高樽山        1673.0m           
                    
                                                  
                                      

   2018.11.3(土)


  晴れ    単独    王滝村は氷ヶ瀬より(ウグイ川)林道を往復    行動時間:5H45M
               


@林道ゲート5:27→(3M)→A小俣橋分岐5:50→(108M)→B真弓峠7:38〜42→(24M)→C刈り払い終点8:06→(30M)→D高樽山8:36〜44→(22M)→E刈り払い終点地帰り9:06〜08→(11M)→F真弓峠帰り9:19→(36M)→Gロックシェッド北の谷9:55〜10:01→(71M)→H林道入口ゲート11:12


   
@氷ヶ瀬より王滝川を渡って林道に入って行く。 A最初の分岐。直進方面でなく左折して小俣川を渡って進む。 A小俣川を小俣橋で渡る 川沿いへの道の、下降点になる表示。左に見送る。
       
林道の危険個所はここのみ。抜け落ち、150mほど下側まで覗ける。 二つ目の分岐 二つ目の分岐は、右折側がこの林道。こちらには進まない。 二つ目の分岐の直進側。こちらに進む。
     
厚みの薄い橋がある。 この林道は熊の糞だらけ、全20カ所ほど見られた。 起伏の少ない平坦な林道で自転車利用もし易い。 この堰堤のある谷で給水する。
       
給水した先にはロックシェッドがある。 林道途中から高樽山側。本峰は中央右の高みの向こう側。 1350m付近の谷。 1350m付近の谷には、流れの所にカップが置かれていた。
       
沢登りに面白そうなナメ沢もある。 猿の一群が居た。全く逃げようとしない。5mくらいまで近づけた。 峠より200mほど王滝側に、「高樽本谷歩道」なる道の入口があった。1618高点側に切られている。 真弓峠下の林道分岐
     
B真弓峠。ここには全部で3つのゲート跡があった。 B高樽山側の切り拓きの入口。 B真弓峠最高所から見る高樽山への取付き点(尾根)。 刈り払いが続く。
     
最初の枝道の合流点 二つ目の枝道合流点 刈り払いは続く C1660mの尾根の肩まで拓いてあった。山頂までは残り370mほど。
   
切り開きの反動もあるが、2m以上の笹が重く、一気にスピードが鈍化する。手前峰の場所は南に行きすぎると笹が濃く難儀する。 D高樽山。西側の様子。ササの上に出る場所に標識類は無い。 D地上高1.3mくらいの場所に標識が見られる。 D笹の覆う中に三角点を発見する。
     
D大ぶりな石だったが、三等点。 D三角点の南西側にこの標識。こちらも地上高1.2m辺り。 Dシナノゴールドで水分補給。 E東側。1159峰が黒く見えている。
       
F刈り払い終点地に戻る。 F刈り払い終点地から北東側。 G真弓峠に戻る。 林道を戻ってゆくと、高樽本谷歩道とは別の道も見られた。
       
ロックシェッド帰り。 Gロックシェッドの出口、北の谷でサイクリストと出合い立ち話。 小俣橋から下流を望む。1241高点峰がそそり立つ。 966高点の山手側には林班の標識と併せ3つの看板が見られる。
       
王滝川を渡る。 王滝川上流の様子。上流も下流もテトラボットがかなり設置してある。 Hゲート帰り。駐車スペースは5台分ほどある。 Hゲートの場所に注意書きがある。一帯で盗難があるよう。




 岐阜100名山に登録されている高樽山。それが為か岐阜側から登るルートがメインルートとなっているよう。そして残雪期の山となり、一般的には登る季節が限られる。タイミングよく登らないと、長い林道に雪が残り負荷になる。雪が完全に消えてしまうと、上で藪漕ぎが待っている。

 
 林道歩きは避けられない中、岐阜側のゲートから真弓峠までを測ると、9.8kmと出た。これに対し長野側の氷ヶ瀬から真弓峠までは8.9kmであった。1kmに満たない0.9kmの差であるが、長野側の方が近い。さらに、岐阜側ゲートは750m地点。これに対し長野側スタート地点は940m。190m差があり、距離も高度差の両方で信州側の方が省力出来ることが判った。さらに、西上州から向かうには信州側の方が近い。二兎を通り越し三兎を追えるのが、信州は王滝村からの入山であった。こんな条件下なのに、なぜにこちらから登っている人が居ないのだろう。間違いなく教科書となるガイドブックに載っていないからなのだろう。天邪鬼なので、ここは岐阜側からの入山はない。

 
 1:00家を出る。佐久は2℃で、野辺山通過も2℃の電光掲示板を見る。いつも通り八ヶ岳南面の旧有料道路側へと進むのだが、天女山入口から西で崩落があるようで全面通行止めになっていた。長坂に降りて走り慣れない別荘地内をナビに導かれ進んで行く。出足からこんなでは、今日は上手くいかないかとも思えてきた。小淵沢インター南でいつものコースに乗り、20号を伝って茅野まで走り、杖突峠で高遠に抜け、伊那から権兵衛トンネルで19号に出る。そして19号と元橋で判れ御嶽湖側へと入ってゆく。ヘッドライトに照らされる湖岸の紅葉は奇麗で帰りが楽しみであった。

 
 氷ヶ瀬には工事用の資材置き場があり、その先に林道へ向かう道が南に入っていた。左折して100mほどでゲートがあり、ゲート前には5台ほど縦列駐車可能なスペースがあった。王滝川沿いの水公園に向かう林道側からは、分岐点から200mほど先で引き返す車が多い。深夜であり釣師なんだろうが、夜間は工事封鎖されているようであった。今日は休憩を入れずにすぐに歩きだす。

 
 暗い中でヘッドライトを袋から引き出したら、電池ケースのキャップが取れてしまった。インシュロックで修理してから頭に装着する。5:27行動開始。ゲートの所には盗難が発生している注意書きがあった。一度戻って、車内を覗き見られたときに犯罪を誘引しないか確認した。ゲート横の入下山確認板にカギが2個下がっているが、ゲートを固定している南京錠のカギではなかった。王滝川を渡ってゆく。

 
 鯎川の流れの音を左に聞きながら平坦な林道を進んで行く。往路では林道上の966高点の場所も気にすることなく先に進んでいた。小俣川出合のところは、進んできた道に対する直進路が山手側へ向かう道で、小俣橋へ分岐してゆく形の現地となっていた。地形図では二重線と実線で区別してあるが、どちらも二重線のような雰囲気であった。この小俣川を渡ると九十九折になる。その途中の3つ目のカーブの場所から、鯎川へ降りてゆく道がある。特に道標はないので、鯎川渓谷が目的の場合はここを降りねばならない。6時を過ぎだんだんと周囲が明るくなりヘッドライトも消灯する。林道途中には一部崩落した場所があり、その穴から下は、ほぼ垂直に150mほどの高低差があった。

 
 1140mで小俣橋分岐の次に大きな分岐となる。小俣川側へ進む林道に対し氷ヶ瀬小俣林道としているのは判ったが、進む側の林道を瀬戸川高樽林道とあり、瀬戸川が何処なのかが見えてこない。近くに瀬戸地区はあるものの、伝う道が判然としない名前だと間違った道を進むような気がしてしまう。この分岐には沢があり水が得られるが、まだスタートしたばかりなので沢音を聞くまでであった。

 
 上記の分岐から先は、非常に多くクマの糞が林道に落ちている。最初は珍しさ半分で撮影していたが、あまりも多く撮っていたことが馬鹿らしくなってきた。最近のものは少ないが、見える大きさからはかなり大きな個体が居るように判断できた。私にしては珍しいが、鈴を鳴らして先住民に位置情報を送ることにした。

 
 もう少し勾配があるのかと思ったが、本当に斜度の緩やかな林道で、これなら自転車を用意すればよかったとも思えた。通常だと、登山と自転車は使う筋肉が違うので併用すると疲れることがあるのだが、ここは少ない負荷で通過できそうであった。1438高点の東北東に谷があるが、ここに架かる橋は強度を心配するほどに薄っぺらな橋であった。地形図では、その南で鯎川に降りてゆく破線路があるが、全く目に入ってこなかった。

 
 1240mで大ぶりな谷を跨ぐ。この先すぐに赤いロックシェッドがある。歩きはじめて90分くらい経過していた。水を持たないで来ているので、水難に備えてここで給水する。冷たく美味しい水であった。ロックシェッド内を通過してゆくのだが、本当にここにこれが必要なのかと思ってしまう。川側を見下ろしても、岩や土砂の堆積はなかった。さほど崩落のない場所に造ってあるように見えたのだった。


 南に進んで行くと、県境稜線が見えるようになってくる。おおよその高樽山の場所は見え、北東斜面の植林地は伐木がされているのが望めた。1350mの深い谷の場所も流れがあり、ここには飲用に置いたカップが残っていた。先ほど汲んだばかりなので水場の形態であったがここは素通りとした。この谷の南に進んだ場所にある谷は、ナメ沢で沢登りするのに面白そうに見えていた。周囲がガサゴソするので身構えると、サルの集団が居ることが判った。こちらをチラチラ見ているが、全く逃げようとしない。人を怖がらないってことは、見慣れないってことなのだろう。林道通過者が少ないことが判る。


 真弓峠まで残り200mm付近の北側に、「高樽本谷歩道」と木彫された標識があり、ハッキリとした切り拓いた道形が上がっていた。目的地でない側にあるので残念だが、これを伝って1618高点側へ上がれるようであった。右に見ながら先に進むと、峠下の林道分岐が現れ、同じ幅で南に分岐して行っていた。その先がもう峠であった。


 真弓峠の実際の乗越場所は、岐阜側に20mほど進んだ場所であった。県境ラインはそこより2mほど低い印象だった。長野側にゲートがあり、同じ仕様のものが岐阜側にもあり、どちらも開いていた。この30mほど先にパステルグリーンの大きな門扉もあり、これも開いていた。と言うことで、近接して3つのゲートのある場所であった。峠からの尾根への入り口には、林班の歩道入口と書かれた看板が立てられており、薄い踏み跡が登って行っていた。ここで藪装備に切り替え雨具を着こむ。


 歩道入口から尾根の道形を伝う。上に行くほどに切り拓いたのがハッキリし、周囲が2mほどの笹の中に、幅2.5mほどの道形が拓かれていた。雨具を着こんだことを後悔し、途中で脱ごうと思ったが、面倒なのでサウナ状態を続け進んで行く。どこから上がってきているのか、西側山腹からの枝道が合流し、そこには朽ちた大木が立っていた。この場所から12分ほど進むと、2本目の枝道が合流していた。岐阜側からのアプローチだと、真弓峠まで上がらずとも途中から歩道が伝えるようであった。相変わらず切り拓きは続き、この分なら山頂まで続いているだろうと思ってしまう。


 がしかし、そう甘くはなく1660mの北側の肩の場所で刃痕は止まっていた。それでもここまで楽をさせてもらったのはありがたかった。覚悟としては峠から藪漕ぎ予定だったわけであり、24分で来られたここまでは、藪だったら1時間はかかっていただろうと思う。さて残り距離を泳がねばならない。南に進むも、どこに逃げても密生で逃げようがなく真っ向勝負しかなかった。尾根上で雪に潰されるからだろう寝ているササも多く、分けて進むより足を高く上げて踏みつぶし進むような場所も多い。


 南側まで行くと、次は南西側に行かねばならないのだが、視界が遮られているので、やや南に行きすぎてから西に振ることになった。南はより深く進み過ぎないように注意したい。時折倒木があり、上に乗ると高樽山を望むことができた。笹の中の倒木を平均台のように通過してゆくのだが、濃い笹原の中ではこの倒木の上がオアシスであった。先駆者の通過した跡ができていると予想したが、皆無ではないがほとんど当てにできないような植生であった。鞍部から登って行き、最後の直下は少し笹の中に幅ができていた。登山者が残雪を踏み、硬く雪が残る場所なのだろうと思えた。しかし山頂部はまたまた密生していた。


 高樽山到着。シャクナゲの生える場所が最高所で、そこより南の400mmほど低い場所に三角点が埋まっていた。大きな標石だったので等級が上かと思ったが、三等点であった。その前に白いプレートがあるが、残雪期の山としては低い場所についていた。地面から4尺くらいの場所であった。他にないかと探すと、東側にもう一つ見られた。これも同じように低い場所に付けられ、双方が無積雪期の設置のように思えた。周囲展望は無し。ゼロではないが、ほとんどゼロに近い場所であった。シナノゴールドで水分補給し山頂を後にする。


 往路を戻るのだが、往路に伝った場所がすぐには見えてこなかった。右往左往して通過した自分の筋に出会う。概ね立木のある場所を繋げて歩くのがよく、その途中途中に倒木の平均台があるので、平均台を多く見つければルートファインでイングは当りとなる。屈曲点は少し西側に端折ってはみたが、若干進みやすいぐらいであった。偉いのは、ここに入る藪ヤは誰一人として刃物を当てていない。拓いていない。自然愛好派な人が多いようだ。


 刈り払い最終端まで戻り、ここで雨具を脱いでしまう。ここからの北東側の景色はなかなか良かった。山頂では楽しめなかったので、この場所が本日の展望地となった。ふかふかとしたササを刈った尾根を、踵を入れながら下ってゆく。笹が残り足元が滑るような場所はなく、林業関係者であるプロが刈った作業跡と思えた。


 真弓峠に戻り、そのまま林道へと降りてゆく。高樽本谷歩道には気が付いたが、そこより麓側にある、もう一つの道形も存在していたのを帰りに見つける。1618高点の東尾根に続くようだった。往路に猿が居た場所は、残り香と言うか黒い糞がマーキングのように彼らの存在を示していた。緩やかな勾配を1mほどの歩幅にして下ってゆく。


 赤いスノーシェッドを抜けた谷に人影があった。こちらに背中を向けているので、驚かせてはいけないと思い配慮して近づいてゆく。鈴はもう片付けていたので鳴ってはいなかった。「こんにちわ」と声をかけると、やはり驚かせてしまった。サイクリストで、乗っていたのはアシスト付きのマウンテンバイクであった。ここまでのバッテリー消費量を訪ねると、まだ20パーセントだと言う。これほどに緩斜面の林道ならとも思うが、それほどにアシスト付自転車の出来がいいとも思えた。クマの糞が多いことや、私が猿に会ったこと、御仁がシカに会ったことなどを5分ほど立ち話する。御仁はここで下ろうと思っていたようであったが、わずか先が峠であり、ヒルクライマーなら峠まで行くべきと背中を押した。本来は鯎川沿いの林道に行くつもりであったと言い、分岐を間違えたようであった。


 立ち話で少しロスしたので、やや速足で下ってゆく。再びクマの糞を見ながらの林道歩き、その途中に自転車の泥除けがブラケットが折れた状態で転がっていた。先ほどの御仁のものだろう。拾ってゆく。自転車なので後ろからすぐに追いつくだろうと思っていたが、手に持った泥除けが、しばらく荷物となっていた。小俣川を渡り、帰路では966高点の場所を確認する。山手側には3つの看板が古木に縫い付けられていた。


 往路では暗くて王滝川を眺められなかったが、復路に見ると、護岸も川の中もテトラポットでいっぱいであった。それほどに豪雨災害がある場所と判断できる。ゲートに戻ると、小牧ナンバーのワゴンが置かれていた。自転車の御仁のものだろう。泥除けを判る位置に立てかけておいた。


 帰路は御岳湖岸の紅葉を楽しませてもらう。高温の夏ではあったが、茶色くならずに綺麗な赤色を見せてくれていた。平地は暑かったが、山中はそれでも涼しかったのだろう。ちょっとくもり空だったのが残念だったが・・・。


 振り返る。岐阜側に対し信州側のコースはどうかと思ったが、真弓峠にアプローチするにはこちらの方が楽であろうと思えた。歩きでも自転車でもいい。下山したらそう遠くない場所に温泉もあり、いろんな要素を天秤にかけても、信州側優位と思える。ただし、信州100名山ではなく岐阜100名山であり、岐阜から登り岐阜に降り、岐阜で浸かって岐阜で食べるってことが、岐阜100名山にした選定者の目的の一部でもあろう。岐阜側のスタート地点から真弓峠までの直線距離は3.7km。これに対し信州側は6.2km。見た目で約倍ほどであるが、実際は大きなトリックがあり、長く見える方が近いのだった。








 
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