夕日ノ丘        2120m        双子山      2224.1m                 
       
                                                                                                      
   
  2020.6.27(土)


  晴れ     単独     大河原峠からCCW      行動時間:2H45M


@大河原峠4:14→(34M)→A天祥寺平4:48→(10M)→B取付き点4:58→(16M)→C夕日ノ丘5:14〜17→(16M)→D登山道に戻る5:33→(6M)→E亀甲池5:39→(30M)→F双子池ヒュッテ6:09〜13→(31M)→G双子山6:44→(15M)→H大河原峠6:59 
 


   
@大河原峠の外気温は11℃。低気圧通過で風は強かった。 @双子山への登山道を左に見て西へ。 @大河原ヒュッテ前を通過したら分岐を南へ。道標は薄れて読めない。 白樺高原側へは通行止め。
       
登山道は沢のようで、スパッツをしたとしても、登山靴では水没回避は絶対に無理。 流れが無くなったと思ったら・・・。 再び水たまりが繰り返される。雨上がりは避けた方がいいルート。 途中から見る夕日ノ丘。一帯はシカが非常に多い。
     
A天祥寺平。ここも湿地のようにズブズブの地形。 滝の湯川渡渉。 B夕日ノ丘への取付き点 B赤いリボンがされている。
       
取付き斜面。北西が最短だが、北東側への鹿道を伝う。 大きなシカの角が落ちていた。 付近は膝丈の笹。そこに鹿道が幾重にもある。 鹿道が尾根を乗越す場所から西進する。
       
ヌタ場。以西は植生が増す。 C夕日ノ丘山頂。胸丈の笹。 C夕日ノ丘から蓼科山 C西から見る夕日ノ丘
     
C標識が落ちていた。「夕日の丘」 D登山道に戻る E亀甲池 双子池雌池
       
F双子池ヒュッテ F石仏と祠 F双子池雄池 ホーロク平
       
祠と横岳 ホーロク平から、前週に登った浅間山側。 G双子山山頂  G三等点
       
H大河原峠に戻る。道中にスレ違いは無かったので、ほとんど蓼科山へのハイカーの車だろう。 蓼科スカイライン途中にあるJAXAのアンテナ施設。 昨年に完成したよう。2100トン。 




 エアリアマップの1997年度版には、双子池の西方、天祥寺平の東の2120高点に「夕日ノ丘」と山名が記されている。翌年発行の98年度版からは消えてしまい、以降で2110高点に山名を見ることは無くなった。たまたま97年度版と98年度版を持っているため、その消滅年度が判った。

 
 八ヶ岳に行こうと思うが、既に名のある全てのピークは踏んでしまった。計画する場合は再登として出向く形になる。それでもどこかに隠れてはいないかと探し回る。常々この作業は98年度版でやっていた。古い方に何か載って居ないかと97年度版を見ると、北八ヶ岳に「夕日ノ丘」2120mを見つけた。北に大河原峠があり、アプローチのしやすい場所にある。計画するに犬連れを迷うが、100名山が近い場所であり、いろんな人が居るだろうから連れないこととした。双子池ヒュッテには犬が居るよう。そこを思うと連れてもいいように思うが、人の多い場所と判っているので自分でリスクを増やさないこととした。山小屋の犬としては芳ヶ平なども同じことが言える。

 
 WEB上には、画像を伴わない文字のみの夕日の丘登頂記録が読める。どう伝っているのか、短い言葉並べの中からキーワードを見出す。記録からは、山麓にササの植生が無い場所があるようだ。ただし何処を言っているのか判らず衛星写真を見ながらルートを探る。地形図に読める地図記号を見ながら、南東斜面が攻略ルートと判った。針葉樹林帯の中も歩き易いとは思うが、前日は雨であり、岩穴に足を滑らせないよう一番安全策での計画とした。

 
 蓼科スカイラインは、西側の女神湖からのルートが崩落により塞がれ、東の佐久穂からのルートしか通れない。白樺湖の方からしかアプローチしたことが無く、蓼科スカイラインの東側ルートがどんな道なのか知らなかった。地図に見える長い山道に、山旅より少し抵抗があった。しかしこれが・・・。

 
 2時15分に家を出る。内山峠を越えて佐久に出て、洞源湖からスカイラインが始まる。クワハウス佐久がまだ営業しているころには、入浴目的でここまでは来たことがある。スカイラインを伝うと、その走りやすい事。道幅は広く勾配は緩やか。当然信号は無いから、常々望月経由で白樺湖側に抜けていたが、この道を使えばかなり楽だったと思えた。ただし今は、全線は通過できない。途中JAXAのパラボラアンテナがあり、闇夜にその白さが目立っていた。外気温はどんどん下がり、下界は24℃であったが大河原峠に着いた時には11℃を示していた。駐車場には4台の車が見える。4時到着。

 
 準備をしだすと、車中泊していた若者が寒いと声に出し身震いしながらトイレに駆けて行った。やや強い風があり、一けた台の体感気温であった。一帯はしっとりと濡れている。ササ漕ぎが待っているから、今日はどれほど濡らされるだろうか、スタートから雨具を着た方が得策と判断できた。足元は長靴履きとした。この判断は大正解だった。

 
 4:14大河原峠を出発し蓼科山側へと進む。大河原ヒュッテの先の分岐道標は朽ちており、天祥寺平側を示す文字は判読が出来なかった。南進し始めるが、ササの覆う登山道は下手な沢より水があるほどで、深い場所は300mmほど溜まっており、長靴をも水没しそうなほどであった。雨の後だからだと思うが、この状況の中に登山靴だったら、おそらくは引き返して山行計画を練り直しただろうと思う。少しの距離ならいいがその距離が長く、途中少し草地を伝うものの、その後も平均150mmほど溜まっている流れの中を伝って行く。この日ばかりは長靴で本当に良かったと思えた。

 
 左右の笹原の中にニホンジカが駆けてゆく。かなりの頭数が見られ白い尻がピョンピョンと跳ねていた。時折付近の笹原がガサッと鳴ることがあり、構えるが多分シカだったのだろう。そんなことで緊張するくらいなら、鈴を鳴らせばいいのだが、自然を味わうには無音で歩くのが一番いい。南進してゆく先にこんもりとした高みが見えてくる。間には滝の湯川があり、隙あらば取り付こうと思い、樹林帯を注視しつつ進んで行く。この辺りは、対岸はいいとして、登山道の切られた西側のササの植生が強かった。両側からせり出したササを分けるようにして沢と化した登山道を降りて行く。

 
 天祥寺平の分岐に着く。ここも湿地のようになりズブズブの地形となっていた。今日は下りで使ったからまだいいが、ここをこんな水量の時に登りで使ったら、もっと酷だったろうと思う。分岐から東進を始める。ゆっくりと高度を上げ分岐からの40mの高度差を稼ぐと、その先はほぼ水平路となる。当然ながらここも北側を気にしつつ進む。笹の切れる場所が現れてくるからである。衛星画像からはガレ地に見える場所である。

 
 夕日ノ丘の南東位置で笹の植生が途絶えた。頭大の露岩が見えガレ地より草地と言った方が合っている感じであった。この少し東側には赤いリボンがされていた。取り付き適当に10mほど高度を上げると、シカ道が見えだしてくる。上側の開けた場所を狙いつつ行くのだが、シカ道は北東側に斜上して行くものが多い。おそらくはシカも伝うのが楽なのは北東進なのだろう。トウヒを分けるようにしてシカ道を追ってゆくと、その途中に大きな角が落ちていた。頭蓋骨付きの角で、そこから見る麓側には大腿骨だろう大きな骨も散らばっている。老衰か、この場所で息絶えたよう。帰りにまた出会えたら持ち帰ることにし先に進んで行く。

 
 シカ道が尾根を乗越して北側へと進んで行く。今回は北には興味がないので、尾根頂部付近からの西進するシカ道を伝って行く。往路は尾根のやや北側を伝うように進んでいた。途中にヌタ場があり、その先からやや植生が強くなる。ヌタ場あたりまでは腰丈のササであったが、以西は胸丈ほどとなり分けて進むようになる。ただし向かう先にはもう標高点の場所と判るマーキングの場所が見えていた。

 
 夕日ノ丘到着。二本のトウヒに青い荷紐が縛られ、うち一本には緑の荷紐も見られる。標識が在ったはずと探すも立木にはなく、根元の笹原の中に落ちていた。「夕日の丘」と書かれた標識は、特異なガラエポのような素材で作られていた。裏を見ると、作者は信州の猛者氏と判った。ここからは蓼科山が木々の間から見えるくらい、他の展望は樹木に遮られていた。開けた空間は無いかと少し西側に進んでみたが、同じような植生であった。


 帰りも東進ではあるが、往路に対し尾根の南側を伝ってみる。結果、南側の方がやや植生が薄いような印象であった。大まかには北も南も大差なしだった。角の場所を少し気にして降りて行く。見つからなかったらそれまでと思ったが、見つけて欲しかったのか大きな骨があちこちに見えだし、雪で流れただろうと想定し上にあがると、角の場所であった。持つとずっしりと重い。ザックに結わえると結構な負荷となった。

 
 登山道に戻れば、あとは一級路を伝って峠まで戻るだけ。雰囲気のある亀甲池を愛で、ごつごつした岩の道を経て双子池
雌池に出る。池の西岸はキャンプ場となっているが、いくつもあるキャンプサイトは、寝心地の良さそうな平坦な場所が少ない。これでもシーズンになると利用者は居るのだろうか。北岸を経て双子池ヒュッテ前に出る。しっとりと濡れたヒュッテは静かなままで、分岐の石仏に静かに挨拶をしてから雄池を愛でる。自称愛犬家としてはヒュッテの犬に逢いたいと思っていたが、それが為に小屋のスタッフを騒がすのも嫌なので、すぐさま双子山への登りに入る。ここまでは谷部で行動していたせいか風を感じなかったが、高度を上げてゆくと風がだんだん強くなってきていた。

 
 ホーロク平でもう双子山としていいだろうとは思うが、いい周囲展望で360度が見渡せる。ここから山頂標柱までは、道の場所を示す杭がほとんど倒れていた。この日も西風に押され重心を上手く保っていないと東側に体が持っていかれるほど。久しく体感していなかった高所の風の強さであった。双子山は21年ぶりの登頂だった。しかし懐かしい印象がない。前回は悪天の中に歩いていたので、山頂風景を楽しむより無線をすることを優先していたと思われる。三等点を拝んだら、峠までの最後の下降。北八ヶ岳と言うメジャーな場所であり、誰か行き会うかと思っていたがすれ違いは皆無だった。

 
 大河原峠を見下ろしながら、ごつごつとした大岩の転がる登山道を降りて行く。駐車場に見える車は増えているようだ。双子山側にハイカーが見られないことからは、大河原峠利用者の多くは百名山目的のようであった。峠に出る手前20mくらいは、登山道をけっこうにササが覆っていた。駐車場に戻ると、遠くは石川ナンバーも見られた。


 振り返る。夕日ノ丘は、昔も登山道は無かった場所のようであった。シカが多いことから、幸いシカ道が出来ているので今は伝いやすい。食害もあって山腹のササが低くなっていることもあるだろう。現地では、天祥寺平側の南西から取り付いてもいいように見えた。100mの標高差のササ漕ぎとなるが、小尾根があり判り易い。ただし、何と言っても楽なのは南東麓からのアプローチだろう。分けて進むのは最後の30mくらい。あとはシカ道が伝えるのでほとんど負荷が無い。本音を言うと、ちょっと物足りなかった(笑)。




 
 
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