大舟山(敗退) 1431m 赤兎山 1628.7m
2011.6.18(土)〜19(日)
18日 曇りのち雨 パーティー 小原側登山口より赤兎避難小屋 行動時間:4H53M
19日 晴れ パーティー 赤兎避難小屋より上小池 行動時間:5H21M
@登山口駐車場9:41→(52M)→A小原峠10:33〜42→(27M)→B大舟分岐11:09〜19→(4M)→C大舟山側尾根途中11:23→(7M)→D大舟分岐再び11:30→(18M)→E赤兎山11:48〜49→(16M)→F赤兎避難小屋12:05〜14:00→(17M)→E赤兎山再び14:17〜19→(15M)→F赤兎避難小屋14:34
G避難小屋6:57→(140M)→H杉峠9:17〜27→(53M)→I六本檜10:20〜11:17→(32M)→J分岐11:49→(10M)→K登山口11:59〜12:01→(17M)→L上小池12:18
小原林道の集落を抜けた先で、入山料300円を支払う。 | @登山口手前駐車場。ハイカーの車で賑やか。 | 僅かに舗装路を歩いて登山口に。 | サンカヨウの群落。 |
A小原峠 | B大舟分岐。 | B荷物をデポして藪に突っ込む。 | C突っ込んだ最終地点。視界の得られない、平泳ぎの連続。 |
D大舟分岐に戻る。 | E赤兎山 | E三等点 | 避難小屋西側の池塘。 |
木道の先に小屋が見えてくる。木道の上には内臓を食べられたカエルが散乱する。 | F赤兎避難小屋に到着。 | バイケイソウが雨に濡れる。 | 豪雨に近い大雨の中、雨具の花が咲く。 |
池塘の南側にタムシバが花盛り。 | F小屋内部。 | G小屋の西側から白山。 | G赤兎避難小屋から杉峠側に出発。 |
三ノ峰に続く歩いて行く尾根。 | 急下降の場所に一輪だけニッコウキスゲがあった。 | 残雪の上を通過。 | 見事なまでのブナの尾根。 |
一番の急登箇所。 | 急登の後は、ブナに癒される。 | H杉峠。ここまでは道はしっかり、以東がやや荒れている。 | 大杉があったり。 |
没するような通過点も多く。 | I六本檜(下降点分岐) | I六本檜から刈込池側。 | 六本檜から下降開始。 |
木漏れ日が入り、気持ちのよい登山道。 | J登山口まで400mの分岐点。 | K登山口に降り立つ。 | K登山口 |
タニウツギが花盛り | 大きなザックは絵になる。 | 大栗 | L上小池の駐車場到着。 |
「仲間と集う」。そこに問答無用に楽しさが生まれ、笑いが発生する。日頃は一人での行動が多いものの、仲間があっての趣味だとも思っている。言い方を変えると、仲間が多いほど楽しい遊びとも言える。この点、おかげさまで周囲に恵まれ、声をかけていただくことが多い。声が掛かるうちが華。二つ返事で参加を決める。
行き先は、白山山系の赤兎避難小屋と決まった。兎年の今年、赤兎山は干支の山でもある。今回組むパーティー内には兎年の方が3名。願ったり叶ったりの場所なのだった。そしてひと月前くらいから擦り合せが始まり、当日を迎える。
小原の登山口に9:30に集合だった為に、その時間に合わせて谷峠を越えて勝山市に入る。「東山いこいの森」入口を左に見たら、その先3キロで、小原集落への入り口が左にある。14年ぶりの訪問であるが、赤兎山へのメインルートであるにしては、ここに道標が建たないのがいつも気になる部分。まー何も無い方が自然でいいのか。そう迷う場所ではないので、現状でいいのかもしれない。
R157を逸れて林道に入って行くと、前にそれらしいD5が走っていた。ナンバーを見ると「なにわ」とある。そして某山岳会のかっこいいステッカーも見える。間違いない。いいタイミングで隊列走行となる。集落を抜けると、入山料を徴収するゲートがある。集落の貴重な収入源であろう、喜んで300円を支払う。ワンコインの500円だって不満は出ないだろう。
久しぶりのこの林道、以前はダート箇所が多かったが、ほぼ9割の場所で舗装路を伝うことが出来た。ただし、クネクネとしたその長さは変わらず。そして登山口手前の駐車場に着くと、既に25台ほどの車が止まっていた。車でアプローチがし易く、登り易い山であるからだろう。そして干支も関係しているか・・・。さらにさらに、この山の適季に入りつつある。ここはニッコウキスゲの群落で有名。その見ごろにも、もう時間の問題。
駐車場に突っ込み、サッと準備をする。登山装備と言うよりは、宴会装備が詰まる。それはそうと、家からの出掛けに、「何か忘れているなー」と思いつつ走っていたのだが、富山辺りを走行中に、それに気付いた。雨具を忘れていたのだった。傘があるので大丈夫かと思ったのだが、装備は大事、ショップに寄って雨具を新調した。買ったそれを手に取り、まだタグの付いたままの状態でザックに詰める。総勢7名。いざ出発。
僅かに舗装路を進むと、右側に登山口がある。14年の歳月は、その付近の記憶を消しつつあり、「こんな入口だっけ」と思わせた。ゆっくりと登山道を伝ってゆく。季節の花が出迎え、ことにサンカヨウの群落は見事であった。それに負けじと、ヤグルマソウの大輪の葉も見られる。数日前までは、天気予報は良いようであったが、1日前から急変。覚悟の上に入って来たが、この時間帯で既にポツポツと当たるようになってきた。小原峠を前にして、途中の沢で3リッターを汲む。小屋には水場が無いので、必須な作業。総勢は周囲を愛でながら快調に足を上げて行く。
小原峠。ここで小休止。少し石川側に下ってみると、そこに「小原峠」と書かれた標柱が建っていた。さらには「白山禅定道」の文字が見え、より峠らしい雰囲気がある。さらにさらにお地蔵さんも鎮座し、完全にこちらの方がその場所に相応しいように思えた。お地蔵さんに頭を下げ現在の峠に戻り、美生柑で喉を潤す。ここでパーティーとは別行動。大長山に目指す一行に対し、私は大舟山を目指す。少し長い休憩の後、各々の目的地に向かう。既に雨粒は本降りとなっていた。足場の悪いドロドロの登山道を行くのだが、かなり滑りやすい。この辺りは残雪期のしょうがない部分。すれ違うハイカーも多く、場違いな大荷物に視線が集まっているのが判る。
大舟分岐到着。急いで雨具を着込む。これほどに降ると、持ってきてよかった。備え有れば・・・。しかし、足許はドロドロ。その泥をつけながら雨具のズボンを履かねばならなかった。この分岐から大舟山までの距離は1.8キロほど。その間、地図にはルートとして書かれているが、現在得られた情報ではかなり藪化している。サブザックに一本のシリアルと750mlの水を入れ、大荷物はデポすることにした。そして藪に突入。
確かに酷い藪。道形は判るが、これほどに自然に戻りつつあるとは・・・。常に両手を使い分ける作業。それとは別にルート上を自然木が蔓延っており、跨いだり潜ったり。この事から、かなりの間、切り開きがされていないことが判る。最初の急下降で、残雪の小さな谷を跨ぎ、登りあげつつ左に細い尾根を伝う。既にずぶ濡れ状態。新品であり撥水の完璧な雨具だが、残念なくらいにべったりと雨が乗っていて、粒になって弾いている様子がない。視界は樹木に覆われ、足許も見え辛い。それでも入った以上、結果を出さないと・・・と思い下って行く。急ぐ気持ちを抑えつけるような現地の植生。スズタケだけの平泳ぎなら別段いいのだが、そこにやや太い枝が混ざり、腕だけ、足だけで分け進むような場所ではなかった。それらを避けながら進むような・・・。雨は強くなり、この状態に完全に意気消沈。根性があると自負したい私も、完全に折れた。「戻ろう」。雨でなかったらいいが、足許も滑るし、二重苦、三重苦状態であった。反転して戻るのだが、戻るのも大変、潜ったり乗り越えたり、なかなか進度は上がらない、本当に僅かな時間の行動なのだが、長い時間に感じた。そして分岐に戻り、ホッとする。ここからの状況が判ったので、次ぎに繋がる。どうやら経ヶ岳側から狙った方が良いと言う事だろう。
再び大荷物を背負って赤兎山へ向かって行く。人気の場所、既にここまでで20名ほどどすれ違っている。なぜか、老齢な方と若い方が両極端。やはり登り易さからか・・・。サウナ状態の雨具の中、それが冷され、ちと苦手な状態。ガツガツ歩くように足を速める。ぬちゃぬちゃの足許、スパッツを持ってきて良かったと思える場所であった。
赤兎山到着。その山頂に福井弁が賑やかに聞こえている。目の前には12名ほどのパーティーが居た。最近あまり聞かないので、懐かしさがあり、密かにニコニコしたりしているのだった。パーティーの集合写真を撮ってあげ、サッと小屋のほうに足を向ける。こちらにもかなりの人が入っている。山頂と同時に、避難小屋周辺が目的地と言う事なのだろう。池塘や展望からかと思う。少しアップダウンをしながら、最後は木道。この上には蛙の屍骸が点在。不思議に思っていたが、答えは翌日。
赤兎避難小屋に到着すると、そこに居た緑色の服を着た方から「みいさんと同じ一行ですか」と聞かれる。「エッ」と思ったのだが、あの有名ご夫妻であり、このくらい知られているのは当たり前かとも・・・。小屋の中に入り話を聞くと、どうやら裏で擦り合せがあってここにきている様子。小屋の中には奥様も居り、優しい人柄のご夫妻であった。談笑しつつ、仮眠となる。この日も睡眠ゼロでここまで来ている。今晩の宴に対し、このままでは・・・急いで寝貯めせねば・・・。外は雨、ハイカーが入れ替わり立ち代わりに入ってきては、休憩をして行く。その横でシュラフに包まり夢見心地。快適。そうこうしていると無線で呼ばれる。大長山に行っていた一行が赤兎山に到達すると言う。急いで雨具を着込み。外に飛び出し雨の中を走る。そして再び赤兎山へ。集合写真を撮り、踵を返す。池塘では蛙が賑やかに鳴き、その南側では、真っ白なタムシバの花が大輪で出迎えてくれていた。
15:00早々に宴会が始まる。各種アルコールと、美味しい食材に持て成され、仲間のありがたさを痛感。立ち上る焼き物の煙に包まれつつ、笑いの輪に包まれる。ハイピッチでお酒のビンが倒れて行き、だんだんと酩酊状態へ・・・。
目が覚めたら朝の3時。夜明けと共に外に出ると、前日と一転して周囲展望のいいこと。木道を伝うと、昨日以上に蛙の屍骸が多い。それも新しい。お腹を抉られているのだが、獣か猛禽類の仕業と判断できるのだった。行ったり来たり、朝の散策。ここは携帯が繋がらない場所。木道を伝い。西側に400mほど進み何とか・・・。東側は小屋の上の高みに這い上がり、200mほど行くと受信した。その時の電波状況にも寄るだろう。
小屋内には和歌山からの別パーテーが居たのだが、早朝からガサゴソとモラル無し。小屋を使うリスクかもしれないが、ロートルの経験豊富な方のように見えたが、残念な様子であった。こちらのパーティーもシュラフから全員抜け出て、モーニングコーヒーを振舞って目を覚ましてもらう。今日はここから上小池の駐車場まで進む。天気は上々、暑くも無く寒くも無く、至極快適。
出発準備を整え、小屋前で集合写真を決める。さらには高台に上がり、白山をバックに・・・。そして縦走開始。周囲は360度の展望があり、爽快も爽快。最初の急下降の場所には、一輪のみニッコウキスゲが咲いていた。コシアブラも多く、昨日にこちらに来ていれば、少し拝借して美味しい思いが出来たのに・・・。向かう先に三ノ峰の大きな山塊が見えている。そこから右に願教寺山からよも太郎山へと連なる稜線があり、その周囲の奥美濃の静かな山々が、軽い靄につつまれ神々しく見えていた。急下降の後は、最低鞍部のコルを経て、急上昇。登りきって裏赤兎山だが、気にしていなければ通過点。アップダウンをこなして行くと。広葉樹林から、だんだんとブナ林と変わってゆく。一箇所のみ大きな残雪を踏んだが、暑い時には涼を得られる場所でもあった。
地図上に水場表記が有るので、かなり気にして進んでいたのだが、どうやら尾根から少し降りた場所のよう。それらしい場所に踏み跡が降りていたのだが、間違いないであろう。この水場表記の東側が、ここでの一番の急登。太腿をブルブル言わせながら、喘ぎながら登って行く。昨晩のアルコール摂取量が、この時の汗で判る。「俺、これだけ飲んだんだ」と、その分の汗が噴出す。途中2回ほどピッチを切ったが、宴の嬉しい後遺症で、足が揃わなくなってきており、歩調を合わせるが、やや長い隊列でのパーティーとなってしまっていた。それにしてもすばらしいブナの尾根。見上げてよし、左右を見ても良し。その幹を叩くと、嬉しそうに反響していた。見て楽しみ、嗅いで楽しみ、触れて楽しむ。
途中、三ッ谷からのパーティーがすれ違う。杉峠と小原峠とを結んで周回の様子。それも面白いコース取り。そして杉峠に到着。ここから上小池に直接降りてしまう案も出たが、六本檜からの展望を拝みたい部分もあり、さらに東にズレて行く。ここでルートの様子が一転。ここ数年整備の手が入っていないようなルートとなった。冬季の折れた枝が落ちているのはいいとして、ルートがスズタケに覆われてかき消されている場所もあるのだった。慣れていないと、かなり不安に思えるルートと思えた。ただしゆっくりと探せば、道形はあるのだが・・・。大きな天然杉を見ながら、ここでも軽いアップダウンがあり、登ったり降りたり。そしてその先の藪歩きの時間は、20分くらいだったろうか、4箇所ほどに分散しているが、ルートが見出し辛いような状況になっていた。そして九十九折の坂を登り上げると、もう六本檜は近い。足許にはアカモノの白い花が咲き、視覚上の清涼剤となる。
六本檜到着。三ノ峰避難小屋に泊まった女性がそこに居り、愛想よく声をかけてくれる。現在のこの場所には、檜は一本。当時はどのように並んでいたのだろうか。だんだんと南側斜面が崩落しているのだが、この様子を見ていると、いづれこの一本も危ないのかもしれない。南側眼下には刈込池の自然探求路の丸い散策路が見えている。少しここで足を揃えるために大休止。そよそよとした風に当たりながら、気持ちよく展望を楽しむ。人数が多い分、笑いも多い。歩いても停まっても、楽しいひと時。
1時間ほど休憩したか、一気に下降に入る。緩やかな一級の道。どうやら不整備の箇所は、六本檜と杉峠間のみの様子。周囲の淡い緑の山野草を愛でながら、ノンビリと足を進めてゆく。樹林帯の中の登山道。陽射しを木々が遮ってくれ、木漏れ日の中を歩く感じ。夏場には有り難いルートかも。降りて行くと、目の前に朽ちたベンチが現れ、そこの道標に登山口まで0.4キロの表示を見る。右に折れるように進んで行き、沢を右に置きながら、少々のアップダウンを繰り返して高度を下げて行く。そして下に林道が見え、そこが登山口。ここからは陽射しを受けながらの歩行。沢の水で汗を拭い涼を得る。山側をよく見ていると、ウドなどもあり、一本拝借し、ほろ苦さと甘い味を楽しむ。次の分岐は上小池の方へ山道の入る。途中に栗の大木が有り、その前においしそうなイラクサが生えていた。
上小池駐車場到着。湧き水で汚れを洗い、少し休憩を入れてデポしてあった車に乗せていただき、鳩ヶ湯に向けて降りて行く。この鳩ヶ湯も十数年ぶり、懐かしい当時のままの建物がそこにあった。風呂上りに大野市内で越前そばを食べ、再び小原の駐車場に戻って行く。駐車場で労をねぎらい、各々の家路に向かう。楽しいパーティー行動。参加いただいた猛者諸氏には感謝、感謝。