青笹山 1558m 仏谷山 1503.6m 青笹山 1732.4m
十枚山 1726m
2012.06.16(土)
雨 単独 奥山温泉から時計回りで周回 行動時間:9H55M
@奥山温泉5:01
→(26M)→A細島峠への登山口5:27→(13M)→B林道分岐5:40→(37M)→C田代峠6:17→(71M)→D青笹山7:28〜29→(34M)→E細島峠8:03→(17M)→F仏谷山8:20→(8M)→G地蔵峠8:28〜33→(70M)→H下十枚山9:43〜48→(14M)→I十枚峠10:02 →(21M)→J十枚山10:23〜26→(15M)→K十枚峠再び10:41→(62M)→L十枚山登山口(剣抜大洞林道)11:43→(85M)→M月夜の段13:08→(33M)→N地蔵峠への登山口13:41→(56M)→O篠井山登山口14:37→(19M)→P奥山温泉14:56
@奥山温泉の未舗装側の駐車スペースを借りる。 | 駐車場から1分でゲート。このゲートは鍵がされておらず開く。 | A細島峠への登山口。 | 細島観察舎。川べりの何の変哲もないような場所。 |
Bこの分岐を見落とさないよう | B見送る側の主林道。このまま伝ったら何処に行くのやら。 | 途中の作業舎。中は獣の足跡あり。雨宿り場所のよう。 | 田代峠下。林道幅はここで終わる。 |
フェンス付きの橋 | C田代峠。標識類で賑やか。 | Cお地蔵さんに旅の安全をお願いして・・・。 | 田代峠からの尾根斜面。踏み跡が獣道と乱れ、やや不明瞭。 |
1232高点の痩せ尾根の西側で、北への下降路が降りていた。(西から撮影) | 途中「青ガサ林道入口」の標柱があり、笹薮の5mほど先から道が開かれていた。 | 尾根ルート。既にこの辺りでヒルが沢山居る。 | D青笹山1550mピーク。 |
D青笹山だんご標識。 | D1550mピーク南から。 | 青笹山から20分ほど北に進むと西への下降点がある。 | E細島峠。小さな峠。 |
E行政の標識。 | F仏谷山。広く居心地のいい場所。 | F小がけのある山頂。この周辺もヒルが多い。 | G地蔵峠の標柱。 |
G地蔵峠の標識。この番号をどのように利用すればいいのか? | G地蔵峠のお地蔵さん。記帳ノートが置かれていた。御堂の中で雨宿りをさせてもらい小休止。 | 1652高点は岩岳と名付けられている様子。 | H下十枚山。山頂部にある大岩の上が最高所。 |
H下十枚山二等点 | H下十枚山は別名「天津山」(あまつやま) | H下十枚山を北から見る。 | I十枚峠 |
トレイルランナーがすれ違う。有志30人で、梅が島温泉から竜爪山側へ縦走するとの事。恐ろしい体力。 | J十枚山 | J十枚山お団子標識。 | 一級の道。ただし雨の日、トレイルランナーが駆けたので路面がヌタヌタになった場所が多かった。登山道を走ると、痛む・・・。 |
K十枚峠再び。ここから栂尾根に降りて行く。 | 十枚峠からの最初は長いトラバース道。やや笹が多い、不明瞭箇所もある。 | 硯石 | 栂尾根上の段 |
栂尾根中の段。やっと中間。 | 尾根の様子。途中途中に峠からの距離を示すプレートがある。 | 栂尾根下の段。そろそろこの尾根も終わる。 | L剣抜大洞林道が下に見える。 |
L十枚山登山口に降り立つ。ここでの表示は「3.8Km」尾根道の距離を示しているよう。 | 剣抜大洞1号橋。この上からの谷側の景色は高度感がある。 | 昨年の豪雨での被害らしい。崩落箇所があちこちにあり、危険な林道。 | 剣抜大橋。このルート一番の谷を通過。 |
M月夜の段。周辺域は伐採された斜面が広がり、ここはそこに植林がされていた。 | 分岐。左に行くと篠井山線に。進路は右。 | 篠井山線の入口ゲート。こちらは見送る。 | N地蔵峠への登山口。見落としやすい場所にある。フェンスを開けて入って行くよう。ケルンあり。 |
N地蔵峠登山口の道を挟んで反対側にある銘板。目印になるか。 | 分岐。ここは間違えようがないが、右に進む。左の林道は工事中だった。 | O篠井山登山口。トイレ付東屋。 | 東大地震研究所の建物。 |
グリーンロッジ。立派な宿泊施設のよう。この時期は無人だった。 | やっと最後の分岐。僅かに登り上げゴール。 | P奥山温泉の駐車場に戻る。東屋を借りて着替え、ヒルの最終チェック。 |
西大谷山以降、やや生温い山旅が続いている。この後の予定を考えると、この辺りでドカンと私らしい歩きをしておかないとフラストレーションが溜まる。どこかないか・・・天気は雨であり、その部分も考慮せねばならない。富士周辺をとも思ったが、その目はやや西に移り、山梨・静岡県境で止った。面白そうなロングコースが出来る。それも一筆書きで・・・。
この時は、全くヒルの存在などつゆ知らず。コースのみの確認で現地に向かうのだった。だがしかし、彼らの大勢での出迎えはありがたい限りなのだが、申し訳ないが気持ち悪さが優先する。梅雨以降の季節、天気もそうだが、彼らを気にしないとならないことを身にしみて体感することとなった。獣の増加、猟師の減少、里山の荒廃、山がどんどん変わってゆくよう。
1:30出発。野辺山を越えて須玉に下りる。52号線を南下し富栄橋西交差点からR801に入る。もう少し細い山道かと思ったが、意外に広い道で福士川に沿って遡上して行く。上村地区の分岐点がポイントで、ここで右折。本道は左側に広く進んでいるので間違えやすい。ただし随所に「奥山温泉」の案内表示があるので、それが安心材料になっている。先に続く道も悪くない。さすが土木王国山梨である。各地に行っているが、林道の入れる確立と状態の良さは、山梨が群を抜く。七ツ釜滝を右にしてしばらくでキャンプ場らしき雰囲気になる。温泉は何処なのか・・・とゆっくり進むと分岐が現れ、左折して200mほど登るとひっそりと建つ奥山温泉があった。雨の中、ガスに覆われた周辺景色。停まる車は皆無。淋しい場所に感じるのであった。施設側には舗装駐車場があり、その道向かいの未舗装駐車場に停める。ここには犬用の温泉場が設けられ、暖かい湯がジャバジャバと出ていた。“これなら人間様も入れる”なんて思ってしまった。すぐさま用意に入る。完全雨装備。ザックカバーもミレーの完全防雨型とした。
5:01林道をスタートする。温泉の貯泉タンクの先がゲートであるが、鍵はされておらず手で持ち上げるとバーは動いた。「通行できる林道が多い山梨」、この辺からもそう思うのであった。テクテクと林道歩き。外気温は20度を下回るくらい。ちょうど良い雨具歩行であったが、次第に発熱が汗をもたらし、冷えて冷たく感じる。ゲートから25分ほどで細島峠への登山口がある。青笹山を候補地に入れなければ伝ったかもしれないが、右に見て通過。すると今度は、墨字で細島観察舎と書かれた東屋がある。田代沢の脇に建つものであるが、休憩舎としては納得だが、観察となるとどうなのだろうか。野鳥に特化した物という事であろう。
観察舎から先は少し注意。林道からの分岐点がある。本道を進まずに左折する場所が10分後に現れる。表示がなければ間違いなくルートミスをしてしまう場所であった。指の絵が示す方向に左折。左折すると3分ほどで開放感満天な作業小屋が現れる。中を見ると獣の足跡があり、周囲でシカの警戒音がしていた。この小屋から15分ほど進むと、林道幅の終点地となる。勝手に田代峠下と名を付けた。ここから苔生した山道に入る。雨は一瞬たりとも弱まらず、大粒で振り下ろしていた。管理された東海歩道は、橋なども整備されている。ただし少し朽ちてきているのか、良く揺れる。
なにか嫌な予感がして雨具を見た。すると予感的中で吸血するあの動物がくっ付いていた。指で跳ねても全く取れず、ライターで炙っても取れなかった。摘んでも・・・。最後は棒切れで勢い良く振り下ろした。「ここはヒルの繁殖地か・・・」事前に調べてこない事を悔いた。足許を見ると、さらに二匹付いており、その動きは早い。これ以降、普通に歩いていてもむず痒く、潔癖症者ほどに雨具を気にして歩くことになった。血を吸われるより、出来うるチェックで未然防御なのだった。
植樹林の中を道標に従って進んで行く。小さな沢の脇を伝ったりし、気持ちの良い通過点であった。いつになったら前方が開けるのか・・・と思いつつ、雨ではあるが前の高い位置を望みつつ歩いていた。この辺りも小さなヒルが玉のように雨具に着く。先ほどから始めたチェックは欠かさない。先を見つつ、身の回りを見つつ・・・忙しい限りであった。そして田代峠到着。沢山の道標が立ち、賑やかな限り。そしてお地蔵さんがちょこんと立っている。このお地蔵さんは、北方稜線の大窓にあるお地蔵さんと酷似しているように思えた。深く挨拶。さてここから青笹山に向かう。峠に建つ案内図には、その方向に登山道が書いていない。そんな扱いのルートのようだ。
田代峠からの最初は、広い斜面の中にルートがあるのだが、木の根が張った場所の中にあり、そのために訪れた人は適当に踏んでいるようである。獣道が混ざっていたりするので、向かう方向をしっかり見て進みたい。ヒルを気にして足早になっているのが判る。ブユなどは、速い速度で歩くと付いてこれない時がある。同じように思ったのだが、残念ながらお構いなしのようであった。速く歩くと雨具の中は蒸し風呂で、それが次第に冷えてゆく。これまでの広い斜面が終わるのが標高1150mで、ここで一転して細尾根歩きとなる。1232高点がある場所では、極端な痩せ尾根となり、この先で北側に下降路が降りていた。先ほどの見送った林道と繋がっている様に予想する。
ズンズンと高度を上げて行くと、今度は南側に標柱が見えた。ここは標高1400m付近で、その標柱には「青ガサ林道入口」と読める。「青笹」でなく「青ガサ」・・・。矢印の指す方向は5mほど藪があり、その先から道が開かれていた。公式ではなく入口を伏せてあるって事か。尾瀬の荷鞍山へのルートさながらであった。左に見送り先を急ぐ。霧雨のような雨。風もやや出てきて冷される。1450m付近になると、左右の笹が雨の重みでルートを邪魔をすることが多くなる。こんな場所は、よりヒルが居るのではないかと、むず痒い心境で分けて進んでいた。そして右に一本の大ぶりな木が見えると、その先がこんもりとした高みとなった。
青笹山到着。こちらは1550mピーク。最高峰としては北に進んだ場所。しかし標識類の全てはここにあり、この高点で青笹山としているようであった。スタートからほぼ2.5時間。早いのか遅いのかが判っていなかった。ただ、この時期にして少し寒い日であることは気づいており、歩き方の変化をつけねばならないと考えていた。速過ぎても汗をかき、遅すぎたら温まらない。雨具を着た時は、ちょうどいいところを見つけるのが難しいのであった。撮影休憩のみで先を急ぐ。僅かに下って登り上げると1558高点。完全なる通過点で標識類は見えなかった。青笹山から18分ほど北進した場所に、西側への下降路が降りていた。「稜線出合」と標識があり地形図には載らないものの公的な道のよう。何処に繋がっているのか・・・。歩き易い一級の道が稜線に続いている。時折静岡の山岳会の表示が見えるが、その有志が管理しているのであろう。おかげさまで快適。スカイラインと言っていいほどに状態がいい。
細島峠は、気にしていなければ判らないほど小さな峠であった。この先はアップダウンは多いものの、負荷にならない高低差で行動は早かった。距離換算してまだ先に思っていた仏谷山に、あっという間に着いた感じがあった。この仏谷山は、展望こそ無いが広い居心地のいいピーク。ただし地面に腰は降ろせない。完全にトラウマ状態であった。途中、腰の辺りまで登ってきた固体を見つけ取り払うのだが、ノホホンとしたいつもの登山とは違い、刺すか刺されるかの緊張した登山になっていた。この仏谷山からは、一気に高度を下げてゆく。急下降気味な場所もあり、雨の日は足の置き場に気を使う場所も多い。木々を掴むも、その表皮がヌメッとしたりすると、そこに居るのでは・・・などともなり、完全なるヒルアレルギーになりつつあった。それも一度吸われ、なかなか血が止まらなかった過去があり、普通の反応かと思う。仏谷山までは早かったが、近いと思った地蔵峠までは、距離があるように感じた。
地蔵峠到着。広い広い峠で、山頂を示すような標柱も建てられていた。山梨側に僅かに登山道を進むと、お地蔵さんが鎮座するお堂がある。中に入り、身支度の修正をする。御堂の中には記帳ノートがあり、お地蔵さんにはビールなども手向けられていた。この御堂、その前には燈台の様にLED発光のソーラーライトが置かれていた。ある程度は充電して夜間に光るのであろう。峠に戻って北進を続ける。これまでも一級の道と思っていた稜線の道は、さらに特級の道と言えるほどに状態がいい。先ほど御堂で服装の調整をしたこともあり、雨具内部の濡れが無くなり、気分も含め快適になっていた。冬季は手袋如何で快適さが違ってくる。雨の日は雨具の下の服装が重要。常に換えは持つようにしている。
1652高点は「岩岳」と名付けられた標識が立っていた。という事は、この先の1682高点も名付けられているのかと予想して進んだが、皆無。世の中思ったようにいかないものである。すると、前方から、見るからにトレイルランナーが二人走ってきた。元気にすれ違う。そしてまた二人・・・。その方からは「こんな日にすれ違う人が居るとは思わなかった」とこぼれる。こちらも同じ言葉を返したい。この道の良さなら、走る場所として適当であろう。彼らは特殊な靴を履いていた。野球のスパイクのような突起の着いた、それでいて沢靴のようなもの。遊びも多様化して、いろんな道具が生み出されている様子。この後も一人とすれ違い、下十枚山に到着する。
下十枚山の南側には大岩があり、そこが最高点。山頂中央に二等点があり、その周囲を丸く石が覆っている。標識があり、下十枚山とともに「天津山」(あまつやま)と書かれたものも見える。休憩していると、またまたランナーが通過して行く・・・。こちらを仲間と思って不思議に見ているのか、服装は似ているが、持っているものが大きく違う・・・。十枚山に向けて歩き出すと、ランナーが立ち止まり話に応じてくれた。なんと、梅が島温泉からスタートして竜爪山の南まで縦走するのだそうだ。有志30名の参加で行われている様子。長い距離の企画、途中でなにかあってもフォローは出来るのか・・・と瞬時に思ったが、ここでそんなことを言っても仕方ない。この先、何人にもすれ違うようになる。困ったのは、彼らのうちの一人だろう、路面にどかっとキジ打ちの痕があった。走っている最中に出物腫れ物であり判らないではないが、場所を弁えて欲しい。生々しいそれを横目に進むと、十枚峠に到着。
十枚峠は、下山の下降点に決めた場所。下降する方を右に見て足を進める。いつしかヒルが着かなくなったことに気づいた。いつからか・・・地蔵峠辺りから着いていなかったような・・・。どんどんとランナーが来る。先頭と30分とか40分とか離れている。競技性があるのだろうが、やはりこの距離でこのバラけようは気になる。そして十枚山に到着すると、ランナーが休憩しており、「なんであんなに早く走れるの」と前を行く人の事を言っていた。30人も居れば、レベルは様々のよう。ドロドロの足回りで続々と登って来る。軽装であり、山屋だったら怒られそうな装備、だがトレイルランナーなら許される。なんだろうこの判断の差は・・・。十枚峠に戻って行く。ランナーの抜けた登山道はヌタヌタ。より強く踏みしめ、蹴るわけであり、路面が傷むのが見て取れた。自転車で登山道を走ったりする方が居るが、長い目で見るとどうなのだろう。
十枚峠に戻り、東側に降りて行く。笹がルートを塞ぎ、少し不安になるルート状況。刃物を入れるべき場所でそれがされておらず、上の方は管理されていないように見えた。長いトラバース。道を間違えたのかと思うほどに長かった。そして顕著な尾根に乗ると、硯石と書かれた標識が現れた。樹林の中のやや暗い尾根筋。寂しさが伴うようであり、これが自然であり、その中に居る感じがして嬉しかったりする。ここもヒルがちらほらと見えていた。足早に降りて行く。立ち止まる事は、ヒルの付着を奨励することであり、それは出来ない。ルート途中に距離数が書いてある。どうやら峠からの距離のようであり、下がるに連れ、数字が増えていった。
「栂尾根上の段」の標識が見えてから、次が「中の段」、登山口が近くなると「下の段」となる。そう言えば、南アルプスには「段」と表記する場所が多い。ここもそうなのだろう。長い尾根だった。下の林道が待ち遠しく高度を下げていた。上の方は斜面が急で九十九折があったりしたが、下の方に行くに従い緩やかになる。そして下に白く砂地が見えた。剣抜大洞林道が見えてきたのだった。そこに降りる僅か手前に、「3.8Km」と表示があった。峠からここまで長かった訳である。降り立つと「十枚山登山口」の標柱が建っていた。ここを使って登る人は居るのだろうか。好事家くらいなのだろう。どんな山も、最近は楽をして登頂が主流。そういう私も、そんな考えであり・・・。林道側のプレートには、ここから十枚山まで2時間15分と書かれていた。さあ長い林道歩き、くねくねとする剣抜大洞林道。地図を見るのも嫌になるほど長い。でも行かないと戻らない。
林道を歩き出してすぐに、剣抜大洞一号橋がある。ここからの谷川の景色は凄い高度感である。良くぞ橋を掛けたと言いたいほどに深い谷が下に見えた。続いて2号橋。こちらは小ぶりの谷だった。林道を歩いてゆくと、豪雨による被害が各所に見えていた。一番によう壁が壊れている所。次ぎに谷からの土砂の流出。今では何とか通過できるようにしてあるが、安全に通過できる林道ではない事は各所に見えていた。
南俣川を剣抜大橋で渡るが、地形図からは橋の下、川の中に破線ルートが在る事になっている。高度差のあるその下を見てみたが、それを見出すことはできなかった。林道のショートカット道でもあり期待していたが、豪雨が地形を変えてしまった様子であった。右に左に進む林道、コンパスを見ながら地図と見比べて現在地を探るのだが、進路方向が180度変わる場所があり、現在地を確認するにもたいへんであった。
月夜の段は、一帯が伐採林の場所で、広範囲に植林がされていた。地形図に見える登路の場所は、いまひとつ判らなかった。林業作業の杣道などもあり、判断できないのであった。3年前に行われた整備事業の表示も見える。その植林帯の保護用のカバーは、淫らにも全て外れていた。これでは獣に・・・。雪で取れてしまったのか、獣が取ってしまったのか。見ると木は元気に残っている。雪のよる不可抗力のよう。ただし一帯にゴミが散乱しているように見え、広大な景色が残念な景色に変わっていた。この場所から7分ほどで分岐がある。進路は右に行くのだが、左には「林道篠井山線」と言うのが開かれていた。
それにしても長い。月夜の段あたりを中間地点と思っていたが、残り半分と思うとうんざりする。けっこういいペースで飛ばしてきている。先ほどの登山口から分岐点まで1.5時間。残り1.5時間ほどで温泉まで届くか・・・。そう足し算して、15時頃に温泉に浸かる自分の様子を想像する。こうなると早足がさらに早足になる。途中地形図に1029高点があるが、その西側の場所に、地蔵峠への登山口があった。峠に行くには獣の防御柵を抜けて行かねばならなく、ドアーが着いていた。付近に駐車余地が無いのだが、下山後に聞いた話では、月夜の段までは車で入れる事になっているらしい。この先も林道は荒れており、どこでどう、そう判断しているのかは判らなかった。なにせコンクリートを吹き付けた壁がはがれている所が多い。そんな下を恐る恐る通過して行く。
福士川左俣の橋の袂に林道が一本分岐している。この林道は作業が進行形のようであった。テクテクテクテク、もう少し。右俣の橋の袂にはトイレ付の東屋があり、そこが篠井山の登山口であった。山側へ舗装路がしばらく登っていた。ここまで一度も雨は止まず。時折大粒になったりして頭を叩いていた。先の方に何か施設が見えてきた。東京大学の地震研究所であった。建物の上にGPSがあり、動きを見ているようである。この先にグリーンロッジの立派な建物が見えてくる。この時期にして誰もおらず、シーズンインとはなっていない様子。それにしても、この場所にして立派な施設であった。まだか、もうそろそろだろう、だんだん足の裏が熱くなってきており休憩を入れたかった。登山口からノンストップ。根性の歩き。すると前に見慣れた交差点。やっと奥山温泉への分岐に。残り200mを駆け上がる。林道歩き13キロ。長かった。
奥山温泉に到着すると、舗装駐車場側は満車状態。これほど人気の場所なのか・・・と意外だった。東屋で着替えるのだが、案の定、雨具の中から2匹出てきた。幸い吸血されずに済んだが、未然のチェックが甘かったことになる。自然界の動物の方が勝るって事か。大雨となり東屋が重宝した。横にある犬の温泉にそのまま入りたい気分でもあったが、温泉道具を持って人間様の入る方へ。温泉の前には釣の愛好者がおり、「釣れましたか・・・」と訊ねられた。似て非なり、「山を歩いてきたので・・・」と返すと「失礼しました・・」と。温泉に入っていると、先ほどの仲間の人が横に入ってきた。その方は根っからの山屋。岩登りもされる方で、方々のルートを歩いているようであった。いろんな情報を提供してくださり、ありがたい限りであった。一人静かに入る温泉もいいが、山談義が出来る温泉もいい。周回完結と温泉と、大満足。