大山 1158m
2010.9.12(日)
雨のちくもり 同行者あり 霧降高原から大山経由でつつじヶ丘に下る 行動時間:4H8M
・駐車場10:00→(3M)→@霧降ノ滝入口バス停10:03〜15→(14M)→A霧降高原バス停10:29〜33→(52M)→B牧草地に入る11:25→(6M)→C大山11:31〜55→(39M)→D猫の平12:34→(14M)→Eマックラ・玉簾分岐12:48→(5M)→Fマックラ滝12:53→(6M)→Gマックラ・玉簾分岐再び12:59→(9M)→H玉簾滝観瀑台13:08〜10→(30M)→Iつつじヶ丘登山口13:40〜44→(5M)→J霧降滝観瀑台13:49〜54→(5M)→つつじヶ丘駐車場13:59〜14:05→(3M)→K駐車場14:08
@霧降の滝入口バス停。上り・下りのバス停が、道を挟んで相向かいにある。 | A霧降高原バス停到着 | Aガスが周囲を覆う | 霧降高原から連絡トンネルを潜り、その先からゲレンデ脇を下る。 |
この道標が頻繁に現れ道案内 | 「林の中」感が強い、木々に覆われた道。 | つつじヶ丘への分岐。 | B牧草地に入って行く。ゲート幅は400mmと狭い。 |
牧草地を登って行く。道形は不明瞭。 | 途中のゲート。若い牛が出迎えてくれていた。 | C大山山頂の様子。 | C柵のこのスリットが入口。 |
C三角点上の山頂標識。 | C三等三角点 | C三角点より僅か北に最高点。 | C「秋味」を堪能 |
Cこちらが上ってきた側。霧降高原に向かう場合、進路が全く判らないような。 | C下山開始。 | 舗装路に出る。 | 舗装路から再び牧草の上に。 |
丸太が階段状に並ぶが、雨でもあり、かなり滑る。 | 放牧中の牛。かなりおとなしい。 | D猫の平からマックラ滝へ。 | ルートの様子。 |
E玉簾の滝と、マックラ滝への道の分岐。 | 木橋を渡るとすぐ先に見えてくる。 | F周囲ではシャワーのような飛まつを浴び、なかなか見応えのある流れとなっていた。 | G Eの場所再び。 |
H玉簾ノ滝。 | 途中にあった洞窟?足元は冠水していた。 | 渡渉点のこの橋はやたらと滑る。 | 二つ目の渡渉点。右岸側から見る。 |
土が流れてしまった場所。急登で歩き難い。 | 途中で高原道路に出る。 | Iつつじヶ丘の登山口。駐車スペースは十分。 | つつじヶ丘の観光客用駐車場。 |
J霧降滝も水量があり美しい。 | Kガランとした駐車場。広い駐車場はあまり利用者が居らず・・・。 |
予定では、またまた八方尾根であった。「連れて行って」とせがまれてから、はや2ヶ月くらい経過しているか・・・。しかし12日もまた日本海側の天気は雨模様。高所での雨が気持ち良い場所ならいいが、「寒さ」を感じる標高であり、他の場所を選ぶことに。
もともと18時に桐生市に小用があり、それに託けて日光の山を選ぶ事にした。日光・宇都宮方面もあまり天気は芳しくないが、なにせこの日もまた気温が高い。降っても気にせず歩けるだろうと踏んだ。そして行き先を霧降高原の大山と決める。山を楽しみながら、滝をも楽しもうと言う企画。前日の疲れが少々残るが、遊び場が山で有れば、喜んで決行である。
7:30遅いスタートであり、すぐに高速に飛び乗る。北関東道を伊勢崎まで走り、R122で日光を目指してゆく。今回のコースはピストン行程でなく周回予定。霧降高原とつつじヶ丘とを登下山口と設定していた為に、その間を結ぶ旧有料道路は公共機関のバスに乗る事にした。事前に運行表を調べると、9時台に2便、10時台に1便。それ以降は大きく時間差があり1時間待ち。その時間を頭に入れながら、インパネの時計に目をやりながらアクセルを踏み込む。日光の混雑を認識しているのか、ナビは10時45分なんて到着時刻を告げている。残り距離は僅かなのにどんな計算をしているのか。ナビに反感を抱きながらも、それに反応して清滝ICから有料道路に乗って一区間走り日光ICで降りる。しかし、ここは利用価値なしだった。片側一車線であり、遅い車が居ると「速さ」が全く期待できないのであった。焦りながらなんとか10時10分のバスの乗ろうと、混雑する駅前を通過し169号に入って行く。前後にはバイクの爆音がある。観光地日光はバイカーにとっても格好の目的地。それは判るのだが、マフラーから吐き出されるこれら大音量は、間違いなく自然を音で壊している。
霧降滝駐車場に上がった時点で、既に10時5分前。残り15分で準備してバス停の前に立たねばならない。上からバス停まで歩いたのでは間に合わず。バス停に一番近い、分岐点の僅か先の駐車場に突っ込む。そして急いで準備をしてバス停に駆け降りる。何とか7分前にバス停の前に立つが、時刻表に対して5分遅れの10時15分にバスはやってきた。焦る事は無かったような・・・。そしてバスに乗り込むと、それを待っていたかのように雨粒が落ちだした。忙しく動くバスのフロントワイパー。その動きが止まる事はなく、周囲の景色はどんどんとガスに包まれて行く。ちょっと場所選択をミスったかと思ってしまった。
霧降高原を終点とする(大笹牧場終点もある)バスに当り、利用料金が540円。トイレの先の連絡トンネル内で靴をしっかりと縛ってから、傘をさして歩きだす。他にもちらほらとハイカーは居り、その多くは丸山側に進む人たちであった。分岐道標から下り込むように笹の中の道を行く。ゲレンデ脇を通る道で、大山を導く道標もしっかりとしている。10分ほどで再び霧降高原道路を潜り東側に出る。ここのトンネル内に「井上昌子」のいたずら書きがある。この先は、しばらくは気持ちの良い広葉樹の中を行く。雨で滑り易い事を除けば、快適も快適。さすがハイキング道と思えてしまった。合柄橋の手前に分岐道標があり、ここには日光における戊辰戦争の解説が書かれていた。カメラを構えつつ、ディスプレイを通して文字を読み込む。
大山に向かうに対し、どんどんと高度を下げて行く。スタート地点が1340mくらいであり、大山が1158mである事から下りは理解していたのだが、なかなか登りに入らない山登りもちと辛い。途中で3匹のホワイトテリアを連れた二人連れがすれ違う。雨を気にする飼い主に対し、犬の方は楽しそうに短い脚で駆けあがってきていた。飼い主からは「どうするこの汚れ、拭いても取れないよ〜」と、確かにその犬たちは綺麗に育てられており真っ白。まあここに連れてきた以上、汚れはしょうがないだろう。道形はしっかりしているものの、あまり刃物が入れられておらず、左右から笹が張り出している場所も多くなる。先ほどの方々が露払いをしてくれたようではあるが、降雨はすぐさま笹をじっとりと濡らしていた。同行者に向けて、「雨具履くか?」と聞くと、「冷や冷やとして、けっこう気持ちいい」と言う。外気温を見ると25度を指していた。自然と遊ぶ=自然を感じる。望むところである。ズボンを濡らしながら笹を分けながら足を進めて行く。
目の前に変なドブ漬けメッキされた構造物が現れる。遠巻きに見ると、なぜにここにと思うようなものであり、近づくと有刺鉄線を跨ぐものと判った。もっと違う方法にとも思えるのだが、なにかこれだけの構造物にお金をつぎ込むのは勿体ないようにも思えた。今ではそれを利用せず、跨いで鉄線を超えている。無用の・・・となっていた。斜面を這い上がり、その先で牧草地に出る(入る)。この入り口となるゲート幅が狭い。ほぼ400mmほど。掌を左右に2個並べた幅しかなく、「痩身ゲート」と呼びたくなるようなものであった。少し太った方は間違いなく通れない。通れない人は柵を攀じ登るしかないのだが、牛が逃げないような幅である事は判るが、なんとも厳しい通過点。そこに横にチェーンも張ってあるので、それを跨ぎつつすり抜けねばならないのも苦痛であった。「なんだよこれ」なんて言っていると、「体が硬いねぇ〜」なんて声が後ろから・・・。確かに、それがあるので苦痛でもあるのだった。
牧草地を高みに向けて進んで行くと、再び先ほどと同じゲートがある。そしてそこでは数頭のホルスタインが出迎えてくれた。可愛い目をしてじっとこちらを見据えている。人懐こそうな個体が数頭おり、こちらを気にしつつ牧草を食んで居た。そのうちの一頭はゲート前からなかなか動こうとせず、こちらを見ている。彼(彼女)が門番か、「悪い事はしません、通らせてください」と言うと、静かに脇に逸れた。ゲートを越えて中に入ると、先ほどの牛から豪快な「ビープ音」が発せられた。発したのはお尻から。草食動物らしい長いその音。「屁でもひっかけてやれ」と思ったのか。いや違う。出兵でも帰還の出迎えでもラッパを吹きならす。これは出迎えの歓迎のラッパだろう。ニタニタしながらその牛を見ていると、「どうかしたか」と言う表情でこちらを見返してきていた。この先のルートが至極判り辛い。南側の柵に沿って行けばいいのかとも思ったが、そこより30mほど北の辺りにルートがあるようであり、時折道形が確認出来る。周囲はガスに巻かれ、だだっ広い牧草地は、その広さが怖さでもあった。
目の前に東屋が現れ、そこが大山の山頂部であった。僅かに柵が互い違いに造られ、そこから東屋の土地内に入って行く。辺り一面イノシシの土抗の痕があり、牧草が掘り返されていた。三角点は案内地図看板の裏手にあり、少し特異な場所に設置してある。その上には山部3D風標識がかかる。少し北側の方が高いようで、15mほどズレた場所が最高所のようであった。しかしそこには標識類はない。この三角点の場所が現在は最高所の様子。依然雨は止まず。東屋の中で缶ビールのプルタブを起し、祝杯とした。不埒にも今日は水を全く持ち上げてきていない。このビールが唯一の水分となる。でもそのビールは逆効果、給水しているようだが体内の水分を奪って放出してしまう作用がある。不届きハイカーとはこの事。まぁあまり水を欲しないので、麦酒は水分補給と言うよりも、山行のアクセントとしてのアイテムなのだが・・・。ベンチに腰をおろし、ガスの中での遠望。次第に雨が止み、少しだけ遠くが見渡せるようになる。そして地図を見ながらこの先の進路を確認。さあこの先は、幾つもの滝巡りが待っている。ある意味メインイベントがこの先にあるのだった。雨であり、少し水量も多くなっているはず。期待を胸に下降に入る。
道標に従い進路を選び、またまた階段状の構造物を乗り越えて下降路に入る。その最初は深いササで、すぐにズブ濡れ状態。“これでいいのか、ここはハイキング道だよな”などと心でつぶやきながら、南アルプスの笹原の中のような道を分けつつ下って行く。すぐに深い笹は無くなるが、その深いササの出現にややドキドキした。すると、目の前に舗装路が現れた。これが上の牧場への連絡林道となる。その舗装路は、嫌な事に非常によく滑る。牛の糞のせいなのかとも思ったが、雨も加担してツルツル状態の中、足を滑らすようにズリ足で下って行く。再び道標に従い牧草地内に入るが、この先のルートがいまいち不明瞭。最初こそ伝って行けるが、途中で牧草地内の車の轍を選んでしまったら、明後日の方向に進んでしまい慌てて西側の柵側にずれる。ルートは柵の際に切られているのであった。滑りやすい丸太階段には足を乗せないようにし、牧草を踏みながら降りて行く。再び舗装路が現れると、その上をしばし進んだ先に15頭ほどのホルスタインが休んでいた。それに視線を注いでいると、道を挟んだ反対側から視線を感じる。見ると中型のイノシシであった。こちらを見るや、あわてて反転して逃げて行った。牛との距離2mほど、おとなしい個体ばかりであり、その脇を静かに通過して行く。
そして再び山道に入る。少し根の張る場所もあり、雨で滑りやすさもある。ゆっくりと焦らず降りて行く。周囲からは水の流れの音がし出し、霧降川に近付きつつある事が判る。玉簾滝とマックラ滝の分岐からは、西に進んでマックラ滝を寄り道。すぐに車道に出て、その先の木橋を越えて進んで行くと、大ぶりな滝が見えてくる。近づくと滝からの飛沫がシャワーのように周囲に飛び散っている。それを受けても気持ち良いほどの気温。どんどんと奥に入りカメラを構える。数秒でレンズが飛沫に覆われる。レンズを拭き拭き、瞬時に撮影。少し戻って遠巻きに見上げる。今日は水量豊富でかなりいい感じ。当り日か。先ほどの分岐まで戻って、つつじヶ丘に向けて降りて行く。ルートはややなだらかになり、ハイキングコースらしくなる。脇を流れる霧降川も緩やかで、夏場にもってこいのルートでもあった。そして右側に、それらしい滝が見えてくる。登山ルートの脇に観爆台のような場所があり、そこに上がり眺め観る。少し水量が多いのが仇になっているか、簾のようには見えず、やや水量過多な感じ。それでもここならではの造形美がある。この周辺は、なにかここが日光では無いような感じさえしていた。
玉簾滝から下ってゆくと、途中に洞窟のような、ほら穴のような開口がある。登山道から少し逸れて覗き見ると、中は冠水していて、そこに丸太のステップが置かれ奥の方に進んでいた。なんの穴なのか・・・。この先の丁字滝は端折ってつつじヶ丘へと急ぐ。渡渉個所を二つ通過し、その先からちょっとした登り上げとなる。土が流されたその場所は、丸太階段が歯槽膿漏のように残り歩き辛い。登りきるとおそらく霧降ノ滝の上なのだろう、大きな流れの音が下の方からしている。しかし進路はそこから逸れるように大きく西進し出し、いつしか霧降高原道路と併走するような場所に出た。後ろから「舗装路に出ちゃおうよ、楽じゃん」と声がかかるが、この先に一番のメインとなる滝が待っている。後ろからの言葉に反応せず、黙々と登山道を降りて行く。
目の前の景色が明るくなり、大きな広場的場所に出る。大きな看板があり「大山」と「玉簾滝」を示している。登山口到着であった。ここから登る人は、この広見まで車を入れられるようだ。舗装路を下ってゆくと、山のレストランがある霧降滝の公式駐車場。多くの観光客が茶屋前で休んでいたり、滝に歩いて行く姿があった。山のレストランの下を通り、滝への道を行く。滝壷へ下る道はタイガーロープで閉鎖されており、現在は通行不可。それを左に見ながら石畳の道を行く。僅かにアップダウンを繰り返すこの散策路。日頃歩き慣れないのか、苦しそうに登り降りしている観光客の姿があった。そこをスイスイと歩いて行く。山をやっていて良かったと感じる時でもある。
霧降滝観爆台。3段構造になっており、多くの観光客を受け入れられるよう、傾斜地形を利用して上手い構造物が出来上がっていた。その最下段が一番の展望場所で、そこから霧降ノ滝を見下ろす。周囲に少しガスがかかり、それにより少し荘厳な雰囲気。白い太い流れは、写真で見るそれよりやはり水量が多い。今日はより迫力のある霧降滝となっていた。観爆台からは少し距離があり、行けるものなら滝壷辺りから観られると大迫力になるのだろう。しばしの観爆の後、来た道を戻る。「天然氷」これが目に入り、茶屋の所でかき氷を食べようか迷うのだが、グッと我慢して車道を下る。途中から釣り堀の跡地に入り込み、駐車場敷地に降り立つ。
ハイキング道と表記があり、簡単なあっさりしたルートかと思っていたが、雨もあり、牛の登場があり、滝の出迎えもあり、かなり充実した行程となった。晴れていればまた様子が違うであろうし、この先、紅葉が深まれば最高の場所と変わるだろう。