青海黒姫山 1222m
2011.11.12(土)
曇り 単独 清水倉登山口より 行動時間:5H10M
@登山口7:12
→(19M)→A渡渉7:31→(4M)→B水場7:35→(79M)→C上部水場8:54→(68M)→D黒姫山10:02〜23→(91M)→E一本杉11:54→(28M)→F登山口12:22
デンカ側から見る青海黒姫山。 | 道標が薄れている。左へ進む。 | 橋を渡って右に登山口。駐車スペースは2台分。 | @登山口の様子。ホワイトボードが掲げられ、レポートや伝言が書かれていた。 |
よく踏まれた登山道。 | A流れを跨ぐ場所。給水可。 | Bここか良く判らなかった。流れは向かって右側にあり、矢印方向には水場らしい場所が見えなかった。 | 樹林間隔の広い斜面を石灰石を踏みながら登って行く。 |
途中の展望場から白鳥山側。 | ムラサキシキブが宝石のよう綺麗。 | C2番目の水場。進路左側に流れがあり、僅か上流が源頭。 | Cやや汲み辛いが、水量はある。 |
頻繁に赤ペンキや赤テープが導く。 | 急登箇所の連続。タイガーロープ敷設箇所も数え切れない。 | 1010m地点。急登が終わり、ここから谷ルート。 | 小谷の中を足許もドロドロにしながら進む。 |
濡れていて落ち葉もあり、良く滑る。 | 1200mの肩の場所から見る黒姫山。 | Dコンクリート構造の大きな祠。 | D登頂の挨拶をし・・・。 |
D少し潮風にやられ黄ばんでいるが、この大きさは紛れもない一等点。 | D唯一山名を記した標柱。 | D糸魚川市内方向。このあとすぐにガスが上がる | D千丈峰(東)側。 |
Dヤキソバパンと日本海。 | D直下まで工事のエリアが迫ってきていた。 | D山頂から肩側。 | 地形図の破線ルート分岐。 |
地形図の道は北に進む。右に見ながら清水倉側へ。 | 1010m地点。古い木片道標が打たれている。下側にも数個見られた。 | トラバース斜面。気持ちがいい場所。 | 一本杉。 |
石灰岩が川のように見える。陽射しが強いと白さが目立つ。 | これらマーキングが乱打気味にある。 | E登山口到着 |
長い間寝かしておいた場所。私の日頃は事前に山行予定が決まることが稀であり、咄嗟の発案にこの山は対応していなかった(個人的感覚)。電気化学工業さんの敷地を通らねばアプローチできず、予約や申し込みが必要なのだった。いや、実際は申し込んだことがないので、どう手続きするのかは正確には判らない。ただし、登るに際し、個人の思いだけでは行動できない場所であることは確か。社有地を通る事で、そのまま他人の家の庭を通る形となる。これらの事から、少し面倒に思って登っていなかった。しかし、そのデンカルートは2008年4月に通行禁止になった。工事に寄るものであるが、デンカさんも長らくハイカーのために仕事外業務をしていたわけであり、それを少し気の毒に思ったりもした。よって、結果としては良い事なのかと思えている。
急な小用が入り、直江津に向かうことになった。アポ時間は駅前に16:30。時間十分、ここぞとばかりに青梅黒姫山を目指すこととする。関東側は天気が良いようだが、日本海側は少し曇天模様。それでも晩秋を楽しむべく、彩を期待して向かう。高速なら2時間ちょっとで着く場所であるが、山行行程が長い場所ではなく、のんびりと下道を走って現地に向かって行った。大町から小谷村に抜ける頃、夜が白みだす。外気温計は11度を示していた。この時期にして温かいと思えた。糸魚川に入り、国道8号線の裏道と言える、一本南の道を西に進んでゆく。途中から黒姫山登山口を示す道標が現れ、それに従い青海側沿いの道を詰めて行く。デンカさんの従業員が朝の通勤時間で、前へ後への車が、敷地内の駐車場に入っては赤いテールランプを点灯させて停まっていた。その敷地を見ながら進むと、懐かしいボンネットバスが綺麗な状態で車庫に入っていた。昭和を感じる風景であった。
進んで行くとY字路となる。その又の部分に小さく黒姫山とあるが、かなり見え辛い状況になっていた。左の道を選ぶと、やや狭い橋で青海川を渡り、カネヨクリーンセンターの脇に着く。ここで右手の道を選ぶと、僅か先が登山口。突っ込むと2台分のスペースしかなかった。一方カネヨさんの敷地は広く、少し羨ましい限り。もし先客が登山口を埋めていたら、周囲にあまり余地が無い場所。300名山でもあり、ハイカーが途絶えることはないであろうここ、少し整備も必要か・・・。もしくはカネヨさんが有料で敷地の一部を解放するって手もあるかと思えた。駐車余地の西側には流れがあり給水も可能。すぐに準備をする。なにか熊が多いとも聞いているが、今日は熊に会いたい気分でもあった。鳴り物は鳴らさず静かに登山道に入って行く。
登山道の最初は、よく踏まれたしっかりとした道形で続く。マーキングも多く、その赤色が目に鮮やか。そして20分ほど進むと、小沢を渡渉する。ここでも給水可能だが、ここからさらに4分ほどで「飲料水」とか書かれた標識がある。矢印は北側を示しているのだが、その方向を見ても、らしい水場は無く、反対に南側には先ほど渡った小沢の流れがある。ここは往路復路と注意して見たが、その存在が判らなかった場所。静かに足を進めてゆくと、いつしか足許に石灰岩がゴロゴロとしだしていた。この地の名物であり、握りこぶし大を手にとって見る。デンカさんはこの石で食っているのか・・・なんて思うのだった。緩やかな道、周囲は樹林間隔が広くとても気持ちが良い。胡桃やトチの実が落ちているが、周囲の木々には爪痕のようなものは無し、さらには割って食べている形跡も皆無。それらを見ながら、“ここにはあまり居ないのか”とつぶやく。なぜここまでに思うかと言うと、この日は松本の三才山を越える時に、道路の中央に鹿が蹲っていた。車にぶつけられ放置されたらしく悲しそうな眼がヘッドライトに映し出された。可哀相であり車を路肩に寄せて、その重い鹿を抱きかかえるように路肩に寄せてあげた。昼間になってどうなるか判らないが、あのままだったらもう一度轢かれただろう。そんなこんなで、人恋しいのと同じような動物恋しさがあるのだった。
登山道は相変わらずの明瞭。その途中の展望場から振り返ると、白鳥山側が綺麗に見えていた。周囲の紅葉も終わりを向かえ、その彩がくすんだ中、ムラサキシキブの紫玉が宝石のように見えていた。そしてここまでの緩やかな道の最終地点と言えよう場所に、2回目の「飲料水」表示があった。ここはしっかり北側に流れが出ており、その源頭の湧水点は僅か先にあった。少し硬い感じがしたが、冷たく美味しい水であった。ここから道の状態が悪くなる。タイガーロープの敷設箇所も多くなり、何せ足元が滑る。そんな中でも、しっかりと赤ペンキやマーキングが道の場所を示していた。周囲の木々を掴みながら登る箇所もあり、濡れた木々が多く爪の中を黒くしながら登っていた。
1010m地点で急登が終わり、上の大地に上がった形となる。登り上げた左側に大きな窪地があり、それを左に見て登山道は谷形状の中を進んでゆく。ここからが今までに輪をかけてヌチャヌチャの場所で、スパッツをしていたから良いものの、膝下がドロドロになっていった。周囲地形は赤土の粘土質。まこと良く滑った。日頃は頼りにしないタイガーロープも、流石にしっかりと握って体を持ち上げていった。文句ばかり言ってはいけない。これら整備された方に感謝せねば・・・。そうこうしていると左からの道が合流。これがデンカさんからの道であろう。そこにある道標には、山頂まで350mとあった。もう僅か。この場所から僅かに上がると、山塊の西の肩となり、そこから見る黒姫山山頂はなかなか格好が良い。山頂の祠がアクセントとなり、存在感がある山頂に見えていた。少しゴツゴツとした岩場の上を行く。一つ遭難碑もあったりして、焦らずゆっくりと足を進める。
黒姫山山頂。南側からしきりに重機の音がする。かなり登ってきた感じだが、ここもまた里山の部類と言って良いのだろう。と言うか、武甲山や叶山のような石灰採掘の山。ここも山が削られているのか・・・。音の方に目を凝らすと、埃立つ地形が見えた。間違いなく採掘しているよう。先ほどまでは音だけだったが、視覚が伴い、山が痛いげに思えた。周囲を360度見回す。大満足の展望であった。なんと言っても日本海側の展望が良い。ただし速い速度でガスが湧き上がってきていた。良いタイミングで登れたのか、それ以降は展望が無くなってしまった。大きな祠を見て、その横の一等点を拝む。ルート紹介はないようだが、東側の石灰採掘場側にも道形が降りていた。今日は冬季以来ひさしぶりにテルモスにお湯を入れてきた。それに温まりながら小休止。しかしガスが上がり長居は無用。
下山は滑らぬよう注意しながら降りる。デンカルートへの分岐は、やもすると間違えてしまいそうな感じでもあった。注意していながらも2度3度とスリップして転倒。顔面を強打したり、それ相応に自然と戯れさせていただく。途中の倒木に、沢山のナメコが出ていた。少し頂く。キノコがあまり判らないので、恐る恐る頂くが正解。家に戻って調べたら、間違いなくナメコのようであった(今現在、食べても生きている)。1010mの下降点のような場所から一気に下る。下りながら鈴の音と声が上がってきていた。ご夫妻らしきハイカーが休憩しているところであった。「熊の形跡はありましたか?」と聞かれ、自信を持って「皆無です。会いたいのに会えませんでした」と返す。水場で喉を潤し闊歩して下る。陽射しの入ったトラバース斜面では、本当に石灰岩の堆積が、川の流れがあるように見えていた。一つ拾ってケルン風に積んでみる。ここで思った。人工的な赤いマーキングも良いが、ここ特産の石灰岩でのマーキングはどうだろうか。より自然な感じで良いのではないだろうか。北アの貧乏沢などは、そのほとんどがケルン道標であった。ここは白く目立つ石灰岩の利があり、やってみると良いのではないか・・・。そんなことを思いつつ足を進めると、登山口に到着。
ドロドロになった足許を、小さな流れで洗い落とす。装備欠落。ここに入る場合は、束子などを持った方がいいだろう。粘土質の土は、なかなか靴から離れようとしなかった。家で洗う人はともかく、現地で洗う派の方は装備したほうが良いだろう。ひすいの湯で汗を落としてから直江津に向かって行く。