焼石岳 1547.9m 南本内岳 1492m 東焼石岳 1507m
2012.09.15(土)
晴れ 同行者あり 中沼コース登山口より 行動時間:7H42M
@登山口6:11 →(79M)→Aつぶ沼コースとの分岐7:30→(20M)→B銀名水避難小屋7:50〜8:04→(53M)→C姥石平8:57→(20M)→D焼石岳9:17〜32→(34M)→E焼石神社分岐10:06〜08→(22M)→F南本内岳10:18→(10M)→G焼石神社分岐再び10:28→(25M)→H東焼石岳西分岐10:53→(11M)→I東焼石岳11:04 →(13M)→J姥石平再び11:17〜19→(50M)→K銀明水12:09〜22→(17M)→Lつぶ沼コース分岐帰り12:39→(74M)→M駐車場13:53
胆沢ダムのロックフィル堰堤は作業中。これが見えると登山口は近い。 | 中沼コースへ向かう。道は少し複雑だが、道標がしっかりしている。ダム工事により複雑になっている。 | @中沼コース登山口。立派なトイレ舎がある。 | 最初は濡れた木道が続く。 |
やや急登の階段状の場所も。 | 中沼の様子。 | 上沼も見事。 | 流れの中のルートは靄が上がる。 |
Aつぶ沼コースとの分岐 | 木橋を渡り。 | B銀明水を力水に。この先でも水は得られる。 | B立派な、そして綺麗な避難小屋。 |
Bよく管理された内部。明るく居心地が良い。 | B小屋の前の蛇口を捻ると、なんと水が。至れり尽くせり。 | 小屋から先は沢沿いのくさつき。 | C姥石平 |
泉水沼。やや枯れた感じ。 | もうすぐ。 | D焼石岳山頂。 | D一等点。 |
D標柱。 | D横岳側。 | D泉水沼側。 | D西焼石岳とモッコ岳。 |
焼石岳から北に下り降り返る。ルートはやや不明瞭になりつつある。ハイマツにリボンがあり、それを追う感じ。 | 大岩に乗って進む場所が多々ある。やや歩き辛い場所。 | 左の禿げた場所が分岐点。 | 焼石神社は自然石の祠。日本山岳会の方の500回登頂記念碑がある。 |
E焼石神社分岐。ここから南本内岳をピストン。 | 南本内岳下の池。南本内川源流の標識あり。居心地のいい場所。ただしルートは藪化している。 | F南本内岳から西側。標識点は、この先北側。 | F標石と思しき石がある。 |
G焼石神社分岐に戻る。焼石岳側を見ている。 | H東焼石岳西の分岐点。 | I東焼石岳。ここも居心地が良い。 | I二つの標柱あり。 |
I東焼石岳から見る南本内岳。右に見えるピークにに標識がある様子。 | 分岐点帰り。 | J姥石平に戻る。 | 下って行くと銀明水避難小屋が見えてくる。 |
K銀明水で小休止。ちょっと昼寝。 | Lつぶ沼ルートとの分岐帰り。 | 上沼帰り。 | 中沼帰り。 |
M登山口駐車場に到着。 |
秋の最初の三連休。何となく夏休みを引きずった三連休とも言えるか。何はともあれ羽根を広げ遊べる日数が3日設けられ嬉しい限り。しかし気胸になった。季節の変わり目を感じるとともに、数日前に煙草の煙の中に居た事を後悔した。あそこで、あそこでも・・・。歓送迎会と商談とで、後者の商談は自分でも危険と思える煙幕の中にいた。案の定・・・。毒ガスの対するカナリヤ、煙草に対する私。甲乙付けがたい反応を示すものとなるか。肋膜の癒着部分にエアーが漏れたようで、ピキッと剥がれた感じがした。その後は肩に鈍痛が続く。そして息苦しさも少々ある。通常での肺活量が少ないので症状が出ると尚更。これが金曜日の午前中の出来事であった。晴れ晴れしい3連休に対し、やや混沌とした状況。だからと言って静養するタマでなし、あまり激しくなく、それでいて楽しめる場所を選び出す。
南アの未踏座も当初は予定にあったのだが、完全にリセット。観光や保養を主にして、抱き合わせ的に山で遊ばせて貰う計画とした。つらつらと日本地図を眺めていると、気になる温泉地が目に入った。夏油温泉。ここは一度は入りたい秘湯。その南西には秀峰の焼石岳がある。行き先は決まった。ルートとしては基本周回がしたい。となると中沼コースで金明水と銀明水を繋げるように歩くのが面白そう。でも現在の金明水と中沼登山口を繋ぐルートは荒れており、通過はガイド付きを推奨している。ここは注意勧告に従い安全行動。家から遠くアウェイ度が高くなるほど、行動は慎重になる。そんなこんなで、最楽コースとして中沼コースのピストンとした。
前夜21時家を出る。北関東道から東北道に入り、行楽の流れに乗って北上する。やはり三連休、ヘッドライトもテールライトも数が多い。運転時も左肺に鈍痛がある。こんな状況で・・・バカな・・・。サービスエリアへ小水に寄ると、体が悲鳴を上げているサインが見て取れた。放水されるそれは、ビタミン摂取過多のような色合いであった。かなり休憩を入れながらのんびりと向かう。平泉前沢インターで降りて37号、397号と繋いで胆沢川に沿って西進して行く。既に夜が開け、前方に荒削りな造りのロックフィルダムが見えてきた。そう見えたのには理由があった。まだ完成でなく工事中であった。ただしよく判らないのは、今あるのは石淵ダム。工事中のは胆沢ダムと言う。同じ場所でなぜに名前が違うのか・・・。
尿前(しとまえ)地区に入ると、トンネルを目の前にして右側に中沼登山口への分岐道標がある。ここからダート林道に入って行く。ダム工事によりルートが大きく振られるが、きちんと道標が揚がっているので問題なし。よく踏まれたダート林道だが、路面の起伏が大きい場所も在り、床の低い車は低速走行となるだろう。7キロのダート道は、実際走るとけっこう長い。目の前が広がり駐車場に到着すると、フッと肩の荷が下りた感じでもあった。経路9時間。まことのんびりとしたアプローチであった。すぐさま準備をする。広い駐車場には2台の地元車。ルートの露払いは終わっていると見込んで、スパッツは着けなかった。トイレ舎もあり、整った登山口。登山届けノートもびっちりと書いてある。
登山口からスタートする。樹林の中の涼やかな道。ただし既に気温が高く東北らしさがない。カラッとした空気ではないのだった。自分の体調不良で発熱していた為かもしれない。木道を伝い、階段状の場所を駆け上がりると目の前に沼が広がる。鏡のようなこの沼が中沼。湖面に横岳を綺麗に映し出していた。やや足場の悪い湖岸の道を行く。そして西側の湿地に行き少し後悔。ここはもう少し早くに来れば花畑の場所だった。残り花でその様子が伺えた。現在はリンドウが綺麗なブルーを見せていた。西岸の先で岳山への破線ルートだろうか、分岐していた。木道歩きでは、しっかりと下半身を濡らされる。クモの巣も多い。どうも駐車していた車の持ち主は、金明水側のルートに入っていった様子。読み違えが、靴の中を濡らしていった。
上沼は中沼に変わって、鏡と言うより水生植物の美しさがある沼であった。その緑が綺麗。ここも沼の南側を巻く様に西に抜けて行く。抜けた先からは木道を経て、流れの中を行くルート。気温と水温の関係で朝靄が発っていた。いい感じにすがすがしい朝の風景でもあった。この辺りは大きな花弁のトリカブトの群落がある。烏帽子のようなその花に何度もカメラを向ける。そしてしばらく行くと、つぶ沼コースと合流し分岐点道標が建っていた。道が合わさり、幾分か状態が良くなった感じが見て取れた。つぶ沼コースがメインルートと言う事か。木橋で小沢を渡り、やや駆け上がるような細いルートを行く。不思議なことにハイカーを見ない。ここは200名山。もっと賑わっても良いと思ったのだが・・・。
銀明水到着。予想ではもう少しドバドバと湧出しているのかと思ったが、意外とお淑やかな流れ。ただしよく見ると流量はある。場所による地形的な部分でそう見えるのだが、水場として十分すぎる流れであった。冷たい水で喉を潤す。その先の分岐には、ここにも「銀明水」と書いてあった。これはかなり省略してあり、銀明水避難小屋を示す物であった。その小屋は赤く塗られ、窓の開口も大きく明るい内部。とても良く管理された小屋で、泊まりたい衝動に駆られる。小屋の北側には蛇口もあり、ひねるとちゃんと水が出た。至れり尽くせりの小屋に感じる。小休止を経て後半戦。
この時間は快晴。なんと言っても横岳の山塊が目立つ。隙あらば登ろうと思っており、その破線ルートの入口を探しつつ居た。すると踏み跡らしきそれが見える。しかしほとんど伝われないような野草の様子。当然のように下半身は水没したと同然となると思えた。地図からはこの先には、水場は無いのかと思ったが、その逆で流れに沿うように登山道が切られ、得られる場所は多い。小滝になっている場所は、その脇の草付きの泥濘斜面を巻いて登って行く。その後は、石に足を乗せつつ登る感じ。いいテンポでピョンピョンと登っていた。
姥石平分岐。どれが姥石なのだろうと探すのだが、よく見えてこなかった。この先の泉水沼は、やや枯れた感じの沼で公園にある池の様相であった。あとわずか、もう目の前に焼石岳が聳えている。ここまで大半が緩やかルート。汗する事無く登って来ていた。横岳への分岐があるが、そこから続く横岳への道は、野草に覆われ、何となくその在り処が見える程度であった。それを背中に最後の登り。すると前の方から女性が降りてきた。「何処から来たの?」と聞かれ応対すると、周辺に見える山々を教えてくださった。地元の人としての遠方からの来訪者への配慮が出来ている。ザレた最後の斜面を這い上がる。
焼石岳到着。広く居心地のいい山頂だった。一等点も鎮座し、役者が揃っている山頂。北北西方面に鳥海山の姿が見える。横岳の肩越しには栗駒の姿。南側眼下には、先ほどの泉水池が見える。360度の展望。心地いい風があり、プシュッとプルタブが起こされビールが喉をくぐる。至福とはこれ。やや息苦しいのはしょうがないとして、快適も快適。このあとは南本内岳を目指してゆくために北に降りて行く予定。ここからの北西方面の地形は絵になる地形で綺麗であった。ポツポツとハイカーが上がってきて、6名となった。山頂を譲るように北進を始める。
この焼石岳からの焼石神社への下りは、けっこうに不明瞭だった。この状況に慣れていない人はドキドキするだろう。ハイマツなど低木にマーキングが打たれているのだが、それがなければ進路を迷うほどにルートが樹木に覆われていた。そこを降り切ると大岩の中を通過して行くルート。すり抜けたり乗ったりしながら徐々に高度を下げてゆく。ここでは薄っすらとある黄色いペンキが道しるべ。降りて行くとふと石碑がたくさん置かれた場所に出た。そこが焼石神社だった。大岩を背にしたそこは、自然の中に同化した神社であった。もっと人工的な神社を想像していただけに、予想外でもあった。その先で焼石神社分岐となる。同行者を待たせて、急いで南本内岳をピストンする。
笹薮に覆われた登山道を行く。早い時間でなくて良かった。笹が乾き濡れないが、泳ぐようなルートであり、朝露でもあれば全身が濡れるであろう場所となっていた。足で探るようにして掘れた筋を伝って進む。すると、目の前に福井岐阜県境にある夜叉ヶ池に似た池が現れた。静かに佇む様子と周辺の地形でそう思えたのだが、その池の前には南本内川源流との大きな標柱が立っていた。しかし立っている割には、その周囲のルートが見えずらい。さらに北に進むと階段状のルートを見つけ、やや右(東)に進むようなルートとなる。現地山塊は、西からポツ、ポツ、ポツと3つのピークが並んでいて、その一番東の方へルートは導いていた。エアリアを見ると、その先の1486高点に標識があるようであるが、最高点が目的であり、手前の1492高点で山頂とする。
南本内岳到着。二つの板状の判読不明な標識に挟まれた、四角い標石が白く目立つ。草原のような周囲。時間があれば少し長居をしたいが待っている者が居る。飛ぶように往路を戻る。一度通っているものの、池の先で少し迷い気味。焦っているせいか・・・。分岐まで戻ると、ちょうど北側から上がってきた二人連れと行き合った。トランシーバーで別部隊と交信している。御仁にしてみると、行き合った私のほうは蚊帳の外のようであった。東焼石山側へ進んで行く。
こちらのルートもモシャモシャであった。泥濘地形もあり、池塘なども見られ、もう時期を過ぎたが花畑があったようである。しばらく刃物を入れていないようであり、何となくこの先も入れないのだろうと思える場所であった。山塊においてルートが多く、管理が追いつかない様子。それでも展望があるので分けつつも気持ちがいい。やはり天気がなにより・・・。分岐に到着し、同行者を姥石平に向かわせ一人東焼石山を目指す。一人であれば、その向こうの六沢山まで行くのだが、ここは待たせる都合我慢する。緩やかに登って行くと、広い広い山頂部が待っていた。
東焼石岳到着。先ほど居た南本内岳の姿がよく判る。右のほうに突起したピークがある。あそこに標識があるのか・・・。荒船山にある経塚山の位置付けのように見えていた。焼石岳のピークには登頂者の姿が見える。こちらはロングコースの途中のピークであり、人影はなかった。すぐに踵を返す。ここから姥石平へは、やや狭い道形であった。その姥石平では待ちくたびれたように、私の到着と同時に同行者が出発をして行く。黙って見ていると登山道ではない沢の中を伝っていた。でもここはルートに合流するので放任。気になっている横岳を何度も見上げながら高度を下げてゆく。ここまで来ているのだから登りたい・・・。ただし今日は無理。じゃー次ぎに繋げるべくよく見ておこう。
沢沿いの道を下って行くと、先のほうに銀明水避難小屋の赤色が見えてきた。立地条件が、「おおぅ小屋に着いたぞ」と言いたくなるような位置関係であった。降りて行き、銀明水前のベンチで少し昼寝をする。病んでいる箇所があるので体がやや熱く、ちょっとクールダウンさせる。そして力水。柄杓をよく見ると「koiwai」と刻印されていた。小岩井農場提供か・・・。山野草を愛でながらのんびりと戻って行く。ダイモンジソウが可憐な姿を見せていた。
つぶ沼コースとの分岐から上沼側に入ると、この分岐より下で多くのハイカーとすれ違うこととなった。みな単独か二人連れ。時計は13時くらいであり、300名山でもやっているハシゴハイカーの姿なのだろうと思えた。上沼は朝と変わらぬ姿でそこにあり、ザワザワと風が語りかけていた。水面の波立ちの位置があっちからこっちへ移る。風が見えるのだった。周辺はすっかり露払いは終わり足元が濡れる事はないが、このルートはスパッツをした方が無難と体感していた。次の中沼も湛えた水がザワザワと語りかけている。「どうだった、この山面白かったか・・・」ベンチに腰掛け沼を見下ろしながら、ニンマリと微笑み返し。
中沼からはやや急峻を降りて行く。下りの苦手な同行者が大きく遅れ、何度も足を揃えるために立ち止まる。ゆっくり歩いているのだが、さらにゆっくりなのだった。平坦になると先の方が明るくなり、たくさんのマイカーの姿が見えてきた。さすがに有名処、賑やかな様子に納得。朝の少なさにオヤッと思ったのだが、そう急いで出発する山ではない様子。ナンバーを見ると大半が地元。と言う事はすれ違ったのはハシゴハイカーではないか・・・。東北ののんびりさは、登山にもって事なのか。登山口では、これからスタートする人がカメラを向けていた。もう14時であった。