仁田小屋ノ頭   1555 m     
 

 
2013.8.31(土)    


   晴れ     単独      雲取林道鮫沢橋より      行動時間:5H17M 


@鮫沢橋ゲート6:11→(56M)→A荒沢橋北ゲート7:07→(19M)→Bふれあいの森林西登山口7:26〜28→(11M)→C作業小屋7:39→(22M)→D仁田小屋8:01〜05→(72M)→E仁田小屋ノ頭9:13〜23→(30M)→F仁田小屋帰り9:53→(25M)→G林道に降り立つ10:18→(70M)→H鮫沢橋到着11:28


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@鮫沢橋手前に駐車 @鮫沢橋ゲート。自転車バイクは進入可。 樽沢の人工滝 鷹ノ巣橋通過
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快晴の日のモルゲンロート。 林道全体を埋める押し出し。 林道の半分を削る崩落。 荒沢のゲート前駐車余地。以前はここまで入れたが・・・。
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Aゲート ふれあいの森林の看板を通過 Bふれあいの森林の先、堰堤のある左岸側が取り付き点。 ルートはマーキングがベタ張りで続く。
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C作業小屋通過 植林帯の中の道。 最初のフェンス。 水平道になり、二つ目のフェンスを越えると、仁田小屋が見えてくる。
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小谷を挟んで日当たりのいい立地に立つ仁田小屋。 D仁田小屋 D小屋内部。しっかりとしたログ構造。装備品も揃っている。 ルートはやや急峻地形もありタイガーロープが流されている。
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周辺一帯は笹枯れ 上部にも植林帯がありフェンスがされていた 植林した幼木を守るフェンス E仁田小屋ノ頭
sankakuten.jpg santou.jpg  hyoushiki.jpg  koroxtukepan.jpg 
E四方を守られた三角点 E三等点 Eシールプリントされた標識 E今日はコロッケパン
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E山頂から西側の様子。 E東側には妙法ヶ岳が見えているのか。 途中の道標 F仁田小屋帰り
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作業小屋帰り G雲取林道に降り立つ。 G林道を戻って行く 寒桜か、白く咲いていた。
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荒沢北ゲート 鍵を持つ人はゲートを越えて入ることができるよう。ゲートはどのような管理がされているのだろう。 H鮫沢ゲート H駐車余地到着

 



 2008年12月初旬、三ッ山を踏んだ帰りに荒沢谷北にあるゲートの先、橋を渡った北側にある尾根末端から数十メートル取り付いた事があった。しかし、おまけ的に楽に登ろうと思った魂胆は、現地の急斜面にいとも簡単に跳ね返された。疲れた足に、酷くつらい登りが続くのだった。諦め下山した。よかった事と言えば、この時はまだ荒沢谷まで車が入れられた。しかし今は、鮫沢でゲートされ荒沢谷まで4.6Kmのアルバイトがある。楽に1時間あまりアプローチが違ってくる事になる。でも残しているからには、それを加味して狙わねばならない。

 

連週での秩父詣でとなった。私にしては同じエリアを立て続けに出向くのは珍しいかもしれない。秩父市内から140号に伝って雁坂峠を目指して進む、そして5年ぶりに三峯神社側にハンドルを切る。相変わらずの細い道路に懐かしさが甦る。見返りの滝の場所を暗闇の中に左に見たら、その先のカーブの場所から雲取林道が分岐している。ここに入るのは今回で4度目。前回まで3回はドキドキしながら通過したが、今日はそれはない。ここだけ考えると、手前でゲートされている事は、安全に繋がっているのだろう。ドキドキとは、落石とか路肩崩落に対し通過していたということなのだが・・・。

 

クネクネと大洞川に沿うように進んで行くと、予定通り鮫沢橋の所でゲートされていた。脇が開いておりバイクなら問題なく通過できる。余地は橋のすぐ手前山手側に3台。少し戻って路肩に4台ほど在った。前者はユーターン場所となるので、それを見越すと5〜6台ほどが適当か。誰も居らずポツンと路肩に寄せて仮眠となる。樹林帯の中、大洞川の流れと杉のささやきが子守唄だった。と言っても、寝辛い小型車で来ているために、“ア痛テテテ”と何度も目を開け、早く夜明けが来ないものかと待ち望んでいた。ヘッドライトで歩き出してしまえばいいのだが、そこまでする距離でもなし。山行後に利用しようと思っていた三峯神社神の湯が11時から入れる事でもあり、全体の調整もしていたのだった。

 

6:00白み始め行動開始。外気温は4℃を示していた。秩父らしい空気感でもある。お湯を入れてきたテルモスが、ザックの中を温めている感じがあり、冬に入って行く感じも強くしていた。6:11歩き出す。自転車利用も考えなくはなかったが、そもそもまだ故障箇所を直していない。「使えねぇじゃん」と何処からか声が聞こえてくるよう。さて伝っている雲取林道だが、落石は見られるが、さほど通行が困難とは見えなかった。西の上の方では、赤くモルゲンロートに山が輝いている。今日はいい天気になる。違和感を抱くのが、通行止めにしているものの轍が新しい。不思議に思い足を進めてゆく。

 

50分ほど歩くと、以前からの押し出しの箇所で、林道全体を覆うほどに土砂が堆積していた。これでは通行が無理でゲートされている事が妥当と安心した。さらに先では大洞川の方へ、林道幅が半分ほど落ち痛いげに抉れていた。やはりゲートは妥当。通れるのにゲートされているのかと途中まで思っていたが、これを目の当たりにすると・・・納得なのだった。丸太構造の貯水タンクが見えたら、もうすぐ荒沢谷出合い。懐かしむようにテクテクと進む。歩きながらじっくりと風景が見えるので、車で通過するより楽しいのは事実。歩かなければ、大洞川に小さなダム湖があるのも見えなかったし、樽沢や鷹ノ巣沢の滝も楽しまなかった筈。やはり歩きは楽しい。対岸に見慣れた小屋が見えてきた。ぐるっと巻き込むように進み、荒沢橋を跨ぐと、広い駐車余地となり、これまでの林道通過可能最終地点に到達した。当然今は閑散とした場所となっていた。小屋の裏が、2008年に取付いた場所であり懐かしい風景でもあった。

 

ゲートを越えてゆく。橋の上はかなり土が堆積し泥濘状態となっていた。惣小屋谷を見下ろしながら、荒廃が進んだ林道を詰めて行く。先ほどのゲートを出てから15分、右側に「ふれあいの森林」の看板が見えてくる。ここも5年前はもっと整然と管理されていた。以前立っていた白い標柱も横になり、寂れた雰囲気があった。さあそろそろ取り付き点。山手側に注意しながら進んで行く。右にカーブした先に、堰堤の造られた沢がある。その前にはコンクリートの橋が掛かり林道は奥に続いている。その沢の左岸に踏み跡があり、何かを示しているようにリボンが複数個下がっていた。間違いないだろう。

 

踏み跡に足を乗せてゆく。護岸工事の場所に足を沿わせてゆく感じで、九十九折を経て、小尾根を乗越し、落ち葉の堆積した中をベタ打ちのマーキングに導かれて進んで行く。このマーキング多さは、先に何かある予想が強く出来る。やや勾配が強くなると、上の方に小屋が見えてきた。煙突もあり、そこが植林地ということから林業作業用の小屋と判る。隙間から中を覗くと、雑多なものが置かれていた。杉の植林帯の中は、枝打ちがされてよく管理された様子が伺える。このあたりは、登山道と言うよりは杣道と言った方が良いようにも思えた。真っ直ぐ天に伸びた杉の中の九十九折を行くと、最初のフェンスが現れる。斜面途中であり踏ん張りながら開閉をするような場所だった。

 

ルートは尾根の上に上がるのかと思ったが、途中からトラバース道となり、ほぼ水平道となる。その横には青いフェンスが続き、その先に二つ目のフェンスゲートが現れる。ここを越えて顔を前に向けると、朝日の当たる斜面に居心地良さそうに小屋が見えた。間違いないあれが仁田小屋。日当たりのいい素晴らしい立地に建っている。進んで行くと、流れもある。水もあり陽射しもあり展望もあり・・・三拍子揃っている小屋なのであった。少し凍ったその流れを跨いで小屋に到着する。

 

 仁田小屋はログ構造で、東側はチェーンソーで板にしたものがデッキとして敷き詰められていた。薪ストーブもあり、その装備品の充実している様子に驚かされる。それより、見えるカップラーメンの多さにさらに驚く。ゆうに一週間は暮らせるほどにカップラーメンが目に入った。小屋横には沢からの引水もあり、全てに充実して整った小屋であった。当然のことながらしっかり施錠してある。ここから上に行くルートがあやふやであった。判らず適当に登る。実際は、小屋に到達するすぐ手前から、丸太の階段が4段ほどあり、そこが取り付きだった。適当に登ると、右から上がってきた道に乗る。

 

 落ち葉の敷き詰められたやや急登斜面になる。そこにはタイガーロープが流され、そんな場所が3箇所見られた。枯れた景色がだ、そのおかげで陽射しも良く入り、この標高にしても温かい。手元の温度計は2℃を示しているが、体感温度は違っていた。進む先に再びフェンスが現れる。今度は縁が繋がっているフェンスであり、何かを保護しているのが判る。植樹がされている場所のようで、その他にも幼木に覆いがかけられている場所が目立った。北東側斜面にもそれらが見られる場所があり、周辺で大々的に植樹作業がされたようだった。それにしても笹枯れが目立つ。そこに葉の青さが全く見られない。山に緑がないのも違和感があるのだった。

 

 仁田小屋ノ頭到着。四方を囲まれた三等点が中央に埋まっていた。三角点らしい姿で埋まるのを見るのは久しぶり。木々の間から、一応は360度見渡せる。少し西に進んで、倒木に腰を降ろして小休止。このまま進めば、2.5時間ほどで和名倉山に到達するだろう。ここまでが約3時間、和名倉山まで約6時間コースとなろう。三ノ瀬や秩父湖からのルートに対し、本当に近いのか・・・。鮫沢〜荒沢までのアルバイトが無ければ近いとなろう。コロッケパンを白湯で流し込みながら、少し遅い朝食となった。

 

 さて下山。往路に伝った道を追いながら降りて行く。降りながらも東側の尾根筋を見やる。2008年に伝ってきたらどうだったろう。当時は笹枯れは無かった。けぅこうに藪漕ぎになったろうと見えていた。再び植林帯のフェンスを見て、タイガーロープに導かれ降りて行く。このタイガーロープの役目は、少し道が不明瞭な場所の道標の役目も担っているよう。一気に高度を落とし、下の方に仁田小屋が見えてきた。忠実に踏み跡を辿ると、小屋前のコンクリートのたたき前に降り立った。休憩は入れずにそのまま一気に降りて行く。既に10時を回った時間。神の湯に入るのに、もう時間を待つことは無かった。

 

 杉の斜面の中を、フェンスを二つ開閉し、作業小屋を見て、あっという間に林道に降り立った。先に杣道と表現したが、重い荷物を背負っても苦痛が少ないような作道がされているのが歩いて判る。登山者が利用すれば、より快適に感じる道でもあった。雲取林道を戻って行く。ここまでに誰にも会わずにいたが、途中でヘルメットを持った女性が二人すれ違い、にこやかに挨拶をしてもらう。沢屋さんということになろう。さらに進むと、意外や続々とパーティーが現れた。ゲートのところで5名の男性パーティー。見るからに仁田小屋に向かう雰囲気が感じられたが、不思議なのは1時間歩いたにしてはその疲労感が全く感じられなかった。さらにちらほらと男性が続く。今度は男女混成の9名ほどの学生パーティー。単独行者。まあ賑やかであった。

 

 林道を戻って行くと、押し出しの在った先の広見に一台のハイラックスが停まっていた。先ほどの疲れしらずのパーティーのものだろう。少し進むと、全て武蔵ナンバーであったが3台停まっていた。すれ違った男性らの軽い雰囲気が全て理解できた。計4台がゲートを越えて侵入している事実。秩父市が公然と通行止めを発表している事に対し、裏技が存在するようだった。戻って行くと、上着のポケットにお茶のペットボトルを入れたのみの軽装の男性が先を歩いていた。声をかけると、足を揃えて歩いてくれた。「あんちゃん、速いねー」なんて言いつつも横を歩いていた。地元の方で、よく山歩きはしておられるようで、全国区の話でも違和感なく出来た。それより、いつまで経っても「あんちゃん」は・・・(笑)。

 

 鮫沢橋に到着。男性のおかげで、坦々と歩くはずの林道が楽しく歩けた。最後に「どこかでまた会いたいですね」と言葉をかけられる。社交辞令であっても嬉しい言葉。さすが、全国区に足を伸ばしている人であり、対人との間合いが上手とも思えた。当然そこで「そうですね、また」と返す。軽トラに乗ったその男性を見送りながら、着替えを済ます。心地のいい程よい行程であり、地元民のおかげで、より秩父が心地よい場所と思えた。

 

 本来は和名倉山まで行くべきなのだろう。少しだけだが足を伸ばそうかとも思ったのだが、この日の目的は未踏座の仁田小屋ノ頭。全ては自己満足で、私は私なのであった。

 
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