威守松山   1214.2m   
           

 2013.3.30(土)   


  曇り(小雪)    単独     柄沢川側から登り巻機山キャンプ場側に下る        行動時間:3H25M


@除雪最終地6:44→(32M)→A2番目の送電線下7:16→(82M)→B威守松山8:38〜39→(48M)→C巻機山キャンプ場南ソリ遊び場9:27〜45→(20M)→D巻機権現社10:05→(4M)→E除雪終点地10:09


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@清水地区除雪最終地点。雪の量は昨年同様。 柄沢川方面に進んで行く。 A2回目に送電線を潜ったら、北側斜面に取り付く。 やや急峻の尾根が続く。
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振り返る。 夏道に乗ると、大パーティーのトレースに出会う。 頂上直下。 B威守松山山頂。今日はピッケル必携だった。
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B威守松山東端。 Bさすがに景色はない。 下降斜面。 えびの尻尾も育ち冬に逆戻り。
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途中でニセ巻機に向かうと言うパーティーとすれ違う。 谷の中を東に降りて行く。 C巻機山キャンプ場南で、子供の行事会場を通過する。 C大きなイグルーが作られていた。
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Cペール缶に薪がくべられ暖が取れるようになっていた。 D巻機権現社。この裏側を降りる。 中央辺りを下りてきた。 E到着。



 気合十分で0時40分に家を出て高速に飛び乗った。出掛けは雨であったが、水上付近で路面は乾き少し安堵。それが関越トンネルを潜り出ると、一気に泣きっ面。でもこの雨は上がる・・・予報・・・。


 塩沢石打で降りて、暗い経路を清水に向けて走ってゆく。途中にコンビニはなくヤキソバパンが仕入れられなかった。悪い予感か。2時半、清水地区の除雪最終地点に到達。横浜ナンバーの1台があるのみだった。すぐに出発する予定であったが、物凄い濃霧で、そこに雨も伴い完全に意気消沈状態で行動など無理。何となく状況が昨年と似ているので、天気を甘く読んだ自分に、「また同じ事の繰り返しだぞ」と心の言葉を吐く。一縷の期待は、予報だが、山は別物でもある。結局シュラフに潜り込み、この時点で上越国境まで上がるのはやめた。


 5時6時と外を見ても深いガス。リアガラスには雨粒が断続的に当たっている。周囲に適当な山は多々あれど、ここから狙えそうな山は一つ。威守松山。夏道がある山であり、アプローチもしやすい山。ただし、周囲の等高線は混んでいるところがある。とりあえずフル装備で行くことにした。外に出て準備をしていると、下の方からにこやかに地元のおばあちゃんが犬を連れてやってきた。「NHKの天気予報で、これから晴れるって言ってたよ。」なんて言いながら除雪終点地に歩いていった。終点地には、横浜ナンバーに加え上州ナンバーのプラドも加わっている。みな柄沢川を滑りに来たのであろう。本来は私も板を履きたいが、白草で傷めた膝が板を履く(重さ)にを耐えられる膝ではなかった。今日もツボ足で行く。


 6:44歩き出すと、上州ナンバーのプラドから若者が飛び出してきた。話を聞くと横浜ナンバーは連れらしい。この天気に行動を決めかねているらしく、私の天気の読みを聞いてきていた。そもそも、谷を軽快に滑りたいのであればスタート時間が遅いと思えた。腐れ雪覚悟で居るのか、天気がこうだからしょうがないと思ったのか。まあ稜線は10m以上吹いているだろう。このガスがとれないリスクがあるとすれば滑りにならない。昨年体験した旨を伝えて背を向ける。終点地の雪の量は昨年同様の様子。


 小雨の中、ここ数日気温が高いせいだろう雪が緩い。すぐにアルミワカンを着ける。今日のためにヒップソリも用意してきたのだが、ピッケルを持つような場所に、何か違うように思えて車に置いてきた。尾根を正面に見て、左に柄沢川の方へ入って行く。進む進路はその尾根に沿うよう(西側)に進むのがいいが、今回は左(東側)に降りて行き川の流れに沿って遡上して行く。もし後続があるならばかわいそうにも思うルート取りなのだが、自分のためのこの谷を知る調査であった。


 最初に送電線を潜ってから、二本目を探すように上を気にしながら行く。ガスの濃いモノトーンの景色に、地形図内の送電線情報はありがたい。最新地形図には消えた送電線だが、私は古い地図を使っているのでその情報がある。絶対的に書いてあって有益。その二本目を潜ったら、左側の斜面に取り付く。夏道が在るようであるが、この大量の雪にその存在は判らない。適当に斜面を這い上がって行く。途中から小尾根を伝うのだが、これがけっこう急で、2箇所ほどピッケルをバイルのように使って体を持ち上げた場所もあった。


 それにしてもこの天気。少しくらいは回復の兆しが見えてもいいように思うのだが、ますます下降線に入っているようで、小雪の量が増してきていた。春と言うよりは冬である。その覚悟で来ている時と、陽射しを予想してきている時では態勢が全く違う。ワカンの刃を刺す様にグリップさせながら騙し騙し行く。本当はアイゼン登高の場所であった。すぐに登れると思った場所だが、意外に手強い。主稜までがなかなか長かった。


 その主稜に乗ると、これまでがウソのようにトレースが残っていた。10名ほどのパーティーが入ったようで、各人全てストックでなくピッケルを持っていた痕がある。という事は、ここを知っているパーティーと判る。格段に歩き易くなり、それに伝って進む。勾配が強い場所では雪が落ち、タイガーロープが露出しているような場所もあった。蹴り込んだトレースにつま先を入れ雪面に四つんばいで上がったりもし高度をズンズンと上げて行く。そうしながらも天気回復を願うのだが、その兆候は全くなく、えびの尻尾が2センチほどまでに成長している場所もあった。風雪というより、風雨雪での仕業で、カチコチに硬化していた。急登箇所はしばらく続き、逆に緩斜面が少ない場所でもあった。


 威守松山到着。大パーティーにより踏み均された山頂。上越国境側に進んでいるのかとも思ったが、ここが最終目的地だったよう。生憎の天気で展望はない。天気が良ければ展望台的場所であろうと思えた。のんびりしたいような天候ではなく、そそくさと山頂を後にする。下山は大量のトレースの行方を探るよう、痕を辿って北西側斜面を降りて行く。


 トレースに伝っているもののけっこう急峻。雪が腐りだせば歩きやすいが、ガチガチのこの時では、ワカンが危なく、途中でアイゼンにスイッチする。山頂から20分ほど下降すると、予想外にも男女のパーティーが登って来た。何か言っている・・・。普通に威守松山までの情報を聞いているのかと思ったら、ニセ巻機山までの情報を聞いてきていた。何か場違いなので、威守松山までの情報を流す。当然その先にはトレースはない。50リッターほどのザックは、軽そうに潰れている。装備もさほどないよう。手にはストック、ザックにワカン、そして羨ましいヒップソリもぶら下がっていた。かなり軽装で挑むものと見ていたが、好天になることを期待して入山しているようであった。ただし、ここから上を目指すのには、時間が・・・既に9時。スキーじゃないしツボ足では国境稜線までで12時を過ぎてしまう。ただ、解せないのはニセ巻機までの情報を聞いてきていた事。まさかこんなミスをするとは思わないのだが、井戸尾根を伝っているつもりで登っていたのか・・・。私の地形図を見せて現在地を把握してもらった訳だが、今書きながら考えると、取り付いた尾根を間違えているような・・・。深いガスの中、大丈夫だったろうか。


 坦々と谷の中を降りて行く。下に行くと少し視界が開けてくる。すると谷に歓声が響く。目を凝らすと6名ほどの男女が居られた。どうやらソリ遊びに興じているよう。近くに行くと代表者の方が居られ、そこで行われる子供対象のイベントの詳細を聞かされる。ここで22年連続して雪遊びの催し物をしているのだそうだ。NPO法人っぽいのだが、本庄から来られているとのこと。仮設トイレが造られ、風除けの大きなイグルーも出来ていた。代表者が山屋だったために話が弾み20分ほど足踏み。ここは巻機山キャンプ場の南。僅かに進むとコテージ群が現れた。


 清水の集落はもうじき。そこへ、大きな声で歌を謡いながら登って来る集団があった。先ほどのソリ遊びのポイントへ向かう小学生の列であった。大きな声で挨拶を交わす。今の子供たちには、貴重な体験。何か得て帰って欲しい。外で用を足すってこともまずないだろう。父兄が居られるのだが、そもそもの父兄自体が初体験であろうと思えた。小雪の降る中、集団の声が背中に消えてゆく。清水地区の舗装路が目の前に見えたが、それじゃつまらないと横にズレながら西に戻って行く。最後に旅の無事を巻機権現社に挨拶して、その裏の崖を下り車道に降り立つ。


 除雪終点地からは、上州ナンバーと横浜ナンバーは消えていた。場所を変えたのだろう。上を狙っていたとすれば、時間から天候からして正解だと思う。今回は、大きな計画がコンパクトになってしまったが、雪と戯れ、そこそこの緊張感もあり、新たな出合もあり、これはこれで大満足。柄沢川も米子沢も既に旬の時期。スキーヤーにとってのこの週末は残念な週末になっただろう。


 三度目、次はしっかりと晴れて欲しい。いや晴れる日をしっかり読んで出向こう。

 

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