五郎山 2131.9m
2021.5.22(土)
くもり 単独 毛木平から 行動時間:5H7M
@毛木平4:31→(34M)→A慰霊碑5:05〜07→(104M)→B2104高点峰6:51〜58→(14M)→C進路を間違え南側の2100m地点で引き返す7:12→(31M)→D五郎山7:43〜58→(31M)→E2104高点北から東へ下降8:29→(38M)→F尾根末端(慰霊碑北)9:07→(31M)→G毛木平9:38
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@毛木平を出発 | 大山衹神社前 | A慰霊碑のある尾根の北側の谷を入り、その谷の北(左岸)側の尾根に取り付く。 | 1670mでシャクナゲが現れる。 |
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尾根頂部はシャクナゲ薮なので、南に逃げて斜面を伝ってゆく。1710m付近。 | 1790m付近で露岩が現れる。尾根北を進んだが、南の方が楽だったよう。 | 1820m付近。尾根の北側の様子。岩壁の下な感じ。 | 小尾根で北から南に主尾根に戻って行く。この尾根には境界標柱が見られた。 |
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主尾根に戻り、この後はずっと南斜面を伝う。2020m付近。2104高点東。 | 2050m付近。2104高点へ向かっている。 | 2104高点直下。 | B2104高点峰 |
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B南の展望 | B久しぶりに絶縁テープを残す。 | B2104峰から見る五郎山。 | 2104高点から南には、この境界の杭が続く。 |
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2104高点南の鞍部は、伐倒木が多い。 | C2100mまで進み、間違えに気付いて引き返す。 | C2100mから見る五郎山側。 | 2104峰西の鞍部 |
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2090m付近。五郎山への尾根は概ね藪無し。 | 真新しい刃物痕 | ロープが敷設されたチムニー。ここは犬は登れず、この岩峰の西側から登る。 | D五郎山登頂 |
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D20年前もこの標識があったような・・・。 | D東 | D南 | D南西 |
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Dヤキソバパンと | D三等点 | D五郎山から大弛峠を望む。 | D五郎山の東側岩峰から見る2021高点峰(左側の岩峰)。 |
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2104高点西鞍部帰り | 2104高点峰の北側は、かなり古い伐採跡が見られる。 | E2030mから東の谷へと下降。なだらか斜面に、地形図には描かれない小尾根が多い。 | 2021高点の岩峰を下から仰ぎ見る。 |
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1840m付近。下草の無い歩き易い斜面。この先、下に行くほどに歩き辛くなる。 | 1740m付近。倒されているのはほとんどダケカンバ。谷筋はこれらが大雨により集積されていた。 | 1710m付近で、流れのある沢の中を伝う。 | 1670m付近。流れのある沢の右岸には杣道が在ったよう。ここより上流側は大雨により道形は判らなくなっていた。 |
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F登山道(水源地への遊歩道)に戻る。 | 大山衹神社に帰りのお参り。 | G毛木平に戻る。 |
川上村の五郎山は、20年前の2001年が初登。当時は林道も荒れておらずジムニーで登山口まで入って行った記憶がある。そして一番記憶に残っているのは、手前峰であるマキヨセノ頭の露岩帯は、やや緊張しながら足を運んだ。この記憶からは、マキヨセノ頭の通過は犬には厳しい。となると、大型犬を連れた場合は公式ルートのある西側からアプローチしたのではリスクが大きい。
地形的に西側からしか狙えない場所であれば、すぐに諦めるが、残す北、南、東とまだ狙えそうな地形をしている。南の天竺平へは林道が上がっていて、それを伝えば高度を稼げる。ただしやや長い行程になる。五郎山の北側には水線の入った谷がある。谷に沿うように破線が描かれ山道があることが見える。途中で途切れてはいるが、さらに奥に延びているだろうと予想できる。最後に東側。千曲川・信濃川水源地への遊歩道を使い、慰霊碑のある辺りから尾根を西に突き上げて行くルート。3つを比べつつ、毛木平の駐車場が使える東側ルートで狙ってみることにした。
2時に家を出る。前週と同じ場所に行くパターンは久しぶり。狙った場所が踏めずリベンジで行くことはあったが・・・。経路2時間で毛木平に到着。駐車場に停まっている車は7台。前週よりかなり少ない状態だった。外気温は10℃で無風。暗いうちから準備をして入山してゆく方の姿はまだなかった。夜明けまで20分ほど仮眠。
4:31毛木平を出発。週中に雨が降り続いていたせいだろう川の水量が多く、前週より流れの音が強くなっていた。匂いを覚えているのか、迷犬は勝手知ったる道のようにスタスタと進んで行く。スタッフの駐車場の2台は前週のままであった。そしてこの日も、大山衹神社に旅の安全のお参りをしてゆく。鳥居の前で毎回参拝しているが、鳥居を潜って進み社の前に行って拝んだことがない。
神社から15分で慰霊碑の立つ場所に着く。この慰霊碑がある場所の北側に小尾根がある。小尾根の北側には流れのある沢があり、沢の北側にも小尾根がある。沢の右岸には獣道のような筋があり、杣道にも見えたので少し伝って入ってみる。しかし10mほど伝った先で消滅していた。谷の先は荒れていて進めない。左右に見える小尾根を見比べ、北の尾根の方が明るいので北側の尾根に取り付く。
尾根の上は道が在るかのように剥げていた。下草は無く快適。進路右に烏帽子のようにそそり立つ2021高点峰がある。見るからに岩峰であった。尾根の歩き易さに、”このまま行ければ五郎山は簡単に踏めてしまう”と安易に思ってしまった。しかし進むと、1670m付近からしっかりとシャクナゲが現れた。ちょうど花季で、薄いピンクや濃いピンクの花が美しい。進路を塞ぐしゃくなげに対し、この時季だけは寛容になるのだった。尾根頂部はやや密になり分け進むのが負担になり、ここで北側か南側に逃げるのだが、最初は南側に逃げてみた。南斜面にもシャクナゲはあるが、そこを獣が通過しているようで、道が在るかのような空間が尾根に沿うように続いていた。さして分けることもなく進めていた。
尾根南のままでいいのか、頂部がいいのか迷いながら登って行くと、1790m付近で尾根に乗って初めての露岩が現れる。尾根頂部は伝えなくなり、ここでも北巻きか南巻きの選択になるが、先ほど南を歩いたので、次は北側に出てみる。進んだ北側はシャクナゲは無いものの針葉樹の幼木が密生していたりし進み辛く、さらに急斜面でやや危険を伴った。南に戻ろうかとも考えたが、危険個所を抜ければ優しい場所が待っているだろうと予想し進む。状況は同じままだった。
2104高点峰に東側から突き上げる尾根にいるわけだが、1800m付近のちょうど等高線の一番密な場所で北に出ていたようだった。進んで行くと、北側の谷からマーキングが上がってきている場所があり、そこから主尾根のある南側を見上げると。オレンジ色の杭が続いていた。林班の境の尾根だろう。この尾根も地形図からは読めない尾根だった。主尾根に戻ったら、以降は北斜面を進むのは封印し尾根南斜面を進んで行く。
細かい地形のひだがあり、小尾根を越え、小谷を跨いで進む。この時、尾根頂部に乗らず割と長い時間南斜面を伝っていたので、2104高点を南から巻いて西側に居ると思い込んでいた。曇りで太陽も見えず方位感覚も定まっていなかった。実際は90度違い2104高点峰の南に居た。この状態で2104高点峰に突き上げて行く。ここも下草は無く歩き易い。上部はややザレているが、登って心地いい場所で、180度くらい展望を楽しめるピークであった。
2104高点峰到着。無名峰であるが、一応ここも2000m峰であり、山頂に小さく絶縁テープを残した。枯れ木に巻いたので短命だろう。先ほどの方角的思い込みがあるので、見える五郎山が2021高点峰だと思っていた。ここから見る感じが、尾根を登りだした時に見える様子に似ていたこともあり何も悩まなかった。そして南の2171高点峰が五郎山と勘違いし、ここからの進路を南に取る。わずかコンパスを出せばいいだけな所を何もしないからこのザマである。
2104高点を南に下り鞍部まで進むと、一帯は伐採木でいっぱいだった。跨ぎながら進む中で、迷犬は潜ったり飛び越えたりしているので、枝に引っかかりビリビリに服が破れてしまっていた。これらはたぶん、大山衹神社の御本尊が”行くな”と言っていたのかもしれない。進んで行く先がいっこうに狭まってこないのでルートミスに気付いた。2171高点側の2100mまで上がってきていた。振り返り、″あっちが五郎山だったのか”と気づくのだった。
2171高点側から北に戻って行き、2104高点峰の西側を通過し北西に出る。相変わらず下草は無く歩き易い。ここからは若干のシャクナゲの植生はあるが、概ね尾根の頂部を伝える。一部痩せた露岩の場所もあるが、ほんの3mくらいの距離だった。尾根上の木に、真新しい刃物痕が見られ、西からのルートに乗ったのかと周囲を見たが、道形は何処にも見えてこなかった。なにか南側に作道を始めたのかとそれを見ていた。直下となると、最初の岩峰のチムニー形状の場所にロープが垂れていた。ここは大型犬が登るのは無理。ここまで来て登れないのかとドキドキしながらロープの東側を巻いてみる。少し高度を稼げるが、そこから上へは犬には酷だった。岩峰を右に見ながら、その下を西に進むと、東の岩峰と本峰の間に登って行ける斜面がある。記憶からは20年前はここを登ったと思う。道形は薄いが、伝っている跡はある。上に這い上がり、最後の最後も微妙な岩の場所。迷犬は見上げ迷いつつも、意を決して瞬発力で飛び上がり、爪の音をカリカリとさせながら腹筋を使い這い上がって行った。
五郎山登頂。西からなら2時間ほどの山であるが、ルートミスもあり3時間オーバーでの到着だった。それがおかげの達成感は大きいわけだが、連れ上げられた迷犬はそんなことは一切感じていないと思う。岩壁の上のピークであるが、山頂が広いので怖い感じがしない。そんな中、迷犬が平気な顔で南に降りて行き慌てて制止させた。休憩しながら地形図を眺め下山路を探る。予定では2021高点峰も踏もうと思っていたが、その場所を望むと最高所は少し攀じらねばならないよう。犬が行けないのなら避けた方がいい。あとは2104高点からの北の谷筋か、2104高点と2171高点の間の東の谷が使えそうだが、北の谷は雰囲気として滝がありそう。登る分には工夫できるが、谷が狭いので下りで出遭ったらリスクが大きい。となると東の一択。本当は尾根伝いに降りるのが正攻法ではあるが、往路にシャクナゲを一杯見ているのでお腹いっぱい。尾根下りは考えたくなかった。
下山開始。東に戻りロープ場上の岩峰から再度2021高点峰を確認する。岩峰で展望は良さそうに見えるが、ザイルをもって上がりたいように見える。止めよう。岩峰から西に少し戻り往路の斜面で下に降りる。東に向かい2104高点峰は北斜面をズレて行く。2104高点から北に続く尾根に乗ると、かなり古い伐採痕が見られた。これらは大滝村など木曽の山中で見るような腰丈以上の場所で切られている切り株で、その高さから昔の作業と判る。切り口は既に青く苔むしている。それらが周囲にたくさん見えた。
鞍部まで降りようと思っていたが、東斜面が伝いやすそうに見え2030m付近から東に降りて行く。この斜面も地形図に描かれない小尾根が多く、地図からは広く見通しがよさそうに見えるが、現地はそうでもなかった。ただし上部は緩斜面で伝いやすい。下草もなく歩きにくさはない。この辺りでは、往路もこの谷を登ればよかったと思えるほどだった。しかし・・・。
1800m付近から下側は様子が変わる。一帯のダケカンバはすべて切り倒されたようで、まるで白骨化した骨がごろごろ転がっているかのようだった。夥しい量で、小谷にはそれらが集積していた。歩き易そうなところを選び跨いでゆく。ここも19号台風の影響か荒れた斜面で崩れた場所も多い。谷の北側を真東に斜行するような感じで降りていたが、起伏が大きくなり伝いづらくなった。1710mで沢の中に入り、石伝いに降りて行く。当然ここも荒れているが、両岸が流れで削れていない場所には、杣道が在ったような筋があり、それが顕著に見えだすのが1670m付近であった。道形を追うと往路に伝った尾根の上に出て、最後は取り付き点よりやや北側で遊歩道に戻った。
遊歩道に戻り神経を使う場所は無くなり、のんびりと林道幅を戻って行く。毛木平までに3人とすれ違っただけだった。
振り返る。バリエーションルートとしては、東側で遊ぶのは面白い。岩も想定してザイルを持つともっと心強いだろう。付近の2000m峰を踏破ってのも面白いだろう。100名山の人気ルートの近くではあるが、あまり人が入っている印象はなく自然が楽しめる。ただ、谷の方は伐採痕が多い。下り始めは、谷登りの方が楽と思えたが、下の方へ行ってからはその判断は変わった。尾根も谷もそう変わりない負荷だろう。犬が居なかったら、今回のような狙い方はしなかったが、五郎山は何通りもの狙い方が出来る山だろう。