烏帽子岳(乳頭山) 1477.5m 笊森山 11541.0m 熊見平 1398m
湯森山 1471.7m 笹森山 1414m
2012.08.11(土)
晴れ 同行者あり 黒湯から時計回り。 行動時間:7H15M
@黒湯駐車場5:38 →(3M)→A黒湯下分岐5:41→(28M)→B一本松沢6:07→(31M)→C水場6:38→(52M)→D田代平への分岐7:30→(11M)→E烏帽子岳7:41〜48→(58M)→F笊森山8:46〜52→(37M)→G熊見平9:29〜34→(28M)→H湯森山 10:02〜07→(14M)→Iスキー場への下降点10:21→(8M)→J笹森山10:29〜39→(6M)→K下降点分岐再び10:45→(97M)→Lスキー場下12:22〜31→(21M)→M黒湯駐車場12:52
@乳頭温泉郷、黒湯の駐車場を基点にスタート。 | 駐車場から降りて行くと、右手に湯宿の茅葺屋根が見えてくる。 | Aこの標柱、この角度だけ見ると、「孫六温泉」と「休暇村」しか見えない。右に続く→ | A角度を変えると、このように。目的地のその表示が見えないとドキドキしたり・・・。 |
堰堤脇を通過。登山道は、やや野草が茂り足元が濡れる。 | 対岸の源泉地が豪快。 | 木橋で対岸に。 | 昔の整備のよう、しっかりと木道も敷設。 |
B一本松沢に入る。沢の中を斜めに左岸に横切る。 | 旧一本松温泉の野湯。かなり熱い。 | 沢を見ながらの道が終わり、掘れた場所を登って進む。 | C水場がある。ここに至るまで、下の方でも汲めそうだが、やや硫黄臭があり、ここで汲むのがいいだろう。 |
高度を上げて行くと、笹を分けて進むような場所も出てくる。刈り払いをしばらくしていない様子。朝露でビッショリ。 | 乳頭山1キロ手前。 | 1キロ手前から見る乳頭山。 | 途中、赤くザレた場所を登る。 |
D田代平からの道と合流。 | 乳頭山の岩壁。 | E乳頭山到着。 | Eまだ少しガスに覆われている。展望はいまひとつ。 |
E岩の上に置かれた山名板。 | E乳頭山から西側の様子。 | 岩ノ上温泉への分岐。 | 途中から振り返る。 |
池塘は枯れている? | 眼下の池塘は水を湛え。 | 笊森山に向かって行く。 | 千沼ヶ原(せんしょうがはら)への最初の分岐。 |
千沼ヶ原への2回目の分岐。 | F笊森山。広い山頂。ガスに覆われ・・・。 | F標柱と標識。双方とも時代を感じる。 | F笊森山三等点。 |
ガスが開け、秋田駒がくっきりと見えるようになる。 | 木道とお花畑。 | G熊見平 | G熊見平の宿岩。 |
木道脇の池塘が見事。 | 湯森山の南には雪渓が残る。キスゲの黄色が目立つ。 | H湯森山山頂。通過点のような場所。 | H湯森山標柱。 |
H三角点は、腰の高さくらいの場所にひっそりと潜っている。 | H西側に展望場がある。 | I乳頭スキー場への下降点。 | J笹森山は静山の雰囲気。 |
J田沢湖を望む。 | J乳頭山を望む。 | K下降点分岐再び。後は湯森山。 | スキー場への最初は、ややモシャモシャで、足元が見え辛く難儀。 |
ザレたトラバースもあったり。 | ブナの原生林の中は、緩やかで気持ちがいい。 | スキー場上部に出る。道形が消えるが、何となくゲレンデ内を下って行く。 | ゲレンデ内の様子。リフトの支柱なし。スキー場跡地が正解か。 |
Lゲレンデ下に降り立ち、休暇村側を見る。幅の狭い舗装路を伝って進むと、休暇村の前に出る。 | 途中の冷たそうな水を湛える池。 | M黒湯の駐車場に戻る。 |
毎年、職場の休日は自分で割り振りをしていたのだが、今年から他人がやることになった。国際的な思考だと、お盆など無視するのが普通らしい。その結果、4日しか休みが無い事になった。あるだけいいとも思えるが、古くからの風習がある地域、間違いなくここは日本であり、それ相応の風習やしきたりは重んじなければならない。結果、有給休暇申請が続出。頭は柔らかくしてもらいたいものだ。とは言え、自分においては決められたことは守りたい。それがルール。
天気が下り坂のお盆休みとなった。予報では北海道と東北以外は雨模様が続く。となれば、北海道には行けないが東北には・・・。北関東道が関越と東北道を結び、とてもアプローチがしやすくなった。ただし渋滞だけは避けられないのだが、便がよくなったのは確か。ここで乳頭温泉郷付近の山に行くことにした。前回蟹場温泉に浸かり、山に登らず温泉だけに浸かった結果があり、気になっていた場所でもあった。地図からは適当な周回コースが選べ過不足ないコース取りとなった。ちょっと負荷と言えば、この東北行脚の後に能登まで行かねばならない。ねばならないと書くと語弊があるが、4ヶ月ほど前から宿を予約してあり、そこもこのお盆の楽しみの場所。今回は、東北の山と温泉、能登の海と海の幸を楽しむ企画となる。
前夜、新盆のお参りを済ませてから21時半に出発する。東北道に乗って順調に進むが、仙台宮城の先が通行止め、ここは運よく仙台南部道路で迂回して繋げてゆく。しかしその先でもう一度降ろされ、一区間のみ下道を走って東北道に戻る。戻ると既に流れはあった。運不運とタイミング・・・。盛岡で降りてR46号に乗って秋田に入る。田沢湖周辺は懐かしい風景ばかり、地図を見ずともスイスイ走れる場所で、小先達交差点から乳頭温泉の方へ登って行く。行き交う車も特になく、静かな温泉郷内。目的地の黒湯の方へハンドルを切る。クーラー要らずの外気温に、窓を開けると漂う硫黄臭。登る前に温泉心を擽られる。黒湯の駐車場には、泊り客であろう車が20台ほど置かれていた(5:10)。のんびりと準備をしだすと、ザックを持った女性のみのパーティーが黒湯温泉の方から来て乗車して出て行った。山ガールファッションが多くなる中、オーソドックススタイル。逆にこの方が新鮮に見えたりもした。早朝であり、雨具を履こうか迷ったが、楽をして履かず。この判断が、後になりパンツまでびしょ濡れになることに・・・。思ったら行動・・・。
5:38駐車場をスタートする。乳頭山登山口と書かれ、登山者に配慮してある。細いコンクリートのスロープを降りて行くと、右手に黒湯の施設がある。さらに下に降りて行くと林道が現れ分岐となる。道標があり、休暇村と孫六温泉を示していた。乳頭山の表示が消え、オヤッと思ったら、標柱のもう一面に乳頭山の文字が見えた。林道を川沿いに遡上して行く。右に黒湯の施設があり、そこに露天風呂がある様子。全ては帰り・・・。しっかりした道が切られているが、足許は早い段階で朝露に濡れて行く。堰堤を左に見て、その先で噴気が上がる源泉地がある。遠望に気をとられていると、ルートの脇に池があったりした。こんな場所に・・・。
木橋で左岸に移ると、山道度が少し増す。見通しが利かないルートで、沢の音を気にしながら大型動物の気配も気にする。ただし周囲の木にはそれらしい痕は残っていない。硫黄臭のせいなのかも。途中から木道が現れ、管理・整備された道である事が判る。そして一本松沢に到着。ここでルートは沢を斜めに横断する。打たれた矢印マーキングを追って水没しないように足を運んで進む。渡りきった場所に湯だまりがあり、これが一本松温泉かと思って手を浸けるが、かなり低温だった。ここから3分ほど上に進むと、目の前にそれらしい野湯が現れた。これが一本松温泉。手を入れるとしっかりと熱い。沢水が3本のホースで引かれているが、間に合っていないよう。ここだけが目的なら浸かるのだが、まだ全行程の何十分の一の位置。じっくり手だけを浸して堪能。引水しているホースの先で給水、プラティパスを満たす。そしてここで、やや遅いがスパッツを装着。完全に露払いであり、普通に濡れる。しばらく刈り払いはされていない場所のようであった。管理されている様子から、大丈夫だろうと高を括ったのだが・・・。
旧一本松温泉を出発し、ルートは小沢脇を進むような場所となる。細い流れの音を聞きながら行くと、赤いリボンが垂れ、そこに流れが横断。リボンには「水場」とあった。先ほど汲んだのだが。汲んだ時にやや硫黄成分を感じていた。ここで汲みなおし。斜度が少しづつ増してきて、いつしか尾根に乗った格好になる。ふと振り返ると秋田駒が見えるようになる。この周辺に気になる場所があるのだが、エアリアマップに「コース荒れている」と書いてある場所。どうに荒れているのかと思ったら、言うほどに荒れているわけではなく、それよりササの中を泳ぐような場所が増え、それにより下半身は水没したと同様となった。スパッツはお飾りのようなものでしかなく、雨具を履くべきだった・・・。ここはルートがある場所にしては、ちょっと想定外。
残り1キロの標柱が現れる。乳頭山の山頂に立つ標柱も見えている。ここから見ると牛が寝ているような山稜。進路左側のなだらか斜面にはシラビソの植生があり、その中にポツンと小屋が見えてきた。田代岱山荘である。向こうを伝えば足は濡れなかったか・・・少し思うところがあったが、旧一本松温泉が見たかったので後悔はない。ヤマハハコの可憐な花が出迎え、ツリガネニンジンの淡いブルーも清楚。赤ザレの場所でちょっと進路を戸惑うが、何となく進むと木道が現れ、そこに導かれると、田代平からの道と合流する。この先、乳頭山の女性らしさより、男らしいと言うべき岩壁を見ることが出来る。けっこうな高度差で切り立っている。これが遠くから見ると山名になるほどの突起に見させているのかも。東進して行く。
乳頭山到着。ガスが展望の半分を覆っていた。先ほどの岩壁の上に立つと、足が竦む。次ぎに目指す笊森山側が見たかったが、しばしおあずけ状態。晴れていれば、素晴らしい展望の山であることは判る。ガスの中に広がる草原のような北側地形。広い、大きい。同定盤もあるのだが、その各方向は見ることが出来ない。その同定盤をコンコンとノックするといい響き。気温は21度。じっとしていると寒いくらいで、小休止ののち歩き出す。
乳頭山から降りだすとすぐに滝ノ上温泉への下降点がある。左に見ながら降りて行くのだが、この先がやや不明瞭と言えば不明瞭。有視界なら先に続く道が見えるものの、ガスが覆うと進路を迷うような場所であった。それはさておき、周囲はお花畑となり、それこそ歩行に彩を添えてくれる。振り返ると乳頭山の格好がいいこと。思わず親指を立てて腕を前に出す。進んで行く先の池塘は枯れている場所が多かった。見下ろすような場所にあるものは、湛える水が紋様をなし、トナカイに見えるそれもしっかり確認出来た。ガスはまだ不安定で、周囲は見えたり見えなかったり、目指す笊森山はまだ標高差があるよう。
千沼ヶ原への分岐には大きなケルンが作られている。ここから緩やかな登りになる。目指す場所がピークかと思って進むと、ニセピークがあり、先の先の方に笊森山の山頂はあった。またまたガスの中に入ってしまい、展望を楽しめない状態。今日はこんな巡り会わせか・・・。すると足許にクロマメ発見。数個摘んで口に放り込む。僅かな甘みと酸味。少しばかりか元気になる。二つ目の千沼ヶ原の分岐が現れると、さらに先の勾配が増す。もう少し。
笊ヶ森山頂は広く、その中央に古い標柱が立ち、助太刀するかのように古い標識が置かれていた。三等点も周囲の石に同化したように立っている。残念ながら展望なし。そこへ、秋田駒の方から大きな音でラジオを鳴らした御仁が現れた。音を止めるのかと思ったら、そのまま・・・。山頂は静かに居ようよ。ま、登山道もそうだけど・・・。なんで自然の音を聞かないの・・・。他人のことなどは気にならないのだろう。逃げるように山頂を後にする。するとここから憎い演出。起伏の少ない緩やかな場所。向かう先には秋田駒があり、足を進めてゆく従い、その姿を現してきた。「見える、晴れた、おおう!!」などと次第に全容を見せる少し焦らすようなガスの動きに一喜一憂。そして最後は全てのガスが消え去った。
快適も快適。秋田駒側からのハイカーも多くなる。基本ここは秋田駒からの縦走となるらしいから、体感しているのはそれなのだろう。木道の場所も至極綺麗なお花畑となっていた。進む先に黒い固まりが見えてくる。山名事典に書かれているが、「山」なのか半信半疑であった。東北ではよく「森」や「平」で山の名前を締めくくっており、それが山を表す言葉となっている。ここもそれでいいのか・・・。進んで行くとこんもりと高い場所となる。いいようだ。
熊見平到着。大岩があり、2.5mほど攀じりその上に乗る。360度のパノラマ展望を得ることが出来た。ここでの有名な宿岩は僅か北にあり、その基部に雨宿りが出来そうな1.5畳ほどの空間が設けられていた。ここからが気持ちよかった。池塘の配置もよく周囲の緑の中で鏡と化していた。花畑では一眼を構える山ガール。そうそう、山ガールの中に、大きなカメラを持つ人が増えてきた。重いのに大変だろうと、男の目から見てしまうのだが、女性が強くなってきたのと、ブームと趣味の多様化はここまできたのかと思うのだった。やや大きく下り、小さな流れを跨いだら登り上げ。湯森山の南面はまだ雪渓が残り、そこからサラサラと冷たそうな流れが出来ていた。周囲にはニッコウキスゲが咲き、雰囲気抜群。登山道から離れそこに行きたくなるような場所となっていた。左から巻き込むように登り上げて行く。
湯森山の最高点は通過点のような場所。標柱の西側にひっそりと三等点があるのだが、低木に隠れるようにしてその場所に佇んでいる。この湯森山は西側に展望所があり、行政の大きな案内図もある。ベンチも設けられ、秋田駒を望みながらの休憩には適地。西にはこの日最後の目的地の笹森山が見えている。その手前で深くアップダウン。下降開始。
降りて行くと、大きなパーティーが2パーティー向かってきていた。八合目小屋から登って来たのだろう。スキー場への分岐点ですれ違い、笹森山への登りに入る。途中左に八合目小屋への道を見て右に進む。ここに笹森山の標柱が立つが、山頂はまだ上。山腹の東側をトラバースするようにして進み、北から巻き上げるようにして山頂部に行く。これまでの登山道に対し、明らかにマイナーさがある。ハイマツに覆われた山頂部で、そのためのようであった。
笹森山到着。5名ほど訪れたらいっぱいになりそうな場所。秋田駒が目の前にあり、その右肩越しに田沢湖が見える。展望がいいのは北側方面で、登山道を少し戻ると、乳頭山からの本日歩いてきた山々を望むことが出来る。遥か遠くにある乳頭山の顕著な高み。花畑から見上げた絵面が頭の中に甦る。最後まで飲むのを堪えていた缶ビールを開け祝杯。汗をかいた分、ガスがとれ暑い日差しになった分の美味しさが感じられた。さて下山。
先ほどのスキー場への分岐点まで戻り、そこからのモシャモシャの道を伝って進む。しばらく刈り払いがされていないようで、足の置き場に難儀した。掘れた場所があり、気を抜いていると捻挫をしそうな地形でもあった。ここでも早朝通過ならびっしょりと濡れる事になるだろう。ザレた場所もあり、ゆっくりと足を進めてゆく。このルートはこんな感じなのか・・・と、やや荒れた様子に予想外とも思えた。しかし、ここを過ぎブナの原生林の中に入ると様相は一変し、快適な下草の無いルートとなる。ブナとササしかない植生。そのブナは、太さはないものの見事。途中沢があり水も得られる。そしてそのブナ林から抜け出すとスキー場。廃スキー場と言ったほうがいいのか、リフトは撤去され自然に戻されていた。
スキー場のゲレンデ内は、特に道標や道形が無いので適当に下に向かって降りて行く。降り切るとぽつんと笹森山を示す道標が立っている。ここから歩道舗装された幅の狭い道を伝って行くと、林の中に入り散策路となる。木のチップが敷かれた道で快適。その先に池があり、水面を見つめるウェーダーを履いた釣師の姿もあった。出た先は休暇村の前。東屋でしばし休憩。同行者も疲れたようで、ここで休ませ、一人車を回収する事にしようかとしたが、上まで歩くとのことで、ゆっくりと登り返して行く。ここから蚊がやけに多かった。ブユでなく、アブでもなく、蚊。何でここに多いのだろうか・・・。ササを拝借して、それを振り振り登って行く。源泉地が右に見え、もう僅か。
黒湯駐車場到着。停められている車は、出発時と同じくらい。温泉郷の中には名湯がたくさんあり、訪問者も分散されているってことか。無事快適に周回を終える。大満足。黒湯に浸かり静かに目を閉じると花畑の風景が甦った。