車坂山 2050m 槍ヶ鞘 2129.7m トーミノ頭 2320m
黒斑山 2404m
蛇骨岳 2366m 仙人岳 2319.7m
2020.10.18(日)
晴れ(降雪後) 単独 車坂峠から 行動時間:3H37M
@車坂峠5:22→(11M)→A車坂山5:33→(41M)→B槍ヶ鞘6:14〜15→(9M)→Cトーミノ頭6:24→(15M)→D黒斑山6:39〜40→(24M)→E蛇骨岳7:04〜05→(13M)→F仙人岳7:18〜25→(14M)→G蛇骨岳帰り7:39→(26M)→H黒斑山帰り8:05〜12→(15M)→I中コース下降点8:27→(32M)→J車坂峠8:59
@車坂峠よりスタート | A車坂山 | 先行者は二人。トレースを追う。 | 避雷小屋 |
B槍ヶ鞘 | B槍ヶ鞘よりトーミノ頭 | B槍ヶ鞘より剣ヶ峰側 | Cトーミノ頭。トレースを引いたパーティーに追いつく。山頂は狭くこの通り。ここからは無垢の新雪。 |
Cトーミノ頭から浅間 | Cトーミノ頭から黒斑山 | Cトーミノ頭から槍ヶ鞘。小諸側は一面の雲海。 | D黒斑山 |
D黒斑山から浅間 | トラバースルート | 夜明け近く、かなり噴煙が濃く上がっていた。1分間隔くらい。 | E蛇骨岳 |
E蛇骨岳から黒斑山 | E蛇骨岳から嬬恋村(北)側 | 蛇骨岳から東側 | F仙人岳。噴煙が嫌な感じだったのでここで引き返す。 |
F仙人岳三角点 | F仙人岳から浅間 | F仙人岳から外輪山 | F仙人岳から湯の平・剣ヶ峰側 |
F仙人岳から嬬恋側 | F本日最終座でヤキソバパン | 戻って行く | G蛇骨岳帰り |
H黒斑山帰り | I中コース下降点 | J車坂峠に戻る。駐車場は満車看板が出ていた。 |
黒斑山を最高峰とする浅間山西側の第一外輪山は、アプローチのし易さと展望の良さからいつでも混みあっている。それが為に、行くなら平日にしようか、悪天時にしようかと考えていた。既に登っているので無理に行かずともいいのだが、迷犬に踏ませてあげたい。
17日土曜日は、雨予報の日であった。金曜日に準備をして、願ったり叶ったりの悪天日で出かける気でいた。2時間くらいで車坂峠には行けるので、夜明けをスタートを見込んで家を3時出発として準備をしていた。ただ、外に出ると平地でも冷たい雨で、上はみぞれか雪だろうと判断でき、用意はしたものの出かけずじまいだった。いつもなら転進を決め込むのだが、珍しく家で停滞していた。
翌18日は晴れ予報の日であり、計画通りに車坂峠に向かう。2時45分に家を出て、車坂峠には4時半に到着。外気温は1℃を示し、凍結防止の塩カルがもう撒かれており、凍っていてもおかしくない状況の中、ノーマルタイヤでそろそろと登って行った。空には沢山の星が瞬き、少し星空観察をしようと、到着する車のヘッドライトを嫌い高峰温泉側の林道へと入って行く。その途中にアサマ2000のゲレンデがあるが、そこは真っ白であった。平地での雨はここでは雪だったことが判った。降雪後の晴れ日、今日は混むだろうことが予想できた。なので、夜明けを待たずに少し前倒しして出発することにした。
仮眠後にゲレンデ側で準備をして、林道を戻り駐車場に入れたらすぐに出発する。小諸市の夜明け予定時刻は5時45分だった。20分ほど早く行動開始し5時22分に車坂峠を出発する。他にもヘッドライトを光らせたパーティーが行動開始していた。到着する車も続き、必ずどうしようかと車坂峠のところで立ち往生している。駐車場の場所が一目で判らないためだろう。逃げるように登山道に入って行く。
緩やかな一級路を伝うと、途中でカメラ目的らしい3名のパーティーが休まれていた。ひと登りで車坂山に着き、東側の鞍部へと下降しだすと、向かいの斜面からも声が聞こえていた。ごつごつとした岩の見える場所になると、雪面のトレースから2名が先行しているのが判った。ロープで導かれる中、周囲が開ける場所となると、小諸側が一面の雲海と判った。その向こうは八ヶ岳の山塊が見えるくらいで、それ以下の景色は垂れ込めた雲で見えなかった。振り返り篭ノ登山側も見る。雪を纏って綺麗だった。こうなると浅間山はどんな容姿だろうと期待が高まる。
避雷小屋辺りからは積雪量が増しており、先行者にトレースのお礼を言わねばと意識するようになる。周囲のシラビソに雪が載っていて、まだ通過者も少ないので冷たい雪を何度も振りかけられる。雪が楽しくてしょうがない迷犬に引っ張られるように、リードをピンと張りながら登っていた。ここまでの降雪とは予想以上で、周囲は完全に雪山の景色だった。
槍ヶ鞘に上がると正面に浅間が見えた。美しいを通り越して荘厳な感じさえした。撮影にはもう少し溶けた午後の方がいいだろうけど、私は降雪後のこの姿が好きであった。少し気になるのは、黒い噴煙が火口北側から上がっており、その噴出する頻度が多い事だった。6月のバカ尾根を登った時も地震が頻発し、ちょっと危険性のある日だった。もしかしたら今日もと思ってしまった。先行者は近くに居るのかと思ったが、トーミノ頭側の斜面にも見えず、既に登頂しているようだった。トレースが登山道を登っていた。ここから牙山(ぎっぱやま)をズームにして望むと、懐かしい目立つ山頂の木を確認することができた。北に下り、中コースの下降点を経て登り返す。
トーミノ頭に着くと、先行者の2名が周囲の撮影に勤しんでいた。トレースのお礼を言って黒斑山側へと進む。ここより以北は無垢の雪面で、ルートファインでイングを楽しむかのように迷犬が先行してゆく。少し水たまりがあり、凍っている場所もあれば泥濘地形も見られた。火山観測施設からは山頂側にケーブルが続く。アイゼンで踏まれることもあるだろう、大丈夫なのだろうかと心配したりする。この日はネオプレーンの手袋をしていたが、これでは防寒に劣っていて動いている割には手先がジンジンとしていた。陽は上がったが、東側を雲に遮られ太陽の暖かさを感じるほどとなっていなかった。
黒斑山登頂。標柱に雪が付着して山名が見えず、払い落として迷犬の記念撮影。相変わらず浅間山からの噴煙が不気味だった。湯の平に降りて周回をしようと思って来ていたが、あまり近づかない方がいいと判断できた。噴石が飛んで来たら避けられるだろうかと、周囲のシラビソの植生を見たりしていた。そこまで思うなら、ここで引き返すのも一手。しかし、ここまで来たのなら仙人岳まで踏ましてやりたい。用心深いのか無謀なのか。さてどっちだろうか。
20年前に鋸岳まで歩いた時(Jバンドよりの下降は歩行禁止)には、黒斑と蛇骨間にある分岐から下に降りた記憶がある。当日に少し迷いながら戻ったのだが、今回通過しながら気にしていたが、雪が隠してしまったのかその場所に気づかず通過してしまった。蛇骨への最後は、南からごつごつした中を直登する。雪でどこが正解路なのか判らなかった。
蛇骨岳登頂。ここまで来ると外輪山の北側となり、浅間側だけでなく嬬恋村がある北側を広く望むことができる。高原野菜の産地は少し白くなっていると思いきや、降雪はほとんどないように見えた。少し右に目を移すと6月に歩いたバカ尾根がくっきりと見える。今日歩いても気持ちいいだろう。湯の平ではしきりにシカが鳴いている。降雪が影響しているのだろうか、聞きなれない音を発していた。ここから仙人岳間は平たん路のように見え伝うのに気持ちよさそうな地形だった。雪が載っているからなおさら。
無垢の雪面を迷犬が駆けてゆく。相変わらず嬉しそうに伝っている。平坦に見えたが、急下降場所はあり、大型犬が抜けるには狭い岩幅の場所もあった。噴煙を気にするも、この頃になると黒煙は収まって白い煙を吐いていた。鞍部まで降りたら、迷犬は北側に降りるのかと迷っていた。尾根より北側に支柱が立ち、道の方向を示しているように見えたのかもしれない。飼い主より頭がいいので学習しているのである。最後の登り返し。
仙人岳登頂。北東に大きく傾いた三角点が待っていた。20年ぶりの登頂である。ここまで来たのなら湯の平に降りてしまった方が早いような気もするが、先ほど蛇骨岳南の分岐路が探せず気になっていた。ヤキソバパンを迷犬と分かち合い朝食とした。迷犬の服は綿なので、ゴットリと雪が付着し、硬く重く凍っていたので脱がせる。我がトレースを反芻するように戻って行く。
蛇骨岳を過ぎると、最初のすれ違い者が現れた。その後はぽつぽつと続く。みなあの黒い煙を見ていないのだろう。もしくは見ても突っ込むのかも。ありがたいことに、みな犬連れを好意的に見てくれ、あたかも子供が登っているかのように応援してくれる人も居た。しかし、往路同様に気にして歩いていたが下降点の分岐が判らなかった。いくつか候補の道形があったが、どれが正解なのか判らなかったというのが本音。雪はここまで隠してしまうのか・・・。
黒斑山はこの時間になると賑やかだった。5パーティーほどが休憩しており、ここでも迷犬はちやほやされていた。降雪がここまで人の心を犬に対し寛容にさせるのか・・・。雪が無かったらここまででは無かったはずである。水分補給にリンゴを分かち合う。早生フジなる品種を買ってみたが、平地で食べるには柔らかくて駄目だった。山で食べると何とかごまかせた。山ではなんでも美味しく感じさせてくれる。
南に進みトーミノ頭も大賑わいだった。降雪後のこの天気なら当然だろう。この時間になると日差しが暑いくらいに感じるようにもなっていた。そして無風。トーミノ頭からの南側は数珠までいかないが、繋がるようにハイカーが登って来ていた。外国人の姿もあり、犬に大変興味を示す。感情がストレートなんだろう。一眼を抱えたハイカーが、「撮影していいですか」と聞いてきたので、迷犬を座らせ構えると、「犬だけ撮るので大丈夫です」と言った。私も被写体になりたいように見えたのか・・・全くそんなつもりはなかったが・・・。
中コースを降りて行く。中盤は深く掘れ、背丈以上の深みとなっていた。大雨で抉れたのだろう。ルートの南側の地形には踏み跡があるが、樹林間隔が狭くザックが引っ掛かり伝いづらい場所であった。そんな登りづらいだろう場所であるが、2パーティーがすれ違った。
車坂峠の駐車場は車で溢れていた。そしてこの時間から出発してゆく人も多い。中には10名ほどのパーティーも見られる。ここに至る道中の車内とか、同行登山とか、山ヤは無神経と後ろ指刺されそうである。赤信号みんなで渡れば的で、にこやかに出発してゆく笑顔がなんともバカっぽく見えてしまった。集団で行動する農耕民族の性だろうか。集団を貫く姿勢に、少し元気を感じたりもした。