大菩薩嶺        2056.9m      
                                                                                                                                                                                        
  2021.11.13(土)


  快晴    同行者あり     上日川峠より     行動時間:3H50M


@上日川峠第三駐車場6:56→(4M)→A上日川峠7:00〜04→(21M)→B福ちゃん荘7:25→(5M)→C富士見平分岐7:30→(54M)→D2000mピーク8:24〜31→(11M)→E大菩薩嶺8:42〜9:09→(36M)→F大菩薩峠9:45〜49→(32M)→G福ちゃん荘10:21→(25M)→H第3駐車場10:46 
                                             


 
@到着は6時40分頃、このタイミングで第3駐車場に案内された。 A上日川峠。交通整理のおじさんは、一台づつに細かく説明していた。 A7時到着だと、もう第4と第5駐車場に案内される。登山するにも大変。第5は上日川ダム側で車で10分。 A舗装路の方が早いが、登山道を伝う。
     
B福ちゃん荘からは、富士見平側へと進む C富士見平の富士見新道分岐。旧道へと入って行く。 渡渉点。凍っていたら渡り辛いだろう飛び石。 古い道標絵図が見られる。
   
道形は不明瞭。時折ケルンとマーキングが見られる。 登ってきた側を振り返る。 ガラ場の中を進む。小さなケルンが見られる。この先の屈曲点は注意。 ガラ場歩きから草付きに入る屈曲点。古い道標がある。ここからの道形は笹に埋もれ見えない。
       
登ってきたガラ場を見下ろす。富士を背負って登れる。 男道と女道の分岐。男道を行く。急こう配で、ここも道形はない。膝つき、胸つきなルート。 鎖場だったろう場所。支点の鉄の杭が残っていた。チムニー状のザレた場所を這い上がって行く。足場が流れやすい。落石も起こりやすい。 登ってきた男道斜面を振り返る。
     
陰になってしまったが、鎖場。クサリの下からだと犬をあげるのは厳しい。ここのみクサリが残っていた。 クサリを伝って登ってきている。犬は、左に見える棚を伝ってクサリを回避。 「穴観音」の岩穴。奥の深い岩穴。安置されているモノはみられなかった。ここを斜行して左に上がるが、この上の進路も不明瞭。 ルートがよく判らずササ斜面を這い上がって行く。
     
ササ斜面を振り返る。 富士見新道に関するお知らせ。上から下るのは、けっこう危険だろう。伝う場所がよく判らない事を含め。 D富士見新道の最上部の2000mの高み。 D富士見新道側を振り返る。
       
愛犬家が愛でてくれる。 E大菩薩嶺登頂。展望地は賑やかだが、ここは意外と静か。 E日本百名山、山梨百名山の標柱が立つ。 E等級が判らないほどに割られてしまっている。
       
Eヤキソバパンと E2000m峰100座目の彼。 E展望地で小休止。 Eこの日は名月を持ち上げる。
       
E甲府盆地側 市営休憩舎 F大菩薩峠 Fラブがいて触れ合う。
       
勝緑荘前 富士見平に戻る 廃業した富士見山荘 富士見山荘のブランコがいい雰囲気。
       
G福ちゃん荘まで戻る。 Gここでも、なでなでしてもらう。 上日川峠は、従来の賑わいに戻った感じ。  H上日川峠第3駐車場。わりとゆったりと駐車線が切られているのでせせこましくない。 




 相棒の、2000m峰100座目の記念登山。季節的な事を加味し雪のない場所として、そして記憶に残るように大展望のある場所を選ぶ。さらにさらに同行者が居ることから、負荷の無い場所。となるともう、大菩薩嶺の他に思い浮かぶ2000m峰は無かった。

 
 4時に家を出る。Googleのナビは、上日川峠と入れると、丹波山村経由と野辺山経由を示した。後者は判るが、なぜに奥多摩経由なのだろう。そして大滝村経由を導かないのだろう。ナビを無視して秩父往還を通過し雁坂トンネルを潜って行く。塩山からは世田谷ナンバーのテスラの尻にくっ付いて登って行く。テスラで登山は、電費にドキドキしないのだろうか。長い林道の登りは、だいぶ電気を食うはず。上日川峠に着いたのは6時44分。第1と第2は既に満車となり、誘導員に第3に案内される。第3の広い駐車場は3割ほど埋まり、支度をしだすとみるみる埋まっていった。

 
 6:56行動開始。快晴無風で最高の登山日和、登り易いここにもどっとハイカーが押し寄せていた。再び上日川峠に行くと、わずか15分ほど経っただけだが、第4と第5駐車場へと到着者車を案内していた。上日川ダム湖岸のそこまでは車で10分もかかるそうだ。誘導員は到着車の一台一台にそれを細かく説明していた。よって峠は渋滞気味になってきていた。第3に停められてラッキーだった。

 
 それにしても尋常ではない入山者数。視界に人がいない時がないほど。林道を右に見て登山道を伝って行く。人がたくさんいると、犬連れに対してのリスクも大きくなるが、ここの場合は登山道幅が広いのでリスクとしては軽減できるだろうと思えた。と言うか、周囲にたくさん犬連れが見られる。もう一部と言うより犬連れブームのような雰囲気があった。ワンワンと吠え立てている子も居り、同業者でありながらしつけの悪さに閉口したくもなった。超一級路を全く負荷無く進んで行く。

 
 福ちゃん荘到着。ここまで車を入れた方が出発準備をしていた。宿泊者って事だろう。唐松尾根の賑わいを見て、大菩薩峠側へと進んで行く。そして富士見平の富士見山荘前から、富士見新道(旧道)に入って行く。すぐに分岐が現れ、右の道を見送り富士見新道側へと進んで行く。渡渉点までは一級路のまま続くが、沢の右岸から左岸に移った先からは、ルートはかなりあやふやになった。ここでは、富士見山荘の取水場所なのか中継升のようなものも見られた。上側を見てもルートの場所が判らず、やや不安な思いをしながら適当に谷筋を進む。道がない場所なら不安にならないが、ある場所でルートを外していると不安になってしまう。上に進むと、小さな小さなケルンが現れる。何となくはここでいいようだった。マーキングも古いものがたまに目に入ってきていた。大水が出た時に地面がだいぶ削られ荒れてしまったようで、ここも19号台風の影響を強く受けたのだろう。

 
 樹林帯から出ると、やや左に進むガラ場の谷で、そこだけ線を引いたようにササの植生がない。ルート選定は合っているのか否か、道標らしきものは目に入ってこない。闇夜にヘッドライトで入ったら、進路が判らなかったろうと思う。ガラ場の涸沢をずっと伝うのかと先を見ていたら、途中に朽ちた道標が現れ、涸沢から逸れササの中に進めと示していた。笹に道形が見えれば何も思わないが、見えないので、”こんなところから”と思ってしまう。それでも、この分岐から見るその方向に、白い看板があり富士見新道に対する注意が書かれていた。

 
 膝丈の霜の付いたササを分けるように進んで行く。確かに笹の中には獣道のような細い道形があった。平均台の上を歩くかのように、その細い道に対して足を出して行く。先ほどの分岐か所から5分ほどで新たな道標が現れ、見えるそれは「男道」と「女道」を示していた。きついルートと優しいルートだと言う事は想像できる。女道は横ずれが50mと書いてあり、この不明瞭な状態では、まっすぐ進む方がミスは少ないと考え男道側を選ぶ。と言っても、「一切の」と言っていいほどに道形は無かった。どこにどう切られていたのか、地形から想像して切られただろう場所を探すも、何も見えてこなかった。ここは膝つきとか胸突きとか言いたいほどに急登斜面で、同行者から「大菩薩だと言うから楽に思っていたのに」と苦情が発せられていた。

 
 進路の先に岩が現れだす。核心部に入ったようで、チムニー状の地形の中に注意看板が見られる。下側に鉄の支柱が残っており、斜度からして鎖があった場所と判る。足が流れる場所で、さらには頭大の岩がいくつも転がっており、それらは上からの落石だろうことが判る。登山靴の中の足先に力を入れながら登る場所で、手がかりが乏しく周囲の灌木は細く当てにならないものばかりであった。ここを抜けると、右にガレ斜面、左に土混ざりのザレ斜面。迷犬が左を選んだので後を追うと、その先に鎖場が現れた。

 鎖場を見てややドキドキする。この地形だと大型犬の通過は無理じゃないんかと・・・。鎖下に行きその場所を見上げる。上の安全地帯まで2mほど高低差がある。ここを大型犬を持上げるのは無理。ここまで来て通過できないか・・・と、少し気持ちがブルーになりかけたが、後ろから「右のここを伝えばいいじゃん」と指摘してくる。棚状の場所があり、抜けるにはここしかないと見ているのだが、棚が繋がっておらず、抜けたそこで踏み外すと2mほど落ちてしまう。迷犬の100座記念日登山であり、危険は避けたい。と言うより大菩薩嶺に対し、ここまでのリスクは思っていなかった。さてどうしよう。同行者の反対意見があれば直前のザレ斜面を右に行こうと思ったが、今は背中を押す感じ、迷犬にリードをフックしこうに進めばとばかりに先を進み進路を見せてやると、追うようにピョンと飛び移ってきた。案ずるより産むが易しだった。同行者は鎖を掴みながら上がってくる。あってありがたい鎖ではあるが、太いそれを掴み上がらねばならないので、危険そうに見えていた。

 
 鎖場の先の岩壁に、白ペンキで「穴観音」と書かれていた。その下側に穴があり覗き込んでみる。奥の深い穴で、奥に在ったのかもしれないが、この時は安置されているようなものは見られなかった。ここからは左に斜上するしかルートは無いようで、滑りやすい大岩に迷犬を持上げるようにして進ませる。穴観音の上は、踏み跡がかなり細かった。灌木を分け、その先は九十九折りするように進む。そしてまたルートがあやふやになる。もう主稜線は近いので通過者の声が降りてきていた。やや右(東)側を選びササの植生の中を進んで行く。

 
 2000m標柱のピークに到達。遅れている同行者を見下ろすのに富士見新道側に寄ると、富士見新道に対するお知らせがあり、鎖は撤去したとあった。それでも在ったのは、あそこは完全に無くすと通過できなくなってしまうからだろう。下側を外したのは、外しても通過できるからなのだろう。伝った印象は、大菩薩嶺らしからぬピリッとした辛さのある場所だった。あまり伝う人は居ないのだろう、最近の足跡は皆無であった。同行者の苦情はあったものの、バリエーション風味があり、ここの通過は面白かった。

 一般道に戻り西進してゆく。途中愛犬家夫妻がおり、声をかけられコネコネと撫でで愛でてもらう。登山道はまだ霜柱が凍っているが、この先はどうになるか見えるようだった。凍っているうちにと急がねばならなかったが、日当たりのいい稜線上では、もう郷に入っては郷に従えであった。あちこちでハイカーが休憩していた。快晴無風で雲一つなく、富士山は凛々しく、南アルプスは雄大な連なりを見せていた。シューッというガスバーナーの音もあちこちでしている。広くて周囲との干渉が少ないのもここのいいところだろう。樹林帯中に入り根を踏みながら登って行く。

 
 大菩薩嶺到着。展望地が賑やかだったのに対し、ここは静かだった。全く静かではなく、一人の無線家が展望のない樹林帯に向かってお経のようにCQCQと唸っていた。記念撮影と記念動画を撮ったら展望地へと戻って行く。あれほどの展望が待っているのに、ここで休憩する判断は無い。東に戻るのだが、10分ほどの間に霜はだいぶ溶けていた。地面にはスリップした痕も見られる。判っていたらスパッツを持ってきたが・・・。お構いなしに歩く迷犬の足は、既にドロドロになっていた。

 
 休憩地には、このご時世にして電子ではなく古からの紫煙をくゆらせている愛煙家が居た。西風であり、御仁と距離を確保した西側で休憩とした。まあ煙草も登頂後の楽しみなのだろう。そうかと思えば、好みの音楽を大きな音量で流しながら歩いている方も居る。ラジオを鳴らしながらクマよけとして使っている人もいるので、節度がないとも言えないが、この大勢が歩く大菩薩嶺の登山道上においては、やや異端に思えた。あまり他人を気遣わない人なのだろう。持上げた名月(リンゴ)を食べたら東へと進んで行く。

 
 せっかくの展望地ではあるが、この時間帯からの歩行は、足元のドロドロとの格闘で、ほとんどの神経は地面に向けられていた。出来るだけ岩のある場所に足を乗せ、ない場所はロープ内の草付きを選ぶ。小型犬を連れた人らは、犬がドロドロになるので抱きかかえて歩いていた。足の短い犬はお腹もドロドロになっただろう。市営休憩舎を経ての次のピークも賑わっていた。再びドロドロの登山道を行くと、向かう先にまた別の賑わいがあった。大菩薩峠到着。

 
 たまたま同じ黒ラブがおり触れ合う。訓練が入っていないようで、リードをぐいぐい引っ張っていた。私を含め連れる側も様々で、連れられる側も様々。介山荘内では、小屋主がアルバイトの女の子に注意をしているところであった。そういうのは客の前でやらないで欲しい。注意は早い方がいいのかもしれないけど・・・。ここでもまた別の愛犬家がおり迷犬は愛でてもらう。嫌われるのは嫌だが、好まれるのは大歓迎。うどんかラーメンか、醤油の香しい大菩薩峠を後にする。

 
 登山道と言っても車が通れる林道なので散策路のよう。反時計回りの人も多くすれ違いが途切れない。たくさんの方に迷犬は声をかけてもらっていた。勝緑荘前には、LPガスボンベが15本ほど置かれていた。登山者が途切れた頃合いで、介山荘に上げるのだろう。緩やかに登り上げて進むと富士見平に戻る。寂れた感じがいいので、コテージを見に寄り道してゆく。敷地の全体を見ると、何となく往時の賑わいが想像できた。湿気があまりない場所なのだろう、建物の傷みが少ないのが感じられた。

 
 福ちゃん荘前は往来のハイカーで賑わっていた。そして山荘から出されるおでんなどの香りが胃袋をくすぐる。ここでもお姉さま方に迷犬はなでなでしてもらっていた。この日ほどに大勢に好意で迎えられた日は無く、こんな状態なら毎週のように訪れたい。ここからの下りは、林道を伝う人が大半であった。アスファルトは爪を削ってしまうので、登山道を選ぶ。

 
 上日川峠は大型バスが屯っている感じで、それらから吐き出されたハイカーで大賑わいであった。新型コロナがこの状態だからいいが、ひと月前であったら、この喧騒は問題視されただろう。この時間になると下山者もあるからだろう、第4や第5への誘導は無く、峠近辺の駐車場へ順次案内していた。落ち葉を踏みしめながら第3駐車場へと向かう。峠で出入り数をカウントしているのか、規則正しくライン内に整然と並んでいた。出発前のボーダーコリーが居り、最後のスキンシップ。

 
 迷犬の2000m峰100座目は、ゆるゆる登山の予定が、少しピリッとした辛さも入れ楽しいものとなった。

 


 
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