秋葉山    861m          ゴシュウ山   940m              
                     
                                                  
                                      

   2018.12.1(土)


  晴れ     単独     北稜で上がり、下山は秋葉山から岩窟コースを伝う   行動時間:3H31M


@堰堤前6:27→(32M)→A北稜に乗る640m地点6:59→(27M)→B750mで行き詰まる7:26〜29→(48M)→C秋葉山8:17〜20→(4M)→Dコル8:24→(26M)→Eゴシュウ山8:50〜9:01→(17M)→F秋葉山南のコル9:18→(11M)→G730m往路の尾根に戻る9:29→(23M)→H馬居沢渡渉9:52→(6M)→I堰堤前に戻る9:58


   
@馬居沢地区よりの林道奥山線に入り、最初の堰堤前から入山。見えているのは北稜。 @保安林表示の場所から、沢の左岸を登る。 堰堤の作業道か、林業用か、うっすらと道形がある。 570m付近。北方稜線の池ノ谷ガリーよりもっと流れる斜面が続く。
       
A640m付近の痩せ尾根に乗り上げる。蟻の戸渡のような場所。 650m付近。 650m付近。往路に気付かなかったが、オレンジのマーキングが岩窟コースを導いていた。 650m付近から西の斜面。よく見ればここに道形がある。
     
680m付近。岩を攀じりだす。 710m付近から見る秋葉山側。見えているのは秋葉山の手前峰。 730m付近。ここから西には道形がありマーキングが進んで行っていた。右に見て尾根を進む。 735m付近。だんだん急峻地形になって行く。
       
745m付近。登るにはいいが、もうザイルが無いと降りられないような傾斜。 B750m付近。ここまでは何とか登れたが、ここが微妙だった。巻く場所もなく抜けられそうな場所は一か所。岩が脆く水分量があり、シダ類が多い。 B750mから西の岩壁。ソロでは危険すぎなので、一度30mほど下る。 肩がらみで3回。
       
北稜の東側には、なんのことは無い植林地が上がってきていた。わずかにこちらにズレれば安全地帯が待っていた。 805m付近。巻く途中から突き上げ北稜に戻る。 ウマノミツバの種で酷いことになった。くっつく種植物の中でも強固な部類。 830m付近で北稜に戻り、北を見ている。岩峰が存在していた。
     
840m付近。灌木が密生し分けながら進む。 C861高点峰の秋葉山到着。 Cすかいさん関の標識 C趣のある石仏が並ぶ。
   
C秋葉山から妙義山。 Cこれは高岩か。 C物語山側 Cゴシュウ山側
   
C鹿岳側 C馬居沢地区俯瞰 南西の尾根に道形があり、タイガーロープが流してあった。 D秋葉山南のコルに道標が現れる。
     
850m峰の祠と石碑。 860m峰の石碑。 880m峰の石碑。 920m付近からゴシュウ山(左)。
       
Eゴシュウ山には図根点と境界標柱が並ぶ。 Eゴシュウ山の祠 Eゴシュウ山にあるすかいさん関の標識。 Eトヤ山側。
       
E柔和な表情の石像。 E荒船山が空母のよう。 Eフジと浅間山 E中央右に星穴(三角)が見られる。星穴岳は左側の高み。
       
E西 E北西 E北東 E東
       
往路に巻いたピークにも石仏が見られた。 F秋葉山南のコルから下降。あまり明瞭でない道形が降りている。 770mの肩で進路方向が変わるようだが、降りてゆく道形が判らず適当に下る。 770mの肩にある道標。登山口へ行く道形がよく判らなかった。ザレ斜面で道が流れやすいよう。
       
壁の下を伝ってゆく。 G730m付近。往路に見た場所に出る。登ってきたのは右側斜面。 G伝ってきた壁の下。 上から二つ目の岩窟。
       
大きな岩屋があり、奥も深い。 高い位置に口を開けている場所もある。 奥の深い場所に、石仏が安置されている場所も見られる。 馬居沢への最後は小尾根の上を九十九折の道が切られている。
       
尾根末端で道が二分し、北に僅かに進むと石像が経つ。 二分する西側への道形。こちらは伝わず。 右岸側から見る左岸の林道。 H馬居沢渡渉。流れは細い。右岸側をそのまま進んでもいいよう。不動橋にでる。
       
H林道に乗った場所から見る。馬居沢。林道九十九折りの入口。 不動橋。 不動橋の上流側は、右岸にリボンが続く。 奥山線は鋭利な落石が多い。
     
通行止めにしているのか、土が盛られている場所がある。 I堰堤前に戻る。 馬居沢地区から見る秋葉山。二コブの左側が本峰。




 伐木を依頼された週末となった。とは言っても山に登らずに週末を終えるのは本意ではなく、低くても登ってから作業に入りたい。こんな時の西上州なのですが、地形図にも山名事典にも非掲載の未踏座がまだあり、秋葉山とゴシュウ山(仏岩山)がその場所であった。1996年のエアリアマップを見ると、東の木々岩峠側と、ゴシュウ山を挟んで反対側の西側にも峠道が見える。この二つのどちらかを経由して登るのが順当と思ったが、秋葉山からの北稜がとても気になった。ゴシュウ山までの一本尾根であり伝ってみたい・・・。

 

 先人の一帯の記録を読むと、秋葉山へは西麓から馬居沢地区民の参道(岩窟コース)が存在するようだ。これを伝えば一番安全のようであるが、まず北稜をトライし、そこでダメだったら参道ルートを伝うことにした。20mザイルのみを持つのだが、現地ではもう少し岩装備を持てばよかったと思うのだった。情報が無い場所の準備は難しいと思う。地形図に見える一本一本の線のみが得られる情報であった。ゲジゲジマークがちらほらと見られる・・・。

 

 家禽やインコに餌をやってから、ゆっくりと5時に出発しする。コンビニでコーヒーを買いながら現地に向かい、夜が白みだした頃に馬居沢地区に入る。木々岩峠側へ向かう林道を左に見て、右側に進む林道奥山線側へと進んで行く。途中でダートになり、高低差400mmほどの土盛りを乗り越えるような場所もあった。二駆では乗り越えられず、四駆に入れてなんとか通過する。林道には落石が多く、ほとんどが角が立っていた。パンクに気遣いハンドルをくねくねと切りつつ進んでいた。不動橋まで進み、これ以上進むとスタックしそうであったので、Uターンし堰堤の横まで引き返し車を停める。この停めた前に保安林と書かれた看板があり道形が上がっていた。

 

 駐車地点から北稜を望むと、勾配が強すぎて到底取り付けそうになかった。地形図でそれは一目瞭然で、等高線が密。これを見て一つ東側に派生する枝尾根から取り付き、600m辺りで北稜に乗る計画とした。これはあくまでも計画で、いつもどおり状況により臨機応変に動くと言うのが本当のところ。外気温は3℃で、凍るまでにはなっていなかった。この時季にしては温かい印象であった。

 

 6:27行動開始。保安林の場所から入ると、沢の左岸側に道形があり伝ってゆく。最初の堰堤を越えると、その先で道形はあやふやになる。標高500m付近から枝尾根に乗り拾うように進んで行く。ここまでは下草も少なく快適であったが、560m以上になるとザレ斜面で、一歩登っても半歩ずり落ちる様な状況で、池ノ谷ガリーの方がまだ楽に思えた。これだけ小石が堆積していると言うことは、この山塊が脆い地形だと読める。ズリ下がるもどかしい足場に苦闘しながら這い上がって行く。そんな中だが、シカ道ができている場所も見られた。糞があったので獣道をシカ道と限定した。

 

 640m付近で北稜に乗る。乗った場所はリッジ尾根で。蟻の門渡りと言っていいような岩尾根であった。南進してゆくのだが、しばらくは危険のない優しい尾根が続く。680mにはオレンジ色のマーキングが見られた。この時は好事家が登っていると思っていたが、復路でもここを通るのだった。別のマーキングがあり、それこそ本物のシカの小水でのマーキングがあり、これにより復路に往路の場所とハッキリ判った。

 

 690m付近まで上がると岩壁が現れる。そう難しくなく直登して越える。すると、前方に秋葉山らしき尖峰が見えてくる。標高からしてもうわずかと思っていたが、核心部はここからであった。730m付近でマーキングは尾根の西側へと導いていた。少し伝おうと思ったが、でも初志貫徹と尾根通しで行動する。上がる毎に傾斜が増し、もし降りるならザイルを出さねばと思いつつ登っていた。いやもう攀じっていたと言う方が合っている。西側は壁のようで空間が広がっており、振り返っても下側が全く見えなかった。抜けられるのか否か・・・。

 

 750m付近まで上がると、尾根の頂部が伝えなくなり、5mほど西側に移動する。小さなコップ状の地形になっており、なんとか行けそうな地形が上にあるが、抜けた先が少しハングしていた。1mほど攀じるも、ソロで抜けるには危険過ぎ、しばらく見上げて抜けられそうなルートを考える。岩壁の水分量が多く、そのためにシダ類が多く、岩が脆いのも躊躇させる原因であった。わずかでも滑ったら・・・生きては戻れない。伐木の約束をしている中ではそれを全うせねばならない。戻ろう。

 

 肩がらみの懸垂を3回して30m下り、最初はマーキングに従い西に行こうと思ったが、見えていない東側を見ておこうと横ズレして行く。すると杉の植林帯が見え、エッと思わされた。今の今、生きるか死ぬかとギャンブルしようとしていた横がこんな場所だったとは意外だった。東側は楽そうな場所だが、ウマノミツバの種子がくっつき、その強固さに閉口する。全く取れないのだった。このまま南に進んで行けたが、北稜を伝わずに861高点を巻いて北に出てしまう。これは不本意。早くに北稜に戻りたいので、登れそうな岩壁に取り付き北稜に戻る。

 

 830mで北稜に乗り、振り返るように北側を見ると尖峰が見えた。その間にはギャップ地形があった。先ほど見えていたのは秋葉山ではなく、この前衛峰だったのだ、登って初めて知ることになった。ここを登らねば、710mから見えるのは秋葉山だと思い続けただろうと思う。灌木が煩くなり、分けつつ進んで行く。ここは獣も歩かないよう。先ほどの壁があり、伝えないことを知っているのだろう。

 

 861高点の秋葉山に到着する。大ぶりな祠が二つあり、うち一つはまだ新しく平成12年と読めた。切り出した20φほどの竹が三本見え、ここで祭事がされることが判る。継続して馬居沢地区の人が管理しているようだった。そして並ぶ4体の石像は、みないい表情をしていた。これが見られただけでも登ってよかったと思えた。展望台的場所で、ほぼ360℃の方角が見渡せる。山名を示すものは唯一で、すかいさん関の標識がかかっていた。鹿岳側を見ると、すぐ直下に林道が見えているのが少し興ざめ要素であった。

 

 秋葉山からは北にゴシュウ山が見えるので北進するも、あるはずの道が見えてこない。探しながら降りてゆくと、南西側にタイガーロープを伴った明瞭な道が存在していた。地形図をよく見ていれば、答えは判ったはずだが、見ていなかったので・・・。道がない所は得意だが、有るだろう場所を探すのは苦手だったりする。レールに乗りたがらない、協調性が無いのかもしれない。

 

 降りきったコルには道標があり、ゴシュウ山と秋葉山への時間までが書かれていた。この場所が岩窟コースの参道路のようであるが、見下ろしても道形が見えてこなかった。南に進んで行くと、越える各ピークに石仏や石碑が並ぶ。割れたものをきちんと修繕してある石碑まであり、信仰が絶えていない状況を嬉しく思ったりした。石仏や石塔の多さに、ゴシュウ山が仏岩山とも呼ばれるのにも納得する。

 

 930m峰は北側山腹を通過し東側に出る。ここにも道標が見られた。町村界の標柱が見える中を進んで行くと、最初に図根点が見え、並ぶように境界標柱が立っている。その先が最高所であった。

 

 ゴシュウ山登頂。秋葉山同様にこちらにも祠と石仏があるが、信仰度合いで言うと、秋葉山の方が信心の場所として濃い印象であった。こちらにもすかいさん関の標識がかかり、ほか2つの木片があるが、双方とも判読し辛いが仏岩山と書かれているようであった。北尾根側に進んで行ってみると、伝う人がいるのか、獣なのか、踏み跡が降りているようであった。ここも大展望の場所で、特に荒船山が空母のようで格好いいのだった。水平一直線で真っ平、こんな山は他に見たことがない。リンゴで水分補給したら下山となる。

 

 尾根を秋葉山南のコルまで戻り、そこから西に降りてゆく。落ち葉が多いせいか、道形が見え辛く、伝っているのか外しているのか判らず、全体地形を見ながら歩き易そうなところを適当に降りてゆく。そして西側に派生する尾根の肩に乗った770mでオレンジ色のリボンを見つけ、さらに道標も目にする。しかしここから下も道形は良く判らなかった。北に降りるべきなんだろうけど、道標の書き方は北東側にカーブするように描かれている。それを信じ適当に岩壁に寄り添うように、その下を通過して進む。ザレた流れる地形で、登る場合は疲れる場所となだろう。

 上から数えて二つ目の岩屋の場所には、中ではなく外に石碑が一つ置かれていた。これが見えたので、ルートに乗っていると思えた。岩壁を右にしながら降りてゆくと、植林帯の先に大きく黒く口を開けた岩窟が見えてきた。獣でも入っていないかと、口笛を強く慣らしこちらから警戒音を出す。その中は深く、上側に深くなっている岩窟であった。間違いなく岩窟コースを辿っているよう。足許は相変わらずザレで、ジャリジャリと音をさせながらグリセードするように降りてゆく。道形はやはり薄い印象であった。

 これまでは地続きの場所での岩窟であったが、高さ5mくらいの位置の岩壁の腹に大きな岩窟が見える。中は3畳ほどあるように見え、こうなると、ここには修験者が居たのではないかと思えてきた。ただし西向きなので日中の日は入り辛く寒い場所、穴の形状はいいが西風をもろに受ける場所ではあった。ここまでで、既にいくつもの岩窟が見られ楽しくてしょうがなかった。下仁田町として公にしていいように思うが、秋葉山が信仰の場所でもあるので、それはしないのだろう。そして一番大きな岩窟が見えてくる。奥の深い穴で、最奥に一体のみ石像が安置されていた。こんな場所は子供なら大はしゃぎで楽しみながら登るであろう。

 最後に小さな岩屋を見るが、ここは堆積した落ち葉に丸く痕が残っていたので、獣が居たようであった。ルートの最後は小尾根で、そこに細かい九十九折の道が切られていた。普通に一本道かと思ったら、尾根の最後でT字に分岐し、東と西に道が分かれていた。ここから馬居沢を挟んでの対岸には林道が見える。東に進むと、分岐から10mほどの場所に朱が入った石像が立っていた。右に見て進んで行く。ルートは怪しいが、おぼつかなさをカバーするように、やたらとピンクのマーキングが続いていた。そのままマーキングは右岸に続いていたが、途中で馬居沢を渡渉して林道に乗る。

 林道を不動橋まで伝い、不動橋の東側で馬居沢上流を見ると、ここに先ほどのリボンが繋がってきていた。不動橋から入山するのが、こちら側の正当な入り方のようであった。角の立った落石を見ながら降りてゆく。よくパンクしなかったと思えるような場所で、落ち葉の中にも大小たくさん隠れていた。脆い岩盤に、近年の天災の影響もあるのだろう。北稜を見ながら巻き込むように進んで行く。樹木も生え全くの岩壁ではないので登れなくはないが、私のような非力の者がソロで登るにはリスクが大きいと見えていた。

 堰堤前に戻り、この日の山旅を終える。実に満足、短時間でも楽しかった。見るものもあり、展望もあり、少々のスリルもあった。すぐに伐採現場に向かい、ここの北稜のような急傾斜地での作業となった。いろいろが生かされている。


 振り返る。きちんと装備をして挑めば、ソロでも忠実に北稜を伝って登れるだろう。確保者が居ればもっと容易になると思う。水分量が多い感じがしたので、冬季は凍る場所となるだろう。動く枯れ木や岩もちらほらとあり、掴んでドキッとしたこと何度もあった。妙義山塊は金鶏山の登山禁止のように、秋葉山の下側を一般車(者)や参詣者が通過することを思うと、落石は起こせない。現地で石仏の表情が怒っているように見えたら、本当は登ってはいけないのかもしれない。私の場合は柔和に見えた(笑)。





 
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