ナメシ穴山 (ナメシ頭)    1725.0 m         


 2013.3.2(土)    


   晴れ    単独      黒沢ダム東の林道分岐点から      行動時間:4H50M 

   携行品: スノーシュー 


@分岐林道入口6:24→(20M)→A尾根取付6:44→(97M)→B1460尾根合流点8:21→(70M)→Cナメシ穴山9:31〜43→(31M)→D1460尾根分岐点10:14→(36M)→E79番鉄塔10:50→(17M)→F林道に降り立つ11:07→(7M)→G分岐林道入口11:14



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@北黒沢川に沿った林道を詰めると、黒沢ダムの東に林道が交差している。 林道は先日からの温度上昇、雨でズボズボ。 A谷登りにしようと思ったが、条件が悪く、尾根に取り付く。 尾根登りだが、小谷を詰めて登る。目の前に顕著な大岩が現れる。1070m付近。
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1070m付近から下側。二重山稜のようになった尾根で、中央部に小谷が出来ている。 1070m付近から西に見える巡視路尾根。当初は巡視路を伝う予定であったのだが・・・。 今日も木漏れ日ハイカーとの山旅。 1190m付近。傾斜が緩む。
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B1460mの尾根合流点。地図上での破線の上に乗った形。雪の下に道形があるようだが、この時期は判らない。 B1460mピークから西に進むと、東京電力の76番鉄塔があり、その先にナメシ穴山が見えてくる。雪雲が覆っている。 1500m付近。歩き易い尾根道。 1600m付近。かなり山頂が近くなる。
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1600m付近から下界側。高度感あり。 1600m付近で林道の上に乗る。これは地形図の破線ルートで間違いない。 1650m付近。だんだん傾斜が増してきている。この先が核心部。 1690m付近から後ろ側。
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1710m付近。頂上直下。 Cナメシ穴山。広々した開けた場所。 C北東側の尾根。無積雪期であれば、この尾根を伝うのが一番早いだろう。 C山頂から見下ろす安曇野の様子。
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C青いビニール紐と、赤い絶縁テープ。 C黄色い絶縁テープも残る。付けられた場所からして、無積雪期の行動だろう。 下降開始。核心部はバックステップで降りて行く。 1660m付近から。
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76番鉄塔通過。 D1460mピーク帰り。 1400m付近に、76、77、78番の鉄塔を示す指示標あり。 1257高点の場所にあるのが78番鉄塔。
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1160m付近。道形がはっきりしてきている。 1140m付近。79番鉄塔あり。巡視路は南側にあるようだが、見出し辛く、南東側の道形に伝う。 入山禁止の看板が沢山ある。そのほとんどが山側を向いている不思議な場所。 E尾根末端部。最後は5mほどの崖。注意が必要。
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E林道から見上げる。降りたのはもう少し東(右)なのだが・・・。 E降り立った場所の林道の様子。 林道途中にある表示。ここに僅かにバンドがある。入るならここからなのだろう。 F駐車場所に到着。橋側に除雪余地が1台分あった。




金曜日、シトシトとした雨の日となった。夕方から夜にかけては気温が高く、翌日は好天になる様子。この状況はスキーには危険と判断した。予定していた小谷村の山は先送り。なかなか思うようにいかないのだが、自然との遊びはこの部分の駆け引きは重要。そこで、以前JJ氏が登って記録を残しているナメシアタマを狙ってみる事にした。氏は無積雪期での記録。とならば、こちらは冬季でいこうと思っていた場所。林道が使える時期なら短時間で届くようであるが、この冬季にしっかりと歩き上げての登頂をと考えていた。そして一番には、氏がパイオニア的に登った山は大事にしたい。氏が旅立ってから2年が経過した。こうやって記録上のトレースを辿る事しかできないのが淋しい。


 夜半も雨だったために、少しだけ出発を遅くして2時半に家を出る。三才山トンネルを潜って市街を通過し、室山を巻き込むように25号を伝って行く。地図を見ていないと通り過ぎてしまう場所、北黒沢川に沿った林道に入るその入口は注意が必要。ちょうどカーブに差しかかる場所から入っており、その入口も狭い場所だった。しっかり通り過ぎてユーターンして入って行く。民家の脇を通過して行くと、その先に水道施設が右にある。この辺りから林道上は圧雪となり凍っていた。かなり危険な状況で、すぐさま外気温を確認。マイナス1度。この時期のこの場所にしたら暖かいのだが、ライトに照る路面が、かなり恐ろしいものに見えていた。やや緩やかな林道であったので、四駆の力を借りてズンズンと奥の方へ進んで行く。そしてダムへの九十九折が始まる場所手前に5台分ほどの除雪余地が作られていた。除雪用のブルドーザーも1台置いてあった。これが示す事は、「この先は急であるからここに停めた方が無難」と言う事だろう。確かに橋の先からは嫌らしい斜面。ツーと滑り出したらコントロールは不能になり落ちたら救出は不可能。とりあえずここで夜が明けるのを待つ事にした。


 地図を見ながら、何処から取り付こうか思案する。スキーには不向きな日と思ってはいるが、等高線を見るとスキーが使えるのではないかと、車に積んではきている。スノーシューにするかスキーにするかも一か八かの判断。ここは樹林帯なので、雪崩れる心配は無いのだが、滑れるかどうかの心配はあった。やはり汎用性のあるスノーシューのほうにしようとの判断になった。そして入山点だが、早くに尾根に乗り上げたいと思い、尾根末端辺りをライトで照らすも、急峻地形であまりよろしくない。少し東に戻って分岐する林道を伝いながら適当な場所を探る事とした。林道を行けば、尾根や谷が順番に現れ、使える場所があるだろうと踏んだ。


 6時準備をしだす。まだスキーにしようか迷っていたのだが、優柔不断にけじめをつけるように登山靴用の靴下に足を入れ方向性を決断した。それにより登山靴用のアイゼンをザックに放り込む。悩んでいるうちは、ザックの内容物も決まらないのであった。スノーシューを履き林道に足を踏み入れてゆく。雨を感じる、高い気温を感じる雪であった。沈むし、スノーシューに乗ると重い事。しっかりと踏み込むような歩みで北東へ進んで行く。常に左の斜面に取り付けそうな場所が無いか見ながら行く。行こうと思えば行ける場所は多いが、スノーシューで登れそうな場所は少なかった。もう少し雪が締まってからアイゼンで登るとか、そんな傾斜の場所が多かった。そうしながら最初の谷に到達。斜面がダメなら谷を伝って源頭へと思っていたのが、倒木の多さにその思いをすぐに転換せねばならなかった。この調子で行くと、ズルズルと林道歩きになってしまう。どこかで思いきらないと拙い。そう思って、その先の尾根末端から取り付くことにした。ここには谷地形があり、その中に入って行く。二つの小尾根に挟まれるような地形図には示されない小谷。これが意外といい感じに伝ってゆけた。終わり良ければ全てヨシとなるか、これが伝えたことで、途中の悩んだ行動がプラスに向いた感じに思えた。


 小谷を登って行くと、1070mほどで谷が終わり大岩が現れる。そこを左から巻き上げるようにして主尾根に乗り上げる。ここからも快適。負担の少ない緩やかな傾斜で登ってゆける。ただし、雪の状態は良いものではなく、進度は遅い。当初は地形図の破線が入っている西側の尾根を伝おうと思っていたが、この東側の尾根でも正解であった。右後から日差しを浴びながら、スノーシューのプラスチッキーな硬い音を響かせながら登って行く。不思議と獣の足跡が無い場所。餌となるものが少ないのかもしれないが、ササや針葉樹は多く、餌が無いとはならないような。なにか理由があるのだろう。


 スタートから2時間で最初に目指していた通過ポイントの1460mピークに到着する。ここは破線ルートが三方から合流する場所。しかし、南北に抜けるらしい道形は判るが、東側のルートは見出せなかった。下山は南に進む尾根を下ろうと思っているので、その方向をよく見定めてから上に向かって行く。1460ピークから1479高点に向かって行くと、目の前に送電線鉄塔が現れる。物凄い大音量で上空の送電線から「ジーッ」という振動音が聞こえている。電磁波とかを気にしてしまい足早に通過して行く。この鉄塔は東京電力の76番鉄塔。鉄塔の先には目指すナメシ穴山も見えている。かなり白い状態で霧氷で覆われた山頂だと判る。


 1479高点も顕著なピークで、その先が僅かにリッジ状態。少し痩せ気味の尾根となり、道形があるのがその幅から判るような場所。高度を上げてもなかなか硬くならない雪に少し辟易としてしまいそうで、自分の体力のなさを感じたりする。1600m付近で振り返ると、嬉しいほどの安曇野市外の展望があり、十分な高度感を得られるようになった。こうなると気分は少し変わってくる。現金なもので煽てられ易いのであった。ここで右(東)側からの林道が尾根を巻いてきていた。尾根西側を僅かに進み、再び東側に向かっていた。それは地形図の破線どおりの進路となっていた。この付近には青いリボンが多い。かなり乱打的であり、設置者責任で回収して欲しかったりする。ここから棘の多い木が増えてくる。ハリコギのようにも見えるそれはなにせ刺々しい。その木にもリボンが縛られていた。


 林道に出合ってから先は斜度が増して、やや本気モードとなる。それまでが本気でないと言うと山に怒られそうだが、この先は気合を入れないと滑落が待っている場所。スノーシューよりアイゼンに切り替えて登りたいような斜度であった。昨日からの雨と気温でこのような雪質ではあるが、冷え込んだときには、間違いなくピッケルが必要な場所。上に行くには周囲に適当な場所は無く、ここを上がるしか手段は無い。やや誇大表現で書いてはいるが、緊張して通過したい場所である事に違いなし。何度も蹴り込みながら足場を作りつつ登って行く。こんな時、「山登りしてるなー」なんて思うのである。少しの危険性が、楽しさを増している部分なのだろう。核心部は30mくらいの範囲。そこをクリアーすれば心配箇所は無し。白い無垢のカーペットの上にトレースを刻んでゆく。振り返ると、先ほどにも増しての安曇野の風景が広がる。展望の山なのであった。


 ナメシ穴山到着。予想以上に広い山頂部であった。北側に整然と並ぶ針葉樹の緑、あとの方角はダケカンバなどの広葉樹が取り巻く。マーキングも多々あるものの山頂標識は無し。ここから北東へ進めは、スカイライン(林道)に乗ることが出来る。最初はその林道から登ろうと思っていたが、今日のコースを経ると、冬季にこうして登ってよかった。約3時間。経路は過不足ないいい感じの構成であった。青い空に周囲の霧氷。やや雲が陽射しの邪魔をするが、ポカポカと居心地の良さが山頂を去り辛くもしていた。三角点もあるはずだが、この雪の量では掘り出すのは無理。それより、こののっぺりとした山頂を汚したくなく、そんな気にはならなかった。この場所であれば、大人数のパーティーでも受け入れられる。30名ほどのパーティーを組んで雪山企画をしてもいい場所であろう。ただし、ただしだが、麓の取り付き点付近は止山である。だからこその冬季の山となるか・・・。


 太陽を雲が覆うことが多くなり寒さが強くなる。下山となる。核心部は下を向いては降りられず、バックステップで慎重に下る。滑落すれば30mほど滑って立木に当たって即死。なんて最悪の場合も無きにしも非ず。少しオーバー目に書いてはみたが、実際に前を向いて降りられなかった。足場を確かめるように下に伸ばすのだが、体の硬さをこんな時に痛感する。三点確保気味に四つんばい状態でゆっくりと降りて行く。ピッケルが欲しい・・・無いものねだりと言うよりは、この時期では携行が順当で、持って居ない事を悔いた。核心部は5分ほどで通過、あとはルンルンと自分のトレースを追うだけ。下界を見下ろしながらの空中散歩とはこのこと。ただし、非常に雪質が悪い。雪に悪気は無いのであるが、スノーシューとの愛称が悪く。踵過重にしてもなおフロントが潜ってしまう状態。その雪は非常に重い。改善策は無いのかと体重移動や踏み入れる角度を様々試したが、やはり雪質が一番邪魔をしていたようであり改善されなかった。


 76番鉄塔は、帰りは唸り音は消えていた。唸っている時と消えている時、送電のコントロールがあるのか・・・。1460mピークに戻り、ここからは往路のトレースを離れて南尾根を伝って進む。1400m付近に黄色い巡視路道標があり、3箇所の送電線鉄塔を示していた。なにか綺麗な声で野鳥が鳴いている。視覚上は冬だが、その声からは春を感じる。この先にはこの尾根にとっての顕著なピークである1257高点がある。そこを通過ポイントとして目指してゆくと、前方に小高く見えてきた。その横にも送電線鉄塔があり、78番とふられていた。この先は巡視路色が強くなる。雪融けした急峻箇所からは、おなじみの黒いステップが顔を出しており、お金をかけて作道した様子が伺えた。こちらの尾根にも獣の足跡が少ない。皆無ではないのだが少ない。もしかしたら、他が多くここが普通なのかもしれない。見慣れがそう感じさせているのかも。


 1140mの肩の場所に到着。またまたになるが、79番の鉄塔が立っている。そして南側にはビニール紐やらピンクのマーキングやらが繁華街のように淫らに付けられていた。ここでも止山であることをアピールしているのだが、何処に巡視路が続いているのかが見出せなかった。大して歩き回らず探さなかったのだが、ビニールが流してある東端に道形が降りており、これなのか・・・と半信半疑で伝って行った。途中には何度も「立入禁止」の警告看板を見る。見るって事は下を向いているのではなく山頂側を向いているのである。こんな不思議な場所は初体験。「巡視路を逸れているぞ」と言う意味合いなのか、それであったなら、79番からの下降点の所にしっかり表示すればいいと思うが、それは無かった。下って行っても、見える看板は上を向いている。その多さから、よほどマツタケが採れるのかなんて思ってしまうのだが、それに対する密猟者に対しての警告としては、やはり不思議な取り付け方法なので理解に苦しむのであった。上から降りてくる人に対し「入山禁止」とは・・・「もう入ってるし」なんて言いたくなる。破線ルートを外したのは途中で判り、破線ルートに乗っていれば、これらを見なかったのかもしれない。


 尾根の末端は、林道までの高低差5mほどのザレタ崖。掴める物はかなり乏しく、少し滑落覚悟で飛び降りる。ザレ斜面をグリセードするように滑り降り林道に降り立つ。林道を南西に進んで行くと、途中の山手側に、初めて麓側を向いた「立入禁止」を見る(往路でも見ていたが)。そこにはバンドが切られ、雑木が覆い出してはいるものの、取り付き点で間違いないようであった。伝って来た尾根を登る場合は、ここから入るのが順当だろう。しかしかなりの急峻尾根。往路に使った東の尾根の方がはるかに楽であり快適なのだった。


 林道分岐点に到着し、早々に山旅を終える。地形図上の破線が途切れた先を解明しようと思ったが、ちょっとしくじってしまった。マーキングやビニール紐に惑わされてしまった結果ではあるが、「おもしろ看板」を見られた事で終わり良ければ全てよしとしたい。時間的にも、ルートの有無からも登頂目的にいい山だと思えた。ポイントは雪を絡ませる事。雪があって楽しい山となろう。そうそう、スキーでの入山の場合は、フリートレックあたりが適当だろう。


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