剣ヶ峰 3775.6m
2011.8.13(土)〜14(日)
晴れ パーティー 吉田口から須走口へ抜ける 13日: 行動時間 5H23M
14日: 10H56M
@登山者用駐車場18:37〜48→(49M)→A五合目19:37〜20:15→(114M)→B七合目22:09→(251M)→・8.5合2:20〜34→(137M)→Cお鉢鳥居下4:53→(57M)→D郵便局(富士館前)5:50〜7:25→(18M)→E剣ヶ峰7:43〜53→(34M)→Fブルドーザー道下山8:27→(111M)→G砂払5合10:18〜25→(28M)→H須走口10:53→(19M)→Iバス停11:12〜38→( )→須走駐車場
@2010年は分散されていた駐車場が、2011年は集約されていた。 | A5合目。周囲は外国人ばかり・・・。異国な感じでかなり賑やか。 | A出発に向け準備中。 | B7合目。至極スローペース。 |
テクテク登る。 | 満月の日。月も綺麗だし、夜景も綺麗。 | 何度立ち止まったか。お盆の富士山はこれ。 | Cお鉢直下。来光の場所取りが凄い。 |
14日の御来光。少し雲が邪魔をしたが、何とか上がってきた。 | 神々しい1日の始まり。 | D郵便局は40分くらい待ってやっと入れた。 | D富士館前で大休止。 |
C持ち上げた地ビールを・・・。 | 剣ヶ峰は撮影渋滞。当然並ばずに、列を横目に登って行く。 | E剣ヶ峰 | E展望台から西側。 |
E北西側 | 剣ヶ峰下まで降りて白山岳側に進む。 | 大沢崩れ | 万年雪も消えそうなほど。 |
お鉢では、このように寝ている人が多い。 | F須走口へ向けてブル道を下って行く。 | 大砂走り快走中。 | G砂払5合で小休止。 |
H須走口では、自然観察会が開催され・・・。 | Hここからバス停までの登り上げが辛い。 |
岳友は多々居れど、学友で太く繋がっている者は今では数少ない。もっとも、「学」って使えるほどまじめに学生生活をしていなかったわけであり、それが今に現れている。その唯一と言える友人から今年も富士登山に声が掛かった。「息子を連れて登りたい・・・」と。このような涙ぐましい要請となれば、断る理由はなくなる。そして、彼の職場にも声がかけられ富士登山編成隊が出来上がった。私を含め総勢5名のパーティー。そしてなんと、決行はお盆休み。人しか見えないのではないかと危惧するが、長期休みを思うと、そこに当てるしかないよう。渋滞の怖さ、そして日本一の高さに対するワクワク感を持ちつつ挑む事となった。
その石川からの精鋭チームは、事前練習に立山に入っていた。低気圧の中、ガスに巻かれ、主人公である息子さんが高山病の症状がでたと言う。文明の利器で上がってしまう場所では往々にあり得る事。次ぎに向けて注意を促そうと思ったが、当の本人は意気消沈。家族会議にて不参加と決まった。残念だがパーティーは大人のみの4名となった。それでもそこに初心者が2名居た。是が非でも登らせてあげたく、寒さ対策、食料、疲労に控えての薬剤等々を準備する。そして当日を迎える。
昨年は、山小屋を使っての計画であったが(私は別行動で夜行)、今年の計画は世の中で言う「弾丸登山」であった。高度と長時間行動とがネックとなる。ただし一級の道。さらには渋滞となれば、かなり負荷は低いとも思えた。道の駅すばしりが合流箇所。午前中に富士山側火山を登り、ほんのりと疲れがあり、芝生の上で横になりながら本を読んでいた。そこに石川ナンバーが真横に停まるように現れた。少し遅れての合流だったが、雷雨が来ていたために、結果オーライな感じだった。
コース取りは、吉田口から入り須走口に抜ける計画。よって1台をデポするために、まずは臨時駐車場に進む。昨年に比べると、置かれている台数が少ない。これも震災の影響かもしれない。そして高速に乗って吉田口に移動する。こちらは昨年は分散されていた臨時駐車場が統合され、インター脇に進む。前年度の感覚で進んだら、大間違いとなった。車を停め準備に入る。密かにメンバーのザックを持つと、そこそこ重い。軽い方が絶対楽であり、気になったので内容物を確認すると、水の重さのよう。減るからいいか・・・。
バス停に行き、夕暮れ迫るなかバスに乗り込むのだが、35名ほど乗れる中の1/3は外国人だった。外国人の目に、この混雑のしようはどう映るのか・・・。補助席で何とか乗車し出発。バスの中は暑く、団扇で扇ぐと、両側の外国人の目が、笑えるほど団扇に集中。「どぅ ゆう わんと いっと」、なんて喉元まで出ていたが、折角用意したものをここで差し上げる事は出来ず、押し殺した。40分ほどで5合目到着。まるで昼間のような電灯での明るさと、そこに居る人の数。特に外国人の数が多いのには驚いた。ロータリーで溜まっているパーティーは、高度順応の為に停滞を決めているよう。我らパーティーも同じ作戦。ストレッチやライトの装備を出しながらしばし屯する。やはり目立つのは外国人の明るさ。罵声までは聞こえないが、奇声は彼らから聞こえてきていた。
20:15小御岳神社に旅の安全をお願いしてからスタートとなる。この日は満月の日。その月はクッキリとは見えていなかったものの、歩くための明るさは十分あった。そして下界の夜景も、そこそこいい感じに見えている。要するに歩き出し良好と言った感じ。周囲の歩調に惑わされぬよう、テクテクテクテク。ここでの外国人は、短距離走的歩行、歩いては停まっては・・・見ていて疲れる。指導センター前を通過すると、広かった車道幅がだんだんと狭くなり、渋滞気味登山がスタートとなる。
7合目のトモエ館さん前を通過すると、渋滞気味が、完全に渋滞となった。自分の意思でなく登山中に立ち止まる事など、鎖場での通過待ちくらいだが、ここでは何もないところで普通にそれがあった。大パーティーが主催者に連れられ歩いている姿も多い。多種多様な人は居れど、皆の心は一つ所に向いている「めざせ富士山頂」。それにしてもごみが多い。この入山者なら、こうなるかと見ていたが、富士人気がある限り富士のゴミって減らないのだろうな、なんて思ってしまった。パーティーの疲労度によって小休止を織り交ぜながら、各合目の山小屋を目安に進んで行く。見上げると珠繋ぎにライト列が続いている。その上の空を凝視する。今日はペルセウス座流星群が見える日。満月の日でもあり、相反する部分もあるが、気にしつつ登っていた。
8合目の太子館前も大賑わい。周囲の人に触れずして通過するのは無理なほどに混雑していた。小屋前ではタバコ吸いが多くて閉口。それこそ息を止めて通過するのだが、富士にも喫煙ボックスを作ったほうがいいと思う。各小屋前ではとても空気が汚かった。上に向け少し足を進めると、パーティー内で高度障害が現われた。3000mより少し下の標高。やはり高所に慣れていないと体が順応できない場合もある。予期していたが、いざなると・・・。頭の中で色んな想定をする。最後は本人の意思になるが、少し気圧が低い中の登行であり、出やすい環境でもあった。そして8.5合目でとうとうダウン。ここまで頑張って上がってくれたが、これ以上の高度上昇の要求は無理のようであった。高山病には水分補給。そして深呼吸。さらには手足の末端を動かす動作も楽になる方法。温かいココアを飲んでもらい様子を見るが、本人は下山の判断となった。パーティー行動であり、当然のように降りる頭で居たのだが、そこに我が同級生氏から、「俺は一緒に着いて降りるから、上を目指してくれ」と言われる。こんな時になんと言う配慮。確かにもう一名は元気でまだまだ上を目指せる状況。忍びない気持ちを持ちつつ、言葉に甘える。
須走りからのルートと合流してからは、大渋滞は大大渋滞と変わった。もうすぐ山頂であり、その為にハイになっている方も多い。一方で呼吸を荒げ辛そうにしている人も。並んで登っている横を強引に駆け上がる外国人。人間観察は面白いのだが、これほどいろんな人が居ると流石に疲れる。一人になった同行者は、手足の末端に感覚がなくなってきている様子。温度計は7度を示していた。慣れない高度に、この時季にして慣れない寒さ。本来ならもう少し体が温まるスピードまで上げたいが、それも出来ない。これらの試練が富士登山。でもそんな中でも頑張っている。頼もしい限り。9合目を過ぎ、上の方で「万歳」が聞こえた。もう僅か。ご来光ももうすぐ上がりそうで、周辺は東側を見つめる場所取りが凄い。そして鳥居が見えてきた。ここからが進まない。バーゲンセールなどには行った事がないが、まさしくこんな状況なのだろうと、富士山頂で素に戻るのだった。お鉢に上がって5分ほどでタイミングよくご来光となった。その太陽に自然と首を下げる。
押しくら饅頭をしながらお鉢周回をしだす。なにせ売店群の場所は凄かった。都内の地下鉄に乗っているよう。これって登山?なんて思うほど。それでもこの日は展望が良かった。この展望が雑多な思いを払拭してくれ、純粋に登った事を喜ばせてくれていた。出張郵便局からはがきを出そうと言うことになり、並ぶものの、これがなかなか厳しい待ち時間。立ち寝することはほとんどないが、流石に寝てしまい、ハッとする事も。何とか中に入るも、痛いほどに身体接触がある。お盆の富士山は、体を鍛えて入山した方がいい。
投函を終えて、富士館前で大休止。持ち上げた1リッター缶をプシューと開ける。そしてその苦さが体に沁みる。周囲では、あたかもそこが戦場のような様。疲れて横たわった人がゴロゴロとしている。これも富士の風景。剣ヶ峰を見やると、既に渋滞が始まっている。所謂撮影渋滞。山頂標識前でカメラを構えるが為の渋滞なのだが、確かにここまで来たからには撮りたいと思うだろう。大休止を終えて、その剣ヶ峰に登って行く。渋滞を横目にスーッと上がり、山頂の展望台へ。昨年同様のいい景色。雲海の先に南アルプスの山並みがあり、目で追いながら山座同定。パーティー内で下山している組もあることから、進度は上げてゆく。登山道に戻り、大沢崩れを左に見下ろしながら白山岳側に進む。お鉢の中でもこの付近が一番静かで居心地がいい。そう思うと、自分は人嫌いなのかと思ってしまう。
久須志岳を経て、再び売店群前を通過するが、相変わらずの賑わい。ブルドーザー道に進み、埃立つ道を高度を下げて行く。もうここは、マスクにスパッツは必携。僅かな距離で全身埃だらけとなった。ありがたかったのは、同行者は下りが強い。少しスピードを上げてもしっかり着いてきていた。これで初心者なのかと思える安定感だった。八合目の江戸屋さんでトイレ休憩を入れてからガシガシ・ザクザクと下って行く。ルートの途中には、靴の中から小石を出している風景が多い。道具は道具、スパッツのあるなしで天国と地獄の差であろう。
太陽館の前を通るのはこれで3度目だが、ここに犬が飼われているのを初めて見た。静かで吠えないから判らなかったのだが、この場所に犬が居るとは驚いた。小屋前のベンチで小休止、ビールの残りを一気にあおり、ザックを軽くする。そして砂走りに入って行く。昨年に比べ、ここの利用者は多い。彼らをごぼう抜きするようにガンガン下って行く。ここでも同行者はすばらしい足捌き。大石や固い地形を避けながら、足を下ろしている。感心感心。それを見ながら気持ちハイペースになる。ちょっと暴走しすぎて、周囲の人に土埃のご迷惑をおかけしたかも・・・。
砂払五合まで降りるが、ここも大賑わい。足が火照ったので、靴用の冷却スプレーをするが、ノズルからは一極集中。施した同行者からは、熱い(冷媒による火傷)と・・・。急いで靴を脱がせ幹部を温める。その様子を見ていた周囲からは、苦笑や嘲笑が・・・。ハイカットの山靴に使うには微妙なのだった。不思議とここでの年齢層は若者ばかり。なにか雑誌かテレビでルートが紹介された為かと思えた。そして、もうここまで来れば、ほとんど降りたも同然。この先は歩き易い登山道に変わる。
樹林帯の中を整理体操をしているような歩調で最後の歩き。木の根を踏みながら緩やかに高度を下げてゆく。古御岳神社で山行無事の挨拶をし、須走口に到着した。昨年はここからタクシーに乗って降りたが、今回はバスを決め込む。しかし、臨時駐車場に向かうバス停は、200mほど登りあげた場所。最後の最後でちょっと試練。下までのチケットを買って列に並ぶ。一番後ろに並び、既に出発するバスは満席状態。ここでなぜか係員は我々に2席乗れる旨を伝えてくれた。ありがたくお言葉に乗って乗車。前に20名ほど並んでいたが、特別配慮。むさくるしい男だけだったら、こうはならないだろう。うる若き女性が同行だったから・・・だと思うが真相は・・・。
居眠りしながらバスで降りるのだが、バスの運転手も居眠りしたようで、路側帯のラインを踏んで、イボイボのロードノイズを拾う。ハッとして運転手を見てしまった(運転手横の補助椅子に座っていた)。どうも寝ていた様子(笑)。臨時駐車場に到着し、無事富士登山を終えた。須走温泉に入ってから、先行下山隊の待つ吉田口側に向かった。