四阿山 2332.9m 根子岳 2207m
2012.08.19(日)
晴れのち小雨 パーティー 菅平牧場から 行動時間:5H56M
@菅平牧場8:01
→(4M)→A登山口8:05→(55M)→B三角点峰9:00→(69M)→C根子岳分岐10:09→(14M)→D四阿山10:23〜43→(68M)→E根子岳11:51〜12:38→(79M)→F菅平牧場13:57
@菅平牧場からスタート | トイレ舎前を右に | A登山口から山道に | 樹林の中の気持ちいいルート。夏向き。 |
橋を渡り。 | B三角点峰で休憩。 | 下界が綺麗。 | 四阿山を望む。 |
綺麗!! | C根子岳との分岐点 | もうすぐ。 | 階段整備され・・・。 |
祠に挨拶をし。 | こちらの祠にも。 | D四阿山到着。 | Dさすが百名山。賑やか。 |
D吾妻山。 | 根子岳への分岐帰り。 | 最低鞍部から見る根子岳側。 | 肩にある岩峰から山頂を望む。 |
岩峰から四阿山側。既にガスの中。 | 岩の間を通り。 | もうすぐ根子岳。 | E根子岳到着。 |
Eお約束のヤキソバパン。 | E祠の中には大黒天。 | 下山開始 | 牧場側に下るとヤナギランが見事。 |
途中に東屋も整備され。 | 東屋から見る牧場側。 | F菅平牧場管理棟前 |
7月29日の八ヶ岳は天狗岳の計画時、不参加になった方のリベンジ山行。このブームに乗って山歩きをしたいと・・・。と言っても、富士山は登っているらしく、装備もない中でスニーカーで、それも悪天の中で我慢しながら9時間をかけたと言う。なんと凄いバイタリティー。無謀と言うより感心してしまった。辛い思い出しかない「山」、そんな彼女に、今回は楽しい部分を擦り込みたい。行き先は四阿山とした。牧場からの登路は、気持ちがいい以外に負の要素なし。
朝の5時、待ち合わせ時間になっても姿を見せず。連絡をとると「今、起きました」と・・・。緊張感で眠れなかったのか、それとも天然か・・・。これも寛容に受け入れ、1時間待つことに・・・。そしてすまなそうにやってきた。キャンセルも選択しにあったろうに、良く来てくれた。まあ、彼女が来ない事には、この企画が意味を成さないのだが・・・。高速に飛び乗り、やや深めにアクセルを踏んですっ飛んでゆく。途中、佐久辺りでは豪雨になり、現地の天候が気になったが、小諸辺りから快晴となり、夏の日差しを受けながら上田菅平で降りた。
144号を伝い菅平高原に入ると、各種スポーツチームがあちこちで動き出していた。サッカーにラグビーに、プーンと匂いそうな剣道着に身を包んだ団体も走っている。これが菅平。ダボススキー場を巻き込むようにして菅平牧場に向かって行く。勾配のある一直線の道を突き上げて行くと牧場で、駐車場管理のおじさんがいて交通整理をして駐車場を指定していた。停まっているのはほとんどハイカーの車のよう。その大半は既にスタートしている感じ。ちらほらとこれからスタートするパーティーも見られる。夏は暑くなる前に早出スタートがいい。1時間の遅れの影響は・・・。
牧場のトイレ舎のところで給水し、四阿山をまず目指す。体力を見極めて、ここに根子岳を抱き合わせる。根子岳に先に上がるのもいいと思ったが、その先の四阿山側の急登がどうかと思った。まずは四阿山。牧場内の登山口から緩やかに切られた登山道を登って行く。樹林の中の道で、夏向きなルート。沢も横にあり、その為の涼やかさもある。その沢を木橋で渡り、だんだんと樹林から抜け出す形となる。日差しを浴びた周囲は、ツリガネニンジンやヤマハハコ、マツムシソウなどが多く見られる。ツワブキの黄色も強烈。初心者の足を気にするが、その前に息が荒れていない。全く平気な様子。遅れも一切ない。
三角点ポイントで小休止。下界の景色が至極すばらしい。青い空に白い雲。夏らしい景色でもあった。展望を楽しみながらの登行は、疲れを忘れさせてくれている。風が無いのが残念だが、先の方を望むと、少しガスが上がってきている。この天気も急変するか・・・。中四阿のゴツゴツとした景色が、途中のアクセントとなってちょうどいい。尾根に登り上げた時、目の前で獣が跳ねた。やや大ぶりのカモシカであった。それこそ出会い頭で、相手も驚いたようだ。警戒音を響かせながら樹林の中に消えて行った。右に巻き込むようにして一旦下り、その先に見える登山道には、たくさんのハイカーが見られた。さすが百名山である。
根子岳との分岐点では休憩している方の姿も多い。開けた場所で、そんな気になる場所でもある。もう僅か、進んで行くと円錐形の顕著な高みがすぐ前にある。ただしどんどんと白いガスが覆ってきている。山頂からの展望があるのとないのとでは、登頂感が違う。富士山で全く展望がなかった同行者に見せてあげたかったが・・・ここは無理そう。鳥居峠への分岐を右に見て階段を上がって行く。夏休みを感じるが、子供の姿も多い。祠にここまでの無事を挨拶し、その先の小さな祠にも頭を垂れる。そしてその先でこれ以上の高みがなくなる。
四阿山到着。20名ほどが休憩していた。重かったザックを降ろし、中からやや大きめな球体を出す。しっかり冷し保冷処理してきたもの。その素肌は緑と黒の縦じま・・・。そこにナイフを入れると、皮の薄い真っ赤な果肉。前日に買ってきた八色スイカ。パーティー内は元より、周囲で山頂を同じくしている方々にも配る。ややガスっていたものの、ジューシーなアイテムで、登頂の喜びがより増す。15年ぶりの登頂。当時もこんな山頂だったと記憶が甦る。トランシーバーを握りながら時間を過ごしたっけ・・・と。初心者の疲れようを確認しようと、この先の根子岳への話を振ると、二つ返事「是非行きましょう」と言う。「じゃ、スイカの半分は向こうのピークで・・・」とザックに仕舞われる。
木道階段を下り再び根子岳の分岐。三角点峰でご一緒した方が、やっと登り上げてきていた。「もう下山ですか・・・」と苦笑いしている。さてここからが急降下。木の根の張り出す中を、足許に注意しながら降りて行く。根子側から登り上げてくる人も多いが、ここを登りに使うのはしんどそう。降り切ると、ドーンと根子岳の全容が見え、草原的な緑の景色は見応えがある。その中をハイカーの姿が点在する。いい感じ。やや風が強くなり体感温度も下がってきていた。根子に到着時は、冷え切らぬ前に上着を着る指南をする。
岩峰の上で10名ほどが休憩中。根子岳の東の肩的場所。展望も至極いい。振り返ると、四阿山は完全にガスの中。根子岳もやや灰色のガスに覆われつつあり、この先は時間との勝負。岩の間をすり抜けながら足を進めてゆく。こちらに来るとトリカブトの鮮やかなブルーが見られる。マツムシソウも、涼しそうな表情で立っている。花畑を見終わると、その先が山頂。
根子岳到着。懐かしい場所、先だってお亡くなりになったサル氏と登った場所。またまた往時の記憶が甦る。中央の祠を見ると、その中に大黒天が安置されていた。その表情は朗らか。半割りのスイカを出しナイフを入れる。そして周囲に配る。「これ、四阿山でみていて食べたいと思ってたんです」と四阿山から来た人に言われる。急に周囲が気になりキョロキョロしてしまう。配る相手を定めるのは独断と偏見。当然煙草をふかしている人などは選択肢から外れる。百害あって一利なし。吸っていなければ一利あり甘いスイカが貰えたのに・・・。幸いにも牧場側は展望があり、下界を眺めながらの大休止。初心者の方のザックの中からは、たくさんのお菓子や水、スープ類が出てきた・・・。「こんなにどうしたの?」と聞くと、「食べてもらおうと思って・・・」と。他人への配慮、荷の重さの苦痛より同行者を気遣う気持ち、すばらしい。外気温は18度。雨具を着込む同行者。スープやコーヒーの湯気が美味しくも感じたり。空模様が完全に怪しくなり下降を決める。あとは降りるだけ。
牧場側に降りて行くと、ここはヤナギランが乱れ咲き、あっちもこっちも、そのピンク色が見事。そして樹林帯に入るころにぽつぽつと落ち始め、シラカンバの中となると、土砂降りとなった。初心者に「傘持ってる」と聞くと、「はい」と返事。持っていないと思って聞いたのだが、そこまで用意しているとは・・・。蒸れる時期、傘が重宝。そう言った自分は持っておらず、フードを頭にひっかけ、つっ被るようにして雨を凌ぐ。ふと左側に大きな動きが・・・。何トンもあろうかと言うホルスタインが居た。雨など関係ないように草を食んでいる。雨は長続きせず、東屋に着く頃には上がってしまった。天気が急変する今日。着たり脱いだり、出したり仕舞ったり、まめにこれらをする訓練としては条件がいい。牧場のフェンスを右にしながら降りて行くのだが、その有刺鉄線に引っ掛けそうで怖かったりする。
雨が上がると、今度は夏日、雨具を前にかざしていると、みるみる乾いてゆくほど。それでも、根子岳を早くに降りてよかった。雨は30分ほど降っていたが、山頂の寒さの中であったならと思うと・・・。緩やかな牧場内のルートは、歩きながら整理体操しているようなもの。ルート選定としては時計回りより良かったろう。逆だったら、最後が樹林で展望がなくなる。下を向いて降りつつ展望があるのはこちら。
牧場に到着し、管理棟に犬が居るので寄って行く。この犬はとても臆病で、頭隠して尻隠さずのような行動を取る。おとなしい静かな犬であり、ちょっかいを掛けぬ方がいいようだった。車に到着し、無事山行を終える。「どうでした?」と聞くと「膝がガクガクです」と。そりゃそうだろう、日頃歩かない人にとっては、使わない筋肉が使われたわけで・・・。「でも、楽しかったです」の言葉に、ホッとする。