三ッ山   1610.5m

 
  2013.8.10(土)    


   晴れ      単独      奥志賀スーパー林道、馬曲鳥甲林道ゲートより      行動時間:8H48M 

  


@ゲート5:00→(10M)→A1km5:10→(50M)→B6km6:00→(6M)→C本沢を跨ぐ6:06→(79M)→D大シ沢右俣を跨ぐ7:25→(13M)→・大シ沢左俣を跨ぐ7:38→(33M)→E林道終点8:11→(68M)→F三ッ山9:19〜33→(30M)→G林道に降り立つ10:03→(147M)→H5km地点帰り12:30→(78M)→Iゲート13:48


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@馬曲鳥甲林道ゲート @上線があると言う事は下線もあるのか。 A1km通過 伝いやすいなだらかな林道。
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6km僅か手前に、北野川歩道入口がある。 B6km B1時間経過。時速6km。 C本沢を跨ぐ。
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崩落が均されている場所。ブルドーザーの作業のよう。 崩落した石が出てくる事で、ブルドーザーが入っていないことが判る。 途中から見る三ッ山。 1455高点の北側の倒木箇所を合図に、林道がモシャモシャになってゆく。
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ここが林道。2.5mほどの高さの野草が生える。分けながら進む。 しっかり潜って進む場所。 D大シ沢右俣は、林道が崩落して、5mほど足場のない(道形が無い)ような場所を通過する。 押し出しの上に乗って林道の先を見ている。見える草地が林道。
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もうすぐ林道終点。 E林道終点。ここから尾根までは密藪を分ける。 尾根に乗った場所。 尾根に乗った場所から下側。
shitakusausui.jpg  sugi.jpg  mdai.jpg mitsuyama.jpg 
下草の薄い場所もある。 大木が立ち並ぶ尾根筋。 山頂少し手前の大木にM大の標識が打たれていた。 F三ッ山山頂。この枯れた木が目印。
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F枯れた木の根元に三角点がある。 F三等点。 F今日はコロッケパン。 この木にM大の標識が打たれている。
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西に下山開始。密藪で太いササが待っている。 G林道に降り立つ。これで林道の上。 G降りてきた場所を見上げる。 美味しい流れのある場所。
ooshizawahidarimata.jpg kumano.jpg  honzawakaeri.jpg  honzawa.jpg 
大シ沢左俣を跨ぐ。 新しい熊の糞が増えていた。大きなものが多く、大きな固体が生息している模様。 本沢帰り。 見事な渓谷美の本沢。
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H5km地点通過。 H5kmの広見。ゲートが無ければ適当な駐車余地。 癒しのヤナギラン。 1kmの標柱。
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Iゲートに戻る。      




 前週の落ち穂拾いに奥志賀へ向かう。じつは前週のメインとなる企画がここだっ
たために、登れなかったのはとても気になっていたのだった。さらに抱き合わせで、愛車の廃車に伴う新型車の比較もしてみたかった。最新型で同じ場所をアプローチすると、どんな燃費なのか・・・。

 

 1:30家を出る。流れは流石にお盆休み。いつもの2.5倍ほどの車の量であり、賑やかしい上信越道であった。その中をジワッとアクセルを踏みながら信州中野ICを目指す。この高速走行で叩き出した平均燃費は、ハイブリッド車と肩を並べる23.6Kmだった。NAエンジンでここまで走るとは・・・。

 

 北志賀経由でカヤノ平まで上がると、前週がウソのようにテントの花が咲いていた。まだチラホラとランタンの灯が点っているテントも見える。横目に静かに通過して行く。木島山を巻き込み、馬曲鳥甲林道のゲート前に到着。しばしここで仮眠を決め込む。今日は極めて普通車で来ている。世の中で言うセダン。シュラフも乗っていなければフラットなベッドでもない。でもでも眠たけりゃ何処でも寝られるのだった。

 

 夜が白みだし出発準備。前週に続き、ややガスが巻いていた。でも今日はこの1座しか目指しておらず予備の山がない。途中敗退でも行くしか無い。長い林道は11kmある。グーグルアースで見る限りは、そう荒れていないようで、終点まで2時間と読んでいた。終点まで行ければ、あとは薮でもさほどの距離ではない。志賀高原らしい強固な薮であっても勝負出来ると踏んでいた。

 

 ゲートを越えて行く。すぐに気付いたのがキャタピラーの跡。残雪期を終えた後に、整地をしているようであった。果たしてどこまで作業が続いているのか・・・。はたまた、どこかで工事がされているためかとも思えた。自転車を持って来れば良かったと思えるほどのなだらかな林道であった。ブレーキが壊れたまま直していないので、全く考慮に入れなかったのだが、少し後悔も抱く。そんな林道状態だった。

 

 しかししかし、先住の民が沢山居ることを思うと、自転車でスピードを出してブラインドカーブを曲がっていくのは危険とも思えていた。こちらは予測出来ていても向こうは出来ていない。慎重に行く場合は「歩き」の方が五感をフルに発揮できる。視覚はとても大事であるが、聴覚・臭覚も同じほどに大事となる。

 

 緩やかに下って行くと、1kmの標柱が建っていた。見事に熊に囓られた痕が見える。判断に間違いなく、彼らは沢山居る。時計をみると10分で歩いてきている。時速6km歩行。2kmで20分。3kmでは寸分違わず30分で通過していた。かなり周囲に気を使う。僅かな音も聞き逃さないよう注意を払いつつ足を進めてゆく。帰りは登りとなるが、それでも自転車で入ったほうが良かったと思える林道の様子であった。クネクネと伝って進む。

 

 林道脇に「北野川歩道」と書かれた標柱が見え、そこから立派な道形が北に入っていた。その名前から、栄村側から北野川を遡上してくる道と繋がるのだろうと判るも、こういう歩道の目的は何なのか。歩く人は居るのか・・・と言う部分が強い。ここを左に見ると、僅か先に6Kmの標柱が建っていた。時計を見るとちょうど1時間。ペースを落とさずここまで来ている。残り5kmで林道終点。このまま行けば50分で到達する公算でもあった。しかし・・・。

 

 本沢を跨ぎ、気にしていたが7km以降の標柱は無かった。東ノ沢は橋はなく流れも見えないまま音のみを感じる場所であった。ここを越えた辺りから、林道上に落石が多くなる。と言う事は、ブルドーザーはどこかでユーターンした事になる。その箇所が往路では気がつかなかった。路面状況が次第に悪くなり、如実に判るのが1455高点北側あたり。ここで完全に倒木が林道を塞ぐ。この場所を皮切りに、普通には歩けない林道に変わる。逆を言うと、ここまでが良すぎたとも言える。

 

 6km地点からおおよそを換算して8km地点付近となるか、かなりモシャモシャとした中を分けて進む。足許が見えず、そこに大岩が転がっている所もあり足場に注意が必要であった。急激に進度が落ちた。予定していた林道終点までの2時間と言う時間は、既に過ぎていた。この分だと3時間かかるか・・・。グーグルアースでは、ここまでは判断できなかった。秋頃に入れば違うのだろうか、林道では珍しいほどの密藪な場所も出てくる。弱い自分は、“もうこのあたりで諦めよう”と言っている。もう一人は“ここまで来たなら結果を出せ”とも。本当に諦めようとも思っていた。それほどに最後の寄せに時間を要していた。

 

 大シ沢右俣を跨ぐ場所は、林道幅は無くなり崩落していた。足場に気をつけて通過して行く。まだここで1264高点のある大シ沢左俣までも到達していない。大きくひと尾根向こう側に行かないと・・・。どんどん気持ちが萎えてゆく。でもハードルが上がるほどに根性を出す自分も居る。考えながらも足はどんどん前に出ている。朝露で全身が濡れ鼠。ここがこんな調子なら、林道を離れたらもっと・・・。心して進んで行く。

 

 大シ沢左俣を跨ぐ。ここは林道の上を流れが通過している場所。この先の斜面からは、冷たい流れが落ちている場所がちらほらとある。少し密生藪も減るが、足許には先住民の大きな糞があり、その大量さから、個体の大きさが計り知れた。そしてやっと林道終点地に到達する。3時間以上かかってしまった。休む事無く斜面に取り付き尾根を目指す。カメラを構えられないほどの太いササの斜面。両腕で豪快に泳いでいかないと、高度がなかなか上がらない場所であった。それでも両手で掴みながらも急峻を上がる。

 

 山頂から北西に降りる尾根の上に乗る。ここはブナを含め大木が立ち並ぶ所。密生した場所もあるが、歩き易い下草の薄い場所も交互に出てくる。左(東)に栄村側の山々が見えている。“こちらからアプローチした方が良かったのか”などと見下ろしていた。濡れたズボンが纏わりつき負荷となっている。休憩も入れずににここまで来ている。疲れも伴い牛歩状態でもあった。それでももうすぐ。

 

 もう少しで山頂と思った場所で、ふと見上げると見慣れた人工物が見えた。M大の標識である。山頂に着いたのか、でもまだ高みは先の方に見える。潜るように漕いで行くと、枯れた木が一本あり、その下に三角点が眠っていた。三ッ山到着。背伸びをすると台倉山や鳥甲山が見える。休憩不適で、先ほどの標識の場所まで戻る。ここには空間がある。三角点との距離は10mほどあろうか。薄れてはいるが「三」の文字はまだ判読できる。裏には「くじら」などと書いてあった。今日は良くぞ登頂した、自分。諦めずによかった。諦めなければ結果が出る。ここは、好事家でも入ってこない場所であろう。年間、いや数年に一人も入らないのではないか・・・そう思える雰囲気があった。

 

 下山は往路の尾根を使わず、西側斜面を直滑降気味に降りて行くことにした。最初は太いササが出てきた。長くは続かないものの次々と現れる。下の方へ行くほどに太くなり、分けられず跨いでゆくが、何度スリップして転んだ事か。それこそ直滑降で、何度もササの上に足を置いてスリップする。安全に降りるなら、尾根を選んだ方がいいだろう場所。そして下の方に林道らしき明るさが見えてくる。

 

 林道に降り立つが、足の下が平らなだけで藪の中だった。自分の通過してきた場所が、少し開かれてある感じで木々や野草が倒れている。戻って行くと、ドキッとするものが・・・。真新しい糞が増えていた。私が通過した後に来たようだ。どこかでこちらを見ていたのかも。緊張度合いが増す中、全神経を周囲に注ぐようにして分けていく。いくつかの流れで喉を潤し、顔を洗う。ジリジリと暑い。背中にも冷水を流し込む。水を手で汲みながらその手を見ると、ササで切られ傷だらけになっていた。腕も然りで、この後日にフォーマルな予定があることを思い出し苦笑い。

 

 イバラに刺され、枝に鞭のように打たれ、そんななかでも野草の良い香りを楽しんだり、野鳥の声を聞いたり、藪化して負担と言うものの存分に現地を楽しんでいた。往路の記憶があるので、進路状態が判り復路は気持ちも楽であった。ヤマカカシなどもうんにょろと出てきたり、足許にも相変わらずの注意は必要であった。復路は注意していたのでブルドーザーがユーターンした箇所は把握出来た。おおよそ東ノ沢付近としておく。ここまでは自転車でも入れる事になる。復唱するが、帰りは登りになるが・・・。

 

 本沢を跨ぎ、北野川歩道を右に見て、緩やかな登りを足を引きずるように歩いてゆく。急峻の上り下り、下草で見えない路面状態に、予期しない足の腱を使ったようで、その影響が出てきていた。それでもあとは林道を伝ってさえ行けばゴールはある。でも先住民には絶対的な注意が必要。疲れていても神経は張り詰めた中で行動する。ここは基本であり、自然に対しての礼儀。5kmの標柱のある付近、山手側山中に切り開きが入っていた。何か斜面で採れるという事か。流れもあり、もしやワサビか・・・とも予想した。

 

 林道横のヤナギランが、そのピンク色が疲れを癒してくれる。1kmの標柱を見たら、もう僅か。スーパー林道を通過するエキゾーストノイズも聞こえてくるようになってきた。この揺るやかな坂、自転車だったら乗って登れるだろうか・・・。自分に当てはめて考えてみる。三ッ山に登った後に・・・。すぐに手で押している姿が脳裏に浮かぶ。歩きで正解か・・・。前の方に赤い幟と黄色いゲートが見えてきた。今日は23kmほど歩いたことになる。山登りと言うよりは、林道歩きな行動であったが、ここはここで緊張感がある場所で楽しかった。

 

 途中、5mほど横だったろうか、グーと言う鳴き声を上げて、逃げて行った個体があった。見えなかったのでなんとも言えないが、接近できたのかも・・・。

 帰ってのトータル走行に対する平均燃費は21km/Lだった。素晴らしい。


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