黒湯山(熊四郎山)        2007.2m      

                    
                                  
                                 
                                                                                                      
    2024.4.13(土)


  晴れ     単独      牛池駐車場より       行動時間:2H5M


@牛池駐車場4:54→(20M)→A万座峠5:14→(16M)→B1838高点5:30〜35→(23M)→C黒湯山(熊四郎山)5:58〜6:05→(15M)→D1838高点帰り6:20〜22→(37M)→E戻る6:59  
                                                                                                                                           


 
@牛池駐車場から @2024年は、4月24日より林道開通。 万座山側への林道に小型ブル
林道上の除雪車
       
A万座峠 A万座峠より笠ヶ岳 左の高みが黒湯山 B1838高点北。高いところで1300mmほどの積雪。低い場所を選んで犬を持ち上げる。
   
雪に乗り嬉しくて駆け回っている。 久しぶりのアイゼン。緩斜面なので四本爪のチョイス。 1855m付近 1880m付近
     
1885m付近 1960m手前峰 手前峰から黒湯山 手前鞍部
       
1960m付近 直下 C黒湯山登頂 CG標健在。21年前に裏に書いたいたずら書きは消えていた。
       
C西から C焼きそばパンと C石突に円錐の板金を取り付けた、航空測量の杭が縛られている。 C北西に後立山
       
C北に笠ヶ岳 C東に万座山 C西に御飯岳と老ノ倉山 C下山開始。遊びながら降りてゆく。
       
時折見える笹は、太く背が高い。 以前はここを漕いで通過したのだが・・・。 D1838高点帰り 林道はアイスバーンの場所が多く、かなり神経を使う。
       
Eゲート帰り E牛池駐車場 E2024年4月13日、牛池は雪の下。


 黒湯山を数年前から狙っている。2003年の5月に一度踏んでいるので、強靭なササの存在は体が覚えている。犬を踏ませようとの魂胆であり、藪漕ぎでは酷なので残雪期に雪を利用してと思っていた。2021年に最初に狙ったが、そもそもの雪が少ない年で況してや雪解けも早く、既にだいぶササが出ていた。諦め夏道のある老ノ倉山に転進。その帰りにも西から狙ったが、やはり太い密な笹に阻まれた。人間だけなら突っ込むが犬には酷であった。2022年も計画したが、この年も雪が少なかった。2023年にも計画したが・・・。

 

 何か狙い方が間違っていることに気づく。牛池のトイレ舎の西側にゲートが在り、そこより先は冬季封鎖になっている。林道の雪が溶けた頃合いでこれまで出向いていたが、林道歩きを省力しようとすると、山腹の残雪も溶けた頃合いになってしまう。ゴールデンウイーク頃がこれまでの適期と思っていたが、近年の春の高温からは、ひと月ほど前倒しして狙った方がいいと思えた。当然雪の乗った林道歩きを覚悟する。日当たりのいい南面に林道が在る。腐っていたら、前半の行動がかなり辛くなるが、黒湯山斜面に雪が確約できるのは今。ライブカメラに万座温泉の交差点が見られる。雪が十分あり、プリンスの牛池レポートも池は雪の覆われているとあった。

 

 国土地理院の閲覧サービスを覗くと、黒湯山の点は、「熊四郎山」と言う愛らしい点名になっている。万座の湯は白い湯で、なんで黒湯なのか不思議なのだが、酸化する前の源泉は黒っぽいのかもしれない。黒湯山ではなく、熊四郎山と地形図に書かれていたら、もう少し登られる山となっていたかもしれない。熊五郎だったら、大人気の山となっただろう。

 

 2時に家を出る。二度上峠経由でもいいが、深夜帯は万座ハイウェーの料金所が無人なので通行料は取られない。走りやすい道であり選ばない手はない。軽井沢経由で三原に降り、セブンで食材を仕入れてから万座温泉へと上がって行く。路面は凍っている場所もなく、夏タイヤでも良かったような状態だった。外気温は面白く、軽井沢の街中より峰の茶屋の方が高かった。そして万座温泉で3であった。硫黄の香りを嗅ぎながら牛池の駐車場に到着。しばし夜明けを待つ。

 

 4:54出発。今年の林道開通は4月24日と書いてある。2021年度は5月14日であり大きく違う。そしてその横に除雪作業中の看板が出ていた。自然融雪と思っていたが、除雪するようになったのか・・・たしか以前はそれらしい雪の様子ではなく自然に融けた様子が見られたので、除雪するのは最近の事なのだろう。もしかしたら雪が多い年で融雪が遅くなるので、その対応かもしれない。スノーシューを持ち覚悟してきたが、しばらく雪の無い舗装林道を歩かせてもらう。

 

 どこかで除雪終点が出てくるはずと、その場所を覚悟しつつ足を進めて行く。除雪されているのはいいが、融雪での水の流れが路面を覆い。凍っている場所が何度も現れる。前を行く迷犬は四駆でも凍った路面に難儀していた。途中の万座山側へ上がる林道入口には、小型の除雪用のブルドーザーが置かれていた。もうスキー場は終わったはずだが、まだ管理に連絡道が必要なのだろう。その先2分の場所に除雪車が置かれていた。これにより、そろそろ除雪終点かと構えたが、雪の壁は左右に続くのみで正面には現れなかった。壁の高さは1.5mほどになっておりプチ雪の回廊となっていた。

 

 ゲートから20分ほどで万座峠に到着。正面に見える笠ヶ岳が凛々しい。どこまで除雪されているのだろうか、雪が乗っていたらここまででも倍の時間を要しただろう。信州側からの吹き上げの風を受けながら西進してゆく。次の峠地形の場所が黒湯山の取付き点。1900m峰を巻いてゆくのだが、この1900m峰南面の岩肌が荒々しく見栄えがする。西進から北進に変わり、除雪終点に出会わないまま1838高点の場所に到着した。凍った路面にそれなりに苦慮したが、除雪の有無は大きく、予想と予定に反して楽をさせてもらった。

 

 1838高点の場所から雪の上に這い上がるのだが、ここでも高いところは1.5mほどあり、低い場所でも1.2mほどで迷犬の前足をかけさせ、後ろ足を持上げるようにして雪の上にあげてやる。もう少し早かったら、この壁がそれこそ進行の壁になり、取付けずに敗退したであろう。現地に到着してみないと判らない事だが、タイミングは良かった。雪の上に這い上がり四本爪を履く。ほとんど沈み込みは無く、硬くクラストした雪面で、スノーシューよりアイゼンであった。固い雪なので迷犬の爪が効かないかと気にしたが、難なく前を這い上がって行く。

 

 尾根筋は崖地形の上、吹き上げの風で雪が飛ばされたのだろう少し地面が出ている場所があり、21年前に分け進んだ場所が見え懐かしい。最近の入山者は居ないようで、それらしいトレースは無い。何があるか登頂するまで判らないが、この雪の状態であれば経路に問題はないだろうと思えた。相変わらずの硬い雪にアイゼンの刃を立てて進んでゆく。勾配の強いところでは迷犬が躊躇していたが、トラバースを入れより緩斜面を選んであげる。

 

 手前峰に立ち、目の前が黒湯山。最近はほぼスキー板を履くことは無いが、スキーで登っても良かったほどのたっぷりの雪に久しぶりに滑りたくもなる。直下になり、本来は懐かしさが感じられるのだが、無積雪期と積雪期での表情が大きく違い、二度目の感じが全くしない。山は四季を通じて登るとよく分かると言うが、木々や花を含め風景が変わるということだろう。ここでは雪により景色を変えていた。

 

 熊四郎山登頂。懐かしいG標は健在であった。もう一枚、明大もしくは群大の青い標識が以前は在ったが、今はそれは見えない。G標の裏には、QZW氏のいたずら書きが読めた。もう一つ、前橋ハイキングクラブの標識が在る。この標識が括られた木には、ピッケルの柄のようなものが見え、よく見るとそれは航空測量用の支柱であった。石突部が鈑金で覆われていたのでピッケルのように見えたのだった。ピッケルがあるのかと、錫杖岳をすぐに思い出したりした。4年かかったが、やっと連れてこれた。ここを踏んでいる犬は珍しく、おそらく多分、ラブラドールとしては初登頂であろう。彼はここで、2000m峰136座目となった。ヤキソバパンで朝食としたら、往路を戻って行く。

 

 帰りは緩斜面の場所で遊びながら戻って行く。教えたわけではないが、雪面を腹で滑って楽しんでいる。人間同様に、雪で楽しむ術を知っているのだった。アイゼンの雪団子をストックで叩きながら降りて行く。ここも日中の陽射しでみるみる溶けるだろう。雪面が固くクラストしているのがそれが為だろう。1838高点に戻りアイゼンを外す。舗装林道に降り立ち振り返る。”毎年雪遊びに来るのにいいかもしれない”と思えた。

 

 林道を戻りながら、万座山も登ってしまおうかとも考えた。こんなに早くに踏んで来れるとは思っておらず、往復は雪によりかなり時間を使うと思っていた。点の記を読むと、9月で1838高点辺りから75分とある。2007年に一度道を拓いたようだが、再び薮化してしまったのだろう。今日は牛池からスタートして黒湯山を踏んで降りて、まだ70分ほどであった。条件がよく運がいい。小型ブルドーザーの場所から、少し上がってみたが、キャタピラーの跡であってもアイゼンが必要なほどにクラスとしていた。また次回遊びに来ようと、戻ることにした。この判断が、このあとで懐に優しいことになった。

 

 雪の回廊を楽しみながら、凍った路面に抜き足差し足で進んでゆく。除雪した後ではあるが、スタッドレスを履いていたとしても車両はまだは入れないように感じられた。ゲートまで戻ると、宿の車が置かれていた。ここは以前「こまくさ園」が在った場所と記憶する。出発時には無かったので、暖かくなってきたのでオープンの準備に入ったのだろう。着替えてから、牛池を見に降りたが、直径3mほどの円に水が見えるだけであった。

 

 草津の方へは冬季封鎖で抜けられないので、ハイウェーで戻るしかない。1070円の徴収を覚悟しながら降りて行くと、徴収ブースにおばちゃんが居り、停車するとブースの扉を開け、「まだ時間前だから通って」と無料で通してくれた。7時29分だった。おそらく万座温泉で働く通勤者も居るので、通勤時間を過ぎての徴収なのだろう。三原からは下道で帰るつもりでいたので、有料道路を使いながらも無料で済んだ。遊ばせてもらったので、現地にお金を落とすのが本当なのだろうけど・・・。






     
                                                          戻る