斜面となった。不思議に思いよくよく地図を眺めると、そんなことであった。ニセピークまで戻り、この先は尾根伝いでなく、南側斜面をトラバースして進んで行く。トラバースできるような斜面であり、状態もそう悪くなく、上にある尾根を確認しつつ、長くズレて行く。

 

 1341高点も東を巻いて南に出るのだが、ここがすばらしく居心地のいい場所。広葉樹林の中で、下草は皆無。敷き詰められた落ち葉が新緑とすばらしいコントラスト。森の中に居る感じが強い場所であった。その気持ちいい場所に後ろ髪を惹かれるように降りて行く。少し広い斜面であり、コンパスを見つつ方向を定める。そして次にある1133高点を先にして、その手前辺りから明瞭な道形が現れた。ありがたくそれに伝わらせてもらい、高度を下げてゆく。すると、境界標柱が次々と足許に見えるような場所となり、標高は1000m。ここが伐採地最上部のピークであった。

 伐採地を見下ろすような場所に大岩があり、そこに赤ペンキで印がされていた。その前に埼玉県の赤く塗られた標柱もあった。ここからが甘かった。伐採地の中だから、何処でも進めると思って南側に下りて行った。本来なら尾根を定めて南東側に降りるべきであったが、適当に南に高度を下げて行くと、険しい斜面になり、そこに伐採木もあり足場が悪くなった。左右に振りながら歩き易い場所を求めて高度を下げてゆくはめに・・・。降りて行くとそこそこ顕著な尾根に乗る。このまま南に降りては、フェンスのある危険地帯に飛び込んでしまう。下見した中で、優しそうな場所に降りねばならない。

 

 尾根上に、ドブツケ鍍金された先を丸くした杭が埋めてある場所があり、そこから尾根を離れて東側に下りることにした。急斜面で、なかなか緊張する場所。そして下の方に持桶トンネルが見え、現在地が一目瞭然となった。そして下見した崖の様子を頭のなかで再放映させる。この角度で降りたらあそこで、こっちなら、あの場所・・・。そしてフェンスに掴まって降りてみるが、全く足がグリップしない。つま先をフェンスの中に入れるも、入らず滑る。裸足になればとも思ったが、ここは懸垂下降が妥当。適当な潅木にザイルを引っ掛け、肩がらみで降りて行く。Tシャツなので、制動をかけている首筋が焼けるように熱い。と言うか火傷している。でも安全には替えられない。我慢我慢。

 20mザイルなのでワンピッチ10m。目いっぱい降りて、細い潅木を足場にして、もう一方でフェンスにシュリンゲを引っ掛けその先にカラビナをかけてザックに簡易ビレー。本当の岩屋さんが見たら、怒られそうな作業。そして2ピッチ目。ここもほとんど宙吊り状態で下り、ここでやっとよう壁の上に降り立ち足場確保。しかし、そこにある雪崩防止のフェンスが強固で、乗り越えるのが大変だった。腕力を使って体を上にあげ、腹筋を使ってヨイショと足を跨がせる。なんとか跨げた時はホッとした。そしてフェンスを構成しているボルトにザイルをかけて3ピッチ目。苔生したコンクリート壁にズルッと滑りながら、やっとランディング。ここは木々が多い、ザイルが長いと絡まりやすい場所でもあり、持つなら20mもしくは30m辺りが無難に思えた。降りたところから車までは目と鼻の先。最後の最後でヒヤヒヤしたが、終わりよければ全て良し。おかげさまで自然を愛でつつ、少々のスリルを楽しませていただいた。

 

 考察。今回の石舟沢からの登りルート。数箇所いやらしい場所があるので岩慣れしていない方は避けた方がいいかもしれない。危険箇所は、大きく左右の谷を下巻きするようなコース取りも見出せたが、それなら最初から谷を詰めた方がいいかも。流れが近くにある場所であり、夏場に涼やかに歩ける場所かと思う。次回は逆コースを辿ってみよう。バラエティーに富んだ楽しい場所であり、もう一度行ってみたい。

 
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