朝日岳        2579m          鉄山         2531m         金峰山         2599m     
         
                                  
                                 
                                                                                                      
  2021.6.5(土)


  晴れ     単独     大弛峠より     行動時間:3H22M


@大弛峠4:44→(42M)→A朝日岳5:26〜28→(21M)→B鉄山5:49→(23M)→C金峰山6:12〜31→(48M)→D朝日岳帰り7:19→(47M)→E大弛峠8:06
                                              


 
@大弛峠へは川上村からアプローチした。FF車であがったが、四駆でないと安心して走れない。四駆でも車高が無いと厳しい。かなり悪路だった。 甘いシラビソの香りが心地いい登山道。 ここが2447高点? 早出の先行者
       
朝日岳東側のガラ場 A朝日岳登頂 A朝日岳から富士山 A朝日岳から金峰山側。
   
朝日岳西側のケルン 鉄山への旧道を伝う。 B鉄山登頂 鉄山への北西側入口(一般道に戻る)。絶縁テープが二本。道標は無し。
       
C金峰山登頂 C三等点 C五丈石前の同定盤 C五丈石にはこの日は登らず。
       
C五丈石前から富士山。 Cヤキソバパンと C金峰山山頂から戻って行く。 鉄山北西の、鉄山へのルート入口帰り。
     
鉄山の東側入口。ロープで塞がれている。 D朝日岳帰り 2447高点帰り E大弛峠に戻る。
       
E川上村側の路肩もたくさん並ぶ。 E駐車スペースの方は、到着した時に既に満車だった。




 金曜日は一日中雨だった。ぬかるんだ登山道が予想できる中で、あまりぐちゃぐちゃしていないだろう2000m峰のルートを過去の記憶から思い出す。北八ッの蓼科山などが理想だが、アクセスのいい百名山は混雑する。ここで大弛峠からの金峰山を考えた。金峰山小屋には同じラブラドールが居る事から、犬連れには寛容なエリアと勝手に解釈した。

 
 6月から、川上村側の川上牧丘林道が通れるようになった。しばらく不通が続いていたが、久しぶりに開通した印象である。大雨の連続でかなりいたんだ林道を修繕しての開通と思うが、どれほどになったか久しぶりに通ってみたくなった。以前、ジムニーとランクルでは通過しているが、今はそこまでの四駆は無い。路面状況に応じたトラクションコントロールが出来る前輪駆動車で出向いてみる。この日は、登る事がメインであるが、この川上村側からの林道も二番目の楽しみだった。

 
 1時45家を出る。晴れ予報の日であったが、小海町に入ると雨が降り出し、しばらくフロントガラスを濡らしていた。川上村の廻り目平まで入り、Y字分岐を左への林道へと進んで行く。林道には腕首ほどの枝がかなり落ちていた。緑の葉をつけた大木が倒れ道を塞いだようで、ごく最近の真新しい切り口のものも見られた。東股沢沿いを進んで行く中で、林道のすぐ脇でテン泊しているパーティーの姿もあった。こちらにも岩ヤの遊び場があるのか・・・はたまた釣り師か。

 
 魚留沢右岸の九十九折りから本気の運転に変る。ダートにしては楽な方であるが。落石や掘れた場所があるのでラインどりをしっかりしないと車にダメージを与えてしまう。オンロード寄りのタイヤを履いているので、アクセルを強く踏み過ぎるとスリップしてしまい、強い勾配に対しだまし合いな感じだった。1993高点まででけっこうに疲れた。2112高点辺りでは、引き返そうかと思うほどの路面で、土ではなく岩の上を進んで行くような場所が続く。角の立った岩にタイヤを切られないよう微細にハンドル調整する。2224高点北側の通過などはもう半泣き状態で、力を入れてハンドルを持っているせいで肩甲骨がかなり痛くなっていた。見える景色からはもうすぐ大弛峠であるが、悪路が長すぎて早く着かないかと待ち遠しかった。四駆でも軽トラでは車高が無いので通過は無理に思えた。路面の岩が跳ね上がって何度も床を叩いていた。急がば回れで舗装された甲州側でアプローチすればよかった。最短距離でアプローチしたと思っても2.5時間ほどかかってしまっていた。峠に着いた時には、運転の疲労で既にヘロヘロになっていた。

 
 20年ぶりに大弛峠。路上に描かれた駐車線は廃止され、甲州側に広く駐車スペースが作られていた。それに対し信州側は殺風景でダート。土木大国の山梨と感じさせられた。そのスペースは5時前にして満車だった。車線感覚がゆったりとってあるので、停められた人はいいが、停められない側としては勿体ない線の引き方に見えた。川上側に戻って停める。

 
 4:44大弛峠から西へと歩き出す。何がどう変わったか20年前の記憶が呼び起こせないが、登山道沿いに「新ルート」なる表示板も見られた。表示してあるのだから少しコースが変わったようだった。シラビソの甘い香りが心地いい。迷犬は、経路のダートで揺られ酔ってしまったかと思ったが、いつも通りに元気に進んでいた。夜明けからしばらく経過しているので、先行者が居るだろうと犬連れなりの気配りをする。ましてやここは百名山へのルート。小言を言われる覚悟も持っていた。

 
 登山道は一級路で歩き易く、雨の後だが泥濘地は無し。家族連れらしい5名のパーティーが先行しており、先に出させていただく。2447高点峰を越えると、ソロの方の背中があった。その先のケルンの場所で先に出させていただく。朝日岳東のガラ場通過は、周囲に遮るものは無く、この日最初の展望地だった。シンメトリーな富士山の姿も確認でき、その手前一面が雲海で、雨上がりらしい天気でもあった。

 
 朝日岳登頂。2年前に建てられた「こうふ名山」の立派な標柱が待っていた。展望ピークで、ここからの富士山の眺めもいい。西に出ると、鉄山とその右に金峰山が見える。降りて行くと、東進してくる方とすれ違った。もう金峰まで往復してきたのだろう。どれだけの入山者が先行しているのか、少し構えるのだった。

 
 鉄山の東側は、20年前にも見ている大きな標識が横になっていた。現在の道は北側山腹を通らせている。鉄山への道はグリーンのロープが塞いでいた。その塞いでいる側へと入って行く。入り口は塞がれているが、伝いやすい道で鉄山まで導いてくれる。直下で若干の樹木が覆う場所はあるが・・・。

 
 鉄山にも先ほど同様の甲府の標柱が立っていた。ならばこうふ名山を稼ごうと登る人が多いように思うが、それにしてはマイナーピークの雰囲気の場所だった。ここから北西側へと進むと、道形は薄くなり倒木が塞いでいる場所も多くなった。よく探さないと道形が見えてこないような場所もあり、甲府の標柱があるものの経路は管理されていないようであった。

 
 登山道に戻った場所には、新しい絶縁テープが2本巻かれていた。こちらには特に道標は無い。ここから先は、やや濡れた場所が出てくるが泥濘箇所は無く快適のまま進んで行けた。金峰山の東側の肩に乗り上げると、携帯の電波が繋がったようでメールを受信する。復路でも確認したが、2570m付近の場所が一番電波状況がいいようだった。岩の堆積する中を進んで行く。少し大型犬には伝い辛い場所も出てくるが、抱きかかえずとも何とか自力で進んでいた。

 
 金峰山登頂。6年ぶり4度目の登頂だった。もう賑わっているだろうと思った五丈石下には、一人のハイカーの姿しか確認できず。その方もすぐに東側へと進んで行き、広い雲上庭園に誰も居なくなった。ここまで来たからには五丈石を登ろうとも考えていたが、雨の後だし、犬連れだし、今回は止めておいた。雲海の向こうに富士が見える。北側に目を転じても雲海の上に孤島が浮かぶような見栄えのする景色だった。ここから見る小川山の大きさたるや。ずっしりとした山容が目の前にあった。ヤキソバパンを迷犬と分かち合ったら往路を戻って行く。復路は間違いなくたくさんの人と行き会うだろう。覚悟する。

 
 五丈石から山頂に登り返し、2570mの肩まで進むとここで、途中で追い抜いた単独の方が上がってきた。追うように5名のパーティーが来るはずであるが、ここからはそのパーティーとは異なるパーティーが続々とすれ違った。単独の人も多く、幸い犬を歓迎してくださる方が多く、たくさんの方に撫でていただきながらすれ違ってゆく。それに甘んじないよう、全てのすれ違いで「スワレ」または「フセ」のコマンドで待機させる。この時間帯からは、さすが百名山のルートと思わせる入山者数であった。

 
 帰路鉄山は北側を巻く。90リッターほどのザックを背負った8名ほどの若者パーティーが来たので、先頭の方に「ワンゲルですか」と尋ねたら、「ワンゲルって何ですか」とチンプンカンプンな表情で、パーティー内の女性が理解したようで、「違います」と返してくれた。最近の登山は、山岳会に入って学ぶのではなく、ユーチューブなど動画で学ぶ時代なんだそうだ。時代はどんどん動いている。

 
 5名の家族連れパーティーの姿がないまま朝日岳まで戻ってしまった。金峰を目指していたはずだが、なにかトラブル発生で戻ったとしか考えられない。相変わらずすれ違いは多く、うち8割くらいの方が迷犬に声をかけてくれ、撫でてもらえていた。前方から金縁のサングラスをかけ、頭を剃り上げている見るからにやばそうな人が来た。厳しい言葉をかけられるかと構えたが、御仁は「おうワンちゃん」と発し、見た目とのギャップにガクッとしたほどであった。

 
 大弛峠に戻る。駐車できない車が右往左往しており、川上側のダート林道沿いも左右で縦列駐車が続いていた。戻ったらのんびりと着替えようと思っていたところ、場所待ちの方から「出ますか」などと聞かれ、急いで着替えねばならなくなった。神経が図太ければ、「すぐには出ません」などと言えるのだが、小心者なので「10分ほどで出ます」などと返答してしまう。まあ逆の場合もあるから持ちつ持たれつ。

 車を牧丘側に向けると、トイレ横に見たことにあるパーティーが車に乗り込むところだった。あの5名の家族だった。クリスタルラインで増富温泉へ抜け信州峠を越えて家路に。

 
                                      
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