猿倉山   344.7m    御前山   559m     小佐波御前山   754.2m            
       
        


 2011.4.9(土)   


  雨     単独       風の城駐車場より往復          行動時間2H29M


@駐車場7:30→(6M)→A猿倉山7:36→(35M)→B御前山8:11〜13→(47M)→C小佐波御前山9:00〜03→(29M)→D御前山下9:32→(21M)→E猿倉山9:53〜55→(4M)→F駐車場9:59


cyuusya.jpg  kazenoshiro.jpg  sarukurasankaku.jpg  textutou.jpg 
@駐車場から風の城へ A猿倉山(風の城) A三等点 途中の鉄塔付近で、たっぷりと雪がある。
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B御前山。休憩舎のスプレーによるいたずら書きが淫ら。 B南側の展望 途中で至近距離でカモシカと遭遇。 雪の上でマンサクの花も開花。
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途中から小佐波御前山を望む。 山頂直下の広い地形。  C小佐波御前山。この時期の最高点は東側にある。 C最高点から見る西側。
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C小佐波御前山三角点付近。 Cやや下がった辺りに祠が鎮座。 C山頂から西側。 C山頂から飛騨側の展望。
kakoucyuu.jpg  gozenyamashita.jpg  toraba.jpg  sarukurakaeri.jpg 
雪質も適当で、グリセードで下降。 D御前山下通過。 この時期唯一の難所か。難所では無いが、このトラバースのみ足場が良くない。 E猿倉山に戻る。
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E猿倉城址 F駐車場に下山。


 

 小用が出来、北陸方面に出向く事になった。しかし土曜日の天気は雨。翌日曜日は晴れのようであるが、動けるのは土曜日。思う山はちらほらあるのだが、ここはコンパクトにまとめて欲張らない計画とし、有峰林道(富山)の西側にある高頭山(タカズコヤマ)を狙うことにした。紹介誌を見るとそろそろ適季のようでもあり、一方でまだまだ残雪を楽しめる標高であり、春らしい登山が出来るだろうと踏んだ。

 

 北陸道は立山インターで降りて、岩峅寺駅前を通って河内花崎線に入って行く。降り続く大きな雨粒がフロントガラスを叩く。既に夜が明けきり周囲も明るい。なんだかいろんな意味でちょっと後ろ向きな気分なる。熊野川に沿って進むと、集落を抜けた先に、対岸にやや立派な無名滝が見える。“おっ、こんな所に滝が・・・”なんて思っていたら、万事休す、ゲートで道が塞がれていた。冬季通行止めであり、ここまで調べて来なかった。残念。時間に余裕があれば、歩いて入ってもよかったが、この天気では・・・。さらには後の用事が閊えている。頭を切り替え別の場所を目指す。ここでモチベーションがさらに落ちていくのは当たり前。思い浮かべる山々の標高がどんどん落ちてゆく。この近くで、登り易くて・・・。地図もないので記憶から辿るしかなく、過去に上がった猿倉城址の奥が未踏になっている事を思い出した。向かうは小佐波御前山。そうと決まればサッと移動。

 

 舟倉地区の方から、猿倉城址公園スキー場に入って行く。周辺には既に雪は無く、ズンズンと上の駐車場に上がってゆける。途中で林道側に入るが、雪の重みに寄る倒木があり、600mほど入った辺りで通行止め。引き返して風の城の駐車場に上がる。この天気に、さすがに誰も居らず閑散としていた。立ち並ぶ東屋のひとつを借りて雨具を着込む。普通ならスタートが雨なら中止なのだろうが、私はあまり意に介さない。この行動原理は、ほとんど病気だからだろう。ここから小佐波御前山までは往復7キロほど。御前山までは歩いているので、様子は判る。だからなぜに何も持たないことに繋がるかと言うと疑問だが、空荷で出発となった。

 

 猿倉山への階段には一部で雪が残っていた。そしてすぐに風の城がある猿倉山城址に到着。富山平野から日本海までが見渡せ、このあと天気が回復してくるのかと思えた。東に下りこみ、しばらく舗装路を進み、また山道に入る。この辺りは日当たりの関係か、残雪が多い。そして送電線鉄塔のまで上がると、もうしっかりとした残雪ハイクとなった。ここ数日来は登った人が居ないようで、トレースは無し。やや硬い雪を踏みしめながら上がって行く。そして御前山への最後は、急峻を蹴り付けながらの直登。この動作も久しぶりで、かなり新鮮だったりする。

 

 御前山の上は、雪が溶け視覚的暖かさのある山頂となっていた。しかし休憩舎にされたスプレーでのいたずら書きには閉口。ここは最初に突っ込もうと思った林道を使えばアプローチは楽。よってモラルを欠いた方々も普通に立てるピークなのだった。振り返り富山平野側を見るも、既に垂れ込めた雲に覆われていた。さっき撮っていれば・・・。前回ここまで入ったのは2000年2月。もう11年前の事になる。でもその全てが今でも甦る。登山のすばらしい所は、この部分。足で歩いている事が、ゆっくりと周囲が脳裏に刻まれることに繋がる。トイレ舎の方へ降りて行き、林道に乗る。この付近からは雪が緩く、20センチほどのつぼ足が続く。これまでが歩き易かったために、ひどく疲れるような気になる。道標のほとんどが雪から顔を出しているものの、それを見ての安心感は無かった。色彩的な部分からか・・・。

 

 途中で進路が林道を離れ直角に左(東)側に進んで行く。この辺りにはトレースが残り、それらを追いながら進んでいた。すると、ふと5mほど先の雑木の中から、こちらを見る目を発見した。凜とした表情で、しっかりとこちらを見据えている。カモシカのオスだった、雨に濡れだいぶ体がコンパクトに見えたが、外部からのよそ者の私に対し、警戒しつつ暖かく出迎えてくれた。刺激を与えないよう静かに通過して行くも、彼は警戒音を上げながら走り去っていった。周囲では独特の黄色い花弁でマンサクの花が出迎えてくれる。これを見ると、強く春を感じるのだった。アップダウンを僅かに繰り返し、前方がだんだん開けてくる。そこに目指すピークがあることはハッキリし、もう少しもう少しとの意識になる。先ほどのカモシカなのだろう。崖の上の残雪からこちらを振り返っている。“わりぃーなー邪魔して”心で話す。そして最後は東進していた向きをやや北に変え登りあげる。

 

 小佐波御前山の現在の最高点は東の端になっていた。これは積雪によるマジックだろう。一応その東に行き、自己満足。次に西に戻り、地形図の三角点ポイントに立つ。ここは少し周囲が開けて居る場所。この場所から南を見ると、少し下った場所に祠が鎮座していた。天気が良ければ展望の場所のようであるが、今日は生憎の天気。ふと耳を澄ますと、なにやらお囃子の音が聞こえる。間違いなく何処かで村祭り、春祭りをしているよう。なにか自粛ムードのこのご時勢にその音が嬉しくなり、急いで下る事を決めた。

 

 クリセードーで降りて行く。雪質がちょうど良く、快適も快適。ヒール滑りも出来、楽しく快調に下って行く。そして林道に戻り、御前山に向かっていると、一人のハイカーが登ってきた。こんな天気に私を含めもの好きはいるもの。快活に挨拶をしあい背を向ける。御前山は、山頂を通らずトイレ舎のところから散策路に降りて行く。短時間での往復なので雪質は変わらぬまま。雨も雪を溶かすふうでもなく、残雪を利に歩ける感じだった。下って行くほどにお囃子の音が強くなり、気分が高揚する。こんな時に自分を日本人に強く思う。笛や太鼓の音色が心地いいのだった。もしやそれらが谷間に木霊していて、とてもいい場所でその音を聞いていたのかもしれない。

 

 風の城まで戻る。カップルでも上がってきているかと思ったが、静かな山頂部のままであった。駐車場に降りて行くと、我が車と先ほどの方の車だろう2台になっていた。少し早足で歩いたので雨具の中はサウナ状態。またまた東屋の中で着替えて麓に降りて行く。聞こえていたお囃子は、八幡宮の春祭りであった。小さなお祭りであったが、獅子を退治するような子供らの舞が見え、暖かい気持ちになれた。


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