山犬段 1404m 鋸山 1668m 房小山 1868.2m
バラ谷頭 2010m 蕎麦粒山 1627.1m
2010.11.20(土)
晴れ 単独 蕎麦粒山南尾根登山口より 行動時間:11H44M
@南尾根登山口4:45→(17M)→A工事封鎖箇所(水場)5:02→(28M)→B山犬段5:30〜35→(32M)→C五樽への登山口6:07→(31M)→D千石沢登山口6:38→(36M)→E尾根下降点分岐7:14→(17M)→F千石平7:31→(11M)→G鋸山7:42〜45→(84M)→H房小山9:09〜11→(66M)→Iバラ谷頭10:17〜 39→(61M)→J房小山帰り11:40→(76M)→K鋸山帰り12:56→(15M)→L千石平帰り13:11〜13→(10M)→M千石沢下降点13:23→(11M)→N千石沢登山口(南赤石林道)13:44→(69M)→O山犬段帰り14:53〜15:04→(25M)→P蕎麦粒山15:29〜33→(56M)→Q南尾根登山口16:29
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| 国道362号から、山犬段13Kmの道標に従い林道に。 | @蕎麦粒山南尾根登山口。ここからスタート。 | Aこの日の林道封鎖地点の水場。 | A残念ながら車で進めず。 |
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| B山犬段。 | B山犬段休憩舎。 | 林道南赤石線のゲート | ゲートの先の分岐に「蕎麦粒林道」と書かれた標柱が。 |
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| 最初の小屋。見ての通り。 | C五樽のコルへの登山口。高塚山へはここからが近いよう。 | 山からの押出しで林道が埋まってしまっている。 | 二つ目の小屋。こちらも利用するには・・・。 |
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| D千石沢登山口。 | 千石沢途中。右岸から入り、すぐに左岸に。 | 千石沢上部の枝沢分岐。左側に赤ペンキで千石平と導いていた。 | E尾根に乗った場所。千石沢への下降点。 |
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| E下降点から見る千石平側。道はしっかりしている。 | F千石平。ブロック小屋(トイレ)有り。 | F千石平から西側。 | ヌタ場には鹿の踏み痕多し。 |
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| G鋸山。雑木により展望は・・・。 | 鋸山から北西側の最初が、踏み痕薄い。 | そして崩落地の脇を行くのだが、かなり気持ちがいい場所。 | 笹原の中を展望を楽しみながら進む。 |
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| この標識も続いている。 | 1725高点の僅か先。 | 1790m付近の幕営適地。 | 房小山手前には池も見下ろせる。 |
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| 1830m付近。 | H房小山山頂。 | H笹の中に三等点。 | H房小山から東側。 |
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| H房小山からバラ谷頭側。 | 房小山のすぐ北側の尾根の様子。道形が続く。 | 房小山北側1830m付近。 | 1860m付近の広い地形。 |
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| 尾根上は道形が笹に覆われるが、このように続く。 | 1958高点北から山頂 | 2000m地点直下。 | 本邦最南2000mの地 |
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| Iバラ谷頭到着。 | I富士も流麗な姿。 | I山頂から中尾根ノ頭側。 | I前黒法師山側へのルートを示す古い道標。 |
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| Iバラ谷頭から2000m地点側。どう見ても向こうの方が高い。 | 2000m地点から笹原を下って行く。 | J房小山帰り | 幕営適地帰り。 |
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| 鹿道なのか、トラバースしている道形も。 | この倒木は上を跨いで通過が正解。 | K鋸山帰り | L千石平帰り |
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| L千石平のブロック小屋、ブルーシートの中はトイレ。 | M下降点分岐。 | 千石沢の流れ。上部の渡渉ポイント。 | N千石沢登山口に降り立つ。 |
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| よう壁工事現場。 | 下側の様子。 | 山犬段側のゲートに戻る。工事中のため日中は解放。 | O山犬段帰り。 |
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| O山犬段休憩舎の内部。左側では既に宴会が・・・。 | O山犬段から蕎麦粒山へ登りだす。 | 登路の様子。 | P蕎麦粒山到着。 |
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| P黒くなぞられた三等点。 | P蕎麦粒山山頂標識。 | P展望図 | 南尾根の最初は、ターガーロープで崖側がブロックされている。 |
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| アップダウンの連続。こんな場所を降りたり・・・。 | 林道への最後の下降点分岐。ここで方向を変えて、尾根から斜面に下る。 | もうすぐ林道。九十九折途中。 | Q南尾根登山口に降り立つ。 |
今回はバラ谷頭(表記は山名事典に準拠)を目指す。ルートは二通り見出せる。黒法師岳側から南下するのと、房小山側から北上する2種。しかし前者は、黒法師岳までは歩いており、面白みが無い。迷う事無く房小山側から目指す事にした。その房小山までは、公式なルートがあるようであり、非公式な破線ルートとしてその先、バラ谷頭まで繋がっている。歩かれている人も数多く、不安要素は皆無。経路も山犬段まで車が入るようであり、アプローチに関しても優しい場所に思えた。北アが真っ白になったこの頃、まだまだ雪を気にせず高みを歩けるのがこのエリア。存分に楽しませて貰う事とする。
21:25家を出て、関越道から圏央道に抜け八王子から中央道に入って行く。そして大月ジャンクションを東富士五湖道路に入り、須走りまで。さらに御殿場まで地走りして東名に乗る。清水で降りてR1号線経由でR362号に入って行く。このR362号は、広い場所と狭い場所が混在し、いいような悪いような。中盤以降は山道の連続で、クネクネとハンドルを切らねばならない。これだとR473を経由して行った方が良かったような気も・・・。それでも初めての場所であり、何事も体験。全ては次回に繋がる。そしてこの記録が生きる。やっとの事でR362号が大井川に沿うようになると、格段に道が広く良くなる。やはり川根町経由で入った方が賢明だったよう。「道の駅フォーレなかかわね」を左に見て、3キロほど進むと右側に出光のスタンドがあり、ここに山犬段13Kmの茶色い道標が現れる。山道の13キロはかなり長い。心して入って行く。
茶畑の中を縫うように行くと、民家もちらほらとある。賑やかさがあるのは三ッ星天文台の分岐までで、その先は完全なる山道となる。もう少しで到着。この時間帯なら少し長めに仮眠が出来ると喜んでいた。しかし、道路脇の注意書きに「大札山登山口までしか進入出来ません」と書いてある。どういう事か、それでは困る。たぶん週末なので大丈夫だろうと進んで行く。そして大札山の登山口公園を過ぎて峠の所まで進むと、物々しく工事がされ、機材も並び足場パイプが林道を覆うように組まれていた。恐々進むと、各所で工事が進行中。一帯で大々的に林道の集中工事がなされている様子。そして林道上の「水場」表記のある場所で、行く手をユンボが塞いでいた。その先は路肩が崩され、確かに通過はヤバイ。ここまでだった。さあ困った。林道には余地があるが、川根本町の注意書きとして大札山の登山口から先を通行止めにしている。言うならば今は「侵入」。工事関係者の作業車の余地もあるだろうし、かなり悩んでしまった。林道途中で追い抜いた御仁も後から到着するが、通行止めに困った様子であった。いったん大札山の登山口まで戻って作戦を練り直す事にした(3:00)。
登山口の駐車場に入り、地図を見返す。他の場所に目的地を変えることも考えていた。でも遠路遥々ここまで来て、下調べの薄さに不甲斐なく、是が非でも踏みたい意識が強まる。しかし、ここからだと山犬段まで行くのに1時間以上掛かり、往復で2時間はみていないとならないだろう。軽く踏んで来るつもりが、少し日没を考えねばならなくなった。困った事に夜歩きを想定しておらず、簡易的なLEDライトしか持って居ない。でももう、仮眠時間を削って早出するしか方法は無かった。あと、工事との駆け引き。車の進入が認められるのは何処までだろうか。途中に蕎麦粒山の南尾根登山口があった。手前には余地があり、あそこなら登山者の車と理解でき、工事箇所より離れているので問題視されないだろうと思えた。そして1時間ほど寝てから、その現地へ行く。南尾根登山口の手前がカーブになっていて、そこにスペース1台。山側にタイヤを乗り上げるように置いておく。
4:45歩き出す。南尾根登山口の先には工事用のトイレも置かれていた。枯葉の落ちる音を耳にしながら、細い明かりを頼りに上がって行く。途中、工事現場の作業者用スペースに、先ほどの御仁は駐車していた。私にはこのような太い神経が通っていない。個人の遊びで多数の方に迷惑をかけるのは・・・。そして水場の所に再び。ユンボの脇を抜けて行き、その先にある工事期間を見ると今年の6月21日から、来年の1月31日までとある。今年に山犬段まで入って報告している人は、たまたま運が良かったのか。もしくは日曜日のみ解放されるのか。いずれにせよ、情報を集めず入山している自分に非がある。歩かなくてもいい場所を歩いているようで、最初からボディブローのように足が重く感じる。
山犬段到着。と言っても広い駐車場に到着しただけで、山頂部を踏んだ感じは全くない。広い駐車スペースに1台のダンプが置かれ、ここも作業車専用駐車場になっていた。この山犬段、地形図を見ると最高点は1410mの等高線の場所。ただし山名事典は1404高点で座標をとっている。北側を気にしていると車道幅の道があり、それを伝ってゆくと最高所のようだが、この場所で暫定的に山犬段とした。トイレを伴った大きな休憩舎もあるが、流石にこの時間だと開ける気にならない。この駐車場は、広くて暗くて、ここから先がどう進めばいいか判らなくなった。蕎麦粒山への登路があるので、間違いなくその北側の林道を伝えばいいわけなのだが。足を進めるのに際し、案内表示が心許ない感じであった。一度200mほど進み、また戻って地図を確認。よくよく納得したところで再突入。これが「林道南赤石線」で間違いないだろう。すぐに赤錆色のゲートがあり、そこには南京錠が掛けられていた。ゲート脇を通過して行くバイカーも多いようで、ゲートの先にはオフロードバイクのタイヤパターンが続いていた。そしてその先の鋭角に右下に降りている道がある。その分岐点には「蕎麦粒林道」などと書かれた標柱が建っていた。今伝っている道を指しているのか、下に小屋が見えるが、そこに続く道を指しているのか・・・。
山犬段からゲートを越えてきても、大々的な工事箇所がある。山側と谷側でよう壁工事がされ、その広範囲な作業現場に驚く。ゲートを越えて30分経過、五樽のコルへ向かう登山口がある。と言っても何も調べておらず、五樽とは何ぞやと言った感じであった。どうやらここは高塚山方面の登山口の様子。この先、林道の崩落箇所が続き落石も多い。上に獣でも居てこちらを見ているのだろう。逃げようと思った行動が落石させているようであった。山側、そして谷側を注意しながら落石の上をザクザクと進む。一方、外気温は3度ほど。流れの出ている場所は、その流れがテカテカに凍っていた。細心の注意で通過して行く。経路、林道上に小屋が二つあるが、どれも崩壊が進み中に入るのが怖いほど。まあ山犬段にあれほどの小屋があるので、無問題ではあろうが・・・。
長らく歩いた感じでやっとの事で千石沢の登山口に到着。沢の右岸側に登路が切られ、そこを伝う。すぐに渡渉する橋があるが、朽ちて半ば崩壊状態。適当に左岸に移り、九十九折を伝って行くと、今度は右岸側にピンクのリボンが・・・。流れにやや水量があり、安心して渡れる場所ではない。さらには凍っている場所もあり、渡渉が連続するのは勘弁して欲しかった。右岸に移ると、やや西側にずれるような道形があり、それに伝って上に行く。いつしか水が涸れ、「ヤバッ、今日も水汲まなかった」となった。下れば数分だが、偏屈者は汲まずに進む。すると塩ビパイプが半割りになったものが2つぶる下がっている。沢が分岐する場所だが、左に見える(右岸側)沢の方に赤ペンキで千石平と書かれていた。一見、真っ直ぐ進む方向に鋸山があり、間違え易いが、ここから尾根に向けて方向を西に変える。付近は広い地形で、なかなか気持ちの良い場所。尾根に乗り上げると、そこに各方面への道標が建っていた。千石平に向けてやや急登を登って行く。ダラダラとした林道歩きの後、先ほどの千石沢もそうだがこのようなちょっとした急登が太腿に堪える。周囲では盛んに鹿の警戒音が聞こえていた。
千石平到着。標識と共に最初に目に入ったのは、ブロック構造の小屋。新潟方面にある山小屋を髣髴させるが、ここにこれだけのブロックを持ち上げて来たのも凄い。もっともヘリで持ち上げたのかと思うが、それにしても人工物が経年変化で完全に自然に溶け込んでいた。そしてここに来て初めて展望が開ける。水窪町側の山々が見えているのだが、どれ一つとして同定できないのが情けない。千石平からは、小さなピークを二つ越えるのだが、歩きながらこのアップダウンが、遠くから見ると鋸の刃に見えるのかと思いつつ歩いていた。尾根を外してトラバースして行くような登路が切られている。
次に鋸山。山頂部は雑木林の様相で展望は木々の間から。そこから見える房小山らしいピークは、まだかなり先の方。頑張らねば・・・。山頂の指示標に従い北西側に降りて行く。この鋸山から先が、一気に気持ち良い場所となる。低いササは鹿の食害のせいなのか、ほとんど先が切られたような切断面が見える。そのおかげで、至極歩き易い感じ。周囲展望も良く、さながら展望尾根と言っていいだろう。道形は明瞭で、時折笹が覆うが外すような場所は無い。バイケイソウの枯れ枝なのだろう、いくつも周囲に立っていた。今日は晴れ渡る空の下の有視界歩行。尾根がやや広いので、視界不十分だといやらしい場所に変わるかも。下草の無い場所もあり、そこでの道形が判らないような場所も見られた。周囲では、物凄い数の鹿が見える。こちらに気づいて逃げるのだが、集団が動き出した時の地響きが足の裏にも聞こえてきそうなほどであった。後から追うバンビと言えよう可愛い子鹿に目をほころばす。
1725高点の先、1790m付近でササの禿げた平坦地がある。幕営適地と言えるだろう。展望のいい場所ではあるが、その反面、風当たりも強いか。進む先の方に房小山があるのが判る。ササの中の道は、ほとんど倒木類がないのが嬉しい。これがあるのと無いのとでは大違い。やや周囲温度は低いが、この時期にしてこんなに快適に歩けるのはあり難い。僅かでも風があれば寒くてしょうがないが、この時はほとんど無風状態であった。そして房小山の手前には小さな池があり、それを右に見下ろしながら通過して行く。鹿道であろうが、池周辺には無数に踏み跡が切られている。鹿にとっての大事な水場であるのだろう。ササの尾根を行く。
房小山到着。ササの中に三等点が隠れていた。ここも幕営適地な平坦な地形。南東側に展望があり、他の方角はいまひとつ。木々の間からはバラ谷頭も見えている。距離にしたら、今ほど鋸山からここに来た程の距離が残っている。まだまだ気を緩めるわけにはいかなかった。時計は9時。いい感じで進めてきている。予定では12時くらいを折り返しとしていたので、最終目的地のバラ谷頭での休憩時間もたっぷり取れるような計算になる。房小山から先も、これまで通りの道形が続く。時折鹿道も混じるが、大きく外すような場所は無い。ただし、この先の1860高点付近はかなり広くなる。進路が微妙に東にズレる場所があるので、右(東)側を気にして進みたい。急に東に曲がって行くような道形で、尾根上に這い上がり、再び北側に進んでいた。下から見ていると、その先にあるピークが山頂のようにも見えるのだが、それは1958高点のあるピークで、そこに乗り上げると、広いササ斜面の先にデンとしたバラ谷頭の山頂部があった。雪があればスキー場のようにも見える場所で、ここだけ板を持ってきて滑ってみたいとも思えてしまった。ズンズンと高度を上げてゆく。
バラ谷頭を先にして、手前に「本邦最南2000mの地」とある。ただし、ここから見るバラ谷頭のピークは低い位置に見える。なんかおかしいような・・・。当然のように高度計を見るが、2020mを示していた。先ほど房小山で補正したので、そう気圧の変化はないので、外れていても僅かだと思うのだが、どうにも解せない。視覚的に騙されているだけで、バラ谷頭の方が高いのか。ここより10m高くなくてはいけないはずだが、そうには全く見えない。そしてその方向に向かうのだが、やはり下っている。まあいいか。
バラ谷頭の標識は、周囲を見た場合の最高所より、やや下がった場所にあり、展望を考慮して設置されているようにも思えた。ただし地形図もここで標高点を取っている。それにしてもすばらしい景色。黒法師岳の右肩には富士山の姿も見える。不動岳から黒沢山側にもポコポコと連なる山々。「あの斜面を」「あの尾根を」と歩いた時の記憶が甦るようにクッキリと笹原が見えていた。何処かに鹿の集団が居ないかと見るが、探すとなかなか見つからないもの。それにしても黒法師岳側に続く尾根が綺麗に見える。なんか、ここで最終地点にするのが勿体無いくらいにそそる尾根であった。また来よう。こんないい場所なら・・・。経路5時間半ほど要してしまった。やや空気は冷たいが日差しはポカポカしている。雨具を着込んで、数分昼寝。なんと気持ちが良い事か。ここが2000m超の場所と思うと、寝心地も最高であった。そしてもう一度ここで高度計を補正する。しつこいと言われるかもしれないが、拘りを持つのが趣味。20分ほど山頂を楽しんで、往路を戻る。
1mづつ高度を累積させながら高度計は動いていた。そして2000mポイントで記した数値は2017mであった。表示高度はどうであれ、2010m地点に対し、ここが高いことは間違いないのだろう。そして仮にここが2000mとすると、バラ谷頭が2000m超の山ではなくなってしまうことが寂しい。はてさて・・・。2000m標識地点から下山となる。下側の展望を望みながらなので快適そのもの。下りの方がしっかりと道形を追え、往路に鹿道を伝った場所も正確にルートに乗れていた。11時30分、もう僅かで房小山という所で、通行止め箇所で行き合った男性がすれ違ってゆく。この時に男性の気質は察知できていた。山屋らしいなにもしゃべらない方だった。軽く会釈し、御互いに目で挨拶をする。こんな所なので会話があってもいいようなものだが、静かに無言でスライドをしてゆく。今からだと登り1時間。12時半の登頂か。夜明け頃に出てきたのだろう。
房小山帰り。ここもなかなかの居心地の良いピークだが、先ほどのバラ谷頭を体験してしまうと、ここは2番手に成り下がる。そしてササ尾根の下に池を見ながら降りて行く。池の畔まで降りようかと心が動いたが、どうにも林道工事が引っ掛かり、車に急ぎたかった。端折って尾根を下る。アップダウンがいくつあったか、千石平側も鋸刃の形状であるが、刃先が長い方は房小山側。うねるようにアップダウンを繰り返して戻って行く。一箇所、倒木が道を封鎖するが、乗り越えて進むのが正解。そして1時少し前、鋸山に戻ってくる。ここまで来ると、少し余裕が出来、尾根伝いで蕎麦粒山まで戻るか、林道を戻るかで悩むようになる。折角なら尾根通しで戻ったほうが絶対に楽しい。ただし途中にある高塚山まで足を伸ばす体力と時間は残っていない。となると、ポツンと残す事になる。1602高点のある三ツ合山と抱き合わせで、次回楽しもうとの判断となった。
鋸山から千石平に戻り、ブロック小屋を見に降りて行く。すると、3面はブロックで囲われていたが、1面は解放されている構造になっていた。そこの東側半分はトイレのようで、便器が見えていた。「これじゃー」となんか寂しい思いになった。折角これほどの構造にしたのに、もう一面、扉を付けるような形で塞げばよかったのに・・・。屋根が有ることにより、避難所としてはいいだろうが宿泊小屋としてはまず無理だろう。いや待て、小屋ではない。これは当初からトイレなのだ。少し標識側に足を進めてハッと気づいた。それほどに昔はハイカーが訪れた場所なのだろうか。また別の疑問が出てきたのだった。急峻を下降点まで降りて、千石沢を降りて行く。そして一番上の湧き水を頂く。美味い。足場に注意して降りて行くが、けっこうに石が動く。途中で拾った枝を重宝に、杖にしながら降りて行く。そして登山口。日差しは山の反対側にあるようで、こちらは日影で寒い感じ。まだ14時前だが夕方の様相でもあった。テクテクと林道を戻ってゆく。
工事の音が谷あいに響く。工事関係者と行き会ったら、どんな挨拶をしようか、そればかりを考えていた。すると、クリーム色の廃小屋の先の崩落地に黄色いユンボが見え、そこに走ってくる黒いダンプが見えた。そのダンプは間違いなく山犬段にあったダンプ。すわっ、もうその時が来た。途中でバックして、ダンプはユンボの前で停まった。どうも崩落した土砂を積んで行くようだ。中から白い長袖ハイネックのガテン系が降りてくる。「こんにちは」と声をかけると、予想外にもにこやか。「何処まで戻るのですか」と聞かれ。「南尾根の登山口にあるのが私の車です」(絶対に見ているはずだから)と言うと、「あんなとこまで歩くの〜」と。歩かない人にしてみると、あんなとこまでとなるのだろう。「邪魔してすみません」と声をかけると「いえいえ」と極めてフレンドリー。あー良かった。これで工事関係者とパイプが出来た。なにかイザコザになってもこの人が助けてくれると「勝手に」思い込む。五樽への登山口を右に見て、その先で工事現場に・・・。10名ほどの作業員が、下の方で蟻のように動いていた。この先にあるゲートは開け放たれたままで、ダンプが往来している為であろう。
山犬段まで戻ると。南側のベンチの所にピクニックでもしているかのようなランチセットが見えた。そして休憩舎の中からは明るい声が洩れ聞こえてきていた。中を入ると6名のハイカーが居た。「今日はここで泊まりですか」と聞かれ、「いえいえ、日帰りです」と言うと、向こうは安心したようであった。おそらくパーティー行動であり、小屋の独占を期待していたところに、私の入室だったのだろう。小屋の中は暖かく、快適そのもの。テーブルもあり、宴会するのにこれほどの場所は無いような。トイレもあり、水のみは持ち上げる事となる。今は封鎖しているが、通常は車がここまで入る。この小屋は美味し過ぎる。休憩舎を出て蕎麦粒山に登って行く。遅くなったら登らずして林道を戻ろうと思っていたが、まだ日が高い。そして途中で作業員が働いている。なるべく会わずに通過するには登山道を伝って南尾根を降りるのが最良の判断であった。
道標の場所から緩やかに登って行く。倒木にはチェーンソーが当てられ、よくよく管理されている。広い登山道は夕暮れで物悲しいが、静かさを好む私としては申し分ない感じ。既に林道歩きで脳が下山完了信号を出していた所に、また登りでなかなかこれが堪える。全く進度が上がらない状況でゆっくりと登って行く。たぶん、あのまま千石平から尾根を伝ってきていたら、こんな状況だっただろう。林道に降りて今日は正解と思いたかった。誰か登山者が居るかと思ったが、皆無。静かな山頂が待っていた。
蕎麦粒山山頂。黒くなぞられた三角点があり、東側には、山座同定の為の展望図が設けられていた。その手前にベンチがあり、休憩にはもってこい。夕方に向かって行く山々を見ながら、遠くの山々を空中散歩。私の場合は、同定出来なくとも全く問題なし。判れば判ったで楽しいし、判らなかったらそれで景色の楽しみが半減する訳でもないから・・・。
道標に書かれた「南尾根」の方向に降りて行く。道の状態はいいが、この先のアップダウンの多さを全く予期していなかった。じつは、私にしたら珍しいのだが、当初は蕎麦粒山に登る予定がなく、地形図を用意してなかったのだった。よってルートとしてあるのは理解していたが、地形がこう暴れているとは歩いてみて初めて気づかされた。何度も何度も下っては登り、登っては下る。「あれ、まだ先にもピークが」そんな連続であった。蕎麦粒山寄りには、ロープを施してある崖地形もあり、痩せ尾根の淵を進むような場所もあった。それ以降はなにせアップダウン。「早く芽を出せ柿の種」ではないが「早く出て来い登山口」と口ずさみたいほどでもあった。そして下に林道が見えた時の嬉しかった事。やっとここから解放されると思えた。最後の落ち葉の九十九折を慎重に下り、登山口に立つ。
無事下山となった。車のところで着替えていると、何台も工事関係車両が降りて行く。ちょうど仕事の終了時間と重なったようだ。サッと着替えてその波に乗ってゆくのだが、彼らの運転のすごい事。毎日通ってカーブの半径が頭に入っているのだろう。アクセルワークとブレーキングのタイミングがすばらしい。前を行く工事車両に見惚れていたら、後から煽られる事・・・。路肩に避けて3台ほどに道を譲った。ビジターは17時くらいのこの時間を避けて通過したほうがいいかも。ちなみに登りであるならばもっと気をつけたい。車道幅いっぱいに使って作業車は降りて行っていた。
R362号に出て、川根町経由で戻ってゆく。川根温泉で暖まり、帰路はR52号で南アルプスインターまで北上し、そこから八王子経由で戻る。こうすることで、高速が1000円で収まるのだった。往路を戻り、東名に乗り御殿場で降りて須走から再びとなると、高速料金が2回発生してしまう。それを避けたのだった。
振り返る。「千頭山の会」の道標がピーク毎、主要箇所毎にあり、自然自然していながら人の気配を感じるルートであった。嫌な意味でなく、その事により安心して歩けるルートと言えよう。道形はあるが、視界不良時には注意したいような広い地形もある。マーキングはあるものの、拾って伝うには少し心許ない設置数。ただ無い方が嬉しい人も居るから、今の状態で十分適当にも思う。ちょっとアプローチ林道でのトラブルはあったが、山頂での展望が予想通りの素晴らしいもので、大満足。またまた深南部が好きになるのだった。


