白髪岩  1512m     
            
 2011.8.20(土)   


  雨     単独       八倉峠(御荷鉾林道)から往復          行動時間3H16M


@八倉峠9:21→(80M)→A杖植峠東白髪岩への分岐点10:41→(15M)→B1499高点10:56→(13M)→C白髪岩11:07〜20→(22M)→D御荷鉾林道分岐点(A)11:42→(55M)→E八倉峠12:37


shionosawa.jpg  hachikuratuukoudome.jpg  houraku.jpg  hokora.jpg 
塩ノ沢峠の所から御荷鉾林道に入って行く。 @八倉峠から先の御荷鉾林道は崩落により通行止め。工事の現場監督に交渉し、工事用道路の通行許可を得る。 @正面上部へ林道が続いていたが、大きく崩落して、再生を諦めた様子。迂回路が出来ている。 @八倉峠の祠と石仏には、真新しい花が供えられていた。
aokuraheno.jpg  rindou.jpg  iriguchi.jpg  rindoukara.jpg 
下仁田町青倉地区へ降りて行く下降点。ここから八倉峠側に進めないようバリケードされていた。青倉からなら御荷鉾林道に入れるよう。 通行止めが長いせいか、流れにより掘れた場所も目立ったが、スーパー林道らしい、このような綺麗な場所も多々ある。 A杖植峠東側。藤岡市と下仁田町の市郡界の場所から、北側に道が入っている。 A道標があるので判りやすい。無かったら、立ち止まってしまう場所。
kyuto.jpg  tozandou.jpg  sasa2.jpg  sasa.jpg 
山道に入ると、いきなり急登で尾根に乗る。 意外によく踏まれた道。 途中は笹が繁茂。朝方は濡れること間違いない。 ササは膝くらいの高さ。
1499he.jpg  1499.jpg  oneko-su.jpg  ro-pe.jpg 
1499高点に突き上げて行く。 B1499高点。 1499高点から先は、直登コースと迂回コースが設けられている。直登コースの方が道形が濃い。 滑りやすい急登箇所にはロープが流してある場所もある。
temaenoiwaba.jpg  sancyou.jpg  gensakkaku.jpg  zenkei.jpg 
名前に「岩」と付くだけあって、山頂付近は岩場がある。 C西側から見る山頂部。けっこう明るいいい場所。 Cお目当ての原三角測点。 C東側から
kaisetu.jpg  zukonten.jpg  kaeri.jpg  ukai.jpg 
C解説文が添えられている。 C山頂の東側には三角点のように見える図根点がある。 帰りの岩尾根の上から。晴れていれば展望がある模様。 帰りは迂回ルートを辿る。少し踏み跡が薄い。
rindounideru.jpg hachikura.jpg     
D御荷鉾林道に戻る。 E八倉峠に戻る。工事現場用の敷地を駐車に拝借(許可を得た)。


  

 7〜8年ほど前だろうか、この白髪岩で見つかった原三角測点が仲間内で話題に上がった。しかし、地形図にも山名事典にも載らないこのポイント、それが為に足が向かなかった。しかし最近、風の噂で地形図に載るよう動きが出ていると聞いた。こうなると少し足が向くようになった。そして、前週に雲取山の原三角測点を見ているので、そのための連続する興味もあった。実はこの日は北アの小槍登攀の日で猛者クライマー氏との予定がされていた。しかしこの天気、迷いなく中止となったのだった。

 白髪岩を狙うには、北側から登る方法。御荷鉾スーパー林道からアプローチする方法に二通りが選べる。ここでの判断は、スーパー林道からの方が優しいと思えた。後はこの山と抱き合わせで、塩ノ沢峠南の藤屋さんのうどんが食べたかった。こうなるとアプローチ経路は、湯ノ沢トンネルを潜って塩ノ沢峠に突き上げ、そこから御荷鉾スーパー林道に入ると言う計画となった。
 

 小槍が中止になったので、不貞寝ではないのだが、久しぶりに金曜日に睡眠をとり朝を迎えた。そしてのんびりとスタート。僅かな距離で山頂を踏めるからと、この時は思っていた。下仁田から南牧村、磐戸地区から湯の沢トンネルを潜って上野村に入る。すぐにあるやまびこ荘の道標に従い左折して塩ノ沢峠に向かって行く。湯の沢トンネルが出来る前は、この道しかなかったので、何度通った事か・・・今では全く通らなくなり、懐かしい道となる。やまびこ荘の前を通過し、クネクネと峠に向かって行く。そして峠の僅か手前からスーパー林道への分岐がある。何度かここにバリケードがされていたことがあるが、この日はそれはなく、すんなりとスーパー林道に乗る。林道周囲の広葉樹は、つい最近伐採したてのようで、暖炉を持っている方が飛びつきそうな木がいくつも横たわっていた。左右にそれらを見ながら快走していく。

 檜沢峠、次ぎに日影山を巻き込むように進み、だんだんと現地が近くなっていると思った矢先の八倉峠で万事休す。その先が通行止めとなっていた。あと僅かなのに・・・。その先の林道は、距離にして50mほどが崩落して、もう復旧を諦めたのか、コンクリートのよう壁となっていた。その代替ルートが造られてあるのだが、工事用道路で、「侵入者は通報される」と注意書きがされていた。やむなく、そこから旧中里村の平原地区へ下って行く道に入る。迂回路でもあるのではないかと思ったのだが、5分ほど走ってもない。そもそもどんどん高度を下げていく道で、地形図を見ても迂回路など造りようが無いような場所であった。狭い林道内でユーターンして峠まで戻る。

 八倉峠は工事用の飯場になっていて、プレハブ小屋があった。土曜日の朝9時。中からは明かりが洩れていた。飯場の敷地に車を入れ、プレハブ小屋の扉を開ける。中に現場監督らしい人が一人居た。ナンバーがナンバーなので、色々聞かれると面倒くさいので、こんな時は利用する。「石川県から白髪岩を登りに来たのですが、道の不通を知らなくて・・・」。相手はにこやかに笑っている。「無理です。向こうへは行けません」。私が「歩いてもダメですか」との問いにも「歩きも無理ですね」と返して来た。しかし、どうみても迂回路がつけられている。「あれを利用されてもらってはいけないですか、歩きでの通過でいいので」。外は雨、なんちゃって石川から来た私に、少し哀れみを抱いたのか、「通常は人も車も通さないのですが、今日はいいです」と許可を得られた。丁重に頭を下げて出発の準備となった。

 

 まさかここで停められるとは・・・。簡単に踏んでこようと思った気持ちに、少しだけやる気を乗せねばならなかった。3キロくらいのアルバイト、往復6キロを当初の予定にプラスせねばならなかった。こうなると、うどん屋さんのやっている時間に間に合うのか否かの問題も発生してきた。ま、それよりは山が優先なのだが・・・。雨具を着込み、峠にある石仏と祠に挨拶をして出発。工事関係者の好意であろう、綺麗なお花がお供えしてあった。

 バリケードを跨いで進むと、良く踏まれたダート林道が繋がっていた。工事は後ひと月ほどで終わる。その期間内にここも舗装されるのか。もしくは工事は延長されるのか。崖下に見えていた工事現場からは、ひと月では終わらないように見えた。前年度からの長い工事。治山工事も大変に思える。

 

 ダート道を進むと、左から道が合流する。これがこれまでのスーパー林道で間違いない。その合流地点から僅かで、目の前にバリケードが現れた。ここは下仁田の青倉地区へ降りて行く林道。八倉峠側を塞いでいると言う事は、この林道は生きているよう。情報を調べて出向けば、青倉地区からスーパー林道にアプローチすれば良かった事になる。ただし藤屋さんと切り離さねばならないが・・・。ここからのスーパー林道は、少し掘れた場所もあり、車の通過があまり無いように見えていた。両側の雑草も茂り、廃林道のような雰囲気もあった。右手(南)にある日向山を掠めるように東進して行く。どこからか車の往来があるのではないかと思いつつ進んでいたが、天気もあるのか、静かな林道のままであった。

 

 その昔、南小太郎山へ行くのに、その前にある白髪山に取り付いた時の道形を右に見る。もう十年以上経過するのに、まだ記憶に残っている。これが山歩きのいいところ。そして、そろそろ藤岡市と下仁田町との市郡界尾根となる場所に、「白髪岩」の同様を見る。薮道を自分で判読するのかと思っていたが、ありがたい案内板であった。立ち止まる事無く、示す道に入って行く。ここから先も、意外やよく踏まれた道。もう少し藪化していると思っていたが、クッキリとした道形がそこにあった。最初の急登を経て長いトラバース道。時折ピンクのリボンや赤布が下がる。雨なので雨具を着ているが、周囲は膝くらいの笹がある。雨がない場合でも、朝方の通過は濡れる場所であろう。

 

 最初に突き上げて登るのが1499高点のピーク。この山頂部にはしっかりと道標があるので現在地が判る。ここから進行方向が90度変わり東に。そしてルートがこの先二手に分かれる。迂回ルートと直登ルートとあるのだが、直登とは尾根を純粋に辿るルートであった。往路はその直登ルートで進んで行く。登ると書いてあるわりには、最初は大きく高度を下げて行く。その先から登りに入るのだが、少しづつ岩が出てくるようになる。邪魔をするほどでもないが、これが山名に「岩」が付く部分なのだろう。開けた場所では、晴れていれば周囲展望もあるのだろうが、この日は・・・。ロープを流してある場所もあり、有志により管理もされている様子。やや狭い鬱蒼とした尾根道を行くと、ガスの中に明るい場所が開けた。

 

 白髪岩到着。その中央に原三角測点が鎮座していた。なんとも居心地のいいピーク。展望はゼロだが、なんだろうこの気持ちよさ。ホンワカとした自然に抱かれている感じ。点の横には、解説文面も添えられていた。北東側に僅かに進むと図根点が埋められており、それが三角点のように見えていた。やっと訪ねられた。三角点マニアの中では有名な場所。聖地的雰囲気が十分ある場所で、訪れて良かったと思えた。

 

 復路は、迂回路コースを伝ってみるが、道がやや薄い場所もある。濃いのは直登コースの方だった。1499高点を含め、アップダウンを何度か経てスーパー林道に戻る。既に12時か近い。残り3キロ。少し急がないと藤屋さんが閉じてしまう。コンパスを少し広げ、つま先で地面を蹴る様に足早に戻って行く。シュルシュルと雨具の擦れる音がする。頭の上からは、ポツポツと雨音。そして周囲からは野鳥の声。ガスで視界の無い時は、耳で楽しむ。そして雨の時は木々の香りも香しい。

 

 八倉峠に戻り、プレハブ小屋の方へ一礼。見ていなくとも礼儀は果たす。そして祠に一礼。許可を出してくれた方に感謝し、自然に感謝する。白髪岩、なかなかいい山だった。人工物が自然と同化し、あの場所を引き立たせている。大事に守りたい場所でもある。

 
chizu1.jpg


chizu2.jpg

chizu3.jpg

chizu4.jpg 

                           戻る