西岳 2398m 編笠山 2523.7m
2013.6.30(日)
曇り(ガス)時々晴れ パーティー 富士見高原より時計回り 行動時間:2H31M
@富士見高原ゲート前5:07→(21M)→A不動清水5:28〜30→(25M)→B小広場6:55→(33M)→C西岳7:28〜40→(40M)→D乙女の水8:20〜22→(5M)→E青年小屋8:27〜43→(22M)→F編笠山9:07〜10:02→(111M)→G盃流し11:49〜53→(22M)→Hゲート12:17
@富士見高原ゴルフ場上、チェーンゲート前まで車を入れる。 | 最初の分岐 | 五叉路分岐 | A不動清水で給水 |
A水量が少なく、汲むには時間を要す。 | 最初はなだらか、次第に勾配が増す。 | B小広場。 | C西岳到着。生憎のガス。 |
C12年ぶりの登頂。前回はラッセルで到達。 | C今日もヤキソバパンが手に入らず・・・。美生柑は3つ持ち上げた(目指した3ピーク分)。 | D乙女の水。こちらは水量豊富。冷たくて美味しい。 | E青年小屋周辺は賑やかだった。 |
Eテン場にもちらほらと花が咲き。 | Eやっとガスが取れてきたが、小雨舞う。 | F編笠山。左で無線家が交信中。 | F二等点。 |
下降開始。「信濃境へ」の道標がほとんどで、富士見高原の文字が見え出すのは樹林帯に入ってから。 | 足場の悪い中を苦労しながら降りてくるパーティー。 | 樹林帯に入ると九十九折の道。 | 白久保の岩屋 |
林道を跨ぎ・・・。 | G「盃流し」の場所。ここで盃を流している間で句を詠んだそうな。 | 盃流しの分岐。不動清水への道を右に見て下に降りる。 | 現在は通行禁止の丸太橋を渡ってみる。非常に滑る状態になっていた。 |
甘くジューシーな実を戴いたり・・・。ミヤマウグイスカグラ。 | Hゲートに到着。 |
ガイド山行を引き受け企画する。脚力十分なマラソンウーマンと、美的感覚の長けたデザイナー的女性が参加。この条件であり、歩き応えと展望の良さ、気持ち良さを感じられる場所選びとなった。中京側にお住まいであり、移動距離も考慮せねばならない。あとは、暑い時期であり、「水」、「穴」、「高度」、「森林」、「新緑」これらの要素も含めたいと思った。結果、南八ヶ岳が目に留まった。
富士見高原からの周回ルート。これなら全てを全うできる。状況により権現まで足を伸ばせれば、歩き応えは十分となる。そして展望は文句なしのそれが自然とついてくる。少しズレ、観音平からでもいいが、入山者数がグッと増えるのと、そのための道が掘られた場所は、歩き辛い事になっている。「水」を楽しむにも富士見高原発の方に軍配が上がる。そうと決まれば、登山計画書に落として参加者に配布する。あとは天気を待つだけ。雨天中止の予定であった。
週前半では雨模様であったが、中盤以降から晴れ予報に切り替わりつつあった。そして週後半、猪熊さんの予報がアップされる。午後からガスで午前勝負。参加者は前泊で小淵沢に前日に入るよう。私も合流を考えたが、前日は美生柑が届く日であり、休憩時間に喉を潤す重要なアイテム。前夜祭もしたかったが、グッと堪えて当日発とした。
1:15家を出る。昨日もこんな時間に出ている。近所は仕事にでも行っていると思っているか・・・。いやそれは違う。ザックやスキー板を積み込んで仕事に行く人は居ないだろう。ガイドって職業もあるが、今日の私はにわかガイド。野辺山に入ると、物凄いガスに覆われた。覆われたは違うか、突入して行った。久しぶりにフォグランプを点灯し、先が見えずにブレーキを頻繁に踏むような状況。対向車でもあろうものなら・・・危ない気象条件化であった。南面道路を小淵沢に抜け、富士見高原のスキー場前に到着する。ここで1時間ほど仮眠し、その後は読書をしながら参加者を待つ。
夜が明けたところで、ルートの斥候に出る。ゲート箇所まで上がると、その前まで車を上げている方も居られた。スキー場の駐車場、ゴルフ場の駐車場も広いが、ゲート前の方が有利。先に書いてしまうが、下山後のゴルフ場は満車で路上駐車状態。スキー場側も賑わっていた。ゲート前の選択で正解。一度スキー場まで戻り待機状態。すると予定より1時間早くに同行者到着。ペンションでの前泊でスッキリした表情での合流であった。そこに、何かに挑む初々しい顔を見る。こちらも少し責任を感じたりする。
ゲートまで車を上げ準備する。ダート道途中のゲート。赤土が多く、湿った日にはちと・・・そんな場所であった。準備を終えると参加者二人はラジオ体操を始める。6時半にはまだ早いと思ったが、ちゃんと録音して使っているのだそうだ。シンクロしているような二人の後姿がある。良い心がけ、今後は真似してみようか。逆に教えられる部分。準備が整ったら出発。
ゲートの所には古い道標がある。僅かに進み、林道を離れ山道に入る。ここには真新しい道標が立つ。この先で5叉路分岐、ここで不動清水側に進んで行く。道標が無かったら、進路選択は感覚では無理に思えた。少し林道歩きの場所、スタートしたてのウオーミングアップにはちょうど良く、横に広がりながら話しながら歩ける利点はパーティー行動に適すると思えた。
不動清水は、かなり水量の少ない水場。水を持たずに来たので、ここで給水。1.5リッターほど汲むのに1.5分ほど要した感じ。よって大人数の場合は大変。今日はコーヒー用に少し余計に水を持つ。先に続く道形に足を乗せてゆく。楽しく会話をしながら樹林帯の中をゆっくりと登って行く。緩やかでもないし急峻でもないし、ちょうどいい負荷の道。野鳥の囀りが響き、時折シカの警戒音も響いていた。後では、遅れまいとしっかりついてきている。足の様子を見ながら、少し負荷をかけたスピードにしていた。「今まで以上」になってもらいたい。
少しづつ高度を上げて行くと、振り返ると麓側には雲海が広がっていた。これで行くと凄い天気が上にある・・・そう思って少し急いでいたのでもあった。小広場を通過。ここの道標もだいぶ朽ちていた。登って行くと前方から声がしだす。5名のパーティーが青年小屋発で降りてきたとの事であった。ゲートにあった1台がパーティーの車と言う事で、あと1時間で降りてしまうだろうと思えた。あまり早いと温泉がやっていない。余計な事まで気にしてしまった。ガスは濃くなるばかりで回復傾向にない。これも自然。
西岳到着。懐かしい昔のままの様子がそこにあった。展望はなし。少し風があり涼やか。おかげで虫に攻撃されることはなく、その部分では快適であった。美生柑で皆でのどを潤す。この果物初体験の方にとっては、感動の食べ物。呼吸を整えたら青年小屋方面にズレて行く。やや下り勾配を経て、アップダウンの繰り返される尾根筋を伝って進む。展望があれば・・・何度も思い悔やまれる部分だが、その点をカバーするように登山道脇の苔を紹介したり・・・疲労を分散させる工夫はガイド役の役目。途中、雨具を着込んだ4名の若者男女とすれ違う。こちらは雨具を着ない軽装。なにか好対照。軽やかな挨拶が交わされる。
乙女の水。不動清水を経てきているので、ここの水場は感動の水量。そして冷たくて美味しい水。それこそ力水となりリフレッシュ。日差しが強ければ顔でも洗いたいくらい。ここまで来れば青年小屋前もう少し。12年前と変わらぬ登山道周囲の景色。懐かしむように足を下ろしてゆく。ややぬかるんだ場所が多く、スパッツ必携の場所ともなっていた。
青年小屋到着。テント場には8つの花が咲いていた。そこからヌーと顔を出すハイカー。起床が遅いのでは・・・なんて余計なお世話を。小屋前には観音平側から到着したハイカーがベンチに足を進めていた。周囲はガス。さらには少雨。待てばいいのか、このままか、進路をどちらにしようか迷っていた。権現側に進めば休憩を含めて3時間ほど考慮せねばならない。しかし登頂できてもこの天気だと・・・。ピークハンターならいいが、一般的には登頂感が薄いだろう。折角踏むなら・・・。足許の様子も加味し、よくよく考え権現は端折る事にした。そして編笠山側へ進む。
大岩の中を赤ペンキに導かれ登って行く。そこで3名のパーティーとすれ違う。樹林帯に入ると、観音平からのルートのような掘れた中を進む。陽射しを少し感じるようにはなるが、ガスは動かず。権現側を振り返り、行動の是非を自分の中で納得させる。濃いガスの中。前方から賑やかな声がしだし、視界が開ける。
編笠山到着。無線家が居り、大きなアンテナを上げて交信を楽しんでいた。この天気からだろう、ハイシーズンに入ったとは言え登頂者は少なかった。釜無川を挟んでの大展望を楽しむ予定であったが、ここでは視界は35mほど。暑くなくこの時期にして涼やかと言う部分がせめてもの救いであったか。予報は予報、少し前倒しで外れたようであり、自然との遊びでありしょうがない。同行者に地図とコンパスの使い方をレクチャー。ちょっとづつ勘のいい山女(やまおんな)になってもらう。そしてコーヒーを入れ大休止とする。
1時間ほど山頂に滞在し、信濃境側へ下山となる。ここで富士見高原の文字はほとんど見えない。普通にマイカーハイカーなので、信濃境が最初理解できずに居た。コンパスを当てると進路は間違っていない。県境の事を言っているのか・・・下りながら何度も地図を広げ、3回目くらいに広げたとき、駅名の存在を理解した。大岩の中を慎重に降りて行く。同行者はだいぶ苦労しているよう。そう言いながらも私も足を滑らし臀部を強打。痩せ我慢をして降りて行く。
シャクナゲ庭園の場所は、あまりシャクナゲが見えない場所となっていた。あとは、この付近は花芽がないのだがどういうことなのだろうか。各地でシャクナゲが咲いている。ここは何故にない。各場所で花期が違うのか・・・。樹林帯に入ると九十九折の道で高度を下げてゆく。蛍光色のトレイルランナーが追い越してゆく。周囲には物凄い数のマーキングと道標が見られる。それほどに迷い易い場所となるのだろう。樹林帯に入り初めて、富士見高原の文字が出だす。マイカーハイカーが多い昨今、編笠周辺にもあったほうがいいのではないか・・・個人的な意見。
傾斜が緩むと同時に気温の上昇を感じるようになった。緩やかな登山道を伝って行くと前方に岩屋が見えてくる。前に立ち、そこから吹き出す自然の冷房を少し浴びる。この先で林道を二つ跨ぐ。だいぶ下に降りてきた証拠。時計はまだ12時前。ここだけみると権現まで行けば良かったかと思ってしまうが、今日は判断に間違いないと思うことにする。周囲からは夏らしい音がしている。セミの声、野鳥の声、夏らしさを醸し出していた。
盃流しの場所に出る。特異な自然地形。溶岩が流れたような痕にも見えるが、ここでは盃を流している間に句を呼んで楽しむ事がされていたよう。その旨が紹介文として掲げられていた。この時期は流れがないのだが、今でも出来ることなのか。岩の中に水溜りはあるが、ボウフラが見えるような水溜りであった。注意せねばならないのは、現地の岩はよく滑る事。安易に足を乗せると危ない場所もあった。すぐ先に分岐がある。不動清水への道を右に見て沢に沿って降りて行く。
5叉路分岐で往路に伝った場所と合流。登山道を伝っているとリスの出迎えもあったりし、疲れを和ませてくれる。グミのような甘い実を摘んで自然の味を楽しんだりする。そうこうしていると林道ゲートが見えてくる。いい感じに周回終了。バラエティーに富んだコース内容であり、充実した結果が得られたかと思う。こうに歩くと、このような時間で行動できるって部分を体験してもらう。これからの暑い時期、早出してササッと速めに歩くのも熱中症を避ける一手。いろんな体験をして、いろんな経験値を持っていたほうが有利。今回はその手助け。
御両名は一皮剥けたか・・・。下山後、しっかり山行文を書くと言っていた。真摯に山と向き合っている姿勢を感じる。山では復習が予習に通じる。安全に楽しむ為にも・・・。にわかガイドをしながら、自分でも思う存分自然を楽しんだ。