三沢山  1504.6m     

            
 2011.10.22(土)   


  曇りのち雨     単独       林道管入線終点より          行動時間2H5M


@登山口7:36→(11M)→A石積みの7:47→(41M)→B沢次郎せぎ乗越8:28→(16M)→C三沢山8:44〜55→(10M)→D沢次郎せぎ乗越帰り9:05→(28M)→E石積みの9:33→(8M)→F登山口9:41


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御嶽神社の分岐を左に入る。 御嶽神社の分岐には福勝観音が山手側にある。 林道管入線に入って行く。 @林道終点が登山口。
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@登山口表記あり。取水枡があり、水琴窟のように流れの音が響いている。 谷部を詰めて行く。 流れのある脇を進んで行く。 太い美味しそうなウワバミソウや、イラクサが沢山生えている。さすが里山。
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A不思議な石積みがある。 A石積み内部。中央に円形に石が囲ってある。 取水地には水神を祀ってある。 人一人分のみの小屋。
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落ち葉の下はゴロゴロとした石が多い。 やや急峻地形。 谷歩きが終わり、尾根に向けトラバース開始。 尾根は快適な場所も・・・。
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周辺はヤマブドウだらけ。 B「沢次郎せぎ」なのだが、並んだ石が見えなくなっている。 ややモシャモシャした尾根道。この先で二重山稜となる。 山頂付近には石碑が沢山ある。
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山頂から僅かに下がった場所に祠がある。 標識も最高点に無く、この場所に。 祠の場所からが下界展望が良い。中野市街。 C三沢山山頂。
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C三等点 C箱ノ峰側の尾根。藪が濃い。 C東側から見る山頂。 Cヤキソバパンon三沢山
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C下山側  ダケカンバと紅葉  見えているほとんどがヤマブドウの葉。  D沢次郎せぎ帰り。南側のせぎの続く方を見ている。 
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小屋帰り。  E石積み帰り  登山口近くには新しい橋も掛けられていた。  F登山口到着。 



  

またまた雨の週末。何処に行っても雨の様子であり、濡れる覚悟で行き先を探す。当然そこに紅葉を楽しもうという魂胆もあり、ちょうど良いであろう1500m付近の山に照準を定める。これが夜の22時くらいでの作業。いつもならもうすぐ出かけるような時間。今回は雨を逃げ道に、少し遅めの出発としてのんびりと地図をサーフィンしていた。そこに志賀高原の前衛峰と言えよう三沢山が目に入った。この山は、2年前の2009年7月、東に位置する箱ノ峰に上がった時に縦走してしまおうかと睨んでいた山だった。藪が濃く当日は狙えずに撤退したのだが、その時の箱ノ峰から眺めたこの山の絵面が思い起こされた。調べてみると、何のことはない、西側の寒沢地区からの林道を詰め、その終点地から登山道が切られているのだった。これなら今回の天候にも適当か・・・と判断した。


 これは初めてのことだが、週中は肩から背中が痛くて鍼灸院を初めて訪問し、初体験の針治療をした。結果が良くなったかどうかは、まこと不明なのだが、痛みを抱いたまま決行。結局、余程の事がないかぎり山に入る。何とかと煙は・・・って部類で違いない。ただし、ザックが背負えるか不安であった。衣服の脱ぎ着も厳しい状況。家で背負ってみればいいのだが、もう自分を事後報告の立場に追い込み、現地入りして後に引けない状況で背負う事にした。後ろ向きにならぬよう追い込んだ訳でもある。


 行き先も決まり、深夜はしっかりと雨。その雨音を聞きながら本を読んでいた。このまま降り続くなら、このまま本を・・・なんて思ったのだが、動いて血流を良くすれば肩の痛みも和らぐとも思えていた。なんてプラス思考!! 雨確立は100パーセント、厚手のザックカバーと厚手の雨具を準備し、5時少し前に車に乗り込む。上州はしっかり雨。しかし夜が白み始めた信州では、路面は乾いており曇りだった。意外な天気に、“このまま降られずに登って来られるか”と思えていた。よって、少し急ぐようにアクセルを踏み込む。痛みで右手でハンドルが握れないような状況。「何してるんだ、俺」、自分でもそう思う。

 信州中野ICを降りて県道29号線に入り、中野松川駅の所から東に進み、奇抜なデザインのごみ焼却場を右に見ながら箱山峠を越えて行く。そして佐野遺跡の交差点から南に進み、342号線をズンズンと南下して行く。時計は7時近辺。町内にやけに人が多い。なんだろう。その民家も無くなりひたすら行くと分岐点となり、舗装路は左に、ダートは右に続いていた。その場所には御嶽神社があり、まだ薄暗い境内に蛍光灯の明かりが怪しく灯っていた。この分岐点にはもう一つ、福勝観音という石仏が立っている。クネクネとアスファルト舗装路を行くと、今度はコンクリート舗装路が左に入っていた。その入口には「林道管入線」の文字が見える。ここはコンクリート舗装路の方へ進む。途中でダートになり、その上をガリガリと進んで行くと、行き着いた先は駐車スペース5台分ほどの林道終点地だった。ただし、5台置けるのだがユーターンを思うと、置けて3台ほどかも。外に出ると水琴窟のような篭った響きが聞こえる。終点地の南東側に取水施設の枡が設けてあり、そこに流れ込む水の音がしているのであった。登山道の入口には標識もあり心強い。


 すぐに準備をしてスタート。今日の足許は長靴履きであり、着いて1分もしないでのスタートとなる。おかげさまで雨具を着ずにも歩ける状況。沢の中に見える道形を追ってゆく。最初に見るも新しい木橋があった。管理されている場所のようで、この先に何かがあるのかと少しワクワクしながら進んで行く。流れの脇でとても涼やかな雰囲気がある。周囲にはウワバミソウやイラクサなどが豊富にあり、水辺山菜の宝庫のようでもあった。2度ほど流れを跨ぐと、いきなり石積みで囲われた遺構が現れた。その中央に丸い石組みがある。なにか安置されていたのかと見えたが、最近これに似た物を四国で見ている。この信州でも同じ祀り方なのかと思ったが、山での石組みは通常なら炭焼き釜。ここの石組みは間違いなくそれとは違っていた。谷を挟んだ反対側も今でこそ何も無いが、石を組んで平地を作った場所。谷の左右で対になる何かがあった様子。これに関し、下山時に地元民に聞いたが、答えは貰えなかった。

 石組みの場所から僅かに5分ほど登ると、取水施設の大元となる場所があり、注連縄が渡され、祠こそ無いが水神を祀っているように見えた。ここで沢の流れは無くなり涸れ谷を登る。やや急峻を直登するように行くと、左の草むらから人工物が顔を出した。トタン板が屋根になっており小屋形状のもの。入れて、さらに横になること限定だが、大人が一人入れるくらいのスペース。荷物小屋ってことか。この辺りから落ち葉の下にゴロゴロと小石(岩)が出てきて、足元が覚束ない登り。落葉時期に関係なくここは通年こんな状況なのだろう。そして標高1200m付近から南側の尾根に取り付くべくトラバースが始まる。これまではそこそこ道形が見えていたが、このトラバース箇所だけ薄い道形だった。尾根に乗ると、その周囲にはヤマブドウが蔓延っていた。大きな色づいた葉が落ちており、時折宝石のような黒い実も落ちていた。ひと房拾い上げ秋の味を堪能。その酸っぱさに気合が入る。タンニンたっぷりな感じで、ほろ苦さも伴う。周囲の紅葉は見事で、北側に見える尾根が特に色づいていた。


 そろそろルートは「沢次郎せぎ」と呼ばれる場所に入る。現地は急峻の中に、時折補助ロープが流されている。しかしそこにあるとされている石の並びが無い。よくよく注意しながら足を出していたが、いつしか主尾根に乗り上げ、そこが乗越で、これまでの道形が南東側にも続いていた。今ある落ち葉を退かすと往時の石の並びが見えるのかどうか・・・。現在は止め山なのか、ピンクのビニール紐が淫らに流されているだけで、往時の様子は道形の存在のみ。主尾根の上はやや笹が繁茂した場所。僅かにそれらを両手で分けるように進む。途中で二重山稜があり、その北側を進むと屏風岩と言えようか、小さいながら直立した岩の脇を通過。ここを過ぎると、もう僅かで山頂となる。

 山頂が近くなると、石碑と思しき岩がいくつも直立していた。何かを判読しようと試みたが、文字類は一切判らず。すると、まだ山頂に着かない手前に、しっかりとした祠があり、なぜかそこに山頂標識が掲げられていた。西側を見ると中野市街が眼下にあり、なかなかの展望場となっていた。ここから西側に巻き込むように15mほど進むと山頂だった。三等点が鎮座し、先ほどの標識が下にあることにより、それが唯一の人工物であった。すぐに箱ノ峰側の尾根の様子を見る。雑木の伐採跡も見られるが、そのほとんどを笹が覆っている。雨に降られない中なら突っ込んでも良いほどであったが、それでもやや密生した笹薮に見えていた。この山頂部での展望は、木々の間から辛うじて周囲を見渡すくらい。葉が落ちきった時期なら志賀高原側が見えるのであろう。先ほどの祠の場所に戻り、中野市街を見下ろしながら小休止。その後、周辺に赤松が林立するので、季節柄の香しいキノコを探してみたが、日頃採り慣れないもの見つかるはずもなし。下山となる。その前に祠を覗くと、ちゃんと鉄剣が御神体となって入っていた。


 紅葉を愛でながら降りて行く。沢次郎せぎの下りはかなり滑り易い。そして見事滑って、着いた右手にブスッと小枝が刺さる。「手袋しなきゃ!」なのだった。“あれっ、手は痛いが肩は”、どうやら血流が良くなると痛みが緩和するらしく、いつしか痛みを感じなくなっていた。尾根を外れトラバース箇所。帰路はより道形が見え辛かった。落ち葉時期ってこともあるからかも。谷に入り、小屋を右に見ながらズンズンと降りて行く。そして石組みの場所に出た。やっぱりなんだろうこの施設(帰ってから調べたら、ここで養蚕をしていたそうな。それも不思議)。判らないまま色んな角度から観察する。こうして興味を持って調査している自分が好きだったりする。しかし答えは出ない。出てもよし、出なくともよし、判らない方が楽しいって事もある。


 取水地を左に見て、沢の流れに沿いながら下る。ここの水はどんなものかと飲んでみると、けっこう美味しい水。スーッと浸透する水と言ったら良いか。密かに水の味が最近判ってきている。湧水地巡りの効果からかも。先の方に木橋が見えると。その手前(東)に北に入っている谷がある。その沢の川底はナメ岩となっており、伝いたくなる場所であった。その西側には廃道らしき杣道が上がっていた。木橋を渡り林道終点に到着。


 サッと着替えて林道を降りて行く。そして御嶽神社を拝観し車を走らせると、大粒の重い雨。今日は自然が味方してくれ、降られる前に気持ちよく歩かせてもらえた。フロントガラスに当たる強い雨に、「この中で無く良かった」と思うのだった。

 補足。佐野地区で早朝から町民が多かったのは、前日に熊が出没し事故が起こった事からのようであった。


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