鏡台山    1269 m        高遠山    1221m


 2012.12.24(月)    


  雪      単独       傍陽川上流林道ゲートから      行動時間:3H40M


@ゲート8:06→(19M)→A1120m付近林道乗越交差点8:25→(23M)→B1240m登山道に乗る8:48→(3M)→C鏡台山8:51〜58→(8M)→D北峰9:06→(29M迷走→E主林道を跨ぐ9:35→(67M)→F1200m峰10:42→(26M)→G高遠山11:08〜09→(15M)→H1200m峰帰り11:24→(14M)→I明瞭な道に出合う1070m付近11:38→(5M)→J林道に出る11:43→(3M)→Kゲート11:46


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@傍陽川沿いに林道を詰めて行くとチェーンゲートがある。ゲートは施錠してある。 傍陽川を渡渉して右岸側の廃林道を上がって行く。イバラが多い。 大きな声では言えないが、タラの密生地が続く。時季にはイバラを覚悟で・・・。 林道の乗ったり離れたりしながら尾根に乗り上げた。
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A林道が尾根を乗越場所。そのまま尾根伝いに進む。1120m付近。 1130m付近。低いササで歩き易い。 1210m付近でやや急峻に。 B1240mで左(南)から上がってきた登山道に乗る。
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C鏡台山到着。行政の標識が林立。 C三角点は等級が読み取れないほど。 C立派な標柱 C富士山も見えるよう。
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北峰へ向かって行く。 D北峰。 Dその昔、ここで地域の運動会が行われたと言う珍しい場所。 かなり迷走して北峰東側の廃林道に出る。
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幾重にも入り乱れる廃林道。視界が得られない場所であり、行動は慎重に。 Eやっと傍陽川からの主林道を跨ぐ。惑わしの林道が多々ある。 E北側の尾根に向かう廃林道を伝って行く。この先、超イバラの道。鉈か鎌を持って入りたい場所。 1170m付近で尾根に乗る。
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1200m峰(西側の)通過。 1171高点の東側。纏わりつく笹が待っている。背丈は低いがやや密生。 F1200m峰(高遠山側)には止め山らしきテープが流してある。 G高遠山到着。今日のトレースは緑色。
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G北西側の様子。 G標識は代用品。 G地蔵峠側にもマーキングが続いていた。ここのみだったら峠からの方が楽だろう。 H1200m峰帰り。
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1200m峰からの南尾根は顕著な尾根で歩き易い。 1130m付近。 1100m付近には捕獲用の檻があった。ここから下側のルートが不明瞭。尾根が広がる。 I1070m付近で明瞭な道形が横切っていた。
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I杭にふられた番号。往路に使うなら、ここから笹斜面を駆け上がると檻の場所に出る。そこまでは笹原。 道形を伝うと小さな沢を跨ぐ。流れあり。 J林道に出た場所。 J林道が広くなった場所。
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J入口には、何も標識はない。やや判り辛い場所。 Kゲートに戻る。



 
 三連休の最終日。なんてこった。家で作業していた中日の日曜日が一番いい天気だった。この最終日も雪模様。と言っても、出かける先を関東平野にすれば好天なわけだが、この時季はどうしても雪と戯れたい・・・。ドガンと気合の入った場所をと思っていたが、クリスマスイブとなった前夜に、それらしい宴を催してしまい早起きして行き先を探している始末。甘っちょろい自分に情けなくなるが、こうやって出かけられるだけでも幸いとも思う。寒くなると被災地の事を思ったりする。

 
 探している中で、面白そうな場所を見つけた。旧小県郡真田町と旧更埴市の境に鏡台山があり、その北東に高遠山がある。1座のみだと単純すぎて面白みがないが、2座とした場合、楽しそうな周回が出来そうに見えた。ちなみに旧郡市町村名を利用するのは、合併以前の方がその場所を特定するのに判りやすいから。アプローチは真田町傍陽(そえひ)側からとした。傍陽川が溯上した先が、長野・上田・千曲の三市の交わる点でもあり、そのポイントも拝みたいとも考えた。公式ルートがある鏡台山、一方マイナーピークの高遠山。後者のみだったら新地蔵峠からのアプローチが有利、そう思って下見をしたこともあるのだが、今回は2座いっぺんに楽しむ。

 上信越道からの浅間山塊は、非常に面白い景色が広がっていた。山を上半分隠すような雪雲があり、その下は神々しく明るい。自然の神秘とも思える絵面であった。東部湯の丸で降り、高速を左に見ながら真田へ向かう。既に路面は圧雪状態で、ノロノロ運転の最後尾につく。R144と交わる荒井の交差点を突っ切り、R35号線を松代の方へ進んで行く。傍陽の集落を経て、北西に進んでいた道が北に屈曲する場所から林道が入っている。林道入口で停まっていると、手前で追い抜いた除雪車に怪訝な眼差しを向けられる。

 
 林道に入って行く。この雪の状態でどの辺りまで進めるか・・・それが問題であった。土壁の廃屋が右に見え、その先で林道が左に分岐している。その入口には強固なゲート。進むべき道がこちらかと思って歩こうかと意を決するのだが、地図で確認すると、傍陽川をズンズン溯上すればいいので、ゲートのない方へ真っ直ぐ進めばいいのだった。間違った方へ進路を変えた車を修正するのに、タイヤが空転するは滑るは・・・。林道へ分岐するのに橋があり、橋の上はやはり凍てついているのだった。


 雪の上をトラクションを感じながら雪煙を巻き上げてゆく。途中に小さな沢が横切っており、見えずに大きくバウンドをする。ここ以外は概ね状態の良い林道であった。そして林道に入って1.6キロくらいか、目の前にチェーンゲートが現れた。すんなりと行かせてもらえるとは思っていなかったが、ここまで入れたことをヨシとしたい。チェーンには南京錠がかかっていた。カーナビで現地確認をし、地形図でもう一度コースを見直す。現在地は地形図の水線が切れた辺りであり、対岸から時計回りで周回が出来そうに見えた。周囲は細かい雪が降り続いている。すぐに準備に入る。

 
 ゲート前から傍陽川の右岸側が良く見える。雪が乗ったおかげで林道が見えてくるのだが、遠くから見て判る廃林道で、白いその場所の上が黒く見えるのは、野草が蔓延っているからだった。でも道形を伝わない手はない。渡渉して足を乗せてゆく。ここはゲートを越えて少し進んでからの方が廃林道に入りやすいようにも見えた。

 
 林道は、見た通り自然に戻りつつあった。イバラがあり、防寒具を引っかくのが困ったところ。クネクネと伝うのだが、周囲に見える林道は水平道が多く、分岐している場所はより上に行く道を選び、場合によっては道を外れ斜面を上がり再び道形に乗った場所もあった。明治の北島監督ではないが、「前へ」、ここでは「上へ」なのだった。それにしても作業道が多い。それほどにこの地域で林業作業が盛んとも言え、山が守られているとも言える。そして里山の迷い易さの要因が、これでもある。なにせ、上へ上へであった。


 1100m付近で顕著な尾根の上に乗り上げる。樹林の先を見上げると、その延長線上に切り開きが見える。上側にも林道が上がってきていた。別な伝い方をすれば、もう少し楽に伝えたのだろうが、この林道のイバラの多さには、伝うことを躊躇いたい気分にもなる。一方で、タラの木の群落もあり、春先には美味しそうな山にも見えていた。

 
 1120m付近で、廃林道が尾根を乗越して南北に進んでいた。そこを跨ぎひたすら尾根筋を伝って行く。少しばかりか、林道跡を伝うと楽が出来るかと思ったが、左右に見える進む先は山頂側ではないようであった。低いササを漕いで進んで行く。外気温はマイナス7度を表示。冷え込んでいるせいで、雪の乗ったササを分けてもあまり濡れる事はなかった。ザワザワと、まるでカイジのように進んで行く。

 
 緩やかな尾根筋をササを分けて行くと、1240m付近で左側から上がってきた登山道に乗る。そこから先はレッドカーペットならぬホワイトカーペット。足先に負荷がなくなり、快適も快適。深さ15センチほどのトレースを残しながら山頂を目指す。周囲は雪を纏い寒々した景色、その先が明るくなってきた。もうこれ以上の高みはなくなる。

 
 鏡台山到着。ルートがあり、管理されていると思ったが、山頂は人工物が林立し、ちょっと賑やかな様子。いろんな思いで立てたのであろうが、派手な山頂であった。それには、この天気で展望がなく、視線の先が山頂だけにあったためかもしれない。看板の一つには、富士が見える場所があると書いてある。何となくこの角度からの富士の姿は判り、想像したりもした。さて1座終了。次は高遠山を目指す。

 
 北峰に向けて、ほとんど水平道の尾根を伝って行く。この日のルートで一番快適の思えた場所だった。そして北峰である1267高点に到着。ここではその昔、5年生以上での激しい内容の運動会がされていたようだ。御柱祭りに代表されるように、信州では荒っぽい神事や行事が多いように思える。それだけ強い人が多いということになるか。進路はそのまま深く掘れた道形に乗ってゆく。北西に進むのだが、どうにも尾根の左(西)側に寄っていっているようで、5分ほど降りた先で、これは坂城側に降ろされてしまうと思い、再度北峰まで戻ってみた。もう一度ここで進路を再考。

 
 市郡界上を行く予定であったが、なにせ視界がなく、北に行くのはどんどん高度を落としてしまう。それでいいのは判っているが、頭で想定している地形と、少し異なるような気がしてしまい、北にある1185高点は通過せず、1267高点から北東に張り出る高みを経て行くことにした。当初の目的が一つ失われるが、この天気を言い訳にしたい。何度も地形図を見ると、酔ってしまうような地形。なぜにこれほどに複雑なのか・・・侵食と隆起とどっちなんだろう。適当に北東側に降りて行くと、明瞭な道形が下に見えてきた。走られる道なのか、雑草は道の上には見えない。方向的に北しか選択肢がなく、北西側に行きたかったのだが、ここでまた予定進路が変わる。

 
 進んで行くと、視覚上にいくつもの廃林道が見えてくる。なにかラビリンスの中に入ってしまったように居場所が判らなくなってしまった。コンパスで方位だけは確認し、ミスルートだけは避けようと努力する。ただし、どうしても歩き易いのは林道。廃林道でいくらイバラがあろうとも、その選択の方が歩き易い。伝うのだが、鏡台山に戻るような方向に導かれたりし、乗ったり離れたりを繰り返す。そう時間が経過してないはずなのだが、ここを抜け出せない事で、長時間迷っている気分にもなった。これが里山の恐ろしさ。コンパスだけ信じ、道形を無視すればいいのだが、なかなか現地はそうさせてくれなかった。

 
 その場所が、傍陽川がある主谷からの道と確認できたのが、北峰を降りだしてから48分後であった。この距離でこれだけかかってしまうとは情けない。それでもやっとここまでたどり着いた感がある。もし雪がなかったらどうだろうか。判っている人でないと、同じように迷うであろう。勾配の弱い水平に近い林道が多く、伝うにあたり選択に迷うのであった。迷っている間に、この界隈でのイバラに、かなり防寒具を引っ掛かれ傷が出来てしまった。こういう遊びなので仕方がない。北側に進む九十九折に足を乗せてゆく。この谷の北側のエリアが、物凄くイバラが密生している。鉈か鎌かを必携の場所と思えた。

 
 イバラが濃く林道が進めないので、適当な場所から斜面に這い上がり、主尾根に乗る。この先はササと戯れながら行く。この先の1200mピークへは、なだらかな尾根で、低いササであった。東に進み、次の1171高点に向かう場所で、尾根筋は南東に自然地形が続いている。迷いやすいがコンパスを良く見て東に進みたい。1171高点は気にならないうち通過してしまい、その東側で、やや密藪となる。当初から着けていた手袋が濡れ、かなりヤバイ状態。凍傷予備軍。すぐに第二の準備品に換える。換えただけでどれだけ命拾いするか・・・。この時季、持つべきものは手袋と白湯である。

 
 纏わりつくササに、強引に膝を入れてゆく。雪質がやや重くなっているようにも感じていた。そして高遠山手前の1200m峰に乗る。止め山なのだろうピンクのテープが流されていた。ここで進路を誤り東南東へ進んでしまった。正解は東。気持ち東北東に進むのが正解。何せ遠望が利かなかった。途中一箇所だけだが、熊の爪跡が確認出来た。主は居る様子。逆に鹿の糞などは少ないように思えた。白い笹原に緑の分けたトレースが追ってくる。なにかそれが綺麗に思えたりする。

 
 高遠山到着。古い標識があり、何となく高遠山と読み取れる。人工物はこれのみの寂しい、いや自然らしい嬉しいピークであった。スタートから3時間が経過していた。途中の迷った時間のために、もっとかかっているような気分でもあった。白湯で温まりながら下山路を探す。ここから直接南に降りると、駐車場所からかなり東に降りてしまう。先ほどの1200m峰からの南尾根が顕著であり、ほぼドンピシャでゲートに降りられそうに思えた。

 
 緑のトレースを伝い戻って行く。左側の谷部に降りていきたくなるが、ここは我慢。そして1200m峰からはピンクのテープに伝うように高度を下げて行く。途中から黄色いテープに変わる。尾根筋は至極歩き易い。時折マーキングなども見え隠れしている。快適に降りて行くと、1100m付近に獣捕獲用の檻が置かれていた。もう使われておらず、扉も付いていない状態であった。ここから下で尾根が広がり不明瞭。尾根右側はやや密生、左が歩き易そうで左寄りに降りて行く。左と言えど適当なのだが、降りて行くと斜面を横切るような立派な道形に出合う。林業作業用の杣道と言う事か、それにしては状態がいい。降りた場所に杭があり、そこには「二九」と書かれていた。逆から来た場合は、ここからササの斜面を上に行けばいい。

 
 道形に乗って西側に進んで行く。無視して南に降りても良かったが、あるものに対し調査はしたい。小さな沢があり、ここで道が不明瞭になるが、跨いで進むと樹林の中に細い道形が続き、じきにまた明瞭になった。左側に広い林道が白く見えてきた。出た場所は、その林道がかなり太くなった場所。振り返り入口を見るが、何も標識はなく、目立たない場所であった。林道には猟師が入ったのか、轍が出来ていた。ゲートのカギを持っている人となる。緩やかに下って行くと、そのゲートに到着。

  

 振り返る。2座を組み合わせ、迷った事でかなり楽しい行動となった。ある意味、里山の危険さを知るのだが、ここほどに林道が幾重にも組み合わさっていると、慣れていないと普通に迷うだろう。地形的にも面白い地形で、楽しい遊び場となった。


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