中ノ大蔵山   1417.1m (※日本山名事典座標)       飯盛山   1364m        


 2012.12.8(土)    ※山名事典とエアリアマップの座標は異なる


  晴れのち雪      単独       北温泉駐車場から清水平まで上がる      行動時間:5H31M


@北温泉駐車場7:24→(7M)→A北温泉(橋)7:31→(27M)→B林道交差7:58→(15M)→Cスキー場への分岐8:13→(7M)→D中ノ大蔵山8:20〜23→(11M)→E1462高点8:34→(2M)→F分岐8:36→(82M)→G清水平9:58→(47M)→H分岐帰り10:45→(37Mルートミス→I毘沙門沢渡渉11:22→(27M)→J飯盛山11:49〜53→(16M)→K渡渉帰り12:09→(13M)→L林道終点12:22→(26M)→M北温泉帰り 12:48→(7M)→N駐車場に戻る12:55


tuukoudome.jpg  kitaonsenhe.jpg  kitaonsen.jpg  hashi1.jpg
大丸温泉側は冬季閉鎖。モルゲンロートが綺麗だった。 @北温泉駐車場からスタート。 A北温泉。ハイカーが先行している。 A単管パイプ構造の橋で対岸へ。
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A渡って行く。 最初の分岐点。ロープ側は廃道のよう。 さながら露払い。雪が乗り
、被りながら分けてゆく。
B林道が横切る。真っ直ぐ。
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Cマウントジーンズスキー場への分岐。 スキー場の施設が現れる。 D中ノ大蔵山 D割られた三等点。
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D展望台からは・・・ D絶景!! E1462高点の展望台。こちらも景色がいい。 Fトラバース道との分岐点。
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Eここに「1417m」と書かれた標識がある。中ノ大蔵山は・・・いったい何処? 中ノ大倉尾根を登る。緩やかで快適。ただラッセル。 下が凍っている場所もある。 伝おうと思った朝日岳からの尾根。一度ここで毘沙門沢の方へ下降してみた。断念。
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天気はいいが、風が強く・・・。 スダレ山下を通過。 G清水平で腰まで潜るようになり進行を断念。 ハイカーがすれ違う。
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朝日岳から鬼面山の尾根筋。 H分岐に戻りトラバース道を行く。途中から毘沙門沢側に適当に下る。少しルートミスあり。 なんとか毘沙門沢に降りて行く山道に乗った。 I毘沙門沢渡渉。水量少なく容易。
torituki.jpg saisyo.jpg  hourakuchi.jpg  sasa.jpg 
飯盛山への取り付き斜面。 最初の石の堆積する場所。 崩落地脇を行く。 ササの藪漕ぎ。
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上の方に行くと、密生が緩む。小尾根の上。 J飯盛山山頂。 J山部さん3D。 J山紀行。定番双璧。
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J飯盛山から鬼面山。 崩落地の上から中ノ大蔵山。 K渡渉帰り。 L林道終点に到着。
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L林道終点の看板。 林道交差点帰り。 分岐帰り。 M北温泉に戻る。
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降雪期の荷物運びは小型ブルドーザーだった。 N駐車場に戻る。かなりの強風。




 那須でのミーティングが企画された。となれば周辺部から適当な未踏座を探す。天気が今ひとつであり、当日は風が強いのが確認出来ていた。翌日は鬼ヶ面山を予定していることから、この「鬼」に繋げて、鬼面山を狙うことにした。前々週は鬼ヶ城山に上がっており、一連の鬼シリーズにしようかと企んだのだった。何事も楽しく。楽しさは自ら生み出してゆく。

 いつもの装備に加え、一升瓶を車に積み込む。1時15分に家を出る。R122で日光に入り、R121経由で塩原に出て行く。もう少しで那須湯元という所で、降雪が強くなり睡魔も襲ってきたので、平和郷付近でシュラフにいったんくるまった。眠い時に寝るのは、本当に至福。駐車場の暖色照明の中を雪が舞い降りていた。

 6時目を覚まし、一軒茶屋交差点を左折してボルケーノハイウェイを駆け上がって行く。うっすらと路面に雪が乗り、その下は凍った場所もあった。慎重にハンドルを握りながら大丸温泉の大駐車場に到着。と同時に”そうだった・・・”。ゲートがあるのだった。気を抜いておりロープウェイ駅まで上がれると思っていたのだが、既に冬期封鎖であった。地図を眺めながら作戦変更。そう、当初は公道から最短の、南からのアプローチを思っていた。しかしいつもながらツメが甘かった。

 この時、鬼面山は諦めようかと思ったが、狙った場所に対しそう簡単には諦めない。北温泉側から中ノ大倉尾根を経由し、北から、もしくは西から攻め込む方法を見いだした。この場合、中ノ大蔵山と飯盛山が抱き合わせに出来る。思い立ったら吉日、実行してみることにした。

 北温泉の駐車場に着くと、土浦ナンバーの御仁がスタート準備しているところであった。こちらも準備をしていると、その御仁は先に出立していった。私も後を追うようにトレースを追って行く。北温泉までの下りは、凍っている場所が多くかなり滑りやすかった。これだと一般の人は転倒者が多いだろうと思えた。先を行く御仁もスリップしたようで、その痕が残っており、その先は柵に伝いながら降りているトレースであった。

 北温泉まで降り、道標に従って三本槍の案内の方へ足を降ろして行く。温泉プールの下を巻くように進むと、右側に対岸へ行く橋が見える。単管パイプ構造であり簡易的な造りであった。対岸には立派な道標があり、そこから階段状のルートを登って行く。先行していた御仁は、温泉のところのスロープを使ったために、階段で下りた私がショートカットして先行する形となった。滑りやすい雪の乗った登山道をゆっくりと高度を上げて行く。

 最初の分岐だが、ここは直進側の道は廃道になっているようであった。左右から雪の重みで垂れ下がった木が進路を狭くしていた。トップになった事で、完全に露払い役となった。あまり防水の効いていない雨具は、直ぐに水分が浸透していった。この先で林道を跨ぐ。熊注意の看板が一際訴えてきていた。ここから15分ほど進むと、スキー場へ駆け上がる道の分岐点があった。トラバースして行く道を左に見ながらスキー場側へ上がって行く。

 無垢の雪、その先にスキー場の施設が現れてくる。中ノ大蔵山の一角に上がった格好になる。東に進んできた進路を、今度は南に向けて展望台のある方へ進む。するとそこにこんもりとした高みがあり、三等点が鎮座している。ここが中ノ大蔵山となる。三角点は無残にも大きく割られていた。展望台に上がると、青い空に白い主峰群がクッキリと映えていた。ここに来て良かったと言えよう景色だった。リフトを使えば、労せずここに・・・。長居は無用、中ノ大倉尾根側に足を進める。

 スキー場からの尾根の北進は、広く気持ちの良い場所が続く。登って行くと目の前に高い櫓が見える。こちらにも展望台があるのであった。そしてここがエアリアマップで示される中ノ大倉山となる。その名が尾根の名前になって居ることを思うと、エアリアピークの方に軍配が上がるとも思えるが・・・これだけ有名な場所において行政は混同してしまうのだろうか・・・。色々考えながら西進が始まる。

 トラバース道との分岐点は、賑やかな大きな分岐点となっていた。そこに黄色い標識があり、なんと「中大倉山 1271m」と書かれていた。先ほどのスキー場側に在ったものがここに移動されたものなのかとも思ったが、ここの標高が・・・まさか・・・。なんだか判らなくなった。頭はそんなこんなで悩んでいたが、身体は快適。先の方が開け、斜度も緩やかで歩いていて気持ちが良いルートであった。ただし積雪。フカフカの雪と、その下で凍った場所もある。進度はそれ相応であった。

 進行方向左に鬼面山がある。朝日山からのなだらかな尾根の先がその場所であるが、上からどうコース取りしようかと上部の地形を眺めていた。距離から言えば、この場所から直線的にゆければ一番いい。森林限界を過ぎたあたり、笹の植生に変わった付近から毘沙門沢の方へ少し降りてみた。締まった残雪期なら有効であろうが、今の時期ではふかふかすぎて難儀であった。30mほど下っただけだが、その登り返しだけでも辛かった。これがあり、真っ当にしばらくはルートの上を伝っていこうと心に決めた。

 赤面山への分岐を過ぎて振り返ると、100mほど後に赤い雨具の御仁が見えた。足取りは至極ゆっくりとしている。後ろを見たって事は、ラッセルに疲れてきた証拠であり、”代わってくれないかな〜”と思ったのだった。そして西側をブロックしていた地形が無くなると、暴風圏と言いたくなるような強風が身体を押してきた。ここまで言うと少しオーバーだが、身体を持っていかれそうにもなったので、15mほどは吹いていただろう。フードのジッパーを上まで上げる。手袋の隙間を無くすように手を加える。

 スダレ山の直下を通過し清水平に入って行く。もう僅か進めば朝日岳側の尾根に入れる。"行くんだ、是が非でも・・・”心で思って居たが、下半身は雪にどんどん埋まっていった。最初からここまで上がる予定であればカンジキもアイゼンも装備したのだが、狙う標高を鬼面山としていたために、完全に装備不足であった。アウターの装備も然りで、ちょっとこのまま行くにはリスクが高くなってきた。持っているアイゼンは軽アイゼンのみ。先ほどから凍った場所が増えてきている。「戻ろう」ここでの判断は早かった。なにかあって夕刻からのミーティングに遅れる事の方が怖かったからである。藪屋界のサンダース軍曹、ヘンリー少尉と恐れられている人が来るのだった。

 踵を返しもがきながら戻って行く。すると赤い御仁が登ってきた。話を聞くとフル装備。やる気のある人は違う。それでもこの風に、指をさして「その辺りで引き返します」と言われていた。お互いに鼻水が風大左衛門のようになっていた。そして風が遮られると、ウソように太陽の日差しを感じるようになる。周囲を見渡す余裕が出来、那須の裾野を遠望しながら降りて行く。その途中、サンダース軍曹のコールサインを呼んだりもした。応答はなく、まだ下野国には進軍してきてないようであった。

 分岐まで戻り、往路に通らなかったトラバース道を行く。そしてスキー場への分岐を過ぎると、下草の少ない場所があり、そこから毘沙門沢側に降りてみた。のぞき込むと何処も崖のようで、やや南に進むように高度を下げていった。しかし二進も三進も行かなくなり、ハラハラしながら戻る。滑れば一巻の終わりのような場所が多い。雪の乗った急斜面。掴むものも少ない場所も多々あった。何か降りる方法はないかと、とりあえず上の登山道まで戻ってみることにした。するとその途中に水平に横切る踏み跡を確認した。先ほどは鹿道だと思って注視しなかったのだが、よく見ると人間の踏み跡のよう。水平に北に伝って行くと、完全に作道された道形になった。階段が造られ下に降りて行っていた。ただし、雪が乗りかなりややこしくなっていた。掴む場所が無く、恐る恐る足を降ろして行く感じ。アイゼンを着ければ解決する話なのだが・・・。

 九十九を切りながら降りて行くと、毘沙門沢に降り立つ。水量は少なく、石に乗り対岸へ渡って行く。石の上には雪が乗っていたので、少し慎重さは必要なのだが・・・。沢の中には塩ビパイプがあり、そこから水が出ていた。下の北温泉へ引いていたのだろうか、でもこの場所からは距離が長すぎるような気がする。

 右岸から這い上がって行く。一番植生の薄い場所を狙って行く。最初はサッカーボール大の石の堆積する斜面を上がる。その先でやや急峻になり、両手を使い這い上がるような場所になる。その先はやや濃い笹漕ぎが待っていた。左側には崩落地があり、それを見下ろすように伝って行く。古いマーキングが並び、それを拾うように行く。ササの中の平泳ぎが続くが、そこそこ視界があるササ斜面で、それほどに閉鎖感はない。上の方に行くと、幾重にも筋が入っている。道形にも見えるそれは、崩落によるクラックと判断した方がいいのかも。そう思うと崩落側から少し逃げて北寄りに歩いていた。

 飯盛山登頂。栃木の双璧標識が待っていた。あまり展望はなく、東側に少し下りると、谷側の展望を得られ、最初に登った中ノ大蔵山が見えていた。西側にスクンとした鬼面山が見える。今日は無理して向こうからこなくて良かったかもしれない。伝っていたら上で雪、尾根上でササに苦しめられたであろう。時間がある時ならいいが、今日の行動は結果オーライ。さて下山。

 先ほどのクラックの思考があるので、やや北寄りに降りて行く。少し急峻と思える斜面をバリバリとササを分けながら高度を下げてゆく。そして毘沙門沢に降り立つ。塩ビパイプから流れる水で喉を潤し、対岸から道形を伝って行く。当然ではあるが、登りの方が安心して伝える。頻繁に伝う人が居るならタイガーロープでも流してあるような場所。それがないとなると、利用頻度はそういう事だろう。

 水平道の踏み跡を伝って行くと、大きな看板が立つ林道終点地に出る。そこから僅かで往路に伝った十字路に出た。二人分のトレースは、降雪にかき消されつつあった。と言うことは、先にまだ降りていない。先ほどの御仁は上に居ると言うことになる。それにしては時間が長い。この下り坂の天気に・・・少し心配にもなった。分岐点から下って行く。北温泉での工事の音が谷間に響いていた。

 北温泉に戻ると、浮き輪を持ったカップルが、温泉プールでプカプカと浮いていた。こちらは雪を纏っての厳つい恰好。好対照であり、我ながら苦笑い。プールに居る二人は、不思議そうにこちらを見ていた。登山道がある事を知らず、「覗き」に思っていたのかも。駐車場へ上がって行くと、荷物を積んだブルドーザーが降りてきた。冬季はこうして運ぶのかと目の当たりにした。フロントのバケットの中に荷物が入っていたのだった。私の通過に、横に寄せて一旦停止してくださった。

 駐車場に到着。かなりの暴風雪に車のドアが開けていられないほど。大丸温泉のゲートから上を目指していった男女の若いパーティーもあった。今頃かなり冷されているだろうと予想できた。

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