長久保ノ頭(大塚)  1065.7m     父不見山    1047m
    

 2010.01.17(日)   


  晴れ     単独       小平地区側からの林道途中から入山          行動時間2H15M


@林道途中入山口11:59→(39M)→A県境尾根に乗る12:38→(9M)→B長久保ノ頭12:47〜56→(11M)→C父不見山13:07〜15→(40M)→D林道に降り立つ13:55→(19M)→E入山口に戻る14:14


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@林道途中の父不見山の道標の場所から入山。しばらくは車道幅で登って行く。 A県境尾根に乗る。 もうすぐ長久保ノ頭。 B「大塚」と書かれた行政の標柱が立つ。
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B二等点が鎮座。 B道標もしっかりしている。 C標識類で賑やかな父不見山。 C北側へ下る尾根。マーキングが降りている。
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C伝ってきた西側の尾根。  C前回に伝った東側(杉の峠)への尾根。  父不見山と長久保ノ頭との鞍部から北に降りて行く。  途中で山腹を横切るトラバース道に乗る。 
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三沢川の右俣谷の上部  谷の下側の絵  途中に草刈り機の刃も残る。  下って行くと、大岩の前に崩壊した作業小屋があった。 
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Dここで林道に降り立つ。  E周回完了。     


  

 前日は志賀高原で雪に弄ばれ、思うような行動が出来なかった。あまり背伸びせず遊べよ、と言う事なのだろうが、不甲斐ない状態のまま週を開けるとフラストレーションが溜まったままになる。ここはきっちり1座踏んでけじめをつけておかないと・・・。しかし翌日曜日は臨時の出勤日で、「遊び」は2番目の位置にあった。半ば諦め気味に出勤すると、なんと願いは叶うもので、上手く事が運び午前中で作業が切り上げられた。となるとここで西上州の出番である。旧万場町の長久保ノ頭を目指す事にした。珍名で名高い「父不見山」(ててめえずやま、ててみえずやま等)の西側にある三角点峰である。その父不見山を以前踏んだ時には、コンサイスには掲載されておらず、もとより地形図に載らない山であったので登る対象になかった。それが山名事典に掲載され、晴れて対象になったわけである。「また行く」と言うよりは、「また行ける」と言った意味合いの方が強く、やはり父不見山の山名は、登山心をくすぐるのであった。

 
 仕事を終え、急いで神流町に向かう。日曜日のまったりとした風景が車窓から見えるが、早く現地にと気ばかり焦る。1時間ほどの登りであり、たいした負担ではないのだが、「早出」が基本である私には、かなり遅い時間に思えていた。久しぶりに神流湖の脇を通るが、かなり道の様子が変わっており、昔通っていた舗装路が、寂しく道路脇に見えている場所が多かった。道路の改修工事は現在も進行形で、四回ほど仮設信号に停められながら、上野村方面に進んで行った。

 
 前回、父不見山に上がった時は杉の峠側からのアプローチだった。となると今度は坂丸峠側の西からアプローチしたいと思うのが順当。地図を見ながら、神流川に沿って299号を西進し、小平地区で小さな橋を渡り右岸側の村落内に入って行く。道標が全く無いので、地形図と睨めっこをしながら林道を上がって行く。カーナビに残る軌跡と、地図を照らし合わせるような事もしながら現在地を把握。本来なら下から足で登りあげる事をすればよかったが、付近には道標が見えない。登山口を探している時間より、林道で高度を稼いであとは適当に登ってしまおうという魂胆でもあった。


 エアリアには「林道坂丸線」との表記があるが、この林道の入口にはそうは書いておらず、別名の表記となっていた。伝ってゆく林道は、凍っておりツルツル。タイヤが空転しながら上がって行くのだが、その音が悲鳴にも聞こえていた。“帰りはこの氷の上をどう降りようか”そんなことを思いながら、何度も現われるアイスバーンの上を悲鳴を上げながら上がって行く。いざとなればチェーンがある、と思っているのだが、ここらへんはいつも楽観的なのであった。高度を上げるに従い氷は積雪に変わり、とある分岐に出た。左(東)に行くと父不見山の山腹を巻くように進んでいる林道のようで、地形図の破線がある右(西)側に進んでみる。分岐から400mほど進むと、ここでやっと父不見山の道標が現われ、軽トラが通れるほどの山道が南側に入っていた。林道を挟んで麓側にも、同じような道が降りていて、ここで登山道が林道を跨ぐ場所だと理解した。駐車余地が無いのだが、山側斜面に車の1/3をかけるようにして、林道の通過幅を確保する。


 準備をしてすぐにスタート。軽トラなら十分入っていける道幅で、九十九折をしながら上がって行く。途中途中に枝道があるのだが、それがショートカット道なのか本道なのかよく判らず、そのまま太い道を追ってゆく。雪の上には犬の足跡が多い。そこに一人分の踏み跡もあり、どうも猟師が入っていたようであった。林道に導かれるままに伝うと、車の通れる幅は終わり終点となった。そこから山道になる。スギの植林地の中を九十九折を繰り返して行き、どんどん高度を上げてゆくのはいいが、どうにも坂丸峠には向かっておらず、左上の方に目指す長久保ノ頭の高みが見えてきた。と言う事はどこかで登山ルートを外したと言う事になるが、その場所がどこだったかが全く判らなかった。


 県境の尾根が近づくとリボンが現われだし、10センチほどに育った霜柱を踏みつけながら歩いて行く。周辺は落葉樹のところには雪があり、植林された針葉樹のところには無いような状況であった。そして尾根に乗った場所には小鹿野町道標が付いていた。もう長久保ノ頭は目と鼻の先。この標高であるが、かなり風が冷たい。そう思い奥秩父や西上州の高みを木々の間から眺める。“高い所はもっと寒いだろう。こんなくらいで・・・”と喝を入れるのであった。


 目の前に一本の標柱が見えてくる。行政の標識である事は間違いなく、表記は南を向いていた。北側から登りあげるような格好になり、回り込んでみると、なんと「大塚」とあった。「長久保ノ頭」とあると見込んで行ったのだが、予想を外された。確かに山名事典には「大塚山」と別名が表記されており、予期せぬ部分ではなかったのだが、地元では長久保ノ頭より大塚で呼ばれる事の方が強いようであった。大塚大塚と連呼していると世の大塚さんに怒られそうだが、上州には鹿沢温泉エリアにも大塚山があるが、ここも大塚さんにとっては楽しみな場所になるかもしれない。展望は南側が開け、他の方角は樹木に遮られている。一応目的地を踏んだので、帰る選択もあるのだが、ここまで来て珍名山の父不見山を踏まずに帰るのも勿体無い。東進して行く。


 大きく下って、再び急峻を登り上げる。雪の上にはビブラムソールの足跡が残り、今日もしくは昨日にハイカーが通ったような新しいトレースが付いていた。父不見山に到着すると、標柱やら道標やらで賑やかな山頂になっていた。新しいのを建てたが、古いのも勿体無いから建てておいてあるように見えた。以前登頂した時にあった、プラスチックに「抜き字」されて書かれていた標識は、地面に落ちていた。じっとしているとどんどんと冷され寒い。動かねばと下山路を探る。同じ道を戻ってはつまらないので、823高点へ繋がる北へ降りようかと思った。誘うように白い荷紐のマーキングが下りて行っていたのだが、流石にちょっと林道歩きが長くなる。それならと、長久保ノ頭から北へ降りる尾根を伝おうと考えた。


 再び長久保ノ頭を踏むべく向かうのだが、途中の鞍部から雪の乗った広葉樹林が広がり、ここを辿っても良いように思え、高度を落としてゆく。すると、標高930mほどで山腹を真横に通る杣道が現われた。廃道は廃道のようだが、それにしてはしっかり歩ける幅があり伝いやすい。どうやら父不見山から北に下っても、途中でこの道に出会うだろうから、鞍部まで戻らずに北に下っても良かった事になった。さあこうなると、この道がどこまで行っているのか確かめたくなった。三沢川の右俣の谷を跨ぎ、ほとんど高度を替えないまま西に進んで行った。その途中には草刈機の刃が掛けられた場所もあり、林業用の杣道であることは明らかになった。

 暫く伝ってゆくと985高点から北に続く尾根上に乗った。ここで往路の登山道(登山道と言っていいのか判らないが)と合流した。そのまま伝っては面白くないので、ここで往路は辿らずに尾根上を下ってみる。702高点を狙うように行くのだが、途中で下の方に林道が見え出し、それに吸い寄せられるように尾根を逸れて北に下る。途中で沢の中に入ると、大岩の前に崩壊した作業小屋があった。そのまま降りて行くと、出た先は「業」「公」の2つの看板が残る所であった。雪の乗った林道の上を西に戻ってゆく。


 降り立った場所から1.5キロ、スタート地点に戻る。もうすぐ車と言う所で、斜面をガサガサと歩いている音がした。足を止め息を潜める。音で動物の種類を判断するべく、自分なりに連想する。小動物なのか中型なのか、大型は冬眠だろうから、まあ鹿なのだろう、そんな予想を立てて斜面を見入る。それは鹿だった。流石に向こうも察知するのは早い、こちらに気づくなり、猛スピードで斜面を駆けて行った。

 車で林道を降りて行く。凍っている所は、流石にABSがガガガと利き出す。それでもよく滑りヒヤヒヤ。いざとなれば山側に突っ込む覚悟でシナシナと降りて行く。すると前方にスタックした車があった。完全に氷で滑って山手側の側溝に落ちて動けない状態であった。いつもなら牽引ロープを積んでいるのだが、あいにく今日は別の車に積んであった。運転手に「牽引ロープありますか?」と聞くと、「無いです」と返って来た。「どうされますか?」と言うと「地元なので、家族を呼びました」と回答が、「助けられなくてすみません」と謝り、さらにスピードを緩めて下って行った。冬場は注意すべき所は登山道より林道かもしれない。

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