迦葉山   1322.4m            
   

 2010.9.26(日)   


   晴れ    同行者あり    迦葉山弥勒寺より     行動時間:2H43M


@駐車場8:52→(4M)→A弥勒寺本堂前8:56→(25M)→B和尚台分岐9:21→(19M)→C和尚台頂上9:40→(22M)→D和尚台分岐再び10:02→(22M)→E御嶽大神10:24→(7M)→F迦葉山10:31〜42→(23M)→G和尚台分岐三度11:05→(27M)→H弥勒寺本堂11:30〜33→(2M)→I駐車場11:35


 
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@迦葉山弥勒寺駐車場 本堂へ向けて階段を登って行く A本堂前 Aご存知、天狗の大お面。
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渡り廊下の下を潜って。 一丁目の標柱。 下の方はいくつもの道形あり。 尾根道はやや根が蔓延り・・・。
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B和尚台下分岐。木の裏側に胎内潜りのチムニーあり。 B基部にある祠 さあチムニー突入。 ザックに岩がガリガリと・・・。
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胎内潜りの最後。正面から明かりが射す。 岩溝に木を渡して乗せてある祠。いい表情の石像がある。 胎内潜りで北側に出ると鎖場が始まる。 鎖場上から。
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途中の展望場から。ここでもかなりの高度感。 トラバース気味の鎖場。特にステップは刻まれていない。 トラバースの様子。 和尚台山頂に向けて鎖を握りながら登って行く。核心部はこの先。
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C和尚台山頂から南側。 C和尚台から迦葉山山頂側。 C和尚台上から降りる鎖。 D和尚台下分岐再び。
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和尚台の先にも岩の間を抜ける場所が2ヶ所。 尾根道の様子。周囲は広葉樹が多い。 E御嶽大神石碑。山頂へは、道標からは10分。 F迦葉山山頂。木々の茂る山頂部。
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F山頂からの展望。 F山頂の上には航空測量用の台座基部が残るが、三角点がしばらく見つからず。 Fやっと見つけた三等三角点。 Fこの標識の右側、笹薮の中にあった。
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G和尚台下分岐三度。  三又に分かれた立派な杉。  H帰りも渡り廊下の下を潜り。  I駐車場到着。 



 週後半は法事が入り、フォーマルな予定となった。そこまでならいいのだが、これまでの経験則からすると、溢れるほどのお酒が大量に振舞われる。中高年の部類に入った私でも、残念ながら中ではまだ若造の部類。「さあ飲め」、「いいから」。これが慣例。この事があり、日曜日は空いているものの二日酔いにて潰してしまうきらいがあった。そして実際は予想通りだったのだが、それでも座り位置を死守して、何とか致死量に至らず済んだ。それでも大瓶10本ほどは・・・。

 

 式を終え、酔いどれの頭で翌日の行き先を探す。天気は夕方から雨だが、日中は快晴の模様。酒宴(会食)の席で、横の人が芳ヶ平ヒュッテ(草津)の関係者であった。先日、お忍びで天皇陛下が訪れた秘話を話してくれ、かなり興味が沸く。管理人が通年常駐になった小屋も見てみたいし、そもそもまだ歩いた事がなかった。理由は一つ、場所は山なのだがピークが無いから。しかし、この判断基準があると、いつまで経っても行けない事になる。行こうか・・・とも思ったが、どうにも「山頂」は踏みたい。ほとんど病気かも・・・。そして次に目をつけたのが迦葉山。ここは天狗で有名な場所。天狗の持つハウチワカエデ=紅葉。秋になると気になる場所なのであった。ここで決行。岩場もあり、ルート選定によってはレベルの高い登山も要求される場所だった。

 

 脳が脈動するような二日酔いの目覚めであった。熱い緑茶を飲んでから、すぐさま高速に乗って沼田インターを目指す。関越道の流れの中には栃木県内ナンバーが多く見られる。北関東道の恩恵だろうか。それにしても交通量が多い。数珠繋ぎの状況で車が流れていた。カラッとした秋晴れで、空気が澄んでいて空がかなり高い。皆の心を野外に連れ出す要因はここにあったのだった。沼田インターで降りて玉原高原を目指す。旬に入ったリンゴ畑を左右に見ながら緩やかにR266を詰めて行く。一大観光地である迦葉山は、道路案内も十分で、ナビも地図も必要なし。導かれるままフロントガラス越しに前を向いて居ればいいのであった。現地入りするまで知らなかったのだが、迦葉山への連絡道路は一方通行らしい。この部分は要注意。透門橋を渡ってすぐ先を左折し、迦葉山弥勒寺に向かってクネクネと上がって行く。車道脇には立派な山門などもあり、下から歩き上げればゆっくりこれらを楽しめるとも思ったが、今日は最楽コースで伝う予定。ずんずんと上がって行くと、参道の石段脇では高箒で掃除をしている姿があった。お寺の朝なのであった。

 

 トイレ付きの大きな駐車場があり、それにより観光地を強く感じる。サッと準備をして弥勒寺へ上がって行く。お寺らしいキリッとした空気感の中を上がって行くと、正面に本堂がある。中を覗くと大きな天狗が右に左に並んでいる。山旅の安全を拝み山道の方へ・・・と言いたいところだが、初めての私には何処に進めばいいのかキョロキョロしてしまった。するとそこに、熊よけの鈴を鳴らした御仁がやって来て、渡り廊下の下を慣れた様子で潜って行った。“ここか進路は・・・”と教えられ、後に続く。この潜って進んで行く進路は、なんともアクセントになって面白い。潜った先は、噴水を右に見ての太鼓橋。渡りきると迦葉山山頂への道標が右側への道を示している。最初は緩やかなコンクリートの道であるが、すぐに山道となる。道を外れた場所に「一丁目」の標柱も見える。先を行く御仁は、登山路とは違う西側の踏み跡を伝って急斜面を登っている。途中から完全に尾根を外れ西にずれた。キノコ採りなのか・・・。こちらは順調に踏み跡を伝う。足元にはヤマグリやトチノミがあるのだが、見事に中身が取られている。大きな足跡が無いので、熊では無いようだが、この付近は、野生動物が空腹を満たす餌場のようであった。

 

 根の蔓延る急登尾根を登っていると、先の方に白い巨大な建造物があるように木々の間から見えていた。下にはお堂が設置してあり、それがそそり立つ「和尚台」であった。白く脆そうな岩に見えるが、ここの胎内潜りと鎖場は有名であり、体力のあるうちにと遊んでゆく事にする。チムニーに入って行くと、なかなか厳しい登り。子供さんらは親御さんに上げてもらわないと足場が無いような場所。大人でも岩慣れしていないと厳しい場所のように見えた。最初からいきなり段差がある鎖場で、進む判断はここで決められるだろう。見てダメならダメだし、行ける人は入る事となる。

 鎖に掴まりながらクネクネとチムニー内を這い上がってゆく。既にしっかり岩登りな感じ。明るい方に抜け出すと、第1ステージクリアー。岩溝の中には古い空中お堂があり、表情豊かな石造が3体安置されていた。北側に出て第二ステージに入る。木の根を掴まりながら進むと、次の鎖場が待っている。僅かにハングしている岩面で、ここは上の方に根が蔓延っているので、下の方を1.5mほど我慢して登ると安全帯に入る。登りきり東の方に進むと、沼田側が開けた場所(半畳ほど)となる。次は深さ10mほどの岩溝を左に見下ろしながら小岩を乗り越え、第3ステージのトラバースの鎖場。よく探すと適当な窪みがある。ただし訪れる人が多くないようで、岩面のそれらは踏み跡になっては居なかった。さあ、ここまでは同行者も登れたが、ここから上はちと無理。大きな木の下で待機させ、単独で上を目指す。第4ステージの最初の鎖場はいいが、その次に伝う場所がやや怖い。登りながらザイルを持ってくればと思うような岩斜面であった。登りきり左に僅かズレる場所もかなり怖い感じ。ちょっとバランスを崩し、僅かに滑ればまっさかさま。慎重に3
mほど足を進め最後の鎖に・・・。掴んで這い上がってゆくと、3つほどの大岩が点在する和尚台山頂部に到着。流石にすばらしい眺め。下に同行者を残してきているので長居は出来ず、すぐさま下る。けっこうドキドキしながらの下りで、大木の場所まで降りる。後はゆっくりと同行者を降ろして行く。アスレチック要素十分で、キャッキャ言いながら、時に泣き言を言いながら降りてくる。ちょっと遊ぶにしては、結構真剣にならねばならない場所であった。お堂の前まで降り立つと。同行者からは「はぁ〜」とため息が、よくよく判る。日々の生活の中で、こんな危険な思いをすることは無いから・・・。

 

 道標に従い山頂を目指す。この先も石門的な潜り抜けて行く場所もあり、その先は広葉樹の気持ちよい尾根歩きとなった。木漏れ日の美しい登路で、なんと言っても外気温がちょうどいい。広葉樹の中の周囲景色と相成って気持ちいいこと。ふと足元を見ると、日差しの射す登山道上では、大きなアオダイショウが日向ぼっこをしている姿もあった。「折角まったりしていたのに・・・」と言っているかのように悠然とニョロニョロと藪の中に入って行った。一箇所、倒木が登山道を塞ぐ場所もあるが、跨いで通過すると、その先が御嶽大神の石碑前。ここでほぼ山頂部の肩に乗り上げた格好になり、僅かに進むと迦葉山山頂であった。

 

 迦葉山山頂は、思っていたほど開けておらず樹林の中の山頂だった。南側が僅かに開け、狭角であるが遠望できる。山頂の大岩に腰を降ろし、しばし休憩とする。木々の覆われたその上を見ると、三角点測量の台座の支え木が縛られている。“そうだここは三角点があるんだ”と、それを見るまで忘れていた。それ以後、山頂周辺をつぶさに探すが見つからず。おかしい、そんなことは・・・でも確かに山頂部は埋められそうな場所が狭い。もしかしたら崩れ落ちてしまったのかと、無い現状に割り切った。そして下山を開始した直後、発見することになった。山頂から御嶽大神側に8〜9mほど下った先に、沼田営林署が設置した透明なアクリル板の標柱がある。その脇辺りに三等三角点が眠っていた。これは気にしていないとまず見つからないだろう。私は見つけようと思っていたから目に入ったが、灯台下暗し的な場所であり、笹に隠れている。これで思い残すことは無くなった。大満足。ゆっくりと往路を戻ってゆく。

 

 和尚台の所では、同行者に「もう一回戦する?」と聞くと、「死にとうない」と素直な発言が・・・。確かにここはヤバイ。ゆっくりと尾根道を戻り、弥勒寺に降りる。堂内からは大太鼓の重低音が響き、時折鐘の音も混じる。それらが秋の空気に乗って山肌に反響している。かなり雰囲気があり、いい感じ。ここが人里離れた山寺である事を思うと、至極賑やかに思えた。中を覗くと、何かご祈祷でもしている様子。朱に塗られたいくつもの天狗がこちらを見下ろしている。心臓に響くような大太鼓の音が、その天狗の凄みを増させている。無事の下山の礼を挨拶し、折角なのでおみくじを・・・。なんと、めったにお目にかかれない「大吉」だった。まぐれなのだろうがいい気分。太鼓の音を背にしながら軽快に駐車場に下って行く。

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