虚空蔵山 1076.9 m
2013.1.26(土)
雪 単独 座摩神社経由、ソデから虚空蔵神社に下る 行動時間:2H45M
携行品: 6本爪
@登山口8:23→(11M)→A座摩神社8:34〜36→(58M)→B兎峰9:34→(20M)→C稜線分岐9:54→(7M)→D虚空蔵山10:01〜05→(15M)→Eソデ10:20→(32M)→F虚空蔵神社10:52〜53→(7M)→G座摩神社帰り11:00→(8M)→H下山11:08
@座摩神社側登山口から入山。 | @行政の標識あり。 | 経路はよく管理された参道。 | A座摩神社。上田市内側の展望地。 |
送電線鉄塔を潜る。 | ロープ場に入って行く。 | ここは凍っており、ロープを利用させてもらう。 | B兎峰の岩峰の上から。 |
兎峰からの痩せ尾根。 | 兎峰への分岐点道標。 | 長いトラバース箇所は、深いツボ足となる。 | C稜線分岐(下降)点。 |
C稜線分岐点の道標。稜線は雪が深く難儀する。 | D虚空蔵山山頂。 | D行政の標識。三角点は右の高みの中。 | D歩いてきた側、東側を見る。 |
D掘り出した三等点。角が割られ無残。 | D北側の展望。 | 西側への下降。クレモナロープが長い距離流されている。 | 少し視界が晴れてきて西側の展望。 |
途中から上田市内の様子。 | Eソデから南に下降。道は不明瞭。無積雪期はイバラが邪魔をするだろう。 | モノトーンの世界に、パステルな色合い。着いているこの植物が好きなのだろう。 | 不明瞭な道形を追って高度を下げてゆく。衣服を何度も引っ掛かれる。 |
途中から見る兎峰(岩峰)。 | 標高730mで、このルートとしてはじめて人工物のケルンを見る。以降続く。逆にこの上には見えなかった。 | 谷の中にケルンが続いている。昔の峠道だと解釈する。 | 谷を降りて行くと、雑木林の中に、ポツンと古い社が見えてくる。谷からのルートは無く。少し藪漕ぎして辿り着く。 |
F辿り着いたそれは虚空蔵神社。ここから下に行く道が良く判らなかった。 | 太い道形に乗ると、それは巡視路であった。途中で上田市の水源地を見る。 | Gトラバースするように東進して行くと、座摩神社に戻った。座摩神社側から西には、特に道標はなかった。 | G座摩神社の東には林道が上がってきており、真新しい轍も出来ていた。 |
H登山口に降り立つ。駐車スペースは2台。 |
2012年夏、冷房の効いた信州上田医療センターの窓から虚空蔵山を見上げていた。近距離で見ているのだが、そこにある山塊は我が涙にゆがんで見えていた。翌日、訃報の知らせを受ける。私にとって、この山が重要な山となった。ここは厳冬期の一番厳しい中で登って、弔いの気持ちを表したい。ぼんやりと毎日眺めていただろう山・・・気持ちをこめて登る。
菅平から降りて行くのだが、朝のスキー客とのすれ違い。こちらは7cmほど積んで降りて行くのだが、平地から上がってくる車列はそれはなし。山間部のみで降っていた様だ。18号に出て塩尻小学校の西側を北に入って行く。静かな住宅地の先が登山口で、大きな忠霊塔が建っていた。駐車余地は2台分。小学校か公民館に停めるのが順当なのかもしれない。すぐに用意にかかる。すると地元の男性が通過する。温厚な紳士で「凍っている場所もあるから気をつけてください」と声をかけられる。地元で、状況を良く知っている人なのだろう。「ありがとうございます」と返す。
登山口から座摩神社を目指してスターとして行く。よく管理された道で、大きな切り出した石を用いて階段が造ってある場所もあった。斜面には幾重にもルートが見える。里山らしい感じ。東を見るとやや大ぶりな建物もあった。雪の乗った参道に足を添わせて高度を上げて行く。前日か、トレースが一人分。ソールパターンと犬の足跡があることから、猟師であろうと予想できる。急にするその音に振り向き見下ろすと、新幹線が足元に突っ込むように音を上げて入ってきていた。下半身を擽られているような心境になる。
座摩神社到着。広い境内にコンパクトな社殿。しっかり参拝をし旅の安全をお願いする。振り返ると上田市内の展望は抜群。ここでこの眺めなら、上に行けば・・・期待は膨らむ。山腹を見ると、社殿の右(東)にも道形が見えるが、進むのは左(西)側。こちらに行政の標識がある。先ほどからのトレースもこちらに進んでいた。
樹林間隔のある視界のいい山中を登って行くと、鉄塔の下を通過する。先に見える稜線を望むが、近いようでまだ遠い。これからが正念場。雪の付きはどうだろうか。カンジキがないのでツボ足必須。でもそれが自分に与えた試練であり。そこに弔いの意味合いを持つ。凍った場所も出てきてアイゼンも欲しい場所もあった。登山口での紳士の言葉が甦る。斜度も幾分か増してくると岩が多く見える場所となり、ロープも流してあった。我慢して捕まらずに行こうと思ったが、ツルッとする現実にすぐさま利用させてもらう。
兎峰の直下は、トラバース気味に巻き上げて行く。楽だったこれまでに対し、膝上まで潜るような場所となる。深く刻んでゆくと分岐点があり、右に這い上がってゆくと兎峰で、痩せ尾根の上を伝って岩峰の上に行く。標識類は無く、生憎展望も無かった。「天狗の・・・」なんて名前を付けたいような、そんな場所でもあった。やや吹きさらし、逃げるように往路のトレースに乗り、分岐点まで下ってから登り返してゆく。
稜線までも長いトラバース。このルートにおいてトラバース箇所は雪の堆積が多い。稜線に突き上げると、そこにも道標があり「太郎山」の文字を見る。西進が始まる。膝上のツボ足、膝を入れながらズボズボと進んで行く。予想では、稜線上は締まった雪を連想してきたのだが、予想はずれとなった。それでも、先ほどの下降点分岐から僅かで目的地に到達。
虚空蔵山。山頂部の樹木は少なく、晴れていれば展望のいいだろうピークであった。生憎の降雪で真下の市街さえも見えない。最高所の高みを掘り返し、20センチほど下にあった三角点を掘り出す。すぐに埋めてしまおうかと思ったのだが、無残にも角が複数個所割られていた。いつも思うのだが、痛そうで嫌なのである。可哀想に・・・。この先の進路は西にとる。
僅かに下ると「なんじゃもんじゃの木」の場所がある。北に10mほど降りるとそこにあるのだが、冬季は葉もなく、ちょっと見栄えがしない。稜線に戻ってポコポコと高みを越えてゆく。往路を戻った方が良かったかと思える負荷。焦らずゆっくりと、深い足跡を刻んでゆく。途中から完全に下り一辺倒になる。ここは雪の恩恵でグリセードーで滑るように降りて行く。グリーンのクレモナロープも長く流されている、やや危険箇所のようではあるが、楽しく大股でズリズリと降りて行っていた。一瞬ではあるが、周囲展望が開け、下界側も見渡すことが出来た。
ソデ。変な名前であるが、昔の峠の場所らしい。そして行政の標識があるが、南側のみ標識が付けられていない。確かに見下ろしても道形が不明瞭。でも今日はそこを行く予定。峠からの最初は、やや西側にトラバースするように道形が見える。その先は至極不明瞭。何となくあるのは判るが、自分が正解の上に居るのか判らない場所が多かった。様子から察するとザレ斜面のようで、道形が流れやすいのではないかと思えた。最初こそいいが、途中からイバラが多くなる。場合によっては鎌などを携行した方が無難かもしれない。時折刃物痕があり、林業作業者の痕かと伺える。
左(東)側を見上げると、往路に登った兎峰の岩峰が見える。けっこうに尖った場所に見え、見栄えのする場所であった。適当に高度を下げてゆくと、標高730m付近でケルンが見えた。そこから上側を見るのだが、道形はいまひとつ判らない。伝って来た斜面が正解だったのかは不明だった。ただし、ここから下は、間違いなく峠道に乗った。いくつも続くケルンがそれを示していた。そのケルンだが、自然な感じが北アの貧乏沢に並ぶケルンを髣髴させてくれていた。ルートはしっかり谷の中を歩く形となる。緩やかな斜度で下に降りていく。すると、前方右側にポツンと古い小屋が見えてきた。遠目には小屋に見えたそれは、近くなると社である事が判った。“なんだろう、こんなところに・・・”伝っている道から、そこに行くルートが全く無い。それが不思議であった。適当に藪斜面を這い上がって行く。昔の峠道、昔の社、繋げてあってもいいようなものを・・・。
社殿の脇に這い上がる。名前こそ無いが、これが虚空蔵神社だと判った。古いものに見えたが、それなりに立派に鎮座していた。縁の下から獣でも出てこないかと気を使ってしまうほどの空間がある。覗き込むように巻き込みながら社殿の前に建つ。ほとんど下の方に降りてきたこともあり、旅の安全と御加護に感謝し、二礼二拍手。さてこの先だが、階段を下り、そのまま谷地形の中を降りるのだと思っていたのだが、良く見てもルートが見えてこなかった。それより、谷の東側にルートが見え、それに注視してしまっていたこともある。そちらに導かれるように道形を降りて行くと、その途中に巡視路の道標が現れた。降りて来ながら鉄塔など見えなかったが、間違いなく斜面にあるようである。そしてその先には上田市の水源地があった。コンクリートの腹に設置してある鉄の扉から、オーバーフローした水がトクトクと流れ出ていた。
やや登り返しの山腹を巻いてゆく道。進んだ先は座摩神社であった。往路にこの道の存在は全く見えなかった。道標も無く、虚空蔵神社を示す物は無いのであった。ここでも再び参拝する。境内に真新しい轍が出来ていた。東側からの林道で登り上げてきた人が居たようである。階段を降りて行く。他に誰も入山した形跡はなし。静かな山旅が出来、大満足。自然を満喫。
登山口に降り立ち、次は上田菅平インター東の虚空蔵山を目指してズレて行く。