金北山 1172.1m 妙見山 1055m
2011.7.31(日)
晴れ 同行者あり 白雲台から自衛隊管理道路 行動時間3H
@白雲台8:15→(78M)→A金北山9:33〜10:02→(50M)→B妙見山10:52〜57→(18M)→C白雲台11:15
@白雲台から自衛隊管理道路を行く。 | 朝方は山頂は雲の中にあった。 | エゾゼミが大発生。あちこちで「ジィ〜」と。 | 妙見山との分岐 |
レーダーサイトとの分岐。避難小屋は鍵が締まっていて開かない。 | 左の得の場所から見るレーダーサイト。 | 山頂直下の狛犬。以前あった鳥居は壊れてしまっていた。燈台も片方崩壊。 | A金北山神社。 |
A金北山山頂。 | A祠 北から涼しい風が吹き上げてきていた。 | A金北山から見る妙見山。 |
A金北山から両津港。 |
山頂直下はガクアジサイ、ホタルブクロ、オダマキなどが咲いていた。 | 装甲車にて、検閲があった。届出をして入らないと、この時に面倒になる様子。 | 途中から見る妙見山。 | 妙見山側からレーダーサイト。九十九折を装甲車が下りてくる。 |
妙見山レーダー。一基180億円。 | 林道終点。右端の敷地の壁に沿うように巻いて進む。 | 金北山側はガスの中に入ってしまった。ナイスタイミングでの登頂。早過ぎず遅すぎず。 | 敷地に沿って壁に伝って進む。 |
南西側に道標が唯一ある。周辺の踏み跡は不明瞭。 | B妙見山山頂。 | B古墳のような祠がある。 | 立派な石積みがあり、要塞のような山頂部。 |
妙見山から真野湾側。 | 妙見山から白雲台へは、上部は狭い滑りやすい山道。途中から快適になる。終始落ち葉を踏む感じ。 | もうすぐ白雲台。 | C白雲台到着。昼が近くなり、観光客がどっと押し寄せてきていた。ちなみに朝は9時から営業。トイレもその時間でないと使えない。 |
14年ぶりの佐渡。「いつでも行ける」なんて思っていたら、こんなに月日が経過してしまっていた。そして、私が島旅を趣味にしだした発端も、ここと言って過言でない場所。よって佐渡には何かと思い入れも強い。前回は金沢に住まいしていた時のお隣同士での旅だった。その時を反芻するように周ってみたいとも思った。なんだろう、懐かしさを楽しむと言うか、少なからずそんな意識。当時も金北山は白雲台からの登山。山塊の地図を見ると、縦走がしてみたくなるが、そうすると佐渡を山のみで楽しまねばならない。山は大好きだが、佐渡では観光寄りに行脚したい。となると金北山登山も白雲台から・・・。
ドンデン山荘に宿をとっていた。ガスの晴れた西側に、山頂部に人工的な四角形を擁した目指す金北山が見える。そこまでに連なる尾根が、非常に気持ち良さそうに見える。部屋の雑記帳には、縦走してきた方のコメントも載っていた。誘われるが、やはり観光と天秤にかけると観光をしたい。山に固執しているわけではないというのはこの部分。チェックアウトをして両津の街中へ降りて行く。昨日出迎えてくれた放牧された牛たちは、今日は見送ってくれる。
両津港(湾)に降り、反対側の真野湾側に向かう。道標はしっかりあり、「大佐渡スカイライン」の道標に導かれる。金井新保の交差点から北に入り、いよいよスカイラインに入って行く。前を行く車、同業者の登山者かと思ったら、自衛隊施設に入って行った。朝の通勤のようだった。道路は滑り止めのための刻みが入れてあり、かなりのロードノイズを拾う。そして閑散とした白雲台に到着。そこには売店が出来ていた。以前はトイレだったような記憶があるが確かではない。この売店、オープンが9時。中のトイレもそれに準じて、その時間まで利用出来ないようになっていた。トイレだけは売店と切り離した方がいいと思うが、色んなことを考えた末の設計なのだろう。サッと準備をして自衛隊管理道路に入って行く。
ゲートは向かって左側に入り口があり、ロープを外して中に入って行く。基本通行禁止のためか、案内表示などは無い。足の裏に当たる感触は、14年前のその時と同じ。少し違うのは周囲からの高音。クマゼミが大発生しているようで、耳に痛い周波数であった。ただし、これも自然、全てを受け入れないと・・・。向かう先に金北山があるのだが、厚い雲に覆われている。美味く登頂時には晴れればいいが・・・。
スタートからしばらくは、水の流れが脇にあり、その点では涼やかに歩ける。貯水槽からオーバーフローしてくる水を触ると、かなり冷たく気持ちがいい。飲用にも可であろう。その先も山側の側溝に流れが続く。同行者の歩速が軽快で速い。道路の緩やかさがそうしているのか、気持ちよく歩けている様子。小刻みなピッチがテンポよく耳に入ってくる。右側に建設会社の現場棟(自衛隊施設)のような施設が見えると、しばらくで妙見山との分岐となる。妙見山は金北山から眺めただけで、まだ未踏。今日は最高峰を目指すものの、未踏峰として目指していたのは妙見山でもあった。
分岐を右に進む。だんだん雲の中に向かって行くためか、空の青さが減ってきていた。歩き始めこそ暑かったが、これでだいぶ涼しくなる。快適快適。二つ目の分岐には、避難小屋があるものの、しっかりと鍵がかけられていた。用を成さない施設であり「なんでだろう」なんて思うのだが、そもそもが登山者を意識した小屋ではなく、あくまでも軍事施設をが散在する場所においての避難小屋ということであり、趣旨が違うと思えた。レーダーサイトのあるピークを右に見ながら、1006高点から。山腹西側に降りて行く。路肩のアザミには、蝶やハチが群がっている。通常見る風景だが、「ここは佐渡」と言う事が頭の中にあり、視覚から「自然」を強く感じたりするから不思議。
1001.5三角点の先に地形図上では鳥居のマークが入っている。当然なにかあるのだろうと思って遠望すると、棒が立っているのが見えた。立ち寄る人が居るのだろうか。そもそも、許可を得た防衛庁管理道路を歩かせてもらっているが、これら寄り道は許されるのかどうかが気になった。たぶん、道路のみは可、そこから逸れると不可なのだろう。途中から同行者のスピードを抑えてもらった。何を隠そう、私の方がそのスピードについて行けなくなり、喘いでいたのだった。向かう先のガスが一気に消え、軍事要塞と言えよう山頂部がはっきり見えるようになった。周囲展望はもう文句なし、両津湾、真野湾、綺麗に見えていた。
道路は施設に吸い込まれるように進んでいるが、ゲートされ、そこを右側を巻く。「そうそう、昔もこうだった」と、記憶が甦る。その記憶を呼び出しながら進むのだが、おやっと思ったのが、狛犬のある場所。以前あった鳥居が崩壊していた。さらには海側の燈台も崩壊。地震によるものか、風雪の為か・・・。ここから僅かに上がると山頂となる。
金北山山頂到着。晴れ晴れとした周囲展望。同行者は手を広げ、その景色を全身で包み込んでいるよう。「わぁ〜」と言う声が、見える全ての良さを示している。祠のある北側の日陰に行くと、こちらは吹き上げの風が僅かにあり、そよそよと気持ちがいい。それにしても誰も居ない山頂。ハイシーズンになり、少しは賑やかな場所と思ったが、誰一人とも会っていない。おかげさまで静かな山頂を楽しませていただく。十二分に展望を楽しんだところで、下山となる。
戻って行くと、1001.5三角点ので、装甲車が前から現れた。通常なら何も言わずすれ違うのが林道だが、ここは違う。国の管理下、しっかりと声をかけられる。「届出はしてありますか?」。「はい、何処そこの何がしです。申請済みです」と告げると、了解していただき、少し車が動き出し15mほどでストップランプが点灯した。おそらく無線で確認しているのだろう。傍受しようかと思ったが、この日は無線機を持っていない。そして重い車体が、乾いたエンジ音と共に金北山へ向かって行った。許可確認などないだろうと思っていたが、実際に有った。ここに限っては出しておいた方が無難であろう。
妙見山の分岐からは、その方向へ突き上げてゆく。そして自衛隊施設の前で林道は終わる。北のレーダーサイトを見ると、先ほどの装甲車が降りてくるのが見える。金北山、レーダーサイト峰、次は間違いなくここに来る。動く様子を見ていると、案の定こちらの道に入り、独特のエンジン音が近づいてくる。ゲート前で進路を悩んでいると、ゲート前に止まった車から、再度声が掛かる。「ここに記入してください」と入山者用の記帳する用紙を渡される。「えっ、既に届出してありますが・・・」、「それと照合する為です」。なんだかんだ言っても書かねばならないよう。言われたとおりにするのが嫌な思いをしない最良策。書いて渡せば、それで隊員との接触は終わった。調度いいので登山ルートを聞くと、施設に沿って外壁を巻いて進むとのことであった。この場所ではそれしか見出せないのだが、それにしても迷うのは迷う。
麻布が敷かれた上を踏みながら進む。登山道と言われたものの、違和感があるルート取り。それより、ここは重要なレーダーサイト。敵国から狙われるのも一番速いのではないか・・・。そう思うと気持ち足早になり、自然と同行者との間が空いてしまった。いけない、自分の中での妄想が・・・。
施設の西側に行くと、唯一道標がフェンスに付けられていた。ただしこれだけでは進路が判らない。草の中に踏み跡を探すのだが、何処なのか。先の方に雪崩対策なのだろうフェンスが並び、そこまでに杭も並んでいた。その人工物を拾うように進んだのだが、どうも間違えている様子。先ほどの道標の場所からは、そのまま敷地の際を進むのが正解のよう。高みを見上げると、古城のような石積みが見える。なんだろうと思って突き上げてゆくと、その上が妙見山山頂だった。
妙見山の山頂は、広く平。石積みが、何処か沖縄を思わせるような感じで黒く並ぶ。その風除けの中には、祠や石碑があり、ここが信仰の場所と言う事も視覚上感じる。そもそも山の名前からも信仰の山と言うことは理解していたが、それをここに来て目の当たりにした。祠にある刻みから、明治二年の文字も見えていた。山頂の北側には小屋があるものの、これもしっかりと鍵がかけられていた。真新しい180億円のレーダー施設が真横にあり、なにか異様な雰囲気だが、何処かの山が犠牲になって、国が守られる。これもしょうがないのだろう。金北山を見ると、完全にガスが垂れ込めていた。ナイスタイミング。さあ白雲台に下る。
道標が無いので、道形を探すと、鉄骨フェンスの下に、その鉄骨の並びに沿うように道形があった。最近の切り開きは無いようで、野草が沢山せり出していた。少し手で避けながら進んでゆく。その先で展望がよくなる場所があるが、それと同時にルートが全く見えなくなる。おそらくこの方向だろうと進むと、段差のある場所に道形を見つけ、そこには風化した石碑が残っていた。これはちと迷う。マーキングでもないと、慣れていない人は・・・。降りて行くが、けっこうに狭い登山道。上からも木々が覆う。そんな中の九十九折、足場が滑る場所もある。
ほとんどは落ち葉を踏みしめ歩くような場所だった。その為に膝に優しい登山道とも言えるかも。中盤からは、気持ちのよい原生林の中の歩行。空気がとても美味しい場所でもあった。佐渡特有の植生なのか、細く林立する中を高度を下げて行く。そして人の声、樹木が切れた先から見やると、白雲台の駐車場が眼下に見えた。この見え出した頃から、少し急峻になり足場も悪いので、気を抜かないほうがいいかも。注意しながらズリズリと降り、白雲台に到着。この入口(出口)にも道標は無い。防衛庁施設と絡んでいる為か、非公式ということになるのか・・・それともこれから整備するのか・・・。
無事下山。同行者も笑顔の下山。天気に恵まれ、さらにはその天気のタイミングにも恵まれ、佐渡の大きさを最高峰の山塊で楽しませていただいた。