水葉山  891m     

            
 2011.5.14(土)   


  晴れ     単独       犀鶴林道途中尾谷付近、標高590m地点から尾根に取り付き          行動時間3H4M


@熊走大橋より犀鶴林道を6.3Km入った地点(標高590m)8:19→(4M)→A取り付き8:23→(13M)→B主尾根に乗る8:36→(36M)→C水葉山三角点9:12→(19M)→D920m峰9:31→(25M)→E水葉山9:56〜59→(30M)→F920m峰帰り10:29→(20M)→G三角点峰帰り10:49→(26M)→H尾根下降点(583番標柱)11:15→(6M)→I林道に降り立つ11:21→(2M)→J停車場所11:23


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@犀鶴林道途中の崩落箇所。 A付近で一番勾配の緩そうな場所から取り付く。ササとナツツバキの斜面。 B主尾根に乗ると、道形があった。 マーキングもあり。
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マーキングの下には、必ず標柱もある。 標高700m付近。残雪も豊富。 道形の上を雪が覆っているような感じ。 刃物が入れられ、道になっている。
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もうすぐ水葉山三角点。振り返り伝って来た尾根を見る。 三角点峰直下。伐採されているわけではないが、開けた山頂部で居心地がいい。 三角点峰の西側。
C三等三角点が顔を出している。
komaq.jpg  sankakutenhouminami.jpg  one.jpg  920.jpg 
C石川の雄、コマQさんのいたずら書き。 三角点峰から南に進む。残雪が無い場所は、しつこい藪。 920m峰へ向けて、もうひと漕ぎ。 D920m峰。間違えて南の927高点側に進んでしまった。歩き易さゆえに・・・。
927.jpg  cyoxtuka.jpg  higashi.jpg  nishi.jpg 
D927m高点近くから見る水葉山。この辺りのルートファインディングは慎重にしないと迷い尾根に入ってしまう。 水葉山直下にも掘れた道形あり。 E水葉山最高点。東側を見ている。 E水葉山西側。奇形な木がある。
hyoushiki.jpg  takasa.jpg  mizuhayamakara1.jpg  mizuhayamakara.jpg 
E高い位置にチャムラン山の会の標識が在った。 E下から3mくらいの場所。厳冬期に入った様子。 E水葉山からの展望。 E金沢市内も見渡せる。
920kaeri.jpg toctyukara.jpg  sankakutenkaeri.jpg  michigatawo.jpg 
F920m峰(少し北側)帰り。 南側から見る三角点峰(実際見ているのは手前峰)。 G三角点峰帰り(右の残雪の上側に三角点)。 道形の上に乗った雪を踏みながら降りて行く。
583.jpg  kakouten.jpg  oritabasyo.jpg  toucyaku.jpg 
H下降点付近の標柱番号  H大きな倒木の場所で尾根を離れ、林道に降りて行く。  I林道に降り立つ。  J車に戻る(崩落地)。 


 

 

 この山が気になりだしてから、もう10数年が経過している。犀鶴林道(犀川上流域と鶴来町を結ぶ林道)が北側に通り、そう悪いアプローチの場所では無いように見え、距離的には簡単に行けそうに見える。ただしそれは、林道との位置関係に見る部分だけで、地形図を良く見ると、ちょっと複雑地形の場所でもあった。狙おうと思った当初は、尾谷を詰める恰好で898.7三角点峰に突き上げようかと思っていた。そう思って下見をしたのが1990年代。谷の取り付き箇所が急峻で、思うようには伝えない事も判った。となると尾根利用。もしくは谷が雪に埋まる時期。もう思いつつ現在まで推移していた。

 

 金沢に野暮用が出来、またまた訪金予定となった。今年は毎月通っている感じ。どなたかが、「金沢に引っ越したら」と仰ったが、全くもって同感でもある。そして我ながらの事であるが、これほどの頻度で加賀の山を登る上州人も稀だろうと思う。それほどに楽しいエリアであり、藪を教えてくれたベースエリアでもあることから、特別な感情がある場所で間違いない。歩いていながら見える植生や景色に、ホッとするのが本音。この日は時間の制約もあり、あまり高い所は狙えず、短時間で狙えそうな水葉山に照準を定めた。

 

 経路の高速では強い南風。車道脇の吹流しが大きく暴れ、サンバイザーの風きり音が唸っていた。北陸道を森本で降りて山側環状道路で土清水交差点まで行き、そこから県道207号に左折し犀川ダムに向かうように進んで行く。途中では辰巳ダムの建設風景が見られ、その先に水に沈むであろう一帯が見えていた。久しぶりの犀鶴林道で、気持ちはワクワク。その昔、オフロードバイクで何度も走った、懐かしい場所でもあったのだった。

 

 駒帰のバス停を過ぎ、JAの手前を熊走大橋を渡って対岸に行く。突き当りを左折し、その先は道標に従い林道に入って行く。快晴とまではいかないが、晴れの日。林道にはちらほらと山菜採りの車が入っている。それらを横目に。ズンズンと奥に詰めて行く。国見山の南麓を大きなヘヤピンで通過して行くと、そろそろ目的地到着。ここまでにも少々の崩落地があり、路上に放置されたままの落石もあった。少し慎重にハンドルと握っていたのだが、尾谷と林道が交差する500mほど手前で、山側からの土砂の押し出しがあり、車は通行不能になった。でも、ここまで入れれば御の字。引き返す、諦める要素は皆無。しかし、ユーターン余地が無く、狭い林道上で何度も切り返して向きを変える。そして林道を半分つぶした形で停車。と言うのも、崩落箇所の先の林道は、雪に埋もれていた。さらにはそこから先に目を走らせると。北側の日陰地帯は、べったりと雪がある。要するにここで「通行止め」が現状なのだった。すぐに準備する。周囲の根雪の硬さを体感し、地形を加味してアイゼンは8本爪を持つことにした。

 

 いざスタート。谷登りを思っていたので、林道を少し進むが、歩きながら左(東)に見える尾根が登り易そうに見えていた。下の方は土が流れないようシートで保護してあり、それもまた登り易そうに見える要因でもあった。再度地形図を見る。あまり南に進むと、林道周辺は崖マーク。“登っちゃおうか”となり、適当な場所から取り付くことにした。土留めの鉄の杭に、靴のコバを引っ掛け這い上がり、斜面に乗る。その先はササとナツツバキの植生。ただし密生でなく歩きやすい場所。適当に左右に振りながら、這い上がってゆく。どなたかが歩いたのか、それらしき跡も見られた。山菜採りか、好事家ハイカーか。

 

 尾根に乗る。そこには一本の掘れた筋があった。どう見ても雪融けで出来た感じでもなく、山道な道形だった。水葉山にルートがあるとは聞いたことがなかったが、里山であることから、昔道があってもおかしくないとも判断できた。そして時折ピンクのリボンが下がり、その下には、赤黒の標柱が埋められていた。登山道の開削と言うよりは、公的な作業がされている様子。刃物の入っているところも多々あり、これほどに人の気配を感じる場所とは予想外だった。

 

 深く掘れた場所には、そこに雪が溜まり、白い絨毯の上を歩いてゆくような様相。時折その道形もあやふやとなるが、そんな場所は刃物跡が導いてくれていた。798高点の前後はやや広い地形で、ルートを外すとちょっと不安に感じる場所。ただしこの日は有視界。楽しみながら自然と戯れる。そして798高点の南で、尾谷の支流が尾根に付き上げてきている。ここには赤い絶縁テープが巻かれていた。この先もなだらか地形が続く。もし道形が無かったら、倍ほどは時間が掛かっていただろう。それがおかげさまでスイスイ歩けている。ただし、刃物を入れた切り口が鋭利に上を向いている所もあり、足場には注意。

 

 ズンズンと急ぎ足で高度を上げてゆくと、新緑の先の視界が開けてきた。不思議なほどに広い場所で、よくよく送電線のラインに沿って伐採してあるが、それと同じように思えた。でもここはこれで自然地形。金沢市街を見渡すのに絶景の場所となっていた。そして緩やかに登りあげてゆくと、雪融けの進んだ山頂部で三等点が待っていてくれた。その脇にはコマQさんの絶縁テープも残る。既に時計は9時を回っている。この後の用事を考えると、もう降りねばならないところ。だがしかし、ここで満足は出来ず、やはり水葉山891高点は踏まないと・・・。

 

 切り開きは、この三角点までだった。僅か先までピンクのマーキングが降りていたが、その先に続く事は無かった。雪の乗った北側寄りを歩ければいいが、それが出来ない場所は尾根上を漕ぎながら進む。そしてその行動は一気に進度が落ちる。進行方向右手には、内川を挟んで奥獅子吼の山塊がデンとある。それを眺めながらのんびりと行きたい所だが、そんな悠長な時間は無く、何せ急いでいた。北側の眼下には金谷の本流がくねるように弧を描いて、先ほどの三角点峰に突き上げているのが見える。けっこうな深い谷。帰りは雪に繋がって、この谷ルートで戻ろうかと思ったほど。それほどに雪がしっかり乗っていた。

 

 目の前に927高点の山塊が見えてくる。尾根通しで詰めて行くのだが、この辺りにも掘れた跡が残る。そして927高点の北の920mピークに乗るのだが、何を思ったかそのまま南に進んでしまった。これには、山登りであり高いところへ向くと言う習性が影響した。920ピークから、さらに高い場所は927高点の高み。自然と足がそちらに向いてしまっていた。そしてそれ以上周囲に高みが無い事に気付き、こんな近くには水葉山は無い、ルートミスだと気付いた。920ピークに戻って北東側に降りて行くのだが、周辺には導かれそうな迷い尾根があるので、入らぬよう注意。方向を良く見定めて行かねばなならない。そしてこの先も痩せ尾根を経たルートで、ここでも漕ぐ作業が入る。もう少し早ければ、雪に繋がって歩けただろう場所に思えた。それでも今年は雪が多いから、この時期にして、楽をさせてもらっている方なのかもしれない。

 

 水葉山の西側斜面にも、これまで同様に掘れた筋があった。杣道なのかとも思うが、それにしては周囲の木々の伐採痕は少なく、やはり山道なのかと思えていた。時計を気にしつついるが、既にスタートから1時間40分ほど経過している。これは大超過。早足で来ているからこの時間だが、余裕を持って入るなら、片道2時間〜2時間半の山となるだろうか。ここからは、近そうで遠い山とも言える。

 

 水葉山到着。山頂では全く展望は無い。地形上の一番高い場所は何も無く、やや南西にずれた場所にマーキングがされ、その上の方に、石川の労山「チャムラン山の会」の標識が下がっていた。地上高3mくらい。間違いなくそんな時期に入った証拠であり、厳冬期での登頂なのであろう。その標識の下を見ると、幼木が密集している。と言う事は、ここに雪が堆積しやすく、積雪期はここが高くなるのであろうと思えた。念願の水葉山を踏めて大満足。ただし感慨に浸っている時間は無く、すぐに往路を戻る。山頂の僅か北側に開けた場所があり、そこから金沢市街が見下ろせる。ここがある事で、展望のある山として、パーティー山行でも楽しいだろう。ただしルートファインディングが出来る方に限る。急いで戻る。

 

 戻りながら、2回目の大チョンボ。雰囲気的には920m峰に戻った感じがし、そこから北西に向かいだした。すると下の方には尾根が繋がらず谷になった。そこからは左(西)の上の方に尾根が見え、ルートを外したことが判った。やや複雑地形であり、回収を基本に往路はマーキングを付けながら伝った方が良いように思えた。ちょっとしたルートミスが、精神的には大きなダメージとなる。間違えつつ“まだまだひよっこだなー”と自分に吐く。910m付近にも微細尾根が北西に下りているので、しっかり920m峰に乗り上げる事を基本にルートを選んだ方がいいかもしれない。焦りがミスに繋がっているのかもしれないが、まあ我が力量もこんな程度。

 

 往路の藪を反芻するように、濃いで戻って行く。天気はやや暗くなり、風の強さをより感じるようになる。この山域に入ったら、南にある三輪山を近望したいと思っていたが、そのチャンスも逃し、三角点峰に到着した。往々にこの山塊は北側に開けているが、南側の眺望がある場所は少ないのだった。三角点峰に戻れば、あとはマーキングを追うなり、刃跡を追うなりのルートであり、安心感はあった。半ば駆けるように降りて行く。

 

 登山靴の踵を雪に突き刺すように、ザクザクと足を出してゆく。時折開削した切り口にスパッツのバンドを引っ掛け、危なく地面に串刺しになりそうになる。何せ切り口が上を向いている。焦らず慎重に・・・歩かねばならない。そして「43−583」と刻印された標柱のところで尾根を離れ、林道に下りだす。ここには大きな大木があるので下降点としての目印となる。ササを分けながら、ナツツバキに脛を打ちつけながら駆け下りる。そして降りた先は、取り付き箇所とほぼ同じ場所。僅かに下って車に戻る。

 

 考察。伝った尾根の末端が犀鶴林道と合わさっている。その付近から取り付けば、一番楽なルート選択だったろう。尾根上の道は、犀鶴林道が出来る前の、この辺りの主要道だったのかもしれない。それほどにしっかりしている感じだった。よくよくある、峠道な感じの掘れようだった。

 

 帰りには、山菜採りがかなりの数になっていた。林道途中には小さな山小屋があるのだが、そこの管理人も訪れていて、小屋の掃除をしている所だった。久しぶりの犀奥エリア。やっぱりいい。大満足。

 
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