奥三界岳   1810.5m         
                        

 2012.08.25(土)   


  晴れ     同行者あり       竜神の滝から         行動時間:8H22M (ゆっくり)


@ゲート5:46 →(21M)→A銅穴の滝6:07→(5M)→B舗装林道からの分岐6:12→(54M)→C丸野林道に出る7:06〜11→(43M)→D昇竜の滝東分岐7:54→(30M)→Eプレハブ小屋8:24〜25→(22M)→F水場8:47〜51→(58M)→G奥三界岳9:49〜10:20→(49M)→H涸沢下11:09〜13→(23M)→Iプレハブ小屋11:36〜41→(16M)→J昇竜の滝11:57〜12:05→(40M)→K丸野林道分岐12:45→(41M)→L吊橋13:26〜13:35→(14M)→M舗装林道に出る13:40→(5M)→N銅穴の滝13:45〜48→(20M)→Oゲート帰り14:08


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@竜神の滝の上流ゲートからスタート。林道は川上林道。 A僅かに進むと銅穴の滝の東屋が見えてくる。ここから丸野林道への登路もあり、伝ってもいい。 A銅穴の滝 B林道を離れ、一ツ滝側へ折れて行く。
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川面まで下降する。 吊橋は定員1名。吊橋を渡らずとも、飛び石で渡渉可能。 一ツ滝との分岐。 樹林の中の涼やかな登路。
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C丸野林道に出る。 林道に分岐あり。右側に足を進める。 途中から奥三界岳側。 丸野橋は高度感があっていい感じ。
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丸野橋の先で流れが横切る。水が得られる。 前方に二重の珍しい構造の橋が・・・。 昇竜の滝を下から望む。 D鋭角にターンして行く。左側から上ってきて、右側の登路に入る。以前は林道幅があったようだが、崩落し埋まっている。
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D分岐の東側に小橋があり、ここに道標がある。 木橋の上を行く。場所こそ違えば、伝う事を禁止するような橋。通過できることが嬉しい。 昇竜の滝全容。 プレハブ小屋までのルートは自然に戻りつつある。
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ガレ場を通過して振り返る。 E林道終点地のプレハブ小屋。中央にあるのだが、周囲は野草に覆われ漕いで進む。 E小屋内部。 プレハブ小屋の先から階段を登る。
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途中で視界が開ける。 ただし、ルートはササの中に没する。 ササを分けながら・・・。半袖服だと傷だらけに。 F涸沢手前に水場あり。枯沢の中にも流れあり。
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涸沢の中に入って行く。 涸沢上部。 尾根に乗る。快適な起伏の少ない道。 G奥三界岳到着。
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G現地調達木なのか、チェーンソーの刃跡が残る櫓。 G三等点。 G標識も静山の雰囲気。  G北側の展望。
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G櫓から南側。 G具沢山のヤキソバパン。 G御料局の三角点もある。 帰り。泥濘地の通過がいやらしい。 
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鏡池の周囲は足場に注意。ドロドロのヌタヌタになる。 尾根を離れ涸沢にむけ下降中。 H涸沢の下側。この沢の下流に柵がある。放牧がされていたのか、単に遭難防止の為か。 Iプレハブ小屋に戻る。 
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J昇竜の滝前の橋の上で僅かに昼寝(同行者との足揃えの為)。 分岐を鋭角に曲がって。 木橋構造が見事。 大きな崩落もあるルート。山手斜面には注意が必要。
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丸野橋帰り。 K丸野林道を離れ山道に入る。 針葉樹林の中を・・・。 大きな切株も点在し、プチ屋久島のよう。
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L吊橋下に降り、川で汚れ物を洗い戻って行く。 M川上林道に出る。 N銅穴の滝にて観瀑する。見事な飛沫の上がる滝。 Oゲート到着。


 

 

 しばらくの間、造林の為か林道通過の制限がされていた。土曜日は進入できず、日曜日には進入可。この条件でしばらく推移していた。なかなかこの条件下に入ることが出来ずに居たのだが、それがいつしか解禁となっていた。普通なら、こんな処置をすればルートが荒ぶのだが、ここは300名山であり、ピークを求める好事家が入る場所。距離こそやや長いが、ルートに関しては心配無しに思っていた。だかしかし、その影響は・・・。

 

 中央アルプスは木曽駒ヶ岳へのガイドを頼まれた。それならと、生温すぎるから前日は少し距離のある所をと奥三界岳を選んだ。途中に滝ある場所で、夏場にも涼やかに歩けるのではないかと思ったのだった。1年ほど前に計画して熟読した地図。何箇所か気をつけるポイントがあるようだ。そして本当ならサクッと単独で行った方がいいのだが、同行者が居る。やや長めのルートの場合、足の揃いが気になる。でも翌日の行動もあり、自分も満足するため選んだ場所であり、いろんなリスクは背負わねばならない。

 

 中央道を恵那山トンネルに潜り中津川で降りる。19号を弥栄橋交差点まで進み、分岐して256号に入り、すぐにまた福岡坂下線に分岐する。目指すは夕森温泉。登山口はその先となる。現地に入ると、翌26日は催し物があり通行規制がある様子。出向いたのがこの日でよかった・・・。竜神の滝の案内看板を右に見てさらに進むと広い駐車場を擁して、その先がゲートされていた。止っている車は1台もなく、意外やと思えた。静山とは思っていたが、その様子に寂峰に頭が切り替わる。すぐに登行準備をする。

 

 ゲートを越えてゆく。その先に「川上林道起点」の標柱がある。今日の同行者は、ストック装備初体験。こんな物でも慣れないと手と足の動きがおかしく、歩行スピードが遅くなっていた。この日のポイントはここ、ストックの為に私と足が揃わず、何度も立ち止まって待つ場面が発生。次回に繋がればと我慢であった。20分ほど進むと、左側に東屋が現れ、ここが銅穴の滝。滝の右岸側にはこの上の丸野林道への登路もある。この道の選択でもいいが、この先にある吊橋には興味がある。そしてこの滝から5分ほどで、天然公園と一つ滝との分岐点がある。滝の方へは山道になり、その方向が今日の進路。山道の入口には杖が無数に置かれていた。そこからまずは下降開始。設置してある道標は、滝を示す物ばかり、よっていたずら書きで「奥三界岳」と追記してあり、これが安心材料。

 

 気になっていた吊橋は、良い感じに揺れ、敷板の朽ち方もいい。どんな場所でもワクワク感を抱くのは嬉しいのだった。渡りきってからは、しばし九十九折を行く。滝への道を右に見て進むと、広葉樹から針葉樹の森に変わる。周囲には大きな切株が多く、昔の伐採跡と見える。その様子に、プチ屋久島と思わせる雰囲気がある。夏でも日差しを受けずに涼やかに歩くことが出来るここ、天気が悪ければ暗く淋しいが、晴れている中ではありがたい経路であった。なかなか同行者が追ってこない。橋を越えてから既に5分×2度ほど待っている。予定していた進度からどんどん遅れていた。

 

 丸野林道(夕森田林道?)に出る。歩き易いよく踏まれた林道を15分ほど進むと、分岐が現れる。ここは右に。特に書き物はないが、朽ちた木片が打ち付けられている。それが進路を示していた。山手側からの崩落の多い林道で、到底車が入ってこられる状態になかった。これによっても、この山間部の林業事情は荒んでいるようにも思えた。途中から夕森山の左の方に円錐形の高みが見えた。あそこが今日目指す場所なのか・・・。崩落がある以外は快適な林道。ややストライドを広げるも、後続はこれまで同様に一本調子で遅いまま。時計との睨めっこが続く。

 

 目の前に大きな橋が現れる。欄干にある白いプレートに名前が入っていたようであるが、今は消えていた。橋の上から下を覗きこむと、60mほどはあろうかという高低差。その下に陽射しに輝くキラキラとした流れがあった。目に涼やか。渡りきってもう一度白いプレートを読み込む。微かではあるが「まるのばし」と読み取れた。丸野林道(夕森田林道?)の丸野橋って事になる。ここを過ぎると、小沢となり土砂が林道を横切っていた。ここでは山手側の堰堤の所から水が得られる。冷たい水で顔を洗いリフレッシュ。何かをしないと今日は同行者と足が揃わないのだった。ここから僅かで、前の方に新旧二つの橋が見えてくる。一見、古い方が旧道で、今渡って行く新しい方が新道と見えるのだが、実際は道があるから橋が在り、この後に古いほうを渡って進む。この場所が昇竜の滝の場所であった。

 

 滝を見てから先に進むと、200mほど先にプレハブ小屋が見えた。その手前の小橋には、「奥三界山」と書かれた標識があり、鋭角に進むよう導いていた。これまでが前座で、この先が本番。林道であったそこは崩落が進み、獣と人の御用達の場所。四つ車の通過は無理で、通過できるのはトライアルバイクくらいであった。オフローダーでもきついだろう。先ほどの橋の上からは昇竜の滝の全容が見える。流れが少なくいまひとつの見応え。これも自然でありしょうがない。やや藪化した、自然に戻りつつある林道を分けてゆく。ここは少し予定外。後続がさらに遅くなり視界から消える。消えるのは野草に埋まって消えることも含む。途中のガラ場を過ぎ3分ほど足を進めると林道の終点地となり、目印となるプレハブ小屋が現れた。

 

 プレハブ小屋は、ほとんど周囲の野草に隠された状態で、背の低い人だと見えないのではないかという状態になっていた。そこに行くにもススキを分けて進み、朝露でびっしょりになった。開放感溢れるその小屋は、かなり荒んでいた。まず利用する人は居ないのだろう。小屋の先に奥三界岳まで2Hと書いてある。出来るだけこの表記を隠したかったが、同行者の目に留まって、その次に悲鳴が上がった。オーバーではないのだが、「えーあと2時間も」。既に2.5時間ほど経過している訳であり、見せないようにした理由も、悲鳴の理由もあるのであった。同行者に3時間の山と伝えてあったからである。そのつもりでいたのだが、進度の遅さと現地により、かなり遅い行動になっていた。「さあ行くよ」とすたすたと歩き出す。

 

 階段を上がると、今度は笹が繁茂するルート。刃物を入れた痕はあるのだが、それからかなり年月が経っている様子。しょうがないので、可能な範囲で笹を折って道を広げて進む。微々たる努力だが、しないよりましで全ては同行者への配慮。一人なら泳いで進んでしまう。なめていたわけではないが、これほどにモシャモシャしているとは思わず半袖で来ている。昇竜の先の藪で引っかき、ここでも引っ掛かれ、腕じゅうが傷だらけで、それは同行者も同じであった。ササかぶれやササダニに遭わなければいいと願うばかり。途中から、ややトラバースするような道になる。周囲の展望がよく、見ながら進みたいが、足元が斜めであり注意は足に・・・。すると耳に涼やかな音が聞こえだしてくる。水の音であった。

 

 水場の先に涸沢がある。涸沢と言っても、その中に流れがあり水を得ることが出来る。ここでも5分ほど後続を待つ。既にこの時点で同行場所として選択をミスしたかと反省。でも来てみないと判らなかった事もあり・・・。涸沢の中は歩き易く、石に乗りながら駆け上がってゆく。谷を詰めている感じの場所が途中で右にずれる。ここで涸沢を離れ、尾根まで後わずか。この辺りも銀鱗のササの葉が綺麗だった。そして尾根に乗る。尾根と言っても地形図を見た通りのなだらか尾根。またまたここで5分ほど足踏み。言葉にこそ出さないが、イライラしていたのは事実。もう少し速く歩けるのに歩いていないからであった。そうそう、ここまでに3匹の蛇を見た。当然のように餌となる蛙も多い。マムシにアオダイショウが日向ぼっこをしていた。

 

 尾根歩きはなだらかでいいと思ったが、樹林帯の中のその道は、湿原とか池塘とかになりそうな場所なのだろう、泥濘地が多くなった。スパッツが効果を成したが、それでも足許はドロドロになる場所。渡し木もあるものの、けっこう嫌らしい通過点であった。それでもその湿地にある鏡池の周囲の苔は見事。そのライムグリーンにしばし見入ってしまった。山頂部の櫓はいつになったら見えてくるのか、先を覗き込むように前に進んで行く。

 

 奥三界岳到着。チェーンソーで成型したと思われる木片を組み合わせて強固な櫓が出来ている。その上にはベンチなどもあった。生憎のガス。それでも幾分か、微かに展望はあった。経路に時間がかかったせいで、同行者は飽き飽きしている様子。まあ山の捉えかたが個々に違うからいろんな感想があっていいだろう。三等点が櫓の下にあり、ここだけ、ササの中のオアシス的場所になっていた。到着して振り返ると、林道工事の影響か、ルートがやや管理されていない状況となっている。このまま自然に戻るのも、藪屋としては楽しみではあるが、300名山としてはハードルが上がる山となるだろう。笈ヶ岳や佐武流山が登りやすくなった今、逆に登り難くなっている山がここかも。大休止をして往路を戻って行く。

 

 泥濘地で益々靴がドロドロになる。尾根の終わりくらいで、前から単独行の方があがってきた。鈴を3つぶら下げて、手には分岐点にあったダンダラ棒と枝でダブルストック。「道が悪く、もう疲れました」とすれ違って行った。ササの中では、やはり蛇を2匹見る。この確立だと、物凄い生息しているのだろうと思う。涸沢を下り、沢からの分岐点で後続を待つ。この沢は下の方に大きな策が造ってあった。その柵は笹原の中にもあり、放牧がされていた跡なのかと見えた。もしくは、沢を進みすぎないよう、遭難対策か・・・。ササの中を泳いで進み、下の方に赤錆色の屋根のプレハブ小屋が見えてきた。赤錆色と言っても、実際に錆びて赤いのである。小屋の横の日蔭で水休憩。もう少し頑張って林道まで出てしまえば降りたも同然。

 

 プレハブ小屋から進んで行き、夏草を掻き分けながら日差しを浴びる。まあ暑いこと。ジリジリと・・・というのがぴったりと当てはまる。そして昇竜の滝の橋の上で後続を待つ間に昼寝を決め込む。するとなにやら人の声が・・・下に見える道に山ガールが降りていっていた。30代と思える二人連れ、何処から来て何処に行くのか。すると橋の先から一人の男性が来た。聞くと、山ガールとここまで一緒だったとか・・・。羨ましい・・・、いやたまたまだったのだろう。聞くと女性はここまでで帰ったそうだ。彼女らも想定以上に時間がかかったのやも。昼寝を止めて欄干に腰掛け滝を見る。この欄干が朽ちて割れたら・・・命無し・・・なんて思いつつ。後続が姿を現し歩行開始。その前にスパッツを外し、蒸れた足許から開放される。

 

 分岐からは林道を闊歩して行く。谷を見る余裕もあり、周囲景色を堪能しながら降りて行く。丸野橋を過ぎてしばらく行くと、先ほどの山ガールが山水の出ている場所でランチをしていた。ストーヴを出し手馴れた雰囲気。「こんな場所ですみません」と言うが、確かに林道の真ん中で・・・。でもここなら許される事。そして林道歩きに飽きたころ、一の滝への下降点となる。陽射しから開放されて、涼やかな道。気持ちよく闊歩して行くのだが、やはり後続の足が・・・。気にして遅くしているのだが今日はどうにも揃わない。吊橋に到着し、その下に降りて沢でスパッツなどの汚れ物を洗い時間調整。流れを見ながらのんびりと涼む。ゆっくりとした時間が流れてゆく。そうこうしていると吊橋の上を人が通過して行く。我がザックは判るように吊橋の右岸に置いてあった。「おいおい、行っちゃうの」。急いで後を追ってゆく。急登を駆け上がり、川上林道に乗る。

 

 この日は、銅穴の滝の東屋がオアシスのようであった。屋根が高く造られた東屋で、その為の涼しさと、そもそもの滝からの風の流れによる涼しさがある。涼風とはこのこと。大岩を乗り越えながら滝つぼに行く。マイナスイオンを感じるそこは、至極涼やか。往路では濁っていたような水は、復路では綺麗に澄んでいた。見る角度、見る時間により表情が違うようである。滝に満足したら降りて行く。舗装路が長いと足の裏が熱くなるのだが、ここは適当な距離。途中川上川から歓声が聞こえる。家族連れが水遊びに興じていた。

 

 ゲートに到着。駐車スペースには5台の車。水遊びの家族を合わせると、経路に出会った人と数は合う。装備を解除し、帰りに竜神の滝に寄って行く。この滝は見るに値する滝で、見栄えのする滝であった。さらには滝の場所にあるキャンプ場の管理人が気の良い人で会話も楽しい方であった。各地に行き山に触れ人に触れ。

 休憩時間の合算からすると、単独なら3時間ほどのアプローチだったろう。

  
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