熊の清水四等点(未達)        1576.2m                                                                                                                                                                                                     
  2024.2.10(土)


  晴れ    単独     溶岩樹型前より       行動時間:3H23M


@浅間山溶岩樹型6:24→(10M)→A別荘地南端分岐6:34〜39→(14M)→B大堀沢入口測候所看板6:53→(29M)→Cノドで引き返す7:22〜24→(39M)→D1560m〜1570mで溶岩とシャクナゲと格闘8:03〜44→(63M)→E戻る9:47 
                                                                                                                                           


 
@「浅間山溶岩樹型」の駐車場には入れられず除雪余地から。 A別荘地南端の分岐。ここまで電柱が見られる。この先、突然溶岩樹型が口を開けているので注意が必要。 B溶岩の岩肌が見えだすと、その手前に電線が流されていた。 B気象庁軽井沢測候所の注意看板あり
       
1390m付近。掘れた地形を伝って行く。 1400m付近。掘れた地形は溶岩の流れた場所だろう二本並走する。 前週に続き、この日も噴煙に向かって進む。 1420m付近。谷幅が狭くなり先が見通せなくなる。
   
1445m付近。かなり峡谷な雰囲気に。 C1470m付近で狭いノドが現れた。アイゼンで登るような急斜面。スノーシューでは越えられず撤退。 C横の壁。火砕流の噴石が4〜5mほど堆積しているのが見える。 C僅か2.5m程だが越えられず。幅350mmくらい。かなり狭くなっている。
     
北進して戻って行く。 1440mの広みに戻る。広い場所にダケカンバが多く心地いい場所。写真左の斜面を這い上がり右岸を南進しだす。 D1540m付近の谷が東に曲がる場所。 D東に進みながら北斜面を見る。ゴロゴロと大きな溶岩が堆積しており簡単に登れない。1560m付近。
       
D行けそうな場所があり、突っ込んでみたが、岩穴が多く斜度が強くなり犬が行動できなかった。 D少し戻って主谷から東に這い上がってみたが、溶岩は相変わらずで、シャクナゲの薮となった。こちらも岩穴が多く危険で撤退。 D1570m付近。東に向かう谷筋には大岩がゴロゴロとしており進めなかった。完全撤退。 1540m付近。破線路の掘れた道形に乗る。
       
途中のマーキングでここが「大堀沢」と知る。 別荘地南端に戻る。西にログハウスが見える。 「つくつく村」のバス停 E右の建物が溶岩樹型の施設


前週に続き浅間山麓の三角点探訪に出かける。温暖化の影響だろう2月にしては融雪の進んだ山麓が、月曜日の降雪により再び雪山に戻った。狙うは「熊の清水」で、地形図からは溶岩流の中に埋設してあるのが見える。ごつごつした起伏の多い場所であり、雪がある方が楽に行けるだろうと考えた。その南側上部にある「浅間岳」点も抱き合わせにしたいが、噴火レベル2の現在では火口円ルールに抵触してしまう。


 攻め方はもう迷うことなく一択。北の別荘地内からスタートすることにした。気になるのは降雪後の除雪直後であり、駐車スペースが不明な事。「浅間山溶岩樹型」の余地が公的な場所で唯一。停められなければ撤退とした。地形図には破線路が見え、それを使わない手はない。今でも存在するか不明だが、在った場所は伝い易い地形だろうと予想できる。


 4時15分に家を出る。軽井沢でマイナス8で、万山望を上がり北軽井沢に下るとマイナス11となった。溶岩樹型の案内看板に導かれ進んでゆく。予想通りの除雪後の状態で、通路を優先に作業しているので民家に前でさえ高さ500mm程の壁になっている。もちろん住まいしているお宅は雪を退かしてあるが、別荘利用のお宅は見て判る状態であった。そして溶岩樹型の場所も御多分に漏れずその状態であった。ダメかと思い少し南に進むと、除雪した雪を押し込んでいるスペースがあり1台分の余地が出来ていた。雪が無ければ道路の場所である。除雪しないであろうと停めさせてもらう。そんな通路がいくつかあり、住居のアプローチ道ではないから除雪不要なのだろうと思えた。


 6時24分。スノーシューを手に持って南進出発。除雪はすぐに切れ、その先はここの管理の人だろうか、ツボ足のトレースが続いていた。進む先で道は右に折れる。ここに電柱が一つ立ち西に送電していた。地形図からはまだ南も別荘地の絵になっているが、現在はこの電柱の場所が実質的な南端のようだった。ここでスノーシューを履く。いつ以来だろう。そもそも登山靴を履いたのも久しぶりである。


 狭い道幅を進んでゆく。いつもなら斥候役の迷犬であるが、ツボ足が辛いのか後ろをついてきていた。省力する術を知っており頭がいいのかもしれない。樹林帯に入り適当に歩いてゆくと、深い溶岩樹型がありヒヤッとする。自分もそうだが、犬が落ちれば容易に上がることはできない。この白い地形の中にそれらが潜んでいるかと思うとゾッとした。どれほどあるのか判らぬが、判らないことに対するリスクが大きい。でもそのワクワク感が楽しかったりする。ストックを最長に延ばし、先を突くようにしながら進んでゆく。


 向かう先に溶岩流の末端部があり、ごつごつとし鎧のような壁になっていた。なぜかそこに電柱が並び送電しているのが見えた。ここも別荘地なのかと最初に思ったのだが、白い注意看板があり、それは気象庁が設置した観測設備と判る。溶岩のそれを左に置くように、沿うように南進してゆく。地形図の破線の場所はここでは良く判らず、谷の中に出来た掘れた場所を進んでゆく。これが道形なのかと思ったら、二本三本と並んでいるので、これも黒豆ヶ原で見たような溶岩の流れた跡なんだろうと思った。進んでゆくと谷の幅が広がり、そこにたくさんのダケカンバの植生が見られた。岐阜の白水湖の上流のような印象を抱いたのだが、そこを経ての現地上流は、魚沼は花降岳北の大磧沢の中のように狭い先の見えない谷となった。ここでクマに出合えば逃げ場はない。熊の清水に向かっているわけで、地名になるくらいのクマの居る場所なのだろう。


 谷はどんどん狭くなり両岸が高くなる。そして進む先に滝のようなノドが現れた。高低差2.5mほど。ピッケルがあればアイゼンがあればと言う場所だが、利器はスノーシューとストックしかない。少し藻掻いてみたが無理。かなり藻掻き上がったとしても迷犬は無理であった。両岸は火砕流の堆積で、美的な印象を抱いた。敗退か・・・と戻って行く。ただしまだ時間は早い。諦めるのには早い。そもそも破線路は左岸にある。谷の中に道が無い訳が良く判った。ダケカンバの生える広みまで戻り左岸へと這い上がって行く。


 左岸は灌木の中にササの植生があり、柔らかい雪面であった。時折枝谷があり、そのアップダウンを避けるように西進して巻いてゆく。主谷の右岸側は大きな溶岩が並び伝うのが困難に見える。途中で左岸に道形が現れた。おそらくは破線路から分岐してきている道だろう。まっすぐに谷と並走し、標高1540m地点に導いてくれた。ここは谷が東に曲がる場所で、ここも広く平坦で居心地がいい。さてそろそろ最後の詰めで三角点探しに入らねばならない。しかし向かいたい北東側は大きな溶岩が連なり、さらにシャクナゲが蔓延っていた。東進しながら行けそうな場所が無いか探すのだが、簡単場場所は無かった。


 一番優しそうな溶岩の間を北に入って行く。10mほど進めたが、その先が急峻になり、その上はシャクナゲが壁のように待っていた。なんとか上がってみたが、後方で迷犬が困った顔でこちらを見上げていた。犬には上がることが出来ない斜度だった。すぐ西の似たような場所に突っ込んでみたが結果は同じだった。一度主谷の屈曲点まで戻り少し北に進んで、今度は東進する形で進んでみる。大きな溶岩、岩溝、岩穴、シャクナゲ、状況は変わらなかった。人間は何とか行けても犬には危険すぎる。撤退を決めるも、もう一度東進した先を調査に行く。東進してゆく谷の先には、高さ3mほどの大岩がゴロゴロしており、それらを縫うように進まねばならなかった。無理。積雪でここも足場が見えない。計4箇所でダメだったので、もう諦めがついた。


 下山してゆく。復路は破線路を探してみようと左岸側を西側に振ってみる。掘れた筋が確かに存在していた。ただし新雪なので、トレースを求めて東に寄って行く。降りながらの右岸を見やる。鉄壁な守りの城址のようで、どこも隙が無い。麓側から溶岩の上をとも思ったが、おそらくは鬼押し出しに見る岩肌で伝えたもんじゃないだろう。楽に到達できない熊の清水点が、俄然魅惑な場所に思えてきた。


 測候所の看板の場所まで戻ると、縛られたリボンに文字があるのが見えた。そこには「大堀沢」とあった。今伝った沢の名前がここで判った。溶岩樹型に注意しながら戻って行く。別荘地内は、マイカーが見えるお宅もあるが閑散としていた。出窓に二匹の猫が見えるお宅もあり、雪に閉ざされた中で静かに過ごしているようだった。駐車余地に戻る。


 家に戻り、未達となった結果に対しもう一度地形図を見ながら確かめる。他に狙い方があったのかと・・・。そこでふと「点の記」のことを思い出した。国土地理院のサイトに入り閲覧しようとしたが、熊の清水は成果異常で点の記は無かった。ただ具にデータを見ると新たな情報が得られた。国土地理院の地形図調査員が、2006年の9月30日に点を確認していると書かれていた。やはり無積雪期か・・・と判ったのと、併せて南にある浅間岳点を見ると、同じ2006年9月30日となっており、同日2点を確認していた。やはりアプローチは間違っておらず、藪山に挑む場合の定理や法則、方程式に則っていたと考えていい。ただし答えを出せなかった気力能力不足。雪が消えた頃再び狙ってみよう。犬は同行しない方がいいかもしれない。





                                                          
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