不納山     1291.1m  (敗退)              
   

 2010.7.4(日)   


   曇り      同行者あり     林道終点地よりより      行動時間:36M


@登山口12:01→(24M)→Aフェンスのある階段地点12:25→(12M)→B下山12:37


  
tozanguchi2.jpg  tozanguchi.jpg  touboku.jpg  fensu.jpg 
@登山口には食塩水があるのだが・・・。 @案内図 林道の倒木を跨ぎ Aヒルの大量攻撃に怯み、撮影側で撤退を決める。
gezan.jpg  hiru.jpg     
B早々に下山 こいつらは強い!



 尾瀬に行こうかと声が掛かったのだが、早朝から地域の奉仕活動が入っており、それが終わったのが9時であった。経路時間と、歩行時間、それにマイカー規制を思うと、尾瀬は無くなった。さあ、何処に行こうかと思案するのだが、暑い時期であり、樹林帯の中で歩きたい。それも経路2時間内で無ければならない。この時間帯が、同行者が快適に歩ける最長時間なのであった。この条件下で、周辺地図をつらつらと見ていると、四万温泉の所に適当な山が見つかった。「水晶山と不納山」。こんな時の為に残しておいたのだが、この時、ある重要な事を忘れて場所決めをしていた。現地に行って気づくのだが、時既に遅し。

 スローペースでのんびりと現地入り、山口館の脇を通ると、泊り客の送り出しをしている光景が見える。さぞかしいい湯だったことだろう。北に進んで行くと、しっかりと「水晶山」を示す道標があり、本道に向かう道を左に見て、右の道に入って行く。濡れたアスファルトの道で、先に行くほどにじめじめとした感じ。そして行き着いた先には、しっかりとした案内図がある登山口となっていた。しかし駐車スペースは、やや泥濘。登山口前の路肩に駐車する。

 すぐさま準備をし、登山口からスタートとなる。その入口には「食塩水」が置いてある。そうだった、ここは蛭が居るのだった。この時はたいした事は無いだろうと軽く考え、適当に足許にその水をスプレーする。一方同行者はスプレーせずに通過して行く。効果は如何に、と言うか、ほとんどヤツらの攻撃を甘く考えていた。

 林道となっている山道をクネクネと伝ってゆく。途中途中には、熊対策用にガスボンベを切断して作った鐘が設置してある。金槌で叩きながら、そのかん高い音が山間に響く。それを叩く楽しみがアクセントとなり、なんとなくハイキングに面白さが増すような。この時すでに、ヤツらの攻撃は始まっていた。

 沢を右に見ながら、流れの音が心地いい。やや倒木が登山道を覆う場所もあるが、往々にして歩き易い道と言える。少し入道雲が張ってきているので、雷雨が気になっていた。背中側からは、温泉街を通過する大型バイクのエキゾースト音が聞こえる。ここは四万温泉において、最楽のハイキングルートと言えよう場所である。でも、クモの巣がルート上に沢山張っており、ほとんど入っていない様子。不思議に思ったのだが、この先気づかされることになる。

 登山道上にフェンスが張られた場所があり、なぜにこんな所に・・・と階段状のルートを登っていたら、後ろの同行者から、あまり聞きなれない悲鳴が上がった。下を見てじたばたしだしたので、すぐに蛭と察知した。「だいじょうぶ、だいじょうぶ、枯れ枝で落せば・・・」そんな簡単な言葉をかけた。しかし悲鳴とじたばたは消えなかった。近づいて登山靴と、ズボンの足許を見ると、20匹近くが取付いていた。流石の私もその光景に怯み、少し気持ち悪くなった。すぐに自分の足許を見ると、そこにも大小15匹くらいが蠢いていた。まずは同行者をと、蛭を摘んで取り払うのだが、その吸盤の強さたるや。摘む横から、スキあらばくっ付こうとしている。靴の中を確認するが、とりあえず入っていない。でも彼らの行動を見ていると、非常に動きが早く、10cmほどを10秒もかからずに移動している。凄まじい生命力。いや感心している場合で無い、次は自分を・・・。捕っている脇から登ってきているような・・・擬態と言うか、土色に同化していて判らないのだった。

 既に同行者の気持ちはブルー。「もう無理」、と下山を決心しているようだった。私はこのくらいでは山頂を目指してしまうのだが、確かにこのまま進んだら、もっと酷い状態になるだろう。ここは春から秋にかけて、入ってはいけない場所であることを、この時強く体感したのであった。折角登ってきて、すぐに降りるのを足踏みしていた私に、「早く、鍵貸して、先に降りるから・・・」。同行者にはもう、下山しかないようであった。場所選定の拙さを反省しつつ撤退となった。

 当然下りでもヤツらはくっ付いてくる。登山口に到着すると、登山靴にまた蠢いていた。同行者は、場所の見境無く素っ裸に近い状態になり、蛭が着いていないか確認している。それほどにヤツらの動く様子が気色悪いらしい。「大丈夫だよ、ミミズの動きのいいヤツと思えば・・・」そんな私の気休めの言葉には、耳を貸さない様子だった。

 簡単に着替えて温泉街の中の清流の湯に行くが、車を降りると、ボディーの下からポトリと蛭が落ちた。こんな所に・・・ここの蛭の執念か・・・。凄まじい四万の蛭の実態を体感した。今後、このエリアの山に入るのは、しっかりと時季を気にして入るようにすると強く誓う。蛭による退散。私にとって珍しい理由での敗退であった。

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