七ッ岳 1635.8m
2011.7.23(土)
晴れ 同行者あり 平滑沢コースで往復 行動時間4H21M
@登山口8:28→(27M)→A沢に入る8:55→(56M)→B1350m付近沢を離れる9:51→(44M)→C七ヶ岳10:34〜52→(39M)→D1350m付近11:31→(58M)→E沢を離れる12:29→(20M)→F登山口12:49
@平滑沢コース入口 | 最初はシラカバ林の中の廃林道。 | 山道になり出した辺り。 | 最初の渡渉点。 |
A沢に入る。 | 緩い傾斜だが、やはり滑る。 | 途中までは側道もある。 | 1170m付近。 |
1220m付近。少しモシャモシャと・・・。 | 1230m付近で涸れ沢になったかと思ったが、上で再び流れが。 | B1350m付近で沢を離れる。 |
沢の中には道標がないのだが、上に行くと再び現われる。 |
岩の間をすり抜け。 | 山頂直下。 | C七ヶ岳山頂。 | C一等点 |
C北側の様子。 | C南側 | スキー場側へ行く道との分岐。 | ロープ場 |
掘れた道。 | D1350m付近。沢に入って行く。 | 慎重に下り・・・。 | 横移動したり・・・。 |
残置ロープに掴まったり・・・。 | E沢を離れ山道に。 | F登山口に戻る |
震災後になかなか東北に足が向いていなかった。そろそろ行かねば・・・と思い地図を見る。猪苗代湖の辺りを見ても、どうしても太平洋岸側の海岸線が気になる。そして、ニュースで見る地名が目に入る。少し悲しくなるのだが、被災地、そして見えない放射線を地図上に透かすように場所を探す。今回は同行者も居る。そんな中、夏であり涼やかな場所を歩きたい・・・。そして、あった。七ヶ岳の平滑沢は涼やか・・・あの場所ならそう難易度も高くなく遊べそう。瞬時に決定。
のんびりと4時半ごろ家を出る。R122をひた走り、日光から今市、今市から奥鬼怒の方へR121号に乗って北上して行く。既にもう暑い。山間部を走っているわけなのだが、車の外気温計は27度を示していた。山王トンネルを越えて福島県に入り、R352の分岐点から500mほど田島側に向かった場所が林道の入り口。七森橋を渡ったら、右へ行く道は個人宅に向かう道。左の道が七ッ岳林道に繋がる道。狭い道だが舗装されているので快適。そして喜三郎小屋が前に見えたら左の道に入り、しばらく進むと省吾橋で、そこが登山口。有名な場所なので、こんな解説は不要の場所であろう。
登山口には、既に3台の車。土浦ナンバーに会津ナンバー。それを見ると、いつもと違ったエリアに来ていることを感じさせられる。周囲では、賑やかにセミの声。暑さを耳から感じるよう。さっと準備し、登山口から登山道に足を乗せて行く。最初はやや荒れた廃林道歩き。シラカバやクヌギを愛でながら歩いて行く。樹液が出ている場所では、蝶や甲虫が群がっている場所もある。左からの沢の音が右からに変わると、第一回目の渡渉。ここからこのルートの水遊びにスイッチが入る。
渡渉から8分ほどで平滑沢の中に入って行く。なめ沢の岩の上に足を乗せると、滑ると言えば滑るし、滑らないと言えば滑らないし。流れの中の方が滑らないような感じで、ジャブジャブと進んで行く。側道と言えよう踏み跡もあるが、なにせジャブジャブと水を楽しむ。後から付いて来る同行者は、恐る恐る。よって進度がかなり落ちる。長いロープの流してある場所を経て、その先辺りで「下りが自信ない」と・・・。“そっか、困ったなー”とは思ったが、いつもどおり「大丈夫だよ」と声をかける。何を根拠に大丈夫なのか。自分は大丈夫だか、同行者は・・・。
沢の中には鰍のような固体も見える。チョロチョロとすばしっこく動くのだが、同化していて良く見えない。とても明るい沢であるが、道標となる物はテープマーキング。それまで頻繁に続いていた立派な道標は、沢の中では見られなかった。ま、一本道って事からかと思う。足場の悪い所は高巻する場所もあるが、往々に沢の中。登山靴の下側が浸かっているというだけで、なんとも涼しい気分になるから不思議。1170m付近で、僅かに段差のある場所を乗り越え、しばらくで流れが少なくなってくる。1220m辺りで涸れ沢になったかと思うほどになり、少しモシャモシャとした沢道を分ける。それでも流れはまだ続き、1350mでやっと沢を離れ山道となる。自分自身では楽しんでいたつもりだが、同行者を考えると、あまり長いナメ沢歩きは・・・。まあこのくらいならと振り返ると、表情はあまり良くない。でもこれから山道だから・・・相手の気持ちはさておき、自分で納得させる。
山道に入ると、再び紅白の道標が見え出す。最初に掘れた道があり、やや急勾配を這い上がると、その先は九十九折の道。途中には風穴があり、冷気が噴出していた。自然のクーラーでしばし涼を得たり・・・。こんな部分も、やはりこのルートは夏向き。大岩の通過点はロープが垂らされており、それを握りつつ越えてゆく。ただしここで、ブーンとスズメハチの来襲。フレンドリーに接したが、何処かに巣でもあるのだろうか。この大岩の通過点を過ぎると、山頂は僅か。降りてくる人とも快活に挨拶を交わし、樹林から抜け出す。すると、そこにアキアカネが乱舞。その数たるや、凄い。表現が良くないが、トンボでなくハエが居るかのような数で舞っていた。
七ッ岳山頂。一等点が出迎えてくれる。北側には下岳に続く起伏の多い稜線が続く。単独なら伝ってみたかったが、今日は我慢。南側の展望のよい場所に腰掛、アキアカネの舞とモヤッとした夏の展望を楽しむ。ただし、流石に暑い。ジリジリと焼かれているのがよく判り、ほどほどに汗が引いたところで下山となる。静かな山頂をアキアカネに譲り、ゆっくりと足を下ろしてゆく。
降り始めると、栃木訛りの3名のパーティーとすれ違う。まるで、U字工事さんの漫才の掛け合いのような会話となった。笑ってはいけないのだが、方言はあって楽しい。ロープに伝わりながら、岩場を降り、再び風穴から冷気を浴び・・・。そして1350m付近からのナメ沢に入る。足許を気にしつつ、後続を気にしつつ・・・。それでも緊張しつつも、時間の経過と共に足の裏がグリップする感覚に慣れたようであり、そこそこ軽快に降りてくる。感心していると、自分がズルッとやったりもした。滑って転んでも、それはそれで楽しいと思っているので、滑らないようにしつつも水に触れたい悪戯心もあった。幅2mほどの沢だが、伝う場所はほぼ往路に通過した通り。優しそうでありながら、何処でも通過できるわけでもなかった。そして長いロープを伝うと、もう僅か。この平滑沢に完全に慣れた頃、水の流れから離れる。
山道を下って行くと、無数のブユが寄って来た。昨晩はアルコール類は飲んでいないし・・・なぜか凄い数。ただし、この日は3種類の虫除けスプレーを用意してきていた。がしかし、どのスプレーを直接噴霧してもすぐに彼らは寄って来ていた。かなり体勢のある進化した(言い過ぎか)ブユのよう。シラカバの樹林帯では、バンダナを振り回すように虫除けをする。振り向くと同行者には寄って来ていない・・・。ん、もしかしてこの地のブユに好かれたのか・・・モテモテ? いっこうに減らないブユと格闘しながら登山口に到着。
ナメ沢に緊張感を持ちつつ涼やかに歩くことが出来た。でもでも、滑る場所は滑る。緩やかなのでたいした事故にはならないのだろうが、滑る事からの緊張感が、事故を少なくしているのだろう。どんな場所も事故の要因は気の緩み。そんなことを再確認させてくれる場所でもあった。