長須ヶ玉山    1913.8 m         


 2013.6.23(日)    


   晴れ    単独      佐惣沢出合より      行動時間:4H46M 

   携行品: ライトオックスブーツ 


@佐惣沢出合5:15→(61M)→A沢と別れ尾根に取り付く6:16→(45M)→B1650.8高点付近6:51→(70M)→C長須ヶ玉山8:01〜12→(20M)→D1750m付近尾根を離れる8:32→(18M)→E1550m沢に降り立つ8:50→(71M)→F林道に出る10:01


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@舟岐川沿いの林道を進み、佐惣沢の出合から入山。沢の右岸側に明瞭な杣道がある。 道形を追って遡上して行く。沢から15m〜20mほど離れた場所に切られている。 マーキングがあったりする。ここはやや不明瞭。右上に進む。 ルートが沢に近くなる場所もある。
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途中から完全に沢の中。渡渉を繰り返し縫うように進む。居心地のいい場所。 絶縁テープのマーキングがあったり。中央にルートがあるのだが、この程度の道形になってゆく。 さらにマーキング。そろそろ不明瞭箇所が増え、沢沿いルートから尾根へと行動を切り替える。 A沢を離れ尾根に取り付く(取り付いて6分ほど登った場所)。植生の薄い歩き易い尾根。
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標高1470m付近。 見事な発色の菌類が居たり。 B1650,8三角点峰付近。三角点は確認しなかった。 1650.8高点南の最低鞍部。
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1730m幕営適地。 1790mでこの尾根に入って初めての人工物を見る。 1850mの大岩に木が根付いた場所。 1890m付近。ヌタバなどが散見。
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1910m付近 山頂大地には残雪が多く残る。 C長須ヶ玉山。平坦な地形の中で、ここだけ高くなっている。 C二等点がいい風合い。
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C人工物は無いかと探すと、高い位置にあった。 C3mほどの位置。積雪量は2mほどになると見込まれる。 C北側にも高い位置にリボン。 C美生柑で喉を潤し。
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山頂大地の北西が特に残雪が多い。 往路に見た大岩の場所。 D1750m付近。この穴の場所から尾根を離れる。 上の方は沢上の中を降りて行った。
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途中から沢形状はなくなり、小尾根を伝ったり、適当に下る。 E1550m付近で沢に降り立つ。 沢の中には、なにか調査の為だろうこれらが設置してあった。何箇所も見られた。 1430m付近。沢の中をズンズンと降りて行く。
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出合の場所。左から沢が合流した辺りから見る下流。 Fもうすぐ林道。道形の様子。 F駐車の様子と、右に釣り師。



 
 御神楽岳を降り湯倉温泉に浸かってから、進路を金山町から尾瀬方面は桧枝岐に定める。のんびりとした田園風景に特異な屋根勾配の家々、雪がなくとも雪が見えてくるような景色でもあった。初めて通過する401号を経て、そのあとは何度も通過している桧枝岐への道に入る。こちらに来ると、ぐっと車の往来が増えていた。褪せる車に尻を突かれながら桧枝岐に到着。裁ちそばを遅い昼飯として、まずは下見と、舟岐川に沿う帝釈山の登山口への林道に入って行く。

 広窪のキャンプ場を過ぎ、その先が長須ヶ玉山から北に派生する尾根末端。普通にここから取り付こうと思っていた。するとその場所には道形が見えた。長須ヶ玉山にルートがあるとは聞いていないので、喜んでいいやら悪いやら。携帯を見るとここは電波圏外。斥候はここまでとし、一度通話圏内の新燧の湯まで降り、ここで車中泊。下の公園ではサイクリストのイベントをやっていたようで、谷間にマイクを通しての声が賑やかに響いていた。

 
 翌朝4時起床。前日の行動もあって、夜中の2本のビールもあって熟睡であった。所謂快眠。すぐに「おめでとうメール」を送る。この日が誕生日の方が居り、そのために圏内に入っていることが必用なのであった。ガラス内側に着いた湿気を拭い、前日見定めた取り付き点まで車を上げる。佐惣沢の出合いの場所の、袋になった場所に車を路上駐車する。距離としては短いが、このエリアは方位によって密度の濃い藪があるのを体験している。北斜面であり、少しそれは軽減できるだろうと踏んで出発となる(5:15)。

 
 道形があるので、普通にそれに伝ってみた。杣道のようであるが、沢沿い・・・ワサビ田でもあるのか、山菜の採れる場所があるのか。半信半疑で伝って行く。予想外によく踏まれた立派な道。釣り竿を持った方々の踏み跡なのか・・・。このまま目指す長須ヶ玉山へ行ってくれれば願ったり叶ったり。流れの音を右に聞きながらゆっくりと足を沿わせていた。予定外の速い進度。やはり道の存在はありがたい。

 
 流れに対して、距離にして15mほどの場所に並走するように道形であった。途中左に植林帯があり、管理されたエリアに幼木(やや大きくなった)が見える。小さな沢を跨いでゆくと、その先はやや鬱蒼とした緑の中へ突入して行く。周囲には食べられる山菜が目立つ。瑞々しいウワバミソウ、太いミヤマイラクサ、帰り用に狙いを定める。いつもは軍手はしないのだが、今日は珍しくしてきている。ミヤマイラクサを採れる格好になっていた。

 道形は緑の植生に覆われ見出し辛くなっていく。そんな場所に赤ペンキでのマーキングがあったりする。目を凝らして周囲を見渡すもあまり見えてこないのだが、少し予想をつけて足を進めると、「あった」とばかりに道形に乗る。なにせ沢を遡上する事を思って進めば、外す事はないようだ。ただし、枝沢が所々にある。距離的感覚をもって、周囲地形と地形図の照らし合わせは必要であった。そして磁石での方位確認も織り交ぜる。

 
 以降もマーキングが散見できた。その周囲で道形があるのだが、奥に行くほどに見出しづらくなってゆく。目指す場所はこの沢の源頭と言っていいような場所。進めるだけ進んでも良かった。尾根登りで予定していたこの山だが、意外な沢登りとなっている。標高1330m付近で沢が南東に僅かに屈曲する。そこを抜けその先、1370m地点で今度は南に屈曲する。こう見えるのは地図を見ているからであり、現地では、その二回目のターンで南西側に進んでしまうような地形に見えていた。地形図に見える1450mからの右俣に入ってしまっているような錯覚も覚え、しばらく伝ってきた佐惣沢の遡上もここまでとし、尾根歩きに切り替える事とした。

 
 沢を離れたのが1370m付近。東に斜面を這い上がり、少し上に行くとしっかりとした尾根に乗った形となった。植生も薄く歩き易い場所。時折藪もあるが、それらは短いスパンで再び歩き易い場所に変わる。間違いなく1650.8三角点峰の西尾根を登っているようだ。マーキング類は皆無で、人の気配はない。自然の中を歩いている感が強く、かなり心地いい。そんな中、前方に黄色いマーキングが見えてきた。最初は絶縁テープかと思ったものが、近くなると黄色のペンキに見え、さらに寄ると、なんと菌類であった。人工物でなくて良かった・・・。この先も快調に高度を稼いで行く。特に問題になる箇所はない。

 
 1650.8m峰の一角に乗る。三角点を拝んでいこうかと思ったが、なぜか足は南を向いていた。それには、歩き易いとは言え、既に下半身は下草漕ぎで濡れ鼠。ベタベタと纏わりつき、進行の負荷となっていた。三角点を探さなかったのも、省力したい思考もあったから。三角点峰から緩やかに下って行く。この付近は倒木が多い。最低鞍部から緩やかに登り返してゆく。背丈以上を漕ぐ場所もあるが、距離が短く抜け出る爽快感が何度も味わえる。

 
 1730m付近まで上がると、そこには幕営適地があった。テント設営にはちょうどいい明るい地形。相変わらず傾斜は緩やかで、ガツガツと言うよりは坦々と登る傾斜であった。1790m付近でピンクのリボンを見る。沢を離れてから初めて見る人工物であった。その先のマーキングを追うも、続いている様子はなかった。植生はルートファインディングを楽しませてくれる。ここは僅かに左右に振るだけで、歩き易さが変わる。鹿道も見え隠れしており、密生帯ではそれが役に立った。

 
 1850m付近には亀の頭のような岩の上に根付いた木がある場所がある。大岩と言うには小さいが、それなりに目印となる場所。もう山頂は近い。この先で、こまめに打った赤い絶縁テープが続いていた。やや寒さを感じ温度計を見ると10度であった。出掛け下で14度であったから、ほぼ標高換算どおりとなる。そして2000mに近い標高を感じる気温。ほとんど樹林帯の中での遠望の利かない中でもあった。これだと、本当に好事家のみが訪れる場所となろう。

 
 1900mで山塊の大地に乗る。なにせ広い山頂部。何処が最高点となるのかと周囲を探してしまうほどの広さ。残雪が残り、その付近で冷気が漂っており涼やか。地形図を見ながら南西側に進路をとると、先の方に2.5mほどの高低差のある高みが見えた。その上には標識類は見えず、「ここでいいのか」と半信半疑で駆け上がると、その中央部に三角点がスクンと立っていた。

 
 長須ヶ玉山到着。三角点の見事な立ち姿。これは美しい。苔の纏わり具合もいい。他に人工物は無いかと周囲を見るも何もなし。と言うか、7mほど北側のシラビソにマーキングはあったのだが山名表示がない。少し首をもたげて上の方を見ると、在った。3mほどの高さの場所に縛られていた。これによりここでの積雪量が見えてくる。展望はないものの、山頂大地の凸部に居る感じが強く、不思議と居心地が良い。美生柑で喉を潤し、体が冷えだした頃に下山となる。

 
 戻りは山頂大地のやや西寄りを伝ってみた。こちらには沢山の残雪があり、そこが雪融けで池塘のようになっている場所もあった。気持ち的には西に下っているつもりであったが、往路に見た亀の頭の岩が見えてきたときには苦笑い。「往路どおりじゃん」と。そのまま尾根を降り1750m付近から、しっかりコンパスを定めて西に降りて行く。下降点とした場所には、木の根に巣穴のような大穴が空いた場所であった。少し谷形状を伝って行くが、途中でそれも有耶無耶になり、だんだんと沢の音が聞こえてきたら、どこでも降りれば沢に降りられると、小尾に乗ったり密藪に突入したりしながら高度を下げてゆく。登りと違って、ササの全てが下を向いており楽な下降でもあった。

 
 標高1550m付近で佐惣沢に降り立つ。少し降りて行くと沢の中に人工物を見る。缶を使った捕獲器のようなものにストッキングほどの長さのネットが付いている。最近仕掛けたようで、さほどネットの中にはごみが入っていなかった。20mおきくらいに設置してあり、食料捕獲と言うよりは研究機関が入渓しているように見えた。沢の中をジャブジャブと降りて行く。岩を乗り越えたり膝下まで水没したり、それでもここは水量が少ないので、気持ちよく遊びの範疇で伝って降りて行ける。降りて行くとバケツや、まだ設置していない捕獲器もデポしてあった。

 
 1430m付近で左からの沢と出会う。右俣と左俣の出合い。周囲に道形らしきものは無く、この先しばらくは適当に降りて行く。そして往路に尾根に取り付いた地形が見えてきた。ここまで降りればこの先は記憶の中。少し緊張感を緩め、お土産を少々摘みながらゆっくりと降りて行く。瑞々しいおいしそうなウワバミソウとミヤマイラクサがビニール袋を膨らます。流れを左に聞きながら周囲ではクマゼミの合唱。夏を感じる山歩き。植林帯を過ぎ闊歩して降りて行くと先の方に白い林道が見えてくる。予定より1.5時間ほど早くに降りられた感じ。出口となる林道の上には、こんな所で糸を垂れている釣り師が居た。佐惣沢出合に居る魚を狙っていたようであるが、その行為はいいとして釣果はなかった。居るのか・・・。邪魔をしないよう静かに後ろを通過し車に戻る。

 
 振り返る。この標高を、この短時間で登らせてもらえるのは嬉しい場所。それなりの勘を必要とするが、全体的には優しい藪山の範囲になるであろう。沢を伝えば、夏場でも涼やかに歩ける場所でもあり、新緑のこの時期は至極美しい。そして流れの周囲には山菜が豊富。楽しい要素がいくつもある場所でもあった。


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