鋸岳        2254m     
   
                                                                                                                                          
   
                                                                                                         
    2020.5.16(土)


  ガス一時晴れ     単独     しゃくなげ園よりバカ尾根往復      行動時間:3H22M
                


@しゃくなげ園駐車場入り口4:20→(42M)→Aしゃくなげ園最上部「尾根頂上」5:02→(33M)→B2046高点5:35→(31M)→C鋸岳6:06〜35→(16M)→D2046高点帰り6:51→(18M)→E「尾根頂上」帰り7:09 →(22M)→F展望台7:31→(11M)→G戻る7:42


   
まつりは中止 @駐車場入り口はチェーンが張られたまま。 駐車場から園地へ 園地入口の案内図
       
1620m付近。最上部のシェルター。 ルートを判らずに来ているので、こんな踏み跡に入るのかと迷った。1670m付近。迷わず林道幅を進めばいい。 1690m付近。密生ではないが、刈り払いがされていないので濡れる。そしてダニが多い。 早朝行動は、ひざ下はびしょ濡れ。
     
1810m付近。林道幅が終わり山道になる。 Aコマクサが見えたら、ここが園地最上部。 A1820m Aロープ外はコマクサの植生があるので逸脱しないよう。
       
A園地の「尾根山頂」から先に続く道に入って行く。 1900m付近を東側の道を伝い、通常のルートの一つ東の尾根を登っている。1940m付近。 1970m付近から麓側 ルート上は刃物跡が見られる。
       
リボンが続いている。 2020m付近 B2046高点 植生が無くなると、石にペンキがされている。
     
2120m付近。場所によっては岩盤通過。 ペンキマークが丸に変わる。 直下 バカ尾根の頂上にはケルンあり。
       
C鋸岳 CJバンド下降点 Cヤキソバパンと C蛇骨岳側のガスがとれる。
       
C東に流れる、浅間の噴煙がやや多いように見える。 C剣ヶ峰と牙山 Cバカ尾根側のガスがとれる。 またガスに巻かれ下山開始。
       
2130m付近 D2046高点帰り 2000m付近から。往路は右の東側を伝って登ってきた。 2000m付近から園地の「尾根頂上」を望むと、そこを結ぶようにリボンが続いてゆく。
       
1940m付近にはしゃくなげ園と書かれたリボンが下がる。 1900m付近の正解路を振り返っている。直進するのが正解路。 1900m付近からは、往路は東に見える踏み跡を伝った。 樹林帯は八ヶ岳のような雰囲気。
       
E「尾根頂上」のコマクサ群生地に戻る。 1800m付近。林道幅に戻る。 1620m付近。しゃくなげ園全体が見える場所。 F展望台からしゃくなげ園。
       
駐車場に戻る。 Gしゃくなげ園入口。車道を左に進むとすぐ先で行き止まり。    帰りに、天然記念物の「溶岩樹型」を観る。 

 


 

 浅間のバカ尾根は、一度は歩いてみたい場所であった。浅間山登山の古道の部類であり、嬬恋側からのルートであったが廃道となり公式ルートから外れてしまった。ただし伝う人は今でもちらほらといる。以前、悪天の中に黒斑山に上がった時に、バカ尾根を登ってきた単独の女性と行き会った。この時に初めてバカ尾根の存在を知ったのだった。

 
 スタート地点は浅間高原しゃくなげ園となるが、新型コロナの影響で2020年は閉園している情報がある。これにより駐車場が確保できないことになるが、バカ尾根への入山口がここになるので、他にアプローチ方法が見いだせずとりあえず出向くことにした。しゃくなげ園がダメなら、東の破線路を使うしかないが、道そのものが残っているのかどうか・・・。

 
 2時15分に家を出る。雨上がりなので濡れた18号を伝って行く。現地までの道は判りにくいとされているので、シャクナゲ園へのpdf版の案内図をダウンロードし、カーナビの示すルートと照らし合わせる。東からのルートが乏しく、浅間山麓を北に膨らんで南に戻る感じのようだ。溶岩樹型の景勝地からの道は凸凹したダートに変り、何も道標の無い中に進むと、再び舗装路となり案内看板が現れた。カーナビに任せたがメイン道路は溶岩樹型側からではないようだった。

 
 しゃくなげ園に到着。駐車場入り口のチェーンは張られたままになっていた。先に続く林道を進むと、駐車場への分岐から100mほど先で行き止まりとなっていた。分岐点に1台分の余地があり停める。ここは側溝のグレーチングが一部外れているので少し注意が必要であった。浅間山は濃いガスの中となっている。晴れ予報であるが、ここでの晴れは少し時間の経過が必要なようであった。まあ浅間は毎日のように見ているので見られずともよく、今日はバカ尾根を登る事が第一の目的。

 
 4:20歩き出す。閉園中でかなり忍びないが、散策路を伝わせてもらう。駐車場に園内のルート図があり、どう進めばいいか見えてくる。帰りもあるので時計回りで進もうと、東寄りで進んで行く。最初はチップを敷き詰めた散策路だが、それが終わるとやや野草が茂る林道幅となった。以前の作業跡は枯れた葉から見え適時刈り払いはされているようであるが、最近払われていないようで、膝丈くらいの野草があり、すぐに膝下を濡らしてゆく。雨上がりだから特にだとは思うが、早朝行動だと間違いなく濡らす場所だろう。

 
 案内図を見たものの、結局適当に分岐路を選び上に進む。園地なのでもう少し歩き易いと思っていたが、一番東側はもしゃもしゃのルートで、その一つ西側のルートを選ぶように登って行く。大きな九十九折を進み、二つ目に見るシェルター併用の休憩舎が1620m地点にある。それを左に見ながら巻き上げてゆくと、細かい九十九折で高度を上げだす。この付近は地形図に見られるループ路から南に道形が派生する場所となるので気にしていると、1670m地点に林道幅から逸れた踏み跡が見られた。これなのかと思ったが、林道幅はまだ進むので、踏み跡を左に見送り林道幅を進む。結果はこれで正解だった。林道幅が終わると、登山道のような山道となり、タイガーロープが沿うように流してある。そして尾根の肩に乗り上げると、そこには一面にコマクサが見られ、奇麗に咲き誇っている場所もある。植生エリアに入らぬようタイガーロープで区切ってあり、迷犬が逸脱しないよう最大限注意を払う。「尾根山頂」とあり、ここが園地として管理している最高所のようだった。その先はロープで塞がれているが、明瞭な山道が先に進んでいた。

 
 ロープを跨いで進むと、樹林帯の中を進む場所となり、八ヶ岳の山中を思わせる雰囲気があった。抜けて進むと1900m付近で向かう先が詰まった。詰まったとは表現が微妙だが、植生に遮られたように見えた(実際はその先に進んでいた)。よって周囲を見て、東に進む踏み跡らしき筋に入って行く。獣道のようにも見えるが、進んで行くと枯れた沢を跨ぎ、ザレた地形となる。これまで道が続いていた状態から、全くそれらのない地形となった。ここからがバカ尾根の本性で、迷いやすい場所なのかと思えた。と同時に、細川たかしさんの歌をもじって、「私バカ尾根、おバカさん尾根♪」と口ずさむ。

 
 1970m付近まで上がると陽が射してきたので下界を俯瞰する。先ほどの「尾根頂上」が北西に見える。帰りに今の今に通過してきたように戻れるかどうか不安であった。特にマーキングを残してはきていない。1990m付近では、再び道形が現れた。ここまでのルート選びは道を外していたという認識はなく、地形的に道が残っている場所と無い場所があるのだとこの時は思っていた。マーキングも見えだし、それ以外にも刃物を当てて道の場所を示しているのも見られる。

 
 数分のみガスが取れたが、すぐに深く包まれた。東側の谷形状が少し見え、その先の上側を望みたいと思っていたが、思うようには見させてもらえない。少し東に膨らむように上がって行く場所は、足場が緩くザレに粘土質が混じっているようで歩き辛い。そこを登り上げると、ケルンの立つ2046高点の肩であった。ここから上は、黄色いペンキがルートを示していた。砂場のような地形には先人のトレースも残り、今季にも伝っている人が居るようであった。

 
 2110m付近から岩盤地形が現れる。その上の通過も出来るし、幅が狭いので巻いての通過も可能であった。外気温は8℃を示し、手袋が欲しいほどで、上に着いたら雨具を着るとともに防寒をしようと考えていた。地表面の噴石に赤色が強くなると、バカ尾根のゴールとなる。

 
 2254高点をとっている場所で鋸岳となっているが、山頂らしくない場所であり、少し西に登った先にそれこそ鋸歯の小さな高みがあり、今日はそこで鋸岳とした。風が無いのが幸いで、東側からガスを透過して日差しの暖かさも感じられるようになった。少し晴れるかと期待していると、まず南側からガスが取れだし、湯ノ平の地形が見えるようになり、次に蛇骨岳が姿を現した。外輪山の南を位置どる剣ヶ峰と牙山が見え、各々の登頂時の記憶がよみがえる。そして主である浅間山が現れた。巨大なもっこりとした独特の山容、何かいつもと違うのは噴煙の白さが濃く、量が少ないものの少し違和感があった。景色を堪能していると、迷犬は既にJバンドに踏み入っていた。物足りないかもしれないが、今日はここまで呼び寄せる。あとで判るが、この判断は正しかった。

 
 ヤキソバパンを分かち合い下山となる。ガスが取れた時間は10分ほどで、また周囲は深いガスに覆われてしまった。バカ尾根を戻って行く。晴れている中であれば気持ちいいだろう場所、往復ガスの中で少し残念だったが日ごろの行いが悪いのでしょうがない。2046高点を経て、2000m付近からは往路の尾根を右に見ながら「尾根頂上」へと直線的に進んで行く。そこにはピンクのマーキングが続いていた。

 
 1940m付近まで降りるとそこに、「シャクナゲ園」と書かれたマーキングがあり、西側に導くようにタイガーロープが張られていた。そして1900m付近の往路に迷った場所に飛び出す。そこにはピンクのマーキングが下がっていた。よく見れば道の場所を示していたのであった。一見、密藪のようで往路は入らない判断となった。バカ尾根においては、ここの上側では、ややそんな場所が多いようには思えた。一応これで本道が確認できたので良かった。


 樹林の中を潜りコマクサの待つ1820m地点に戻る。ここまで足を運ぶ人は少ないのだろう、植生状態はかなりいいように見えた。野生動物にもあまり踏まれていないようだった。浅間のここでコマクサに出逢えるとは思わなかった。1800mで林道幅に戻り、1620mからは西側へと進んで行く。こちらは足元を濡らす野草は全くなく快適。途中には展望台があり登ると眺めがいいのだが、同定絵図は閉園しているためかブルーシートを被されていた。かなり晴れてはきたが、振り返るとまだガスが上側を覆っていた。


 駐車場を通過し園地入口に戻る。迷犬を見ると体表のあちこちにダニが見える。ネクスガードを飲んでいるので大事にはならないが、その多さを見ると連れて歩くのも可哀そうに思えた。


 振り返る。迷っていながら歩き易いと言うと矛盾があるが、総じて歩き易い尾根に思えた。2時間かからずに稜線まで行けることからも、ちょっと登るにも面白い場所。ただし中盤より上は明瞭な道があるわけではなく、好事家が歩く場所となろう。森林限界の上は見通しがいいので晴れていれば無問題。ガスだと少し不安になるが、けっこうにマーキングがされていた。

 この日2020年6月20日は、浅間山の火山性地震が38回観測され、翌日は21回だったそうだ。火山性微動もあり、ちょっと危ない中に登っていたようだった。北アルプスも揺れが激しく、浅間山もまた・・・。

 


 
               戻る