二子山西岳     1165.8m         二子山東岳       1122m        
   

 2010.1.2(土)   


   晴れ       単独      坂本川登山口より     行動時間:3H32M


@坂本登山口11:43→(48M)→A股峠12:31→(39M)→B二子山西岳13:10〜39→(17M)→C股峠再び13:56→(24M)→D二子山東岳14:20〜23→(22M)→E股峠三度 14:45→(30M)→F登山口15:15


  
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@坂本登山口 A股峠 上級者コースへ 核心部へ。鎖は外され皆無。ホールドは多い。
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岩場途中から振り返る。 岩場後半。 西岳東側の高みから西を見る。 B西岳山頂の行政の標識。
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B標識の場所から西を見る。向こうのピークの方が高く見える。 Bむき出しの三等三角点。 B最初に登りあげた東側のピークを見る。こちらも向こうの方が高く見える。 B両神山側の眺望(逆光)。
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B八ヶ岳側は雪雲の中。 下降点から一般ルートで降りて行く。 C股峠再び。 鎖場は結構危険度の高い通過点。腕力必要。
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東岳の西端から山頂を見上げる。 岩尾根を伝ってゆく。 途中北側にトラバース。 D二子山東岳山頂。
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D東岳の標識。 D東岳の東端から東側。 D東岳から見る西岳。 北側への急下降。
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鎖場の帰り。  北側は雪が乗り、よく滑る。 E股峠三度。  F登山口に降り立つ。 


  

 八丁峠から戻り、志賀坂トンネルを群馬側に抜ける。本当は小鹿野町側に一番近い登山口があり、そちらに進むべきなのだが、間物地区側に二子山林道と言うのがあり、以前から気になっていた。もしかしたら最短コースで登れるのではないかと期待してダート林道に入って行く。しかし、山頂に対して遥か西側でバリケードされていた。そこにある文言を読み取ると、その先は叶山の採石作業者の道路らしい。となると、この林道は二子山塊と言うよりは、北の叶山寄りの道のようであった。調査を終えて再び志賀坂トンネルに潜り込み、正規の登山口の坂本地区に向かう。トンネルを出ると「ドキッ」パトカーが停まっており八丁峠の林道入口でゴソゴソやっていた。確かに1台の運転手不在のスポーツカーがあり、なにか違和感を覚えていた。なにかあったのか。

 
 坂本側の登山口に行くと、古風なサージ生地のキスリングを車に積み込んでいる方が居た。挨拶をするが無言。山屋としては「らしい」のだが、社会人として挨拶くらい出来ないのでは・・・。趣味の時間だから許されるのか・・・判らない。すぐに準備をして、入山者カウンターを「チン」と捺して山道に入って行く。

 
 すぐに朽ちた橋があり、その下流に新設の丸木橋がある。ここは果敢にも古い方で渡ってゆく。「しなり」と「わたみ」と「軋み」が、なんともスリルを与えてくれる。沢沿いに道が切られ、ケルンやマーキングが道案内をしていた。この道は下の方は巡視路を兼ねているようで、途中にそれを示す鉄塔への黄色い標柱が立っていた。二子山を示す道標もしっかりあり、分岐で迷う場所はそれが導いてくれる。時折、山火事対策の一斗缶や大きなドラム缶などもある。タバコに対するものなのか、中になにか入っているのか。そう思って山の様子を見ると、周辺は落葉樹が多く、斜面には枯葉が沢山堆積している。ちょっとのミスが大きな山火事を引き起こしてしまうだろうから、赤い目立つ人工物は十分なほどに注意を促していた。

 
 落ち葉を掻き分けながらゆっくりと足を上げてゆく。すると谷に大きな声が響く。どうやら壁に岩屋が取り付いているようである。西か東か。私が言う事ではないが、正月からみんな元気である。登ってゆくと、東岳の基部で数人が動いていた。そして股峠に向かって行くと、ローソク岩側でも何人かが動く。掛け合っている声を聞きながら、ロープが伸びてゆく様を想像する。

 
 股峠到着。西岳へのルートが立派な図解で表示されていた。直登コースで登ってゆく。いちおう雪の着きをみて、酷ければ一般ルートに切り替えようと思っていた。そしてその一般ルートと上級者ルートの分岐から、上級者ルートに踏み入れる。そこには、「クレームによりクサリを全部外してある」との文言が書かれていた。なんとも痛いげな文面で、なんと言ったらいいか・・・。壁のペンキ案内に従って、フリーハンドで登って行く。ここの岩の特徴だろうか、非常にホールドが多い。その途中途中に、クサリが流されていたであろうアンカーが寂しく光っている。こうなるとここに鎖が付く事はないのだろうか。確かに妙義の鷹戻しのクサリ、あれに捕まっての登下行はかなり危険を伴う。あそこはザイルの方が適当だが、クレームと一纏めに言ってしまったが、言っている人の中には、ここらへんの意味合いを言っている人も居るのだろう。三点確保で、ゆっくりとジワッと登って行く。背中から東岳に見られている様な感じでもあった。ポケットにはナッツ(食べ物でなく)、ザックにはシュリンゲやザイルが入っている。ここでの下降の場合は、それらを出した方が無難のようであった。

 
 登りあげて山頂大地の東側の一画に立つ。下から見ると山頂部はメサ地形なのかと思っていたら、ゴツゴツとした起伏の連続で、どこが最高点だか良く判らない山頂部となっていた。西の方を見ると、山名板らしきものが見える。そこか山頂なのか。少し北側をトラバースするように進み、一般コースの下降点を見送って、その先で鎖につながって今度は南側に。そのまま踏み後に導かれ、三角点と標識の建つ、公式の二子山西岳山頂に到着。北側は樹木に遮られているが、他の方角はすこぶる展望がいい。残念な事に両神山の上辺りに太陽があり、完全な逆光状態で、絵になるはずの場所が黒いシルエットになっていた。

 公式の山頂であるが、東を見ると、最初に登りあげた岩峰の方が高く見える。そして尾根続きの西側にある高みの方が高く見える。山容による目の錯覚かと思って寝そべって見てみたが、どうにもここより・・・。西に進めば魚野道峠経由で降りられ、そちらのコース取りもありあえる。とりあえず縦走しておけば全て踏む事になり、思い悩むことはない。ただここで困った事がある。東岳にも登ろうと思っていたので、股峠付近にストックをデポしてきていた。岩壁を目の前にして邪魔だった事もあるのだが、こうなると置いて来た事を後悔する。ただしここから西に進んでも、東峰を登らないで降りるのはもっと後悔する事になり、高い低いの問題はあるが、現在地を最高所として東岳に向かって行く。下りは一般コースを伝うのだが、日影でしっかり雪が残りけっこうヒヤヒヤ。倦まず弛まず怠らず、慎重に足を下ろしてゆく。トラバース道が東側になると、日が入る為か雪は少なくなる。往路の道に乗って股峠に下る。すると目の前を、登山口に居た人が持っていたのと同じキスリングを背負った方が、坂本側から峠を乗っ越して倉尾側に降りて行った。オヤッと思ったのだが、ここで練習するクライマーのお決まりザックなのかと思えた。

 
 さて今度は東岳に。夕暮れにはまだ早いが、風が増してきていた。少しだけ登らずして帰ろうか、などと思ってしまうのだが、頭とは裏腹に体は東岳へ向けて登っていた。私の中には何種類かの人間が混在しているようであった。少し北側にルートがあり、そこを行くと体を空中に出すようなクサリ場ある。この手前まで雪の上にトレースはあったが、ここで途絶えた。危険箇所の通過を嫌って上には行かなかったようである。となると東峰には私が2010年の初登頂者となるのかもしれない。鎖場を過ぎると今度は南側に突き上げる。ここも雪が乗っていていやらしかった。登りあげると、緩やかに右に弧を描いた稜線の先に東岳の山頂部が見える。振り返ると西岳が威圧的にこちらを向いている、先ほどの直登コースの時のお返しとばかりに、西岳から強い視線を浴びていたような・・・。北側に巻き込むように進み、最高所に到着する。

 
 東岳の山頂には古い標識が掛かり、展望は西岳同様に素晴らしい。特に東側の絵が私はお気に入り。八ヶ岳方面を見ると、完全に雪が舞っている。暮れからの寒波は、高所をよりハードルの高い場所に変えてしまっているようであった。山頂滞在は写真を撮るくらいで、殆ど足を止めずに山頂を後にする。下りながら北側を見下ろすと、股峠の北側の林道上に乗用車が見える。おそらく壁に取り付いていたクライマーのものであろう。危険箇所を慎重に足を運び、高度を下げて行く。そして三度股峠に。坂本に向けて下って行くと、東岳の基部にはまだ色とりどりのクライマーの姿が見え、壁にも赤い色が攀じって居る様子が伺えた。再び落ち葉に足を埋もれさせながら登山道を下る。途中に誰かが忘れた紫の防寒具が置いてあるのだが、それは上半分のみ。下って行くと下半分があり、残念ながら沢の流れの中にあった。帰りも性懲りもなく古い方の木橋を渡る。落ちれば水没、軋む音を楽しむように戻ってゆく。

 
 登山口に戻ると、目の前の民宿の煙突から、モクモクと暖かそうな煙が上がっていた。そこから漂う焦げた匂いもまた、温かみを帯びていた。今日の予定はこれにて終了。腰への荒療法も功を奏し、かなり調子よくなってきている。平地の病は山で治す。これが私のスタイル・・・なんて言ってみたり。

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