朝日山 1692m 平森山 1813m 白倉山 1851m
2012.01.07(土)
晴れ 単独 兵越峠からピストン 行動時間:9H12M
@兵越峠尾根取り付き7:03
→(21M)→A木梨山7:24→(109M)→B朝日山9:13〜17→(84M)→C平森山10:41〜53→(53M)→D白倉山11:44〜12:01→(48M)→E平森山帰り12:49〜53→(84M)→F朝日山三角点14:17〜25→(91M)→G木梨山帰り15:56〜58→(17M)→H尾根と林道の合流点(取り付き箇所)16:15
@兵越峠のトイレ舎の方への林道を入って行くと、県境稜線との合流点がある。 | @取り付き箇所。マーキングがある。 | @水窪町の看板も。 | A水梨山 |
A立派な標識が掛かっている。 | A三角点もいい風合いに・・・。 | 朝日山直下。三角点ポイントを示している標識。やや矢印の弧の表記が迷うような・・・。 | B朝日山最高点。南からも道形が上がってきている。 |
B朽ちてきている標識。 | B手書きリボン。 | B古い標点。 | 朝日山の東側1650m付近。軽い倒木帯。尾根が広いので注意。西寄りに歩いた方が無難。 |
1730m峰(屈曲点)の西側付近。 | 平森山の西側1740m付近。この人工物が見えると、その先から少し濃い藪となる。 | この間のみ深く漕ぐ。 | C平森山。 |
C三等点が僅かに顔を出していた。 | C遠山山の会の標識。 | C朝日山の物と同じ標識。 | 平森山の北側で倒木帯に入る。これはそれを避ける案内書き。尾根の西側を巻いて進む。 |
絶縁テープの先の尾根の様子。 | 巻き終わって尾根に戻るが、それでもまだこのような倒木帯が続く。 | 景色良好。中ノ尾根山側。 | まだまだ倒木。 |
1815高点東付近。 | D白倉山。笹原のピーク。 | D白倉山西側。登ってきた側。 | Dmlqの古いいたずら書きが残る。 |
D白倉山から黒沢山側。 | D白倉山から三俣山側。 | D白倉山から聖側。 | 帰路途中でシカの角を拾う。 |
E平森山帰り。 | 平森山の西側で、1箇所のみ密生した倒木箇所がある。 | 朝日山に向けて登り返し。 | F朝日山三角点地点。最高点と離れた場所。 |
F三角点の標高で標識が揚げられている。 | F三角点は雪の下。 | F三角点を掘り出す。三等点。 | G水梨山に戻る。 |
G健太郎さんの標識は落ちていた。 | H林道途中の取り付き点に降り立つ。 | H駐車風景。 |
成人の日を含めた年始の三連休。それも好天の予報。こうなるとじっとしているわけにはいかない。「ちょっとがんばろうか」と思い、南アルプスは深南部の登り残しの場所を眺めていた。残し方を誤った訳ではないが、全て時間のかかる場所が残っている。日帰りがし難い場所となって残してしまった。よってこの連休が有効に使えると思えた。ただしこの季節、南と言えどしっかり積もっている。意を決するか、雪解けまで待つか。悩んだ時は突き進むのがいつも。よって決行。
上信越道から長野道に入ると、強い降雪。「今日はこんな天気ではないよな・・・」なんて思いつつも、目の前の現実に少し萎え気味。それと、たかが年始から二日働いただけなのに、休んだ後の仕事量が多く、ぐったりとした疲れが体を取り巻いていた。おのずとハンドルはパーキングエリアに切られ仮眠となる。こんなモチベーションで2000m超を狙えるのか・・・。我ながら情けない状況であった。中央道に入っても、駒ヶ岳SAで仮眠。それほどに疲れていた。早朝4時頃を出発時刻にしていたのだが、既にその4時を回っていた。これでは・・・。
松川インターを降りて矢筈トンネルに潜って上村に入る。既に時計は6時。予定を一度リセットさせる。攻め方を変えよう。狙っていたのは鶏冠山と三俣山。入山は梶谷地区からの予定であったが、オールリセット。運転してみてのこの時の疲労度も判っており、幕営行動から日帰りに切り替えた。そして兵越峠から入る事にした。周回を諦めピストン。行けて三俣山。鶏冠山は残す事にした。最近、この少し残すのが心地よかったりする。だんだんと登る山が少なくなっている昨今(一度登った山にはあまり登らないので)、遊べる山があるかと思うとワクワクするのだった。と言う事で、R152を詰めて行く。その152号だが、青崩峠への道は崩落があり通行止めであった。熊伏山へのアプローチが少し変わっている様子であった。その道を右に見ながら突き上げて行く。時折路面は凍っており、慎重に高度を上げる。そしていつ来ても閑散とした兵越峠に到着。トイレ舎の前まで車を上げると、その先にも林道が続いていた。そのまま進んで行くと、300mほど先で車止めがある。その手前100m辺りが県境尾根がクロスする場所。そこにはマーキングがされ、山道があることを示していた。路肩に駐車しても往来は可能で、植林地脇に停める。既に7時、どこまで歩けるか・・・。すぐに準備する。山塊の状況が判らないのでザイルも携行した。
取り付き点からスタートする。かなり冷え込んでいて寒い。放射冷却かとも思ったが、西側からの吹き上げの風が冷たい地形のようであった。ややはっきりしない尾根の上を進んでゆく。もう少し踏まれた感じがあるのかと思ったが、そうでもない様子で、道形と言うよりマーキングを拾って進むような地形であった。顕著な尾根でなく、やや広い尾根と表現したらいいか。淋しい景色の中を早足で登って行くと、1317三角点峰に「水梨山」と書かれた立派な標識が掲げられていた。地形図にも事典にも載っておらず、ここに来てはじめて知った山名。足元の三角点は彫り込みが黒くなぞられ、いい表情をしていた。さあこの先からアップダウンが続く。下草は無く、掻き分けるような場所ではない部分はありがたい。そして鹿が多いようで、どうしても彼らの歩く場所が歩きやすいだろうと思い、その後を追ってしまう。足跡を追う・・・人間の習性なのだろうか。
1474高点は南側の山腹を巻いて進む。鹿道がそこにあったのだった。そして朝日山の登りに入る。ここは急登箇所もあり、雪が乗り進度が落ちる場所。木の根や岩に掴まりながら這い上がる場所もあったりする。地形図を見ながら歩いているので、どうしても南北に横切る破線ルートが気になった。当初はこれを使い北に降りる計画であったから、尚更そう思うのだが、現地で気にしていたものの全くその道形は判らなかった。雪が乗っているせいもあるのだろうが、横切って行くようなマーキングも見当たらなかった。その代りにと言ってはおかしいが、三角点の場所を示す道標がポツンと立てられていた。その三角点は帰りに見ることにして、往路はとりあえず最高点を目指す。ここでは有視界なので迷わなかったが、積雪期は特にこの周囲の地形は迷うように思えた。鹿道が多く、それの誘いもあり、コンパスを定めていないと、どちらを向いているのか判らなくなるような周囲の様子であった。当然夏道の存在なども判らない。適当に一番の高みを探して進んで行き、朝日山の最高点を見つけ出す。
朝日山到着。北側から到達したのだが、そのまま南側に降りて行く道形があった。これは、白倉林道を歩いた時に「朝日山登山口」と書かれた場所を見ている。間違いなくそこからの道であろう。山頂には塩ビのパイプが無数に刺さり、朽ちた標識も揚げられていた。ここまで約2時間。単純に距離換算すると白倉山まで、あと2時間かかると思えた。そして残り2時間で三俣山。ただしこの場合は帰りはヘッドライトを使わねばならない。ここで立ち止まって考える事でもなく、歩きながらも考えられる。時間は押しているので僅かな休憩で平森山側へ出発する。
朝日山の北斜面。しばらくは緩やかな下りなのだが、点々と倒木があるのと、やや広い地形。尾根が複数本北に向かっているので、東側でなく西寄りを歩きたい。何気なしに東の方を伝っていたら、西の尾根筋が別方向に向かうので、慌てて修正した。そしてこの付近が歩いた全体で一番雪が深かった。溜まりやすい場所なのであろう。倒木を跨ぐので疲れたのか、つぼ足で疲れたのか判らぬが、股関節が痛くなるような場所であった。そしてこの先、1617高点を過ぎると東側をトラバース気味に道形に乗ってゆく。昔からの登山道なのか鹿道なのかが判らないような道であった。ただし、途中から有耶無耶になり、見失って尾根に直登したので、結局は鹿道だったよう。
1730mピークがこのルートの屈曲点。北東に進んでいたのが真東に変わる。しばらく進むと、この場所にして金属支柱が現れた。ハンターに向けての案内看板が在ったのかと思うが、現在は標柱のみ残っている。このポールを合図に、その先が深い藪となる。と言っても距離にしたら僅か。ササの雪を被るようにして平泳ぎをして抜ける。そして緩やかに登り上げて行く。前の方をドタドタとシカの大集団が駆けてゆく。進んでゆくと、新しい糞や雪の上に座っていた跡が残る。私の行動は彼らを邪魔したようだ・・・申し訳ない・・・。平森山への西斜面はササの植生が強くなり、やや尾根右側、すなわち尾根南側を伝って進んで登って行く。
平森山。朝日山に在ったものと同じ赤字の朽ちた標識と、遠山山の会の標識が揚がっていた。三等点が雪の上に僅かに顔を出している。ここまで来れば白倉山は僅か先。ただし三俣山までは、遥か先・・・。既に時計は11時に近い。まだ悩んでいた。あまり展望の無い山頂だが、辛うじて木々の間から周囲が見渡せる。さあこの先から本格的な倒木帯に入る。平森山から進むとすぐに、その倒木帯を迂回するよう案内表示があった。巻くことを不安がらせないような丁寧な表示でもあり、尾根の西側をやや深く巻いて進む。ここには道形もある。そしてそこにマーキングも打たれている。
トラバース道を行くと途中でコルとなり尾根ルートになると、深い谷の中に入り、またまた倒木帯を跨いで進む。いやらしい場所に思う反面、この辺りからの展望は素晴らしい。日差しを浴びながら気持ちよく歩ける場所でもあった。右の方には黒沢山や、向かう正面に中ノ尾根山山頂部の笹原も目視出来ていた。この景色があるから山を止められないのだが、北側の方を見やると、聖だろうか白い峰々もある。すっきりとしたブルーに白さが浮き立つ。この尾根上にはちらほらと標柱が埋められている。それが時より雪の上に顔を出していた。もうすぐ白倉山。倒木帯が負荷になっていたためか、それが終わると意外なほど楽なルートに思えてきた。このままなら三俣まで行けるか・・・。しかし時計を見ると既に12時であった。
白倉山到着。これまでの各ピークに対して、ここは標識などが無い通過点のような山頂部であった。顕著な山頂で無いと言えようか。しかし笹原のピークで展望がいい。そして山頂部をゴソゴソ歩いていると、懐かしい物を見つけた。赤色の絶縁テープが退色してオレンジがかっているが、そこに「MLQ」の文字が見える。しっかりとは判読不能だが、西暦が「02」と見えるので10年ほど経過しているものか。彼のこの擦れたいたずら書きが、唯一の山名を示す物となっていた。地図を見ながら行動を決める。三俣山まであと2時間強だろう。となるとここまで戻るのに4時間をみていないとならない。16時か・・・。そして夜歩きになるから下山まで4時間。順調に行って20時か。ただしこれは試算であって、この先の雪の様子如何で全く違ってくる。その前に、もう結構疲れていた。身の程を知ろう。ここまでとした。もう少しで三俣山。本当に目の前に見えていて歯痒いが、見上げる350mほどの標高差が、諦める事の後押しもしてくれていた。
復路は、1815高点付近からは、しっかりと西側斜面をトラバースして行く。往路に跨いだ倒木がウソのように楽に進んで行ける。かなり長い時間トラバースとなるが、尾根歩きより断然楽。だいいち現地の鹿がそうしている。そしてトラバースしている途中にシカの角を見つけた。小さな物で、だいぶ石灰質が融けてはいたが、久しぶりに拾うシカの角となった。持ち帰っては家の前に置いておく。通学する児童が珍しそうに観察している。小さな社会貢献。
平森山に戻り小休止。あのまま進んでいたら、この時間なら何処まで行けただろう。いつまでも女々しいのだった。我がトレースを追いながら戻って行く。屈曲点から先は、往路は尾根東を通過してきたが、帰りは西側を巻いてゆく。1617高点で我がトレースに合流し、追いながら戻って行く。そして朝日山へは、最高所へは行かず、三角点ポイントを目指すように進む。三角点ポイントは朝日山山頂部の北西に位置する。最高点の高みを左に見ながら北側の台地を西進して行く。ちらほらとマーキングがある。複数人が自分なりのマーキングを付けているのだろう。ピンクのリボンと赤い絶縁テープ、そして色褪せた荷紐が混在していた。
朝日山三角点。ここの標高をとって遠山山の会は標識を揚げていた。最高所ではなく、あくまでも三角点重視と言う事だろう。拘りがあっていい。到着した時は、その三角点は雪の下。宝探しのように掘り出すのだが、この時がけっこう楽しい。堅い雪の時は苦痛だが、この日のような柔らかい雪の場合は快適で楽しいのだった。さあ拝むものを拝んだら、あとは下るだけ。でもここからまだまだアップダウンが多いし、距離もある。さらには勾配のきつい場所も・・・。
下山開始。顕著な尾根の場所はいいが、広い地形の場所は、下山時はけっこう迷い易いように思えた。マーキングがあるのである程度はスピーディーに行動できたが、無かったら震度がかなり落ちただろう。そして往路同様に、この付近(以西)での気温が低い。いつもなのかたまたまなのか、防寒具のフードを被るようにして降りていく。水梨山までが長かった。いくつものピークが途中にあり、糠喜びすること数度。暗くなりかけた頃、やっと水梨山に到着した。この時の時間が、予定では白倉山に戻ってくる時間。朝日山からここまでの夜歩き。昼間でもこの様子なら、ヘッドライトではかなり大変に思えた。今日の判断は良かったと・・・。水梨山で周囲を注意深く見ていると、地面に健太郎さんの標識が落ちていた。敢えて取り付けなかったのだが、このまま土に戻って行くのだろう。さあもう少し。
水梨山からの下降は、もう僅かとばかりにストライドを延ばしてどんどん高度を落として行く。すると右下に雪の乗った林道が見えてくる。それにより「着いた」と判る。戻ってみても付近は寂れた場所。林道の轍を見ても、訪れた他の車は居ないようであった。
白倉山近辺まで行かないと、展望が得られないようなコース。そこまでが長い。このまま好事家の遊ぶ場所で推移するのか・・・。静山の名前が当てはまる場所とも言えようか。平森山までなら樹林の中なので、夏場コースとしていいのかも。さあ上に2座を残してしまった。下山時にすぐに地図を眺め、次回狙うコース取りを確認した。まだまだこのエリアを楽しめる事にワクワクする。