長見山 1665.2 m
2013.4.6(土)
曇り 単独 鹿島槍スキー場から黒沢尾根 行動時間:3H44M
携行品: スキー
@スキー場駐車場5:23→(21M)→Aロングダウンヒルコース頂上駅5:54→(23M)→Bスキー場最高部(リフト頂上駅)6:17→(16M)→C1545高点6:33→(24M)→D1599高点東6:57→(39M)→E長見山北峰7:36〜37→(3M)→F長見山本峰7:40〜50→(51M)→G1545高点帰り8:41→(4M)→Hスキー場最上部帰り8:45〜51→(16M)→I麓9:07
@駐車場には我が車のみ。深夜から早朝帯は快晴。 | ピステンで均されたゲレンデ。 | 途中から主稜線。焼けだしてきた。 | 途中の休憩舎。 |
A頂上駅。これ以上のコースは、リフトが外してあった。 | 途中から中綱湖を振り返る。 | 急斜面が終わり、先の方に1545高点が見えてくる。 | Bスキー場トップ。正面右が、1545高点。 |
C往路は西側から巻き込むように1545高点を掠めて北に進む。振り返り、高点を見る。 | 1545高点北側の様子。 | 尾根上にはマーキングが乱打されていた。 | D1599高点東側から北を見る。目的地は左端。 |
1580ピークは雪庇が南にあり、東側を巻いてゆく。 | 左端が長見山。手前にニセピーク。 | 白馬さのさかスキー場からの夏道がある尾根に乗る。 | E長見山北峰。こちらは展望あり。 |
E北側から東側が開ける。 | F長見山の唯一の標識。(本峰) | F南側 | F北側 |
F久々のフリートレック。快適だった。 | Fヤキソバパンが手に入ると登頂確立は高い。 | 帰り途中から長見山を振り返る。南西尾根を伝っても楽しそう。 | 戻って行く南側。 |
1550m峰 | スキー場側に、刃物跡が多い。ルートを付けているのか? | 黒沢尾根から見下ろす木崎湖。 | G1545高点帰り。 |
H第3ペアリフト頂上駅(スキー場最上部)。ここでシールを外して滑降。 | 中綱湖を見下ろしながらのやや急峻の下り。 | 途中は雪が切れ、歩く・・・。 | 利用しているのはほとんどがボーダーだった。一気に滑り降りる。 |
I下山し、見上げる。春、雪融け。 | I駐車場から見る主稜側。早朝は見事だったが、5時40分から、一気にこの状態に。 |
大きな低気圧が接近している。ニュース番組では、外出を控えるよう促している。台風並みの強風が吹くようであり、「危ないから家に居なさいね」って事になるか。でも、各社から出ている天気情報を拾い集めると、土曜日の早いうちなら影響なく行動できると判断できた。まあ、台風の最中に常念の稜線を歩いていたり、高ボッチ高原を匍匐前進していたりするので、余程でないかぎり家で停滞することはない。
それでも、こんな時に事故に遭えば笑いもの。ある程度登頂の確実性があり、危険度が少なく、それでいて高度があり達成感のある場所を選ぶ。ここ数週、膝痛でスキーを履いていなかった。少し癒されてきているのでスキーも履きたい。この条件下で探すと、後立山前衛峰の長見山が見出せた。黒沢尾根は、2009年2月に上から伝って降りてきたが、長見山の北側で神城の方へ下降してしまった。よって以南は無踏地であり、歩いてみたいと思っていた場所だった。スキー場のライブカメラを見ると、かなり雪解けが進んでいるよう。ここは万が一を思って一番短い板を用意する。万が一とは、滑れない状況と言う意味。
1:15家を出る。綺麗な星空で、まさにこれが嵐の前の・・・ってことかと見上げていた。三才山トンネルを潜って池田町を通過して大町に出る。少し前まではキャリアにスキー板を乗せた車が見えたが、さすがに皆無。中綱湖南から案内看板に導かれ鹿島槍スキー場に向かって行く。じつはここで大きく読み違いしていた所がある。中綱湖南岸に中綱地区があり、ここからスキーリフト表示が西に上がっている。普通にここからスタートするものと思っていた。しかし実際は、林道をズンズンと進め、標高1030mの上部のスキー場駐車場まで上がれるのだった。予想していた1時間ほどのアルバイトが、ものの3分ほどでクリアーしてしまった。“なんだ、こうだったのか”と内心。
駐車場には1台のみ停まっていた。月が細くスキー場が見えないのだが、なにせ黒い場所が目立つ。既にシーズンを終えたのではないかと思うほどの閑散とした様子だった。駐車場から見るゲレンデは、雪がない。早出を思っていたのだが、伝えるのか・・・などと先行きが暗くなる。そして、この駐車場には小熊山へのハイキングルートの案内看板がある。今日はこっちにしてしまおうか・・・なんて思えるほど南側には雪が沢山見えていた。全ては場所によってなのであろうが・・・。5時頃が夜明け、時計を見ると4時、1時間ほど仮眠を決め込む。
寝ている間に上って来た車は1台。静かな仮眠場所を得られた。サンドイッチを口にしながらシールを貼る。昨年は一度もフリートレックを使っていないので、2年ぶりくらいになるか。それにしてもこのスキーは遊べる。買って楽しいアイテムで藪の中でも短い利を生かして滑れるのがいい。地形図から見られる山の傾斜を読んで、クトーはスキー用を選択した。西側には大迫力の後立山の主稜が見える。あれは爺ヶ岳か、高千穂平らがあれで、夏道がこうだから・・・と目で追っていた。この天気、いつまで持つか。
駐車場をスタートし、すぐに雪の上に乗る。ゲレンデはピステンで均してあり、高さ10mmほど、幅も同じく10mmほどで凹凸が作ってある。抵抗を減らし滑りやすくするための形状となる。良く締まっており靴のまま登って行く。それでも折角のスキー、シールも張ったことだし履かないとと、途中でビンディングに靴を入れる。背中の重みが減った分、快適になった。現在のスキー場は、雪の様子からして、このゲレンデと南の1337峰側のゲレンデが使われているようであった。他の場所には雪がないのだった。そしてスキー場の作りからして、スノーボーダーを目当てにしていることが伺えた。コース内に複数の障害が設けられていた。東側が明るくなり、それに呼応するように後立山の主稜が焼けだす。荘厳な景色。来光側を見ると、既に雲が覆い出している。我が影も今日はかなり薄い。
最初のゲレンデはロングダウンヒルコースと名付けられており、均され管理されているのはここまでであった。この先、斜面に雪は見えるものの、その先が距離にして200mほど雪が途切れていた。板を脱いで九十九を切りながら上がって行く。よく、春先のゲレンデでは落し物が多いのだが、ここは無かった。と言う事はこの上のゲレンデは封鎖していると言う事も読み取れた。落とさない客が多いとも言えるが、全くないのも違和感があり、そう思えた。振り返ると、西側から一気に雲が迫ってきて、先ほどまでくっきりと見えていた主稜が、5時40分に一気にその中に入った。頭を隠したその様子は、ここらしい景色と言えばそれまでなのだが。
急斜面の草地を上がりきり、その先の肩の所から雪に乗る。振り返ると中綱湖が真下に見える。雪があるとやはり快適。スキーもそれこそ水を得た魚のように前に出る。先の方にリフト終点駅が見えてきた。これは第3ペアリフトと言うらしい。その先に、1545高点が見えている。そこに向かうのに、右(東)を巻くか、左(西)を巻くかになるが、ボーダーのものと思えるトレースが左側から降りて来ていた。そしてその方向に行くとピンクのマーキングが続いていた。トラバースするように進んでゆくと、1545高点と、その西の1520m峰との間に出る。ここから折り返すように1545高点側に進んで行く。この斜面には刃物痕が多い。マーキングと刃物痕・・・作道でもしているのか。雪融けすると道があるのかも。
1545高点は僅かに巻いて北側に出る。進む先の峰々がいくつもの高みを見せている。目的地は・・・この時はまだ同定できていなかった。少し下り、この次の1550m峰は西側を掠めてゆく。有視界なので進路が判断しやすい。それとマーキングも乱打されており、拾って行けば安全でもある。ただし私は天邪鬼なので、それらを極力見ない様なルート取りを選んだ。折角の自然、そこにある人工的な色は見えないほうが良いわけで・・・。進路右下には、木崎湖が見下ろせる。黒く湛えたそれが、まだ冬の表情をしていた。
1599高点のところは、やや西に進路をとりたくなるが、東側を気にしつつ乗り越えて行く。ここに来てやっと、目指す峰が進路左側に見えてくる。アップダウンは多く、また下り、また登る。ここはウロコ板にはちょうど良い場所かもしれない。先には1580m峰があるが、ここは少しだが南に雪庇が出来ており、壁のようにそそり立っている。その下を掠めるように東に進み尾根に乗り上げる。周囲の地形が開け、そこにブナが目立つ気持ちが良い場所となる。北側にある広い尾根が、地形図に見る夏道が切られている尾根。なにか標識にでも出くわすと思ったが、雪の下なのか。いやそれは無い。そもそも黒沢尾根として、ここから南に公式ルートが無いわけであり、標識を探す事態がナンセンスだったよう。広い尾根に乗り、進路を西に変える。もうすぐ。
西に登って行くと、進路の左側が樹林、右側に無毛の高みが見える。普通の登頂心理として、その開けている方に向かって行く。途中にクランク形をした奇形のブナが見える。登って行きその場所に立つ。山頂から安曇野の町がくっきりと見える。糸魚川方面へ後立山の複雑な山並みが続いているのも見える。絶景かな。しかし、机上で山行計画を立てた時、頭に擦り込んだ山頂の場所は山塊の南。ここはどう見てもおかしい。周囲を見渡すとそれらしい高みが南に見えている。戻るように南に進んで行くと進む先に暖色の人工物が見えてきた。
長見山到着。立派な達筆の標識がかかっていた。向きは北向き。と言う事は、ここに登頂する時は、南に向かって登頂と言うのが順当と判断できる。先ほどの場所を北峰とするならば、ここは南峰。相対して展望はなく、先ほどの場所で展望が見られて良かったとも思えた。もしここを目指す場合、この場所で留まらず、少し北に進んで北峰で休憩した方が格段に気持ちがいい。気になる天気だが、曇ってはきているが風が邪魔になるほどでもなし。登りで3時間かかっていないから、復路は2時間ほどあれば下れると踏んだ。アップダウンは多いが、思いのほか滑って降りられツアースキーに適した尾根とも感じた。ただしこの先の尾根も知っている。簡単に行かない場所も高度を上げるごとに増えてゆく場所。
白湯を飲んでヤキソバパンを食べたら下山となる。シューと言うシールの音を響かせながら滑り降りて行く。折れた枝が雪の上にあり、それらを避けるようにスラローム。短い板なので如何様にもコース取りが出来る利点がある。1599高点の東に戻り降り返る。長見山から南西に降りる尾根が顕著。大ゴ沢からの南西尾根のアプローチも考えたのだが、伝っても楽しかったろうと見えていた。ちょっとミスったのは、その尾根の東の谷がスキーになるのかを見てくるのを忘れ・・・。
1550m峰は、この尾根は広葉樹が多い中での、針葉樹の茂った目立つピーク。ここから南で刃物跡が目立つ。時折、赤い見出し標も雪面付近に見え隠れしている。そして1545高点に戻る。復路は最短距離でスキー場側に進んでみる。やや勾配の強い斜面は、雪が途切れ途切れなので、板を脱いでずり落ちてゆく。そしてスキー場トップに降り立つ。長見山から1時間ほどでここまで到達。アップダウンが多いが、滑れる時間もそこそこあり、負荷な感じがしなかった。さあここからはしっかりシールを外して一気に行かせて貰う。下に見える中綱湖にダイブするような、そんな感じを抱きつつ荒れた雪面をピョンピョンと跳ねながらターンをして行く。雪融けで狭くなったゲレンデであり、細かいターンは必須だった。そして雪融けによるクラックもあり、飛び越える場面も・・・。
滑りながら少しだけ優越感がある。下のゲレンデに居るボーダーの動きが見えるのだが、雪が大きく切れた先のここへは、誰も上がって来れないから。“どうだいいところを滑っているだろう”なんて内心。でもでも、この先、雪の切れた斜面をしばし歩かねばならない。先ほどの気持ちと相反して、“なにしてんのあの人”なんて思われていると思えた。それでも、登りと違って下りは楽。僅かな時間で雪面に辿り着き、その前をボーダーが滑ってゆく。ビンディングをセットして、その背中を高速で追ってゆく。ゲレンデ下まではあっという間であった。
長見山。地図から見えるアップダウンに、やや時間のかかる場所と思っていたが、残雪期の利を生かし短時間で行って来られた。あまりにも時間が空いたので、もう一座行こうかと思ったのだが、次第に風が強くなってきているのは事実。腹八分目で今日は終えた。