大峰山   1254.5m          
  

 2010.02.21(日)   


  快晴    単独     上牧駅側水源地前より     行動時間3H24M


@水源地前10:15〜20→(32M)→A水分不動尊10:52→(29M)→B大峰沼11:21→(22M)→C大沼峠11:43→(21M)→Dキレット12:04→(20M)→ENHKアンテナ施設峰12:24→(13M)→F大峰山12:37〜45→(21M)→G大峰沼帰り13:06〜13→(12M)→H水分不動尊帰り13:25→(14M)→I水源施設前13:39


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@舗装路終点(除雪終点)の水源施設前。 水分不動尊下で林道を跨ぐ。 A水分不動尊。水が得られる。 水分不動尊の先で、マツダランプの道標が「大峰沼」を導く。
matsuda2.jpg  douhyou.jpg  oominenuma.jpg  kyuukeisya.jpg 
二つ目のマツダランプの道標が見えると、もう大峰沼も近い。 途中の吾妻耶山への分岐道標。 B大峰沼。無垢の雪。 B休憩舎には二人のハイカーが居た。
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B浮島の上から振り返る。 沼の南岸から峠に這い上がる。冬季は夏道が埋もれ、急峻の登り。 C大峰峠。 1179高点に向けての快適尾根。
1179.jpg  hashigo.jpg  nhk.jpg  oominesan.jpg 
1179高点から見る大峰山側。見えているピークが大峰山ではない。 Dキレットの長い階段。雪の下は凍っていた。 ENHKと民放の共同アンテナピーク。 F大峰山。通過点のような場所。
noboxtutekita.jpg  tenboudaikara.jpg  numakara.jpg  numano.jpg 
F登ってきた側。 途中の展望台の上に登るが・・・。上州武尊側。 G大峰沼に降り立ち、下ってきた斜面を降り返る。 G沼の上には我がトレールが残る。
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途中の植樹帯から見る東側の展望。 H水分不動尊帰り。 猟師とすれ違う。 I水源施設前には沢山の猟師の車が置かれていた。


  

 またまた看護師さん一行からガイドを頼まれた。今回はスノーシュー山行をしたいと・・・。こうアイテムを限定されると困るのだが、私のカンジキ類の手持ちはこうである。スノーシュー2式、アルミワカン2式、立山カンジキ2式。要するに、こちらから供給できるものは2式しかなく、依頼された3名分が用意できなかった。まあ同じ道具としてアルミワカン等を履かせて歩けば、同じように楽しめると思えたのだが、たぶん、「スノーシュー」というステータスが重要なのかと思った。ここで立山カンジキなどを履かせようものなら、非難囂々のはずである。周りがゴアテックスの雨具を着ているのに、蓑や菅笠で我慢しろと言っているような見栄えだろう。ここはしっかりと道具の揃った業者に依頼する事にして、私は現地への送迎と諸手続きまでとした。

 
 頼んだ業者の行き先は、天気をみて判断するようで、当日まで知らされることは無かった。さて私は、看護師さんを送った後の行動を考える。今日の主は送迎であり、自分の行動は2番目に考えねばならない。土合の東に位置する赤沢山なども気になったが、集合時間が10時であり、それからのアプローチでは下山時間が気になった。ここは余裕を持って行動と、大峰沼の上にある大峰山を目指す事にした。

 看護師さんとの集合時間は7:45。すぐに関越道に乗って水上インターを目指す。しかし、好天のスキー日和、関越道は長い渋滞が始まっていた。右を見ても左を見ても、そして前後の車もカラフルなスキーウェアーを纏った人が見える。焦る気持ち、思う事は、皆同じのようであった。それでも事故渋滞でなく、後半は高速らしい走りが出来て水上インターを降りる。何とか集合場所の道の駅に辿り着き、スノーシュー隊員の世話をして10時に解放される。

 
 さあ大峰山を目指す。ノルン水上スキー場からアプローチすれば早いが、今日はオーソドックスに上牧駅からのルートを伝う事にする。と言っても、車で入れる場所までは入り、省力を目指す。291号の下石倉公民館の所には、大峰沼を示す道標があり、それに伝って行くと、途中途中にも古びてはいるが分岐道標があり導かれる。経路には雪の乗った場所も多く、少々ドキドキしながらの運転となった。そして除雪終点かと思った場所は、水源施設があり、その前が駐車スペースのようになっているが、残念ながら管理地内で停める事が出来ない。よって少し下って路肩余地に停める。もう日が高くなって長い時間経過している。迎えに行く時刻は15時くらい、30分くらい余裕をみて14時半には降りていないとならない。余裕があるような無いような、すべては雪のみぞ知る事のようであった。

 
 今日は珍しくスノーシューでの行動。大峰沼まではスノーシューのコースも設定されているようで、折角なら地形に適合したアイテムをと選んでみた。スタートして3分ほどして、時計を忘れた事に気づき一旦戻ってリスタート。暑いくらいの日差しを受けるが、一旦日陰に入ると季節相応の気温となる。二本松の大きな幹を見上げ、この先で登山道の雪が起伏しだす。おそらく階段が切られているせいであろう。数日前の薄っすらとしたトレースがあるのだが、つぼ足とアルミワカンのものであった。

 
 目の前に標柱が現れ、林道の道形に乗った。右を見るとその林道の終点地になっており、上を見上げると社が見えた。どうやらここが水分不動尊のようであった。少し雪解けした斜面を駆け上がり、お不動様に一礼して先を目指す。この先は細かい九十九折となり、そこを過ぎると大峰沼も近くなってくる。吾妻耶山への分岐道標が目に入ると、もう沼は目と鼻の先であった。ここの分岐からは大峰まで3キロ、沼経由で1.7キロとあった。当然時間に制約があるので、近い方を選ぶ。

 
 大峰沼に到着すると、東側の休憩舎に人影があった。周囲にトレースは無く、南側の登山口からアプローチした方のようでもあった。食器の音をさせながら、コーヒーの為の湯を沸かしているように聞こえていた。さて目の前は大峰沼。本州最大最古の浮島がある事で、以前から気になっていた。日本は広い。どうやってそれを調べたのか・・・。それはともかく、今の時期は沼が雪に覆われ歩いて渡る事が出来る。少し足の裏がむず痒い心境だが、湖(沼)面の上にスノーシューのトレールを刻んで進んで行く。そして浮島のあるであろう場所は、20センチほどこんもりと盛り上がっている。無積雪期なら岸から見ることしか出来ない場所が、足の下にある。ちょっと嬉しかったり。でもここでハッと思った。休憩舎に居たのはカメラマンではないのか。もし写真を主体でここに来ているなら、沼の上に刻んだ私のトレールは、撮影の邪魔になってしまうだろう。既に事後報告のような感じだが、思慮浅い行動にちと後悔したり・・・。急いで沼を突っ切ってバンガローの方へ向かい、沼の東岸に乗る。


 南岸に行くと「大峰山登山口」と書かれた標識があり、道形を追って伝ってゆく。見上げると尾根上には鞍部が見えるが、途中でどう伝えばよいか判らなくなる。少し急峻で滑りやすくなり、キックステップを決め込んでゆっくりと這い上がってゆく。そして尾根鞍部に乗る。ここが大沼越と呼ばれる場所のようである。尾根に乗り上げると、急に風が強くなり、急いでフリースと雨具を重ね着する。そしてやや細い尾根道を北に向けて登り上げてゆく。大峰沼までは良かったが、その先からはスノーシューよりカンジキの世界であった。テールの長さがここを登るには、ちと邪魔をしているように感じた。いずれにせよ、カンジキを履いていても脱がねばならない通過点がある。それがキレットの場所。ドブ漬け鍍金された長い階段の急下降、そして急登。ステップの上は氷ついており、その上に雪が乗っていた。「滑らぬように」と祈りながら通過して行く。

 キレットから登り上げ、少し傾斜が緩むとNHKと民放局のアンテナピークに到達する。下から望むと、雪の相乗効果か、どこか高い場所にある測候所のように見えていた。このピークからの展望もなかなかいい。施設のフェンスに沿って巻き込んでゆくと、緩やかな下りとなり、その先に黄色い服装の単独行者が居た。気さくな方で、ノルンから入山し、私の登ってきたコースを降りるらしい。ただ、トレースを当てにしているらしく、キレットの方へ進みたがっていた。今の今通ってきたので、「ちょっと足場が悪いから、ここから大峰沼に降りてしまった方がいいですよ」とアドバイス。「後から私も追いますから・・・」と加えた。そして御仁と別れ、大峰山を目指す。しかしこの先は微妙な心境になった。スノーモービルの轍がしっかり出来、ルート上が踏み固められていた。自然を楽しみに来ているのに、下界が上の方まで侵入してきているような様は、ちと憤慨なのであった。まあ自分がスノーモービルを運転していればそうは思わないだろうから、ちょっとした僻み根性も有るのだろう。全くスノーシューは要らない様な状態で、途中で脱いで進んで行く。しかしその轍も山頂手前200m付近までで、再びスノーシュー装着。くそースノーボービルのせいで外したり着けたり・・・なんて・・・。


 大峰山到着。意外や静かなマイナーピークの装い。行政の標識が有るものの、展望も良い訳でなく、経路にあるアンテナ施設等の人工物の多さからか、なにか山の上に居る感じがあまりしない。しいて言えば、先ほどのNHKのアンテナ施設があったピークの方がはるかに展望がありピークらしい場所であった。先にあちらを見てしまっているせいもあるだろう。先ほどの御仁が休憩した跡が残り、持ち上げたロールケーキを白湯で流し込む。ノルン水上スキー場の音が絶え間なく聞こえてくる。ふと東側の上州武尊の方を見ると、行政の標識の東側に「すかいさん」の標識が付いていた。いろんな意味でこれにはちょっと残念に思った。たぶんここではペンチマンの餌食になってしまうであろう。あまり展望が良くないので長居は無用、僅かな滞在時間で往路を戻る。


 途中にある櫓形の展望台に上がるが、周囲の木々が生長し過ぎており、あまり展望が良くない。“おいおい折角上がったのに、エッこれ”と言うような場所であった。NHKアンテナ峰手前の分岐からは、先ほどの御仁のトレースが大峰沼の方へ延びて行っていた。かなり急峻地形で、スノーシューでは全く酷な状態。途中でつぼ足に切り替えるが、つぼ足でもさほど潜らない。東側斜面なので雪が締まるのも早いようであった。先を行く御仁の跡を見ると、20mほど滑落したような跡も見える。途中には大木もあり、どこか打たなかったかと心配したが、下に見える平坦地の先にもトレースは続いていたので、無事だったようだ。二の舞を食わぬよう慎重に降りて行く。そして下の平坦地に下りてしまえば、あとは樹林帯の中を沼に向け進んでゆく。


 大峰沼に到着。途中でスノーシューを着けねばと思いつつ来たが、ここは無用の斜面であった。ましてや今日はスパッツを忘れて着けていない。にもかかわらず靴への雪の侵入はあまり無かった。湖岸に到着し、アレッと思ったのだが、先を行く御仁の姿が無い。会ってからの時間差は20分くらい有るから、当然先に降り立っていると思ったが、アドバイスが「迷う」に繋がったのかと思い気になった。しばし立ち止まり湖岸の西側斜面を監視する。5分ほどそんな状況が続いたが、結局姿は見えず。大丈夫だったろうか。こんな心配をするのなら、御仁の伝いたかったキレット側に進んでもらった方が良かったかも。休憩舎を見ると、往路で見た二人連れがまだ居り、のんびりとまどろんでいた。先ほどの御仁が気になり後ろ髪を引かれる思いだが、連れて来たスノーシュー隊を迎えに行かねばならなく下山となる。


 登山道上の雪は、日差しを受けて、スノーシューの裏にゴットリと着く様な状態に変わっていた。時折ストックで叩いたり、周囲の潅木に当てて払ったり・・・ちと厄介な雪となっていた。それでも下りは早い。登りのトレースの2歩分を1歩で踏み固めて降りて行く。天気は相変わらずの状態で、植林地からの上州武尊の姿が綺麗に見えていた。水分不動では、何となくここがパワースポットのように思えた。その恩恵を受けようと、湧き水で喉を潤す。すると何となく気分が良くなる。気のせいかも・・・。


 ガンガンと往路の薄くなったトレースを追って降りて行くと、前からそれと判る猟師が上がってきた。銃を持っているのが見えるので、どうしても身構えてしまう。すれ違いざまに気さくに挨拶をされ、少しホッとする。そしてすれ違うとすぐにトランシーバーで仲間に連絡していた。よく弁えた猟師のようであった。この猟師に会ってから5分ほど下ると、二人目の猟師に会った。この方は話すより早くにスノーシューを見て質問してきた。その様子から、前を行っている猟師から話をされているようだった。「あんちゃん、これって雪の上で曲がるんかい」完全に上州弁。“曲がるってなに”と思ったが、「あー
フレームは金属なんで曲がりませんよ」と返答。「だんなさんもこれを履いたら快適ですよ」と言うと「俺らはワカンだから・・・」と返される。確かにスノーシューを履いた猟師は見たくないかも・・・。他愛も無い会話を終えて、御互いに背を向ける。


 水源地の登山口に到着すると、そこには猟師の車が7台ほどあった。そのうちの1台にはイノシシが2頭積んであった。これにはオヤッと思った。イノシシの猟期は終わっているからであった。目の前のイノシシを見ながら、やはり猟師は怖いと思えてしまう。それなりに出生・素性調査がされて認可が出されている人、「国から認められた人」と言う事になるが、やっていることは・・・。ましてや山中には「鳥獣保護区」の看板もあった。もうなんでもありなのかも。


 とりあえず、事故無く無事下山。どうやらここからのルートは、スノーシューよりワカンジキの方が適当のように思えた。地形図を見ると、ノルン水上や反対側の古沼側からのルートは至極なだらか、この両者の方がスノーシューに適するのだろう。


 スノーシュー隊の集合時間には十分余裕があり、今日のもう一つの目的、一ノ倉沢にスノーシューツアーに入っている、ふー氏に会いに行く。ツアーを企画する「F&W」に行って問い合わせると、パーティーは14時半に降りてくるらしい。タイミングはばっちりであった。そして現地で待っていると、にこやかな御仁が降りてきた。最高の天気の下、最高の展望と地形を楽しんできたようであった。短く談笑して次の再会を誓い分かれる。そして道の駅に戻り、蕎麦を啜っていると、我がスノーシュー隊も戻ってきて合流。温泉とラーメンを楽しみながら家路に・・・。


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