赤仁田山(町山三等点)        879.3m                                                                                                                                                                                                       
  2024.3.2(土)


  曇り     単独      林道湯ノ沢小仁田線より       行動時間:2H1M


@湯ノ沢小仁田線湯ノ沢入口6:18→(3M)→A枝林道分岐6:21→(31M)→B社6:52〜53→(26M)→C赤仁田山(町山三等点峰)7:19〜28→(42M)→Dやまだ滝入口8:10→(9M)→E戻る8:19   
                                                                                                                                           


 
@林道入口に広い余地あり @林道湯ノ沢小仁田線の湯ノ沢入口。 A535m付近にある斜上する枝林道に入る。 565m付近。路面はコンクリート舗装されているが、落石や倒木が多く、長らく車両は通過していない様子。
       
620m付近。道の状態はよくなる。植林帯は良く管理されている。 630mの林道が東尾根を乗越す場所。尾根に取り付いてもいい。西に向かう枝林道があったので伝ってみる。 640m付近で林道終点 林道終点地から見る北側。下草が無く綺麗な杉の植林地。
   
700m付近に畑のような場所が現れる。 700m付近に北からの道形が上がってきていた。 林班のマーキング 710m付近で、尾根北側に林道幅が見られる。
     
B大きな社が現れた。社は南向き。文化十一年の灯篭があり、少なくとも210年経過している。 B社のいたずら書き。平成初期までの日付が見られる。 760mピーク 770m付近。ここにも北からの道形が上がってきていた。
       
790m。西上州らしい伝い易い尾根。 830m付近。ここに雪が付いていなくてよかった。急斜面。 850m付近。北尾根に乗り上げる。 860mの肩。
       
直下 C町山三角点峰 C中央に標識と、右に三角点。標識は南を向いているので、設置者は御荷鉾スーパー林道側からアプローチしたよう。 C至極達筆。前年度の12月4日設置の真新しいもの。
       
C三角点は三等配の石で守られている特異形。 C状態の良い三等点 Cヤキソバパンと C上野村(南)側
       
帰路は810mからの南尾根を使う。790m付近。 765m付近。ザレた細尾根。勾配も強い。 745m付近。岩混じりになり危険度が増す。 735m付近の高み。
       
尾根の最後を南に下れず、西に下って谷に入る。 沢を降りてゆくと堰堤に。 この時季にして湯ノ沢で水浴びをしていた。 Dやまだ滝入口 
       
E林道入口に戻る。       


町山三角点の「点の記」は次の通り『磐戸村大字桧沢ノ中央橋(栄?)手前ノ沢ヨリ登リ約三丁ニシテ本点ニ達ス』。


 明治37年の記録であり、古い仕様なので絵図は無い。当時とでは地理地形が変わっているとは思うが、キーワードの「中央橋」が何処か不明なのと、その後に書かれている文字が判読できない。「栄」なのか「東」なのか、そして大きなポイントとして沢登りで「3丁」の距離。360度どの方角を見ても約330mで三角点に到達できる基点が見いだせないのだった。


 いや待てよ、「沢」は流れのある沢ではなく、地名の「沢」も存在し436高点の東にその地区がある。昔の道は右岸側に進むのが本道だろうはず。現在の桧沢橋を中央橋として、桧沢分校前よりの林道を伝うとも解釈出来る。この場合は、「三丁」は誤記で「三十丁」が正解になるのだろう。現地は書いた者しか判らず、チェックのしようがなく「十」が抜け落ちてしまっているとも考えられた。点を導く短い文に対し、推理推察が楽しくなってきた。ちなみに「町山」とは山名ではなく東麓の緩斜面にフラれた地名のようだが、桧沢の麓から見上げる山自体を町山と呼んでいたとも言え、その最高峰が三角点の場所であり、山名でも通用する。


 とここまで考察していながら、既に2019年5月に登頂している場所である。山と高原地図に「赤仁田山」と記載してあり狙ったのだが、当日は南の御荷鉾スーパー林道からの下って登る形でのアプローチ。かなりチョンボ登山だったので、もう一度まじめに下から登ってみようと思った。この日は9時くらいから降雪予報の日であり、降り出す前に行ってくるには適当な場所でもあった。


 東尾根の末端道向かいにトラオさんのパン工房がある。その尾根末端南側に尾根に取り付く道が上がっている。さらに湯ノ沢沿いの旧道を登ると、林道が分岐している。萱地区からの林道を入るのが順当と思ったが、そう広くない村落内での駐車を思うと、ホームに対するビジターであり、住宅の無い湯ノ沢沿いを起点にする方が気持ちが楽なのだった。


 南牧村の磐戸橋を渡ったら、上野村側へと左折してゆく。パン工房は作業中のようで薪の煙が上がっていた。マイカーも2台並び、ここに停めるのは憚るので上にあがって行く。そして林道分岐点となる。林道名が書かれており、「林道湯ノ沢小仁田線」と知る。西に大仁田地区があるが小仁田の場所は判らない。おそらくは萱地区のことなのだろうと想像できる。ここから繋がっているのは、萱地区よりの道一択であった。駐車スペースは十分で、ゆったりと停めることが出来た。


 6:18行動開始。進んで行けば自ずと東尾根に出合うだろうと思っていた中、3分ほど進んだ530m付近から、北東に斜上してゆく枝道が見え、その道には白いガードレールもされていた。迷わず枝林道に入って行く。車の轍などは一切なく、倒木や落石の多い林道であった。たまに見える路面にはコンクリート舗装がされており、出来た当初はかなり状態のいい林道だったよう。途中には大きな倒木もあり潜るように進み、山手側から押し出しが大量にある場所も見られた。

 九十九を切りながら進み高度を上げると、かなり道の状態は良くなる。そして東尾根に出合う。道形はそのまま北に向かっており、ここで道を離れ尾根に取り付こうと思っていたが、もう一本尾根の南斜面に西に向かう枝道が存在した。向かう方向と合致しているので、その道を進んでみる。しかししかし、630m付近で小谷を前にして終点となっていた。車で入った場合のUターン場所もない。ここから尾根に向けて北に這い上がる。ここまでに気づくのは、一帯の杉林の管理が素晴らしい事。枝打ちもされており下草もない。


 東尾根に乗り上げた場所は、ちょうど北からの林道幅が上がってきた場所だった。先ほどの道を乗越から北に進んでいれば、この道の分岐に出合ったよう。西に尾根上を進んでゆくと、平坦な地形が広がり、イガが沢山落ちている様子から栗畑のように見えた。ここにも北から道が上がってきていた。平坦地から再び尾根に乗る。僅かに西進すると、尾根の北斜面に並走するような林道幅が存在していた。それはいいとして、向かう先の尾根上に大きな構造物があるのが見えてきた。こんな場所に何だろう”林業用の作業小屋かと最初思った。


 標高715m付近に存在したのは大きな社だった。しっかりした石段も擁し、灯篭の刻みを読むと文化十一年とあった。最低でも210年経過し、灯篭は後での設置も多いので、それ以上の昔からの場所であった。不思議なのは南を向いている事。明るい方を向いているって事だろうけど、通常は崇める集落の方を向いていることが多い。湯ノ沢沿いに集落があったのだろうか。これが町山地区の鎮守様なのだろうか。奇麗に植林管理されていることからは、山の神なのかとも思った。脇の舞台側にはいたずら書きがみられる。平成初期まで読めたが、それ以降は書かれていない。そのころまで学童が登って来ていたようだった。子供の字に見えるが、もしかしたら大人の字かもしれない。参拝してから西に進んでゆく。


 760mの肩が顕著な高みになっており、そこを越えて進むと770m付近にも北からの道形が来ていた。しばらく落葉を踏みしめながら来ていたが、790m付近から下草の無い落葉もない尾根筋となる。西風や北風が通る場所なのだろう。820mからの斜面は急登で、ここに雪が乗っていなくて良かったと思えた。あれば凍っていても難儀だし、緩くても難儀しただろう場所に見えた。直登が辛いので、北西に斜上するように進み711高点に繋がる北尾根に乗る。
南進し860mの肩に乗ったら西進してゆく。細長い山頂部で地形図からは同じ等高線範囲だが、進んでゆくと最後の登りが待っている。北からの植林帯が尾根に達しており、その先に広葉樹林のみの町山山頂が待っていた。


 町山(赤仁田山)登頂。真新しい板が南を向いて結ばれており、北(裏)側に「タカサキYK 20231204」とあり、ごく最近の設置したものであった。表側の文字が至極達筆で、素材の白木が柔らかい印象で結んでいる紐の選定もいい。とてもいい標識であった。南向きなので、設置者はスーパー林道側よりアプローチしただろう事が想像できた。そして相変わらず奇麗な無傷の三等点で、保護石が正確な三等配なのがいい。西を見ると、もうすぐそばまで雪雲が迫ってきているようだった。迷犬とヤキソバパンを分ちあったら下山に入る。


 東に戻り、820mの肩から迷犬が南東尾根に吊り込まれた。と言う私も気づかずに往路と思っていたが、植生が異なり細尾根になったところで気付いた。気にせず迷犬は降りて行くので、下の方で等高線が密になるが短距離なので何とかなるだろうと修正せずに降りて行く。785m付近には道形のような筋が見えた。おそらくは獣道だろう。770m付近からはザレた地面となりグリップし辛いので周囲の立ち木を掴みながら進んでいた。そして750m付近からは岩尾根となり緊張感が増す。そう言いながらも楽しい尾根でワクワクしていた。


 735mの肩に岩峰があり、この先やばいかと覗き込むと意外やまだ降りられる。しかし690mからは南に降りられず西寄りに居たので西に下る。ここを東に下っていたら楽だったかもしれない。尾根からの西斜面は急峻で、かつ足場が流れやすい場所であった。ここも灌木を掴みながら降りて行く。迷犬はさすがの四駆で足を滑らせながらも巧みに下って行った。

 谷の中に降り立ち南に下って行く。白山の百万貫岩のような大岩が二つ谷の中に見られた。下って行くと堰堤が見え左岸から降りて行くと湯ノ沢と出合った。トンネル内からの水だろう、導水管下が水溜まりになっており、迷犬は躊躇うことなく入って行きお腹を沈めていた。クールダウンが終わったら、北東に進むと「やまだ滝」の道標のある分岐に出る。車道を降りて林道入口に戻る。この旧道は上野村とのアクセス道であり、新道が出来てからも距離が短いために利用車が多く通行量も多い。


 振り返る。北からの道を多く見たことから、やはり萱地区から入るのが無難であろう。あるいは堂所または大日向よりの道を入り、北尾根を使う方が判り易くスマートかもしれない。東尾根は、奇麗な一本尾根ではないので屈曲する場所ではやや注意が必要。最後に玄人バリエーションハイカーには、湯の沢トンネル出入り口に向かう南東尾根がおすすめ。下り利用だとザイルは持った方が無難であろう。「三丁」の謎が解けないままだが、国土地理院は校正せずそのまま掲載しているって事は、まだこちらの解釈・検討が未熟なのかもしれない。

 この日は、予報通りに9時頃から強い降雪となった。
 




   

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