蓬莱山 1377m 小丸 1135m
2010.1.2(土)
晴れ 単独 八丁峠手前6キロポストより尾根に取り付く 行動時間:3H9M
@6キロポスト7:51→(31M)→A蓬莱山8:22〜32→(67M)→B小丸9:39〜10:07→(24M)→C1137高点東トラバース道入口10:31→(29M)→D6キロポスト11:00
志賀坂トンネル埼玉側出口、八丁峠への林道入口。 | @6キロポスト(車の前に見える)から入山。 | いきなりの急登。 | 最後の登り。 |
A蓬莱山。 | A蓬莱山から北側。 | A大ナゲシ側。 | A真新しい伐採跡。 |
A右から書かれた標識が落ちていた。 | A蓬莱山から小丸(中央上のひの当っているピーク)。 | ゴジラの背中を降りて行く。岩尾根なので慎重に。 | 快適尾根に変わり、大木が目立つ。 |
大木が林立する場所から、大ナゲシ。 | 大岩の脇を通り過ぎたり・・・。 | 1120mピーク。コンクリート、木、プラスチックの杭が立つ。 | もうすぐ小丸。 |
B小丸山頂。広葉樹なのでそこそこの展望はある。 | B1136高点に向かう尾根。 | B北東へ降りて行く尾根。こちらにもマーキングが続く。 | B往路の尾根を戻る。 |
C1137高点の東で、トラバースする杣道に入る。 | 快適なトラバース。 | トラバース途中から、目指す尾根鞍部を見上げる。 | 途中の沢は凍てついて、上の方は氷爆が出来ていた。 |
D尾根側から杣道を見るとこのよう。トラバース道は写真中央辺りから右に降りて行く。 | D6キロポストの尾根鞍部に戻る。 |
2010年初登り。本当なら元日に初日の出を拝むような形で動きたいところであったが、年末の腰痛の影響が尾を引いてしまった。元日は大晦日山行のインターバルの中休み、そして翌2日が今年の幕開け登山となった。前回、前々回と「二子山」と名の付いた山に上がった。こうなればとことん二子山に登ってやろうと、小鹿野町の二子山を目指す。ここは岩山。岩登りで、腰痛によって崩れた体のバランス感覚を、いち早く修正する目的でもあった。近くにはマイナーピークの蓬莱山と小丸もあり、抱き合わせで踏む予定に入れた。
6:10家を出る。昨日天体ショーをした月は、相変わらず丸く明るく周囲をよく照らしてくれていた。山間部は降雪している路面が多く、先を行く猟師の車もノソノソと走っていた。旧中里村の役場前から秩父方面へ入って行く。さざなみ岩で、恐竜の足跡の化石を見上げながら、雪の上をソロソロと上がって行く。当初の予定では、小丸には間物地区からの尾根を突き上げようかとも思っていた。現地にはしっかりとした林道が山中に向かって入っており、上手く使えるのではないかと思ったのだった。ただ蓬莱山と抱き合わせで見てしまうと、八丁トンネルへの林道からアプローチした方が無難のように思えた。一番いいのは、上(八丁峠付近)に自転車を置いて、下から駆け上がる方法だが、今は自転車が乗れる時期ではない。よく熟考したが、小丸には蓬莱山からの尾根を使ってアプローチする事にした。
志賀坂トンネルを抜けると、すぐ南側に八丁峠に向かう林道が入っている。しかしいつもこの時期は「通行止め」にしてある。ここから八丁トンネルまで6.5キロほどある。もしここに停めてスタートするなら、もっともっと早くに到着せねばならなかった。バリケードを少しずらして侵入する。以前も同じ行動であった。一部凍った場所もあり、ソロリソロリと高度を上げてゆく。そして八丁トンネルまで辿り着く。道中に上手く取り付き点がないか探しながらの走行であった。見られた一番いい取付き箇所は、志賀坂トンネルから打たれている6Km目のポスト標柱のある場所で、ここは尾根と林道が一番接する場所で、よく見ると、ここから北の諏訪山側、そして南の蓬莱山側に踏み跡が続いていた。駐車余地に適当な所が無いのだが、林道に一台通れる車幅を確保してすぐ脇の林道脇に停車。尾根側がちょうど鞍部になっていて、西風の通り道になっていた。体感温度はかなり寒く、雨具を着込みスタートとなった。
最初はいきなりの急登。尾根上は伐採跡があり、ブルーやグリーンの荷紐が続く。尾根上にはポコポコとピークがあるのだが、蓬莱山までに小ピークは3つ。その都度急登が待っていた。尾根の上には雪が残り、少し蹴り込む様にゆっくりと上がって行く。目の前には両神山の山塊があり、目指す蓬莱山がその高さなのかと錯覚するが、現地が近くなると、こんな高みでいいのかと思うほどの小ピークであった。地形図上では、そこそこの山の形状と読み取れるが、尾根上においてはお茶碗を伏せたほどの大きさであった。
蓬莱山山頂に上がると、意外や標識が上がっていた。それが着いているベースとなる鉄の支柱は、どうも行政のもののようであるが、錆び付いていて真相は判らない。そしてその下に、古い朽ちた標識が落ちていた。見ると右から書かれており、明治・大正生まれの方の作か・・・。それから鉄の標柱の南側には、立木に沢山の釘が打ち込まれていた。こちらにも何かが付いていた様であった。さらに不思議なのは、展望が良いように西側と北側が広範囲に伐採してあった。人が訪れるピークなら判るが、ここは完全なマイナーピーク。これほどに手をかける意味が判らなかった。次に目指す小丸は、遥か先の下の方にある。標高差は240mほど、行ってからまた登り返して来なければならなく、嫌な標高差でもあった。伐採のおかげで展望は良く、西上州の山並みが良く見えていた。北西への尾根に入って行く。
少し南に下ってから西に入るような格好で尾根に乗る。するとここにはブルーの荷紐が乱打的に巻かれていた。ちょっと付け過ぎだろうと思うほどの数で、その理由はすぐに判った。足許には伐採跡の切株が続く。どうやら林業作業者のマーキングのようであった。降り始めはやせ尾根と言えるところで、岩の部分も多い。その岩部がけっこうに長い距離が続き、さながらゴジラの背中と呼べる場所であった。雪があるので少し緊張しながら足を下ろしてゆく。よく見定めていないと、一つ東側にある尾根が、真っ直ぐ小丸の方へ進んでいるようにも見える。でもこちらの尾根にはしっかりマーキングが続き、そのための安心感がある。ゴジラの背が終わると、スギの木にシカの食害対策の防護ネットが巻かれている場所なども見られた。自然木と思しき巨木も多く、その間から大ナゲシが仰ぎ見られた。そして左(南)側を見ると、斜面に無数の杣道が見える。降雪した後なので、それらがくっきりと線になって浮き立つのであった。先ほどのゴジラの背は少々スリルのある楽しいと思える場所であり、それ以北はなんと気持ちの良い尾根なのだろうか。伐採跡が続く事により、手が加わった様子が常に感じ取れるのだが、人知れずこんな場所があるのかと思うと、またまた西上州秩父エリアの良さを実感してしまった。
途中1120mピークで、少し進行方向が変わる。まあどう間違えても右側の尾根には入らないだろうから問題ないだろう。ここにはコンクリート・木・プラスチック等々の杭が賑やかに打ち込まれていた。ここからさらに高度を下げてゆくと、1135ピークを前にして鞍部があるのだが、ここの西側には地形図通りの崩落地がある。崩落は既に尾根にかかってきており、尾根が崩落地にオーバーハングしているような状態になっている場所もあり、少し東寄りに通過したい。最後は下り一辺倒だった尾根が、久しぶりの登りとなる。そこを新鮮に思いつつ駆け上がる。
小丸山の山頂は、赤字で「三」と書かれたコンクリートの標柱が埋まっていた。気にしていなければ全くの通過点で、標高の高さから言えば、北西側の1136高点の方が高いわけであり、山頂に立っていても周囲の山に対して優位性が感じられる場所ではなかった。その1136高点側の尾根には、これまで通りの青いビニール紐がマーキングとして続き、北東側に下って行く尾根には、白いビニール紐が降りて行っていた。ここで再確認だが、北東尾根を伝って登り、そのまま今通ってきたルートで蓬莱山に行き、あとは林道を自転車で下るのが最良の回り方なのだと思えた。ただこの尾根に対して少し意識が違っていた。快適な尾根だった為に、上から見た時は嫌な高度差だったが、小丸からの登り上げも楽しそうに思えていた。よって上からのピストンも有りかとも・・・。
雪の上のトレースを追いながら往路を戻って行く。すると1137高点を過ぎた辺りで、左(東)側にトラバース道が見えた。入口には、立木にブルーと白の荷紐が縛られていた。往路では全く気がつかずに通過してしまった場所であった。伝ってゆくと、しっかりとした道で、あやふやな道ではない。おそらく、尾根上を伐採作業をした、その時の林道からのショートカット道であろう。途中には沢があり、こんな場所になんと氷瀑が出来ていた。流れの音がまだしていたので、もっと大きな氷の壁になるであろう。アイスクライミングの好きな方には、練習場としていいかも。杣道は、ほぼ水平に切られており、時折アップダウンを交える。どんどんとスタート地点が近くなり、最後の最後でグリーンの荷紐が続く杣道と合流する。そして6キロポストのあるスタート地点に戻ってきた。トラバース道をここから伝う場合は、グリーンの荷紐が続く杣道に対して、もう一本下に道が続いている。それを見つけ出し、伝ってゆく格好になる。尾根鞍部から入って10〜15mほどの所から下への分岐になる。
さて振り返る。トラバース道を見つけ出した事により、自転車を使わずしても、歩きのみでいい形で2座が踏んで来られる事となった。今回、私が伝った道順が順当かどうか判らないが、逆コースもいいかもしれない。岩部の苦手な人には、ゴジラの背は下から上った方が安全である。そして後半に展望のある蓬莱山を予定した方が、全体のバランスとして完成形に近いかもしれない。新年早々、楽しいルートを見出せ大満足であった。