駒ヶ岳(東峰)   1498m        鬼ヶ面山   1591m       鋸岳   1631.0m 
                        

 2012.06.23(土)   


  雨のち曇り     単独       山寺展望ミニ公園から時計回りで周回         行動時間:9H11M


@展望公園前5:18 →(14M)→・忘れ物をして一度戻りリスタート5:32→(38M)→A登山口6:10〜12→(24M)→B駒清水6:36→(102M)→C駒ヶ岳西峰(三角点峰)8:18〜19→(26M)→D駒ヶ岳(東峰)8:45→(59M)→・鬼ヶ面山9:44→(3M)→E鬼ヶ面山南峰(進路を迷う)9:47〜51→(51M)→F海谷渓谷への下降点10:42→(51M)→G鋸岳11:33〜43→(30M)→H雨飾温泉への下降点12:13→(60M)→I雨飾温泉13:13〜14→(75M)→J山寺の展望ミニ公園14:29


minikouen.jpg  rindoubunki.jpg  tozanguchi.jpg  koya.jpg
@山寺地区の展望公園には3台の駐車スペース。そこから駒ヶ岳登山口に向けて林道を登って行く。 大神堂からの林道と合流し、道標の示す方に上がって行く。 A駒ヶ岳登山口。少し登ると、右に見える小屋が在り、水も引かれている。駐車スペースは7〜8台か。 A開け放たれたままの小屋。トイレも完備。
koyanaibu.jpg  tozandou.jpg  komajimizu.jpg  shimatakisawa.jpg 
A中を覗くと、意外にきれい。ベッドもあったりする。 登山口からの最初。 B駒清水。最初の水場だが、この時期にしても非常に少ない。 島滝沢。2番目の水場。こちらは水量豊富。
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岩壁の下を行く。この岩は通り過ぎて振り返ると、剥離していて見栄えがする。 しばらく岩壁の下の歩行が続く。 急下降があったり。 ハングした岩の下のバンドを伝う。
nagare.jpg  zansetu.jpg  sankyoupa-kukarano.jpg  komagatake.jpg 
3番目の水場。最終水場。 1400m付近から残雪が多くなる。ルート上に残る場所は軽アイゼンが欲しかったり。 三峡パークからの道と合流。 C駒ヶ岳西峰。行政はここを「駒ヶ岳」としている。1487.4m。
waretasankaku.jpg  hokora.jpg  komaoni.jpg  shiraneaoi.jpg 
C割られた三角点。等級も読み取れない。 Cいろいろがギュッと固まって設置されている。 C駒ヶ岳から鬼ヶ面山。 東峰側へ進むとシラネアオイの群落。
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ツバメオモトも出迎える。 D駒ヶ岳最高所の東峰。日本山名事典では、ここで標高をとっている。 途中から見る鬼ヶ面山 急下降。やや樹木に塞がれ進路が見難い場所もある。残置ザイルが次々に現れる。
kikenkasyo.jpg kikenkasyoshita.jpg  kikenkasyo2.jpg  yaseone.jpg 
一番の危険箇所(崩落地)に入る。この左の木を跨ぐあたりから本気で・・・。それでも力まず降りられる場所。体を離して降りていこう。 下っている途中で見上げる。残置ザイルはかなり朽ちてきている。 下りきってトラバース。足場が細い。 1510m付近。北からの進路が東に変わる場所。痩せ尾根となる。
oniminamino.jpg  oniminami.jpg  oninokogiri.jpg  zansetuno.jpg 
ここまで出てしまうと、鬼ヶ面山の最高峰を巻いてしまっている。現在の登山道は山頂を通っていない。戻ってやせ尾根がある西側から取り付く。 Eここ鬼ヶ面山の南峰。ここから南に踏み跡が降りているので、間違わぬよう注意。進路は北峰側に25mほど戻った場所から東に入っている。 E鬼ヶ面山南峰から鋸岳。この先1458高点までは危険箇所なし。 稜線は残雪が多い。斜面はグリセードーで滑り降りる。
zansetunomeiro.jpg  umitanibunki.jpg  kabenoshita2.jpg  shitagawanimaku.jpg 
迷路のようになった残雪を伝いながら。 F海谷渓谷への下降点。しっかりとした道が降りている。 核心部に入る・この壁の前を通るのだが・・・。  壁の前には下降路もある。??
yajirushi.jpg  toraba.jpg  hashigo.jpg  hashigo2.jpg 
壁には赤い矢印があり、林道への下降点なのかと思って横目に通過。 進むと、朽ちたザイルが連続する危険な通過点。樹林の先にハシゴが見える。確保がないと、ちょっと危険な場所。ここで判った。先ほどの道は下巻きの道。 巻いている途中から進む先の長いはしごを見る。  支柱のボルトの太さ、その間隔、少し強度不足のように揺れるはしご。スリル満点。これぞ直登。 
hashigo3.jpg  garyoutai.jpg  mousugu.jpg  ro-pu.jpg 
長いはしごを終えると、短い距離のハシゴ場も。 僅かに岩稜帯を・・・。 もうすぐ鋸岳 鋸岳僅か手前に、ルートを塞ぐタイガーロープが設置してある。おそらく、以西に進まぬよう塞いでいる模様。ここが雨飾温泉への下降点。 
nokogiri.jpg  katamuita.jpg  sanntou.jpg  nokogiriame.jpg 
G鋸岳。標識類はなく、木っ端が数点散乱していた。  G傾いた三角点  G三等点 G鋸岳から雨飾山 
3.jpg  kakoukaishi.jpg  katakuri.jpg  chigoyuri.jpg 
G鋸岳から鬼ヶ面山。 タイガーロープの場所から下降開始。しばらく残置ザイルに掴まりながらの下降。  カタクリの出迎え  チゴユリの出迎え 
kumani.jpg  sankayou.jpg  mizuba.jpg  mizuba2.jpg 
H稜線からの雨飾温泉への下降点。熊に齧られた道標。  サンカヨウも大群落。  下りだしての最初の水場。  二つ目の水場は雪渓が残る。泥水。 
tanisextukei.jpg  oneni.jpg  douhyou.jpg  tosyou.jpg 
雪渓が残り、ガスも濃くなり、ルートを見失う場面もあった。  尾根に乗る。地形図の破線とは、かなり違って道が切られている。 鋸岳の登山口に降り立つ。 護岸を4mほど降りて渡渉。雨の後は注意。 
sagankara.jpg  cyuusya.jpg  yaeshimizu.jpg  sansujino.jpg 
左岸側から見る登山口。一見、判り辛い。写真右に昔の標柱群が見える。現在は全て撤去され横になっている。廃道って事か。 I雨飾温泉到着。雨具装備を脱いで、林道をテクテクと下る。  八重清水の水は美味しく。  三筋の滝。細い流れが三筋ある。
hurimukitouge.jpg  iwasakikoya.jpg  toucyaku.jpg   
ふりむき峠まで、やや登り返し。ここからの展望はいい。 途中の岩崎小屋。この周辺で現在は舗装工事がされていた。  J展望ミニ公園に戻る。   


 

この日は、18時までに帰還せねばならなかった。自分でもいやらしいのだが、こんな時こそ少し負荷を掛けたくなる嫌な性格。そこには「頑張る」って事が伴うのだが、納期や提出期限を迫られた方が頑張ることが出来る受身体質なのかも。今回は糸魚川の秀峰へ行く。数年前にKUMO氏から、「以前より崩落が進んでいて怖かった」と報告を貰っていた。氏が怖い場所・・・。あの妙義の筆頭岩で見せた卓越した感覚。その氏が怖いとは・・・。もっともKUMO氏は夜行が主体、夜ならこその怖さか・・・とも自分なりに解釈したりする。

 

ルート取りは稜線を挟んで北と南が選べるが、週中の雨の後でもあり、渡渉回数の少ない方と雨飾温泉側の林道を復路として選んだ。海谷渓谷側も楽しそうであり迷ったのだが、やはりここは時間の制約の為の確実さの方を選びたい。ただし、駒ヶ岳に登るルートは、今では三峡パークからの登路がメイン道路のようになっている。一方で大神堂からの登山道も整備されて良くなったよう。不安箇所としては崩落地のみ。いざ決行。

 

1:15家を出る。高速に乗ってしまおう・・・と少し気持ちが動いたが、いつもどおり下道で三才山を潜って松本に出る。大町、白馬、小谷と経て糸魚川に入る。片道200キロ、やはり地走りは疲れる。根知谷入口交差点を右折し大糸線を跨いで「雨飾山」の道標に導かれ進む。山寺地区に入り、右(南)側を注意していると、以前は整備されていただろうミニ公園がある。「以前は」と書いたのは現在は草ぼうぼう。そこに山座同定が出来るパノラマ絵図が二つ設置してある。確かにここからの眺めはいい。ミニ公園らしく3台分のみの駐車スペース。ここに突っ込む。公園の北側から林道が上がっており、駒ヶ岳登山口の案内道標も建っている。予定通りの時間で戻れるか。車での経路は4時間であり、14時までに戻っていないと間に合わない。さあタイムアタック。でも外は雨・・・。

 

5:18スタートする。林道沿いの田んぼは、そのほとんどが工事中で、土がピラミッドのように高く積まれていた。セシウムの除去ともとれたが、福島とは距離がある場所。何か違う事をしているようであった。9分ほど歩いて、車の屋根の上に乗せておいたGPSの事を思い出した。けっこう歩いたので、そのまま行ってしまおうかとも思ったが、金額の高いアイテムであり取りに戻る。14分のロスで再スタートとなった。地形図の破線ルートは無視して、舗装された林道をどんどん詰めて行く。途中分岐箇所もあるが、全て無視して2.2キロほど進むと、大神堂からの林道と出合う。ここで右折して高みへと進む。この交差点にも登山口を示す道標があった。この分岐から450m進むと駒ヶ岳の登山口。登山口の40mほど先にはかまぼこ型の小屋がありトイレが設置してある。水も引かれ、とりあえず至れり尽くせりの登山口となっていた。ただし小屋の入口、側壁は壊れ風通しの良い小屋であった。駐車スペースは7〜8台ほどか。

 

登山口から歩き出す。どうしても登山道上の小さな虫を探してしまう。居るのか居ないのか。黒いコウガイビルが居る・・・少しドキドキ。大きなナメクジも見える。やはり雨の季節は、彼らの動きはいい。登山口から25分ほどで最初の水場の駒清水に到着。ただし、名前の響きはいいのだが、目的の水量が乏しい。スズメの涙的に流れ出していた。この雨に関係ないと言うことは、内部から湧き出しているって判断にも繋がる。水としてはいい水なのだろう。

 

駒清水を過ぎると、緩やかだった道もだんだんと勾配を増してゆく。二つ目の水場である島滝沢の水量は十分で、力水とする。この辺りから岩壁の下となる。すぐ先に壁が見えるのだが、進んだ先から振り返ると、本体の壁から剥離しているような衝立のような岩壁となっている。自然の造形美。ガスの垂れ込めた岩壁の下は、冷たく淋しい雰囲気がある。進んで行くとオーバーハングしたバンドがあり、潜るようにしてロープに添って進んで行く。場所こそ違えば、「何十間長屋」などと名前場付けられそうな通過点であった。3つ目の水場は無名沢。この先からルートがやや樹木に覆われる。近年、刃物を入れていないような感じであり、両手で分けながら進む場所もあった。濡れるは濡れるは、上から下までおかげさまでずぶ濡れだった。

 

1370mで山塊の肩に乗り上げ、付近では残雪が残る。緩やかな勾配で進んで行くのだが、締まった残雪はキックしても食い込まず、よく滑るのだった。軽アイゼンが欲しいほどであった。そして目の前に三峡パークからの道が現れる。見るからにその道の方が本道で、伝って来た方が枝道に見える。現在のメイン道路は向こう側からで間違いないであろう。僅かに進むと空が開けすばらしい展望場に。

 

駒ヶ岳西峰到着。行政はここで駒ヶ岳としている。三角点もあり、祠も鎮座。ただしその三角点は無残にも割られ痛いげであった。周囲は遅い雪解けに、おかげさまで新緑が見られる。1250mほどまで雲海で、見栄えのする景色であった。進む先の鬼ヶ面山も見える。二つの角がそそり立っているのが判る。通過するのに際し、怖い場所なのか・・・。東に進むとシラネアオイとツバメオモトが花盛りで出迎えてくれた。ここまでの道とはやや一変して、急な場所にサポートが無かったりし、そんな領域に入ったかとギヤを入れ替える。

 

駒ヶ岳東峰に到着。道標も無ければマーキングも無い通過点。ここで山名事典は標高を取って駒ヶ岳としている。雨は上がり、濡れるのは周囲の木々より。今日はしっかりとしたグローブでよかったと思えた。各所で残置ザイルを握る場面が多く、スルスルと降りるとかなりの高温になることが多かった。やや不明瞭な進路と思える場所を通過すると、最大の核心部に入る。周囲は崩落し、僅かに西に戻るように南面を下るルートとなっている。古い鎖と、古いザイルが垂れている。身を任せるのに躊躇したくなるような風合い。下が良く見えない中、それらに掴まりながら降りて行く。放せば死ぬ。ザックにはザイルが入っており、それを使って懸垂した方が無難の場所であった。ちょっとの事だが、5歩目くらいの足場が悪い。降りるとすぐにトラバースルート。足を置ける幅が狭く、流してあるザイルを掴みつつ横移動。ここで少し緊張したので、この先は楽であった。深く下ってからの登り上げ、今度は鬼ヶ面山の山塊に入る。

 

1510mで肩に乗り、やや痩せ尾根を伝って行く。道なりに進んで行くと、右手前方に高みが見えるようになり、山腹を道は巻きだす。どうやら地形図の破線ルートとは違い、現在は山頂を通っていないよう。気持ちトラバースし進んでしまったので、荷物を途中にデポして西に戻り、適当に這い上がる。おそらくここを目指す人はほとんど居ないのだろう。木々を掴みながら這い上がる。駒ヶ岳が西峰と東峰に分かれるなら、こちらは北峰と南峰に分かれる。巻道にした理由も頷ける。あまり状態が良くない。いや、歩かれなくなって自然に戻ったと言った方がいいか・・・。北峰に登っていると、この先に見える南峰の方が高く見えるから不思議である。錯覚なのだろうが、「えっ、向こうが最高峰なのでは・・・」などと見えていた。北峰にはさっと登りすぐに下山した。ザックを背負って来ればよかった。藪の場所で荷物が無いのは致命傷。背中が淋しく下山を急ぐ。

 

ルートに戻り東進。ここで注意。南峰へのルートがあるのだが、そこに気をとられていると、鋸岳への分岐を見逃してしまう。現にそれであった。南峰の最後が2.5mほどの岩壁。そこに補助ザイルは無いので木を掴みながら這い上がる。最後がけっこう登り難い。そして乗り上げると、大展望の鬼ヶ面山南峰。先ほどの北峰が、こちらから見ると高く見える。天狗原山の手前に鋸岳が見え、まだ距離がある。雨飾山は相変わらずスクンとした容姿。この山頂から南に踏み跡があった。かなりの急勾配であるが、誰か辿っている。途中には空き缶も落ちており、人の気配を感じる場所。ただし、15mほど下ると、その先は藪化していた。昔からのルートがあるはずであり、こんなはずが無い。悩みつつも山頂に戻る。何処かに東に抜けて行く道があるはず。それも明瞭な。南峰の上を行ったり来たり、一度岩壁を降りて付近を探し回り、また登り・・・。見出せず焦るのだった。捜索範囲を広げようと北に戻ると、何のことは無い、ちゃんと分岐しており、マーキングもふられていた。完全なる見落としであった。

 

鬼ヶ面山の東、次のピークとなる1480m峰付近では、かなりの残雪があり、グリセードをしながら滑り降りたりもした。1458高点の先で海谷渓谷への道が降りていた。ここも一度伝ってみたいルート。しっかりその場所を目に焼き付ける。この場所から10数分進むと左側に大壁が現れる。なぜかそこに赤ペンキ(薄れている)で下側に矢印がされている。南にはルートが降りており、先ほどの海谷側に対する南側へのエスケープルートなのだろうと最初思っていた。その壁を左に見ながら進むと、荒れた崩落地形となった。草つきのその場所は、足場が良く判らない状況で、切れ切れの流してあるザイルも見るからに恐ろしい。先の方には長いハシゴが下から伸びており、この時点で理解した。下巻きルートがある。慎重に戻り、壁の下へと進むと、しっかりルートが切られていた。進む先の長いはしご。ほぼ垂直に取り付けられている。下を見下ろす。嫌な斜度。上を見上げると崩落した壁がある。このハシゴが心許ない。壁からの全ネジのボルトが細く、距離が長く、ハシゴ全体が良く揺れる。上に行くと、やっと吊り下げているかのような取り付け方で、そこでまた足元が身震いする。これではいつか・・・。在るだけあり難いのだが、もう少し・・・。無くなれば先ほどのトラバースの強行しかない。このルートの難所となる。現在でも十分難所。

 

ハシゴ場を抜けるとタニウツギが沢山で迎えてくれていた。やや痩せた尾根で、足許が見辛い場所も多く慎重な足運びで進む。小さなハシゴ場もあり、相変わらずザイルの流してある場所も多い。振り返ると鬼ヶ面山が至極かっこいい。鬼ヶ面山はこちらから見る山のようである。少し岩稜帯になり、そんな場所にもザイルが流してあった。もうすぐ鋸岳。僅かに残雪を擁して待っている。と、急に進路が無くなる。急下降の場所で、そこは北側にザイルが垂れており、しっかり掴まりながら岩の上を降りて行く場所となっていた。残りあと70mほどの斜面、オサムシだろうか大量発生していた。青い金属色に光るそれは、かなり綺麗に見えた。ただ、よく見ると羽が無い。不思議な虫を見たような・・・。進んで行くと行く手をタイガーロープが遮った。何のため・・・。右(南)側を見下ろすと、岩尾根の上に鎖とザイルが流れている。ここが雨飾温泉への下山路かと判断できた。この場所には新しいザイルもデポしてあった。跨いで進んで行くと鋸岳に到着。

 

鋸岳の上は標識類はなし。朽ちた木片が散乱しており、これが標識であったようだ。片隅に倒れた三等点があった。ここは360度のパノラマ。至極気分のいい場所であった。でもでもこの時期、既にブユが飛び交っている。じっとしていると餌食に・・・。時計は11時半を回っていた。後の距離を考えると大車輪で行動しないと間に合わない。気持ちは焦り、行動は慎重に・・・。下山となる。

 

ザイルを掴みながら、やや足場の悪い中を降りて行く、こちらのルートもザイルを掴む場所が多い。この稜線、はたして何メートル張られているのか、重さにしても凄い量であろう。降りて行くとカタクリが咲いていた。咲き終わったひと葉を拝借して、春の甘い味を楽しむ。ネマガリダケも出ているが、延びきった物が多かったり、良品が揃っていない状況。既に誰かに取られたか・・・。ルート上に数本横になっているものが見える。獣か人か・・・。すると前方に単独の男性が居た。手にはビニール袋。この方の仕業であった。挨拶をしつつ追い越して行く。

 

雨飾温泉への下降点分岐。そこにある標柱は無残にも熊に齧られていた。さて下りだす。サンカヨウが咲き乱れ、間名古の頭の斜面を髣髴させる。泥濘ルートに単独の足跡が残っている。下り一辺倒かと思っていたが、思いのほか登り上げの多い場所で、ここも地形図の破線と大きくルートを違えている。下降点から17分ほどで最初の水場。そこから8分ほどで2番目の水場があった。残雪も残り、こちらの流れは濁っていた。雨のせいもあるだろう。標高1100m付近、残雪とガスにより進路を見失う。どちらに進めば・・・。伝う人が少ないのだろう、あまりマーキング類も無い場所、この迷いが楽しかったりする。野生の勘を楽しむのだった。

 

ルートが尾根に乗ると、かなり歩きやすくなる。ただしこれが終わった辺りから、ルートを野草が覆い出し見えなくなる。気を抜くとルートミスをする場所。しばらく刃物を入れていないようで、この先もこのままなのかもしれない。そしてU字の水路が現れ道は途絶える。その手前から直角に下に道が降りている。ここも特に道標は無く、道を失い「おやっ」と思ってしまった場所。降りて行くと予想外の変な場所に出た。橋があれば判るが、川の護岸の上であり川面まで4mほどの場所。登山口の標柱が建つが、かなり違和感がある。コンクリート護岸を降りて、雨で濁った川を渡渉して左岸に乗る。そこには立派な登山道標が横たわっていた。お金を掛けた立派なものがなぜに横に・・・廃道になったということなのか、そう理解した。林道を降りて行くと雨飾温泉に到着。人気の場所であり、下側の駐車場のほとんどが埋まっていた。雨具のズボンとスパッツを脱いで風通しをよくして林道を降りて行く。

 

雨飾温泉からの林道は、歩いて進むのにかなり楽しい場所。雨飾温泉が設置した景勝地看板も多く、飽きずに歩いてゆける。途中からふりむき峠まで登り返し。登りあげると峠からの景色はいい。あとは下り一辺倒。岩崎小屋のところで舗装工事中。作業員は私の通過に合わせて、ユンボのエンジンを切った。ちゃんと規則が出来ているようだ。通過するとエンジンが掛かる。作業を停めてしまい申し訳ない気持ちで足早に通過する。

 高度をどんどん下げてゆくと、反対から上がってくるハイカーの姿もあった。下から雨飾山までを目指すのであろう。凄いこだわり。廃村となった梶山地区の残っている電柱が物悲しい。時折お墓もあり、往時を示す物はそのくらい。木戸橋、割石橋を渡るとゴールはもうすぐ。そして先のほうに展望公園が見えてきた。周回終了。予定より30分オーバー。温泉も割愛して急いで家路に・・・。最後は佐久南から高速に乗って予定時間に滑り込み。

 

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