モリ山 1782m 三ノ輪頭 1537.7m
2012.12.2(土)
くもりのち小雪 単独 三ノ瀬地区より 行動時間:5H44M
@カーブミラー余地6:55→(3M)→A三ノ瀬登山口6:58→(72M)→B将監峠8:10〜11→(36M)→Cモリ山下降点8:47〜48→(36M)→Dモリ山9:24〜33→(42M)→E登山道に戻る10:15→(40M)→F将監小屋10:55〜11:02→(40M)→G三ノ輪頭への分岐11:38→(3M)→H雨量観測施設ピーク11:41→(7M)→I三ノ輪頭11:48〜52→(9M)→J明瞭な道形に乗る12:01→(13M)→K林道に乗る12:14→(19M)→L登山口12:33→(6M)→M駐車余地12:39
@カーブミラーの場所から登山口へ降りて行く。 | @登山口の様子も相変わらず。 | 林道は工事中で、このように轍が続く。 | B将監峠に到着。ここでマイナス6度。南からの吹き上げの風が寒かった。 |
B後はリンノ峰。何度訪れても気持ちのいい場所。 | 周辺の霧氷が見事であった。 | 将監小屋への下降点分岐。 | Cモリ尾根の登山道交差地点(下降点)。 |
C登山道側から見る尾根への入口。ササの根元に道形が見える。 | 尾根を下っている途中。下にはこのようにあるが、やや強靭なササに、両手が休まることはない。 | 途中から見るモリ山。近くに見えるが、藪化した場所は倒木など障害物が多い。 | 最初のオアシス。1730m付近。 |
1700m付近から登り返し。 | Dモリ山到着。山頂にシカが待っていてくれたり・・・。 | D大菩薩の方を見ているが、見えているピークが何山かは? | D南から北を見ている。 |
D無毛の休憩適地がある。 | D唯一の人工物のリボン。 | Dシカも頻繁に来ているよう。 | 山頂の北西斜面はササが切れた場所がある。利用して通過。 |
ササの中を潜るようにして戻って行く。 | 顔を上げるとこんな感じ。 | E下降点(登山道)に戻る。 | 橋の場所は、氷柱が育ちつつあった。 |
将監小屋への下降点分岐。 | F将監小屋に到着。沢水で喉を潤ししばし休憩。 | Fまだ小屋番が居り、モクモクと煙突から白煙が上がっていた。 | 途中から見るモリ山の尾根筋。今の今、伝って来たので起伏から現地状況が目に浮かぶ。 |
G三ノ輪頭への分岐。立派な切り開きがある。 | H雨量観測施設の為の切り開きであった。 | H三ノ瀬雨量局。この先は尾根筋に刃物跡があり、林業用の切り開きがある。 | 尾根筋の様子。快適。 |
I三ノ輪頭到着。 | I三等点があるが、残念ながら割られている。 | I立派な標識が残っている。 | I山頂から東にも道形あり。 |
I南西に続く切り開きを降りて行く。 | 周辺域には、このような鹿除けネットが施されている。杣道が縦横無尽にあるので注意。 | J明瞭な道形に乗る。北側に下り勾配であり、北進。 | 途中の小谷には立派な橋も設置されていた。 |
快適すぎる道形。きちんと管理されている。 | 二つ目の橋。この沢の中にも道形があり、沢に沿うように降りて行ける様であった。 | K林道に出る。往路の林道に乗る。 | K下側から出てきた場所を見る。林道は左、出てきた場所は右。 |
L三ノ瀬の登山口に戻る。 | M駐車余地に戻る。しゃくなげ荘さんに停めればいいのは判るのだが、早朝から犬に吠え立てられ、無人でもあり、いつもここに停めてしまう。 |
寒波到来で北の方は雪模様。こう寒くなると奥秩父エリアに行きたくなる。毎年恒例のようでもあり、体が欲するまま、思考がそう導くままではあるのだが、少々の雪を踏みながら付近を歩くのが心地いいのだった。主稜線には未踏座は無くなったが、枝尾根の上にはまだまだ残る。今回はモリ尾根上のモリ山(山名事典表記)を目指すことにした。抱き合わせで、竜バミ谷を挟んで西側の三ノ輪頭も予定に入れる。
前夜は仕事が長引き帰宅が遅くなる。その時間からモリ山を選んだのだが、疲れ果てて寝入ってしまい、起きたのが3時15分だった。ドキッとして、急いで着替える。何かこんな時に年を感じたりする。年には逆らえないとも言えようか。外に出ると、綺麗な月が周囲を明るくしていた。夜行も最近していない。もっとガツガツいかねば・・・。
雁坂峠に向けてアクセルを踏み込む。翌日からは秩父の夜祭が行われる。いつもこんなタイミングで秩父を通過して行っている。秩父街道は空いており、路肩に積雪部こそあるが路面凍結はなかった。三富に下り、フルーツラインでショートカットして、大菩薩ラインであるR411に乗る。そして柳沢峠を越えて落合橋から一ノ瀬側に林道を入って行く。ハンドルを握りながら、ここを通過して登った山行が次々と脳裏に甦る。笠取山の登山口の作場平橋のところには、3台の車が停まっていた。将監峠側はどうだろうか・・・。
しゃくなげ荘前に到着し、駐車場を見ると車は1台。以前から見ているここの家主の軽四である。少し下って登山口周辺を見るも、ハイカーらしき車はなかった。いつも困るのが駐車。しゃくなげ荘に入れればいいのは判っているが、早朝は無人状態。勝手に置いてゆくみたいで嫌なのと、そこに居る犬が出てゆくまで吠えている。寝静まっている時間に近所迷惑な気もしてしまい置きたくないのであった。フロントガラスにメモ紙を置いて出かけたことも過去あったが、犬の部分は最後まで残った。それがあるので、西側に300mほど戻った所にカーブミラーがあり、そこに1台分の余地がある。ここが最近の定位置になっている。車道にはみ出ないよう注意して余地に車を納める。
ゆっくりと車道を降りて行く。生活している人が居るので、その妨げにならぬよう注意する。犬を吠えさせぬようにする配慮も必要。登山口の下側の家には甲斐犬も居り(なんと放し飼い)、各所で注意が必要であった。登山口のチェーンを跨いで林道に入って行く。霜柱も堅く凍り、足元はアスファルトの上を歩いているかのよう。工事車両が点々としていて、林道の先で工事がされているようであった。これは帰りはヌタヌタになる・・・そう思えた。
進む先に主稜線が見える。そこは白く霧氷の樹林。ウエストポーチに取り付けた温度計はマイナス5度を示していた。登るごとに冷やされてゆくよう。大きな谷を挟んで、東側にこんもりとした高みが見える。おそらくあそこが最終到達地点のモリ山となるか、ぼんやりと目で尾根筋をなぞる。そうこうしていると、峠への分岐。ショートカットしてもよかったが、峠までのタイムアタックをしていたこともあり、左の山道に入って行く。
将監峠。久しぶりであるが、いつ来ても素晴らしい出迎え。でも吹きさらしで寒く、温度計はマイナス6度まで下がっていた。登山口から72分、まずまずのタイムで上がってこられた。寒いので、温まる為に早足で歩いていたのであった。付近の霧氷は、下から見たとおり、いやそれ以上にきれいであった。それこそ白い花が咲いたような様相で、桜の時季と競えるほどに氷が咲き誇っていた。それには地面の緑の笹が、良いコントラストになっていたこともある。縦走路を南進して行く。僅かに登ったら、その先はほぼ水平動。快適も快適。
途中の橋の場所は、雪が残り、沢の中には氷柱が育ちつつあった。日差しが入らず、寒い事この上ない。早く陽射しに当る場所へ・・・とここでも早足。進む右側に、モリ尾根があり、デンとしたモリ山も登頂を待っている。そろそろかと、モリ尾根への下降点を探しつつ居ると、前方から女性2名男性1名のパーティーがやって来て挨拶を交わす。藪ルートに入る場面で出くわすと、なにか禁を侵すような気分になりバツが悪い。やり過ごそうかとも思ったのだが、バリバリとした音に、滑落したのかと思われても嫌なので、すれ違うと同時に藪尾根に入って行く。当然のように不思議に思えただろう。
“パーティーは雲取山からの縦走者か、平日登山が出来るなんて・・・”そんなことを思いつつ下降点からのササを分けていた。そのササの下には明瞭な、幅400mほどの道形があった。鹿の糞も多いので、鹿のおかげでこれほどに保たれているのだろうと思えた。それにしても、やや強靭なササの植生。泳ぎに泳ぐ感じで、休まる場所がない。下って行くと、小さなピークの前にササの切れたオアシスがある。しばしホッとする。道形があると書いているが、一本線で繋がっていない場所もあり、分けつつも見定めて選んで進んで行く。迷うことはないであろうが、視界を遮るササがあり、気にしていないと尾根筋を外してしまう。小ピークに乗り上げ、再び下りこむ。次が最低鞍部となる。
中盤以降倒木が増えだす。跨げず膝をついて潜るような場所が多い。この部分を考えると雨の後でなく良かった。気象によってはドロドロになる可能性が大の場所。地面や倒木やササや、何かしらに触れる場所。所謂藪山であった。もうそろそろかと東寄りに尾根筋を伝って行くと、西側に植生の無い場所が見えた。そちらに進むと格段に楽であった。ただし長くは続かず、その先は再び笹薮になる。鹿の糞の量が増え、彼らの聖地らしい。キーンと警戒音が凛とした空気に響く。目の前に鹿が居て、一目散に東へ逃げて行った。どうやら到着したようだった。
モリ山登頂。樹林の山頂で、地形図どおりに南北に長い山頂部であった。南に行くと、何が見えているのか、顕著な高みがそこにあった。人工物はないのかと探すと、朽ちたリボンが下がっていた。長い山頂の南寄りに無毛のオアシスがあり、ここで少し息を整える。登山道を離れ短い距離と思っていたが、短いわりにはけっこう疲れた。道形が無かったらさらに疲労感が増したであろうから、道形の存在には感謝したい。さて戻って行く。
復路は、なるべく尾根筋の高い場所を拾うように進んで行った。潜る場所では目を突かれそうになり、泳いでいれば撓ったそれで顔を叩かれる。その為だろう途中には三連の鈴が落ちていた。どなたかがササに奪われたのだろう。嬉しいのはマーキング類が一切無いこと。薮山はこれでないと。それにより自然な中に居る気分が強くなる。東側の谷の中でガサゴソと音がしている。おそらく鹿なのだろう。
登山道に出て、すぐに北に戻って行く。雪の上の足跡を見ると、先ほどの人のみ通過した様子。進んで行く前方遠くに青い屋根が見える。“あそこで朝食としよう、これでいくと11時くらいには着けるか”などと思いつつ足を進めていた。分岐点から小屋の方へ下降して行く。前回ここでは、へろへろに疲れて降りて行った記憶がある。今日はのんびり快適に下って行く。小屋が近づくと、人が居る事が煙突の煙から判った。なにか出会いがあるか・・・。
小屋前の沢水で喉を潤す。美味しい水で火照った体を瞬時にクールダウンしてくれる。小屋の中に入ろうかと思ったが、そのまま足を進めて、敷地入口にある丸太に腰掛けて休憩とした。東を見るとモリ山がある。往路に見た景色に対し、登頂後に見た景色では、その尾根に手に取るように現地が甦ってくる。しかししかし、じっとしていると谷からの風にどんどん冷やされてゆく。横では手作りの風車が勢いよく回っていた。体感でも視覚でも寒いのだった。林道を降りて行く。
天気は急変。雪雲に覆われ、小雪が舞いだしてきた。今日の予報だとこうなるか・・・。モノトーンの景色の中をどんどんと林道に足を落として行く。予想通り先ほどまでの陽射しは霜柱を溶かし、やや泥濘地形にもなっていた。今日はスパッツをしてこなかった。汚さぬよう綺麗にを心がけて歩いていた。今か今かと待っていた分岐がやっと現れた。三ノ輪頭側に綺麗に作道されており、林道を右に見送って山道に入って行く。
最初のピークには雨量観測所があった。このための切り開きであった。この先は藪かと思ったが、そこから刃物跡が続き、道形も伴っていた。付近一帯は樹林保護の為の鹿除けネットが一本一本に巻かれていた。そのための杣道のようであった。快適に伝って行く。ここは「登山道がある」と表現してもいい場所であった。
三ノ輪頭到着。三等点があるが、残念ながら割られたものであった。山頂から東にも道形はあり、南西側にも降りていた。三角点のほかにも人工物があり、彫刻されたおなじみの標識も取り付けられていた。帰りは往路を戻ろうと思っていたが、道形の存在に、南西側に降りて行くことにした。間違っても二ノ瀬地区に降り立ち、車道を戻ればいいと思っていた。ただし一ノ瀬川がある。その場合、渡渉のみが問題。
さて下って行く。主たる道形のほかに、枝分かれするように無数の踏み跡がある。これはどこでも歩ける感じではあるが、ガスに巻かれたりして方向を見誤ったら、別な方向に行ってしまいそうでもあった。コンパスを出し進路を南西側に合わせて、見ながら降りて行く。周囲の木には、そのほとんどに黒いネットが巻かれている。この付近ではまだまだ林業関係者の動きがあるよう。そう見て取れた。進んで行くと、これまでと違う、明瞭な道形が横切っていた。完璧な山道。東に尾根を巻き込むように進んでいたが、反対の下る方向に足を進めてゆく。こんな場所であり、もっと状況が悪くてもいいはずなのだが、登山道以上に立派な道で、草刈もされ、手が入っている様子も伺える。進んで行くと、小沢には橋もかけられていた。これは・・・何の為の道。
快適な道に、非常に気分も良くなる。知らない道を、ましてやこれほどに状態のいい道を知ったことが嬉しかった。次ぎにある小沢にも橋があった。もう一つ沢に沿うような道も見え、伝おうか迷ったがそのままトラバースして行く道を選んだ。どこかで往路の道と出合うはずであり、まずはそれが確認したかった。
出た場所は、林道が鋭角にカーブする場所で、そこから下に下るような道で入り口があった。何度も通っているので、この存在には気づいていたが、“ここから始まっているのか”とはっきりと判った。次は何処へ繋がっているのか、後で調査したい。快適に林道を降りて行く。小雪だった天気も、いつしか晴れ上がった。と言っても曇りに近い晴れ。温度計はマイナス5度を上回らなかった。
登山口に出てしゃくなげ荘に戻って行くと、見るからに「開店」しているのが判り、その前に多摩ナンバーと品川ナンバーの車があった。すれ違わなかったが、他にも入山者は居た様子。左に見ながら車道を登って行く。そしてカーブミラーの場所に到着。
モリ尾根。当初は下から登ってモリ山に登頂と思っていた。その方が自然だから。でも、上からの方が楽であろう。甲武信岳の南南西に塩山があるが、ここと似たような感じの場所。ただし、モリ山はササの出迎え、塩山はしゃくなげの出迎え。なにはともあれ、思っていた場所が無事踏めた。満足。